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えぇーっと、私、たぶん、
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鳥籠に着いてから、ニーアがお茶の用意をしてくれる。
「さっきは、急なことお願いしてごめんね?」
「いえ、驚きましたが、お名前も言わない方がいいかと思ったので、咄嗟に主と言わせていただきました。カイン様のように聖女様とお呼びすればよかったです」
ちょっと肩を落とすニーアに、苦笑いする。聖女は、さすがに恥ずかしい。
「それで、庭園で何かあったのか?」
「えぇ、あったといえば、あったかな?それより、セプトは庭園に行かなくてよかったの?アリーシャが待っているわよ?」
「俺は、会う約束なんてしていないからな。おおかた、公爵に城の見学でもするかと言われてついてきたのだろう。適当に歩いていたところに見知ったカインを見つけた……そういうところじゃないか?」
「そう、なら、いいのかな?」
「それよりだっ!俺だけ知らないのは……」
「セプト様以外も知りませんよ!ビアンカ様が急に黙られてしまわれたので」
「そうなのか?」
立っているカインに問いかけるセプト。一応、カインにも座るよう促したが、任務中ということで、座ってくれない。
そして、自然と三人の視線を受けることになった。
「えっと、えぇーっと、私、たぶん、さっきのアリーシャは知ってる人かもしれないと思って……」
「えっ?」
「はっ?」
「んん?」
三者三様いい具合に驚いてくれ、私は、頬をぽりぽりとかく。
「どう言うことだ?」
代表してセプトが私に説明を求めてくる。ただ、核心はないものの、まさかね?と思う自分もいた。
「私が生きた時代に、同じ人物がいたって言ったら驚くかしら?」
「まぁ、普通は驚くな?」
「アリーシャ嬢は、確か今は公爵令嬢ですけど、生まれは伯爵か子爵かだったはずです。借金のかたに連れられてきたとかなんとか……」
「借金のかたに……」
「だから、同じ時代に生きているのは別人では、ないですか?」
カインに言われ、ハッとしたが、見間違いではないと再度主張しら、今度は三人が押し黙った。
「……勘違いだったのかしら?でも、顔を見せるのは、まずいと思ったの。咄嗟のことに対応してくれて二人ともありがとう」
「いえいえ、たいしたことではありません」
カインが優しく微笑んで、私もつられて微笑んだ。
私とカインを交互に見るセプトに私が、どうしたの?と問いかけた。
「二人とも、ずいぶん仲良くなったものだなって」
「……そんなこと、ないさ。ビアンカ様には、利き腕のことで感謝している、それだけだよ」
「ふーん、そんなもんか」
「ところで、セプトは私に話があったのでしょ?」
「そうだった。その前に、そのドレス、よく似合っている。春の妖精が舞い降りたみたいだ!」
クスっと笑う私に不思議そうな顔を向けてくるセプト。
同じ言葉を聞くとは思わなかったのだ。
「それ、さっき、ニーアにも言われたの。私、そんなに春の妖精に見えるかしら?」
お道化てみると、あぁと柔らかく微笑むセプトに少々驚いた。今までの表情とずいぶん違うのだ。
「そんなに驚いた顔をしてどうした?」
「セプトが優しそうに微笑んだことに驚いたの!」
「俺も微笑みくらい、……するよな?」
抗議の声をあげた後、カインの方へ振り向き確認をとっている。小さい頃から一緒にいたカインなら、今の表情と今までの表情の違いが分かったのではないだろうか?
「俺も、初めて見たので、驚いてます」
「はっ?普通に、笑うけど……なぁ、ニーアもそう思うだろ?」
「えっと、申し上げにくいのですが……私も殿下の優しそうな微笑みは、初めて見ました!」
「俺って、そんな仏頂面なわけ?」
「違うんじゃない?私が思うに、笑っていても、心から笑っているように見えなかったし、張り付けた笑顔のように見えたんだよ。特に付き合いの長いカインには。私やニーアは、毎日顔を合わせていたから、雰囲気かな?それで、違いが分かったのかも」
そうかと呟くセプト。何か思い当たることがあるらしく、自嘲気味に笑う。なんだか、その笑顔は悲しいが、今まで作り笑いを張り付けていたのだから、セプトが感情を出せる心許せる場所に鳥籠がなっているということなのだろう。
コホンとわざとらしく咳ばらいをするセプトに、一同クスっと笑う。
「それで、明日の話をしようとしてたんだが……むしろ、こちらで話した方がよかった話だから帰ってきてよかたかもしれない」
「明日着るドレスについては、もう、こちらに届いているわ!」
「そうか。俺も知らなかったんだが……」
「真っ白な布1枚のワンピースね。下着も何もつけちゃいけないのは知っているから大丈夫よ!ニーアにもちゃんと連絡がいっているはずよね?」
「はい、侍女長から聞いています。明日は、私は儀式の前の扉まではついて行くことを許可されています」
「あぁ、あと、カインもだ」
「それは、初耳だが……時間さえ言ってくれれば、必ず」
うんと頷くセプト。明日の婚約者になるための儀式に慎重になっているのに少しだけ不思議に思った。
前回も、私が知らないところで、こんなふうに用意されていたのだろう。私たちは子どもだったから、準備をしてくれたのは、お互いの両親だったのだろうが。今回は成人をしている二人のことではあるので、セプトが動いているのだろう。
「はぁ、嫌だな……儀式」
「まだ、そんなことを」
「だって、嫌なものは嫌でしょ?」
「ビアンカ様、あの、聞いても?」
「えぇ、いいわよ!婚約者になる儀式で大事なのは、誰とも枕を共にしていないかの確認なの。特に正妃となる令嬢は、体の隅々まで調べられるのよ!」
「そんなことを?」
「されるのよ……まぁ、わかるわよ?妃になった令嬢の生んだ子の血筋が違えば、問題だもの。妃になることで、家は皇室から多大な援助をしてもらえる。金銭的なのか、政治的なのか、はたまた、両方なのか。それを目論む貴族も少なくはないのよね?」
「あぁ、わざわざ、皇子と釣り合いの取れる年の子を生ませる場合もあるくらいだからな」
確かにと頷くのはカイン。たぶん、女の子を望まれて生まれたのであろう。誕生日はセプトの少し後だと聞いている。
「貴族の方々にもいろいろな苦労があるのですね……」
「ニーアは、庶民なのか?」
「はい、殿下。私は、ビアンカ様専属になれなければ、王宮メイドとしてあと数年働き、お暇をいただく予定でした。今は、ビアンカ様に望んでいただけるのであれば、その間、側でお仕えしたいと……あの、ご迷惑では……」
「ないから、安心して!ニーアがいてくれると、私も嬉しいわ!」
「ここの主従関係も強固なものだな」
当たり前よ!というと、ニーアは嬉しそうにしていた。
「私はいろいろなこと知らずに、王子の婚約者になったのよ。今度は、守るべき家も何もないから……私の身一つなんだけど、また、拗らせて死ぬのは嫌だわ」
「なら、俺にも魔法をかければいい。ビアンカが望む理想の夫となろう」
「作り物なんて、いらないわ!見つめる視線の先も微笑むのも私じゃないのは、辛いの。見せかけのものしかもらえなかったのよ」
「そうならないさ」
「そんなの、わからないわ!人の気持ちなんて、変わるものよ?ましてや、男女なんだから……」
「じゃあ、今、カインとニーアの二人に誓おう。俺は、ビアンカだけを今後見つめ続ける。器用じゃないんだ。穏やかな時間をくれるビアンカに俺が持てるもの全てやろう。例え、ビアンカが望まなかったとしても」
「そんな……信じられないわ!」
「なら、魔法で約束を拘束できるものはないのか?本当に全部やるから、俺だけをみてくれ」
まぁ!とニーアは頬を染める。カインは、苦笑いをしていた。
私は、驚いた。
セプトの中で、一体何が起こっているのだろうか?私にセプトの全部をくれる?俺だけをみてくれ?
言葉にならなかった。ただ、セプトを見つめ返しただけだ。
「返事は、明日の儀式のときでいい。俺をビアンカが縛ってくれればいい。国民のこと以外は、ビアンカのために生きる。それくらいの覚悟は、出来ているから」
その言葉だけを残し、セプトは執務に戻ると鳥籠から出ていく。
私は、何も言えず、ただ、その後ろ姿を見送ったのだった。
「さっきは、急なことお願いしてごめんね?」
「いえ、驚きましたが、お名前も言わない方がいいかと思ったので、咄嗟に主と言わせていただきました。カイン様のように聖女様とお呼びすればよかったです」
ちょっと肩を落とすニーアに、苦笑いする。聖女は、さすがに恥ずかしい。
「それで、庭園で何かあったのか?」
「えぇ、あったといえば、あったかな?それより、セプトは庭園に行かなくてよかったの?アリーシャが待っているわよ?」
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「そう、なら、いいのかな?」
「それよりだっ!俺だけ知らないのは……」
「セプト様以外も知りませんよ!ビアンカ様が急に黙られてしまわれたので」
「そうなのか?」
立っているカインに問いかけるセプト。一応、カインにも座るよう促したが、任務中ということで、座ってくれない。
そして、自然と三人の視線を受けることになった。
「えっと、えぇーっと、私、たぶん、さっきのアリーシャは知ってる人かもしれないと思って……」
「えっ?」
「はっ?」
「んん?」
三者三様いい具合に驚いてくれ、私は、頬をぽりぽりとかく。
「どう言うことだ?」
代表してセプトが私に説明を求めてくる。ただ、核心はないものの、まさかね?と思う自分もいた。
「私が生きた時代に、同じ人物がいたって言ったら驚くかしら?」
「まぁ、普通は驚くな?」
「アリーシャ嬢は、確か今は公爵令嬢ですけど、生まれは伯爵か子爵かだったはずです。借金のかたに連れられてきたとかなんとか……」
「借金のかたに……」
「だから、同じ時代に生きているのは別人では、ないですか?」
カインに言われ、ハッとしたが、見間違いではないと再度主張しら、今度は三人が押し黙った。
「……勘違いだったのかしら?でも、顔を見せるのは、まずいと思ったの。咄嗟のことに対応してくれて二人ともありがとう」
「いえいえ、たいしたことではありません」
カインが優しく微笑んで、私もつられて微笑んだ。
私とカインを交互に見るセプトに私が、どうしたの?と問いかけた。
「二人とも、ずいぶん仲良くなったものだなって」
「……そんなこと、ないさ。ビアンカ様には、利き腕のことで感謝している、それだけだよ」
「ふーん、そんなもんか」
「ところで、セプトは私に話があったのでしょ?」
「そうだった。その前に、そのドレス、よく似合っている。春の妖精が舞い降りたみたいだ!」
クスっと笑う私に不思議そうな顔を向けてくるセプト。
同じ言葉を聞くとは思わなかったのだ。
「それ、さっき、ニーアにも言われたの。私、そんなに春の妖精に見えるかしら?」
お道化てみると、あぁと柔らかく微笑むセプトに少々驚いた。今までの表情とずいぶん違うのだ。
「そんなに驚いた顔をしてどうした?」
「セプトが優しそうに微笑んだことに驚いたの!」
「俺も微笑みくらい、……するよな?」
抗議の声をあげた後、カインの方へ振り向き確認をとっている。小さい頃から一緒にいたカインなら、今の表情と今までの表情の違いが分かったのではないだろうか?
「俺も、初めて見たので、驚いてます」
「はっ?普通に、笑うけど……なぁ、ニーアもそう思うだろ?」
「えっと、申し上げにくいのですが……私も殿下の優しそうな微笑みは、初めて見ました!」
「俺って、そんな仏頂面なわけ?」
「違うんじゃない?私が思うに、笑っていても、心から笑っているように見えなかったし、張り付けた笑顔のように見えたんだよ。特に付き合いの長いカインには。私やニーアは、毎日顔を合わせていたから、雰囲気かな?それで、違いが分かったのかも」
そうかと呟くセプト。何か思い当たることがあるらしく、自嘲気味に笑う。なんだか、その笑顔は悲しいが、今まで作り笑いを張り付けていたのだから、セプトが感情を出せる心許せる場所に鳥籠がなっているということなのだろう。
コホンとわざとらしく咳ばらいをするセプトに、一同クスっと笑う。
「それで、明日の話をしようとしてたんだが……むしろ、こちらで話した方がよかった話だから帰ってきてよかたかもしれない」
「明日着るドレスについては、もう、こちらに届いているわ!」
「そうか。俺も知らなかったんだが……」
「真っ白な布1枚のワンピースね。下着も何もつけちゃいけないのは知っているから大丈夫よ!ニーアにもちゃんと連絡がいっているはずよね?」
「はい、侍女長から聞いています。明日は、私は儀式の前の扉まではついて行くことを許可されています」
「あぁ、あと、カインもだ」
「それは、初耳だが……時間さえ言ってくれれば、必ず」
うんと頷くセプト。明日の婚約者になるための儀式に慎重になっているのに少しだけ不思議に思った。
前回も、私が知らないところで、こんなふうに用意されていたのだろう。私たちは子どもだったから、準備をしてくれたのは、お互いの両親だったのだろうが。今回は成人をしている二人のことではあるので、セプトが動いているのだろう。
「はぁ、嫌だな……儀式」
「まだ、そんなことを」
「だって、嫌なものは嫌でしょ?」
「ビアンカ様、あの、聞いても?」
「えぇ、いいわよ!婚約者になる儀式で大事なのは、誰とも枕を共にしていないかの確認なの。特に正妃となる令嬢は、体の隅々まで調べられるのよ!」
「そんなことを?」
「されるのよ……まぁ、わかるわよ?妃になった令嬢の生んだ子の血筋が違えば、問題だもの。妃になることで、家は皇室から多大な援助をしてもらえる。金銭的なのか、政治的なのか、はたまた、両方なのか。それを目論む貴族も少なくはないのよね?」
「あぁ、わざわざ、皇子と釣り合いの取れる年の子を生ませる場合もあるくらいだからな」
確かにと頷くのはカイン。たぶん、女の子を望まれて生まれたのであろう。誕生日はセプトの少し後だと聞いている。
「貴族の方々にもいろいろな苦労があるのですね……」
「ニーアは、庶民なのか?」
「はい、殿下。私は、ビアンカ様専属になれなければ、王宮メイドとしてあと数年働き、お暇をいただく予定でした。今は、ビアンカ様に望んでいただけるのであれば、その間、側でお仕えしたいと……あの、ご迷惑では……」
「ないから、安心して!ニーアがいてくれると、私も嬉しいわ!」
「ここの主従関係も強固なものだな」
当たり前よ!というと、ニーアは嬉しそうにしていた。
「私はいろいろなこと知らずに、王子の婚約者になったのよ。今度は、守るべき家も何もないから……私の身一つなんだけど、また、拗らせて死ぬのは嫌だわ」
「なら、俺にも魔法をかければいい。ビアンカが望む理想の夫となろう」
「作り物なんて、いらないわ!見つめる視線の先も微笑むのも私じゃないのは、辛いの。見せかけのものしかもらえなかったのよ」
「そうならないさ」
「そんなの、わからないわ!人の気持ちなんて、変わるものよ?ましてや、男女なんだから……」
「じゃあ、今、カインとニーアの二人に誓おう。俺は、ビアンカだけを今後見つめ続ける。器用じゃないんだ。穏やかな時間をくれるビアンカに俺が持てるもの全てやろう。例え、ビアンカが望まなかったとしても」
「そんな……信じられないわ!」
「なら、魔法で約束を拘束できるものはないのか?本当に全部やるから、俺だけをみてくれ」
まぁ!とニーアは頬を染める。カインは、苦笑いをしていた。
私は、驚いた。
セプトの中で、一体何が起こっているのだろうか?私にセプトの全部をくれる?俺だけをみてくれ?
言葉にならなかった。ただ、セプトを見つめ返しただけだ。
「返事は、明日の儀式のときでいい。俺をビアンカが縛ってくれればいい。国民のこと以外は、ビアンカのために生きる。それくらいの覚悟は、出来ているから」
その言葉だけを残し、セプトは執務に戻ると鳥籠から出ていく。
私は、何も言えず、ただ、その後ろ姿を見送ったのだった。
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