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夢の話Ⅱ

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「ジョージア様とは、来年出会いますが、今のところ特にこれと言って接点があるわけではありません。
 夢の記憶でいうと、少しお話するくらいだと思います。
 それも内容までは覚えていませんが、とても楽しかったと記憶しています。
 でも、普段のジョージア様の位置といえば、周りにいる人たちのさらに外側から私を見ているというと
 ころでしょうか?
 手紙のやりとりやお付き合いなど一切ないのではないです。
 むしろ、夢では自国の殿下とハリーが私の周りをうろうろしているせいか、話すこともままならない
 感じですよ。でも、私は、彼を見つけますし、彼も私を必ず見つけます」


 断片的な夢を繋げて語っているので、私の想像も含まれている。
 ただ、夢の中で語られたことも覚えている限りは話しているので大きな間違いはないだろう。


「余談ですが、私、殿下と婚約するとかしてるとか噂も流れるんですが、お父様にはしっかり断って
 いただきたいです。
 その代りと言っては何ですが、私の友達になる予定の子を後押ししてください。
 そのときになれば誰かはお話します。
 まだ、出会っていないのでその方がいるのかどうか……
 彼女は、トワイス国の公爵家の出で第3妃になるのですが、寵姫となります。
 後押ししておいて我が家にとって損はないでしょう。
 このことは大変言いにくいのですが、王妃となられるローズディアの公女は第1王子を生んでからすぐに
 産後の産褥がよくなくほどなくして亡くなります。
 なんだかんだと、殿下も深く愛情を抱いていたのでしょうね。
 かなり傷心されます。
 政務には影響ありませんが、プライベートになるとどんよりって感じですね。
 殿下の心を救ったのが、その第3妃となる方です」


 父は、陛下から殿下との縁談をすでに打診されているのだろうか。
 動かしているペンが同じところをくるくると回っている。


「ちなみにですが、寵姫には子供は王女が二人生まれます。
 どちらかが降嫁され、お兄様の子供のお嫁さんですよ。
 私が知る限りでは、お兄様の奥様も素敵な方ですしね?ふふふ。
 お父様もお兄様もトワイス国の跡取りとしては、ローズディアの公女が生んだ第一王子を王太子として
 推してくださいね!」


 将来生まれてくる我が子にとって大事な王子だ。
 父や兄には大切に扱ってもらわないと困る。


「アンナ……僕の奥さん……」
「それは、ご自分で探してください。
 二人の女性が夢に出てきました。
 どちらを選んでもいいという運命ではないので、いい方の運命になるよう力添えはしますが、
 あくまでお兄様が選ばないといけませんよ」


 兄にはまだ、恋人がいないのだ。
 母は、情けない兄にため息を、父は頭が痛そうにこめかみを抑えている。

 一時間以上ゆっくり話をしていたため、喉が渇く。


「少し休憩をはさみましょうか?」


 母に入れられた紅茶で私は喉を潤す。
 本当に母はなんでもできてしまうなと感心する。
 この入れてくれた紅茶もものすごくおいしい。
 同じもので兄が入れると……なぜかかなりまずいし、私がいれると普通なのだ。
 ほぅと一つ息を吐くと少し気持ちが楽になる。


 メモを取っていた父が、そのメモを見返しているのか、カサカサと紙をめくる音がしている。
 私の話は、まだまだ話は続くとばかりに母に紙の用意を頼んでいた。
 

 兄は隣で僕の奥さん素敵……とつぶやいている。ふふふ。嬉しそうだ。


 一息入れたところで、夢の続きは再開する。


「ここまでの話を要約すると、戦争が起きる。
 その結果が、アンナが1つ目選択をすると我が国は滅びる。我々も死ぬか……
 2つ目の選択をするとアンナが、アンバー公爵家の子息と学園で出会う。
 その時は何も起こらないがのちに婚約をする。
 その公爵子息には、すでに婚約者がいるが、家格の問題でアンナが第一夫人となるということで
 いいかい?」


 父が取ったメモを私に確認してくるのでコクンと相槌をうつ。


「殿下の側室と第一王子については、私も注意しておこう。
 サシャも気をつけておいてくれ。
 私が引退すれば、いずれ側近となるのだから……
 私の息子・アンナの兄としてもうその道は始まっていると思ってほしい」


 兄に向けての父の視線は、国の中枢にいる側近として厳しいものだ。


「そして、これから話す方が大事なのだろう。
 アンナ、君は、この国で殿下か宰相の息子と結婚するものだと皆に思われているからね?」


 コクリと頷く。


 それは、周りというよりか両親が望んでいたことだろう。
 しかし、私がこの道を選びたい決意した理由を聞いてもらう。


「すでに想い人がいますと、断っていただければ……ありがたいです。
 殿下はローズディアの公女とハリーは公爵家のイリア嬢と結婚するのですから……」


 そこまで話を聞くと、さすがに母が話に入ってくる。


「もう、すでにわかっているのですか?王太子妃になる方とヘンリー様の第一夫人になる方が……」
「はい。わかっています。そして、子供たちの名前も。
 すべて、私の子供とかかわることになりますから……お伝えしますか?」


 父に視線を向けると頼むと言われる。
 仕える相手を間違えるわけにはいかないからだそうだ。


「第一王子の名前は、ジルアート。こちらは正妃そっくりです。
 なので傷心した殿下に、10歳ぐらいまで女の子のように育てられます。
 あと、幻の存在として、処遇はとても冷ややかなものになりますから、お父様とお兄様には、第3妃を
 立てつつ、ジルアート王子をよい方向に導いてほしいのです。
 この子の成長が今後を左右するでしょう……
 ハリーの子供は、男女2人です。
 妹のジュリアンナが私の子供と同じ年になりますので、その子のことしかわかりません。
 ちなみに、私の名前から付けられているそうですよ。
 ジュリ「アンナ」らしいです。笑いますね……」


 ジュリアンナの話をすると、母が額に手をおいてため息をしている。
 この未来は、ハリーが、私に想いを寄せているという話になるのだ。
 私も憎からずハリーへの情はあるので、親たちがこの決意を反対したい気持ちがあるように感じる。


「話を戻しますね。
 私は、なぜジョージア様と婚約できるかというと、まず、お父様が縁談を断り続けてくれること、
 お兄様も私の縁談については素知らぬふりをしてください。
 最難関は、殿下からの求婚ですね。陛下も乗り気ですから……これが一番厄介です」


 殿下の求婚は、陛下も関わっているらしいので、今度は父が頭を抱えている。
 すでに陛下から打診は、何回も来ているそうだ。
 断り続けている父に本当に感謝だ。
 ちなみに、母の方にも正妃から打診を受けているとのことだ。
 こちらも、断り続けてくれているらしい。
 両親とも頭を悩ませる日々は、まだまだ続きそうだ。
 それにしても、自分で言うのはなんだが、よくこんなじゃじゃ馬な子をと思う。
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