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「ビアンカ様っ!」
急に光りはじめたブレスレットに私は驚いていたが、実はそれだけではなかったようだ。
聖女の宝飾品も同じく輝きだし、さらには、宝物庫のあちこちから光の柱が出た。
その中でも一際輝きが強いものが2つ。
聖女の宝飾品と私の真後ろにあった折れた剣である。
「……いきなり、どうしたの?」
わけもわからず、固まっているとニーアが私を引き寄せる。カインの剣も光ったらしく、ビアンカ様っ!と駆けてきてくれた。
「どうなさったのです?」
「わからない……聖女の首飾りに触れようとしたときに、いきなり光ったの!どうなっているの?」
「……わかりませんが……それより、何故この剣まで……」
カインが視線を向けたその剣を見た。私は剣になじみがないので、それが何なのかはわからなかったので、聞いてみた。
「この剣は、かつての王が聖女に与えられたものです」
「聖女に?」
「えぇ、魔獣討伐をするために。この剣が王に与えられたとき、既に人々には魔獣と戦うすべが限られていたと伝えられています。ビアンカ様は、当たり前のように魔法を使われますが、この時代以降の人間には、魔法を持って生まれたものは、一人としていないのです」
「それで、魔獣を倒せるよう聖女が魔力を込めて鍛えさせたというのかしら?」
「その通りです。当時の王のために……その王というのが、聖女の夫であったと言われていますが、実際、聖女との子はいませんから……本当に夫であったのかは不明ですけど、王のために作られた剣というのだけは、本当です。この剣には……ビアンカ様が与えてくれたように、魔法が籠っており、魔獣を退治できたのですから。そして、その王は、聖女に与えられた剣で、国を守り続けたと」
「兵士でなくて、王に与えられたのは何故?」
「王が、単純に国1番の腕の持ち主だったからでしょう。智謀策謀だけでなく、その腕があったからこそ、王になったような方で、戦場でも先頭に立っていたと記述が残るくらいです」
そうなんだ……と呟くと光が収束していく。最後まで光り輝いていたのは、言うまでもなく聖女の宝飾品と王の剣であった。
「この剣は、王の没後、当代一の剣の使い手に渡され、大きな恩恵を得ていました」
「誰でも使えるの?」
「いいえ、剣に選ばれるのです。使い手として……その誰もが当代一のものだったということですが……恩恵を得ることで、自身の身が可愛く身を滅ぼしたものも多くいたと伝えられています」
「聖女が与えたこの剣は……ある意味、人生をも狂わせるものになりかねるのね……でも、この剣、折れているわ!」
「えぇ、10年前に、魔力が枯渇して、魔獣退治のときに折れてしまいました」
「そうだったんだ……」
私はその剣をじっと見つめていた。
「セプトが好きだった叔父が最後の使い手です。折れた剣で戦い続け、魔獣に殺されてしまったのです」
「魔獣に?」
「えぇ、セプトの唯一の理解者であった叔父の死は、相当堪えたと思いますよ」
「そうだったの……それは、残念ね。口ぶりからするに、カインもその方のことを慕っていたようだけど……」
「そうですね、私もかの方に憧れていました。だから、この道に進んだのですけど……いつか、かの方からこの剣を引き継げるような剣士になれるようにと……」
「そうなのね。この剣は、人の手に引き継がれ、何百年とこの国を守り続けていたのね……それ以降は、この国の若者たち……カインたちが、守ってくれていたんだ」
「守れてはいません……魔獣に対抗しうるものがなく、今では、多くが命を失っています」
「それは、セプトにも聞いたことがあるわ……」
完全に光が消えたとき、ニーアが口を開く。
「私、この剣を持った方に命を助けられました。森へ出てたとき、魔獣と出くわしてしまって……颯爽と現れた方に逃げろと言われ、逃げたきり……どうなったのか知りませんでしたが……亡くなられていただなんて……」
「ニーアの年齢からしたら、最後の戦いだったんだろうね。モンド公……セプトの叔父の。いつか、いつの日にか……モンド公の後を継ぎ、この剣に選ばれる用セプトと密かに訓練したこともありました。次代は、どちらかが聖女の騎士になるんだって、幼心によく話したものです」
カインが懐かしそうに話をする。想い出は、色褪せることなく胸にあるのだろう。この剣がもし、治るのなら……魔獣の脅威に怯える日は来なくなるのに……単純な話でないことは分かるが、思わずにはいられない。
カインの利き手が腕ごとなくなったことを思えば、手を差し伸べることがあれば、したいと思ってしまう。
「ビアンカ!」
想い出話に浸っていたところ、宝物庫の静寂を破ったセプトの焦った声に三人が驚いた。
「無事か!」
私を見て、駆けてきて抱きしめる。どうしたの?とカインとニーアを見るが、二人は首を振るだけだ。
わからないことは、本人に聞くしかない。
「無事も何も……ここで、聖女の宝飾品を見ていただけですよ?」
「……それなら、いいんだ。それだけなら……」
「どうかしたのですか?」
「いきなり、このブレスレットが光りはじめたから、ビアンカに何かあったのかと思って……その、」
「鳥籠まで行かれましたか?」
「行こうとしたところで、カインが城内にいると聞いて、ここかと……」
「心配してくれてありがとうございます」
余程驚いたのか、私の体をきつく抱きしめる。そろそろ苦しくなってきたので、離してもらえるようお願いした。
「何があった?」
「いえ、聖女の宝飾品を触ろうとしたら……光ったので驚いただけですよ?」
「……光った?そんなこと無いだろう?」
セプトがおもむろに宝飾品を手に取った。特に何も起こらなかったが、どうせなら、つけてみろと言われ、セプトに首飾りをつけられたとき、先程より、より輝き驚いた。
「本物の聖女なのか?」
「本物もなにも……聖女じゃあり……ま……」
「ビアンカ?」
体から急に力が抜けていく。クラっとした瞬間には、倒れたようだった。
急に光りはじめたブレスレットに私は驚いていたが、実はそれだけではなかったようだ。
聖女の宝飾品も同じく輝きだし、さらには、宝物庫のあちこちから光の柱が出た。
その中でも一際輝きが強いものが2つ。
聖女の宝飾品と私の真後ろにあった折れた剣である。
「……いきなり、どうしたの?」
わけもわからず、固まっているとニーアが私を引き寄せる。カインの剣も光ったらしく、ビアンカ様っ!と駆けてきてくれた。
「どうなさったのです?」
「わからない……聖女の首飾りに触れようとしたときに、いきなり光ったの!どうなっているの?」
「……わかりませんが……それより、何故この剣まで……」
カインが視線を向けたその剣を見た。私は剣になじみがないので、それが何なのかはわからなかったので、聞いてみた。
「この剣は、かつての王が聖女に与えられたものです」
「聖女に?」
「えぇ、魔獣討伐をするために。この剣が王に与えられたとき、既に人々には魔獣と戦うすべが限られていたと伝えられています。ビアンカ様は、当たり前のように魔法を使われますが、この時代以降の人間には、魔法を持って生まれたものは、一人としていないのです」
「それで、魔獣を倒せるよう聖女が魔力を込めて鍛えさせたというのかしら?」
「その通りです。当時の王のために……その王というのが、聖女の夫であったと言われていますが、実際、聖女との子はいませんから……本当に夫であったのかは不明ですけど、王のために作られた剣というのだけは、本当です。この剣には……ビアンカ様が与えてくれたように、魔法が籠っており、魔獣を退治できたのですから。そして、その王は、聖女に与えられた剣で、国を守り続けたと」
「兵士でなくて、王に与えられたのは何故?」
「王が、単純に国1番の腕の持ち主だったからでしょう。智謀策謀だけでなく、その腕があったからこそ、王になったような方で、戦場でも先頭に立っていたと記述が残るくらいです」
そうなんだ……と呟くと光が収束していく。最後まで光り輝いていたのは、言うまでもなく聖女の宝飾品と王の剣であった。
「この剣は、王の没後、当代一の剣の使い手に渡され、大きな恩恵を得ていました」
「誰でも使えるの?」
「いいえ、剣に選ばれるのです。使い手として……その誰もが当代一のものだったということですが……恩恵を得ることで、自身の身が可愛く身を滅ぼしたものも多くいたと伝えられています」
「聖女が与えたこの剣は……ある意味、人生をも狂わせるものになりかねるのね……でも、この剣、折れているわ!」
「えぇ、10年前に、魔力が枯渇して、魔獣退治のときに折れてしまいました」
「そうだったんだ……」
私はその剣をじっと見つめていた。
「セプトが好きだった叔父が最後の使い手です。折れた剣で戦い続け、魔獣に殺されてしまったのです」
「魔獣に?」
「えぇ、セプトの唯一の理解者であった叔父の死は、相当堪えたと思いますよ」
「そうだったの……それは、残念ね。口ぶりからするに、カインもその方のことを慕っていたようだけど……」
「そうですね、私もかの方に憧れていました。だから、この道に進んだのですけど……いつか、かの方からこの剣を引き継げるような剣士になれるようにと……」
「そうなのね。この剣は、人の手に引き継がれ、何百年とこの国を守り続けていたのね……それ以降は、この国の若者たち……カインたちが、守ってくれていたんだ」
「守れてはいません……魔獣に対抗しうるものがなく、今では、多くが命を失っています」
「それは、セプトにも聞いたことがあるわ……」
完全に光が消えたとき、ニーアが口を開く。
「私、この剣を持った方に命を助けられました。森へ出てたとき、魔獣と出くわしてしまって……颯爽と現れた方に逃げろと言われ、逃げたきり……どうなったのか知りませんでしたが……亡くなられていただなんて……」
「ニーアの年齢からしたら、最後の戦いだったんだろうね。モンド公……セプトの叔父の。いつか、いつの日にか……モンド公の後を継ぎ、この剣に選ばれる用セプトと密かに訓練したこともありました。次代は、どちらかが聖女の騎士になるんだって、幼心によく話したものです」
カインが懐かしそうに話をする。想い出は、色褪せることなく胸にあるのだろう。この剣がもし、治るのなら……魔獣の脅威に怯える日は来なくなるのに……単純な話でないことは分かるが、思わずにはいられない。
カインの利き手が腕ごとなくなったことを思えば、手を差し伸べることがあれば、したいと思ってしまう。
「ビアンカ!」
想い出話に浸っていたところ、宝物庫の静寂を破ったセプトの焦った声に三人が驚いた。
「無事か!」
私を見て、駆けてきて抱きしめる。どうしたの?とカインとニーアを見るが、二人は首を振るだけだ。
わからないことは、本人に聞くしかない。
「無事も何も……ここで、聖女の宝飾品を見ていただけですよ?」
「……それなら、いいんだ。それだけなら……」
「どうかしたのですか?」
「いきなり、このブレスレットが光りはじめたから、ビアンカに何かあったのかと思って……その、」
「鳥籠まで行かれましたか?」
「行こうとしたところで、カインが城内にいると聞いて、ここかと……」
「心配してくれてありがとうございます」
余程驚いたのか、私の体をきつく抱きしめる。そろそろ苦しくなってきたので、離してもらえるようお願いした。
「何があった?」
「いえ、聖女の宝飾品を触ろうとしたら……光ったので驚いただけですよ?」
「……光った?そんなこと無いだろう?」
セプトがおもむろに宝飾品を手に取った。特に何も起こらなかったが、どうせなら、つけてみろと言われ、セプトに首飾りをつけられたとき、先程より、より輝き驚いた。
「本物の聖女なのか?」
「本物もなにも……聖女じゃあり……ま……」
「ビアンカ?」
体から急に力が抜けていく。クラっとした瞬間には、倒れたようだった。
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