4 / 55
鳥籠
しおりを挟む
「まず、俺はこの国ブランレートの王子でセプト・ブランレート。で、ここは王宮で、この部屋は、通称鳥籠。王家に連なる女性が何か悪いことをすればここに入れられる場所。いわゆる冷宮だな」
「私、王家の一員でもないし、たぶん、ここでは、まだ何もしていないわよ?」
「そんなに気にすることもない。空から降ってきた天使のようだったから、天に帰らないようにと、急遽、史実にもとづき、この部屋に閉じ込めただけだ。世話をしたのは侍女で……お……俺は見てないぞ!」
「私の裸、見たんだ? ふーん、そっかぁ」
夜着の胸元をはだけるとわかる。ところどころにある、赤い斑点。絶対、この目の前のセプトがつけたに違いない。
含んだ感じにニコリと笑うと、急にソワソワし始めた。
「王子としては、その……」
どう謝っていいのかわからず、モゴモゴと話すセプト。
可愛げがあればいいんだが、あろうことか実験しただけだとのたうちまわった。
じとっとした視線を送ると、「あんたさ、どんな格好で寝てたかわかってる?」と、セプトは開き直ったのか逆に聞かれた。
「起きたら裸だったわね? それも、下着も何もつけてないし、布団もかけられてなかった」
睨むように、どうしてなの?とセプトに視線向ける。私の睨みに臆したのか、目が泳いでいた。
「そ……それには、理由がある!」
「理由って何よ? 人の体に痕つけまくったヤツが言うことじゃないわ!」
「侯爵令嬢の割にかなり口が悪いな!」
「うるさいわね! 起きたときに裸で寝かせられているほうの身にもなって……って、私、トイレに行きたい!」
「はぁ? トイレ? ……あぁ……その端の方だ」
「外、出ててよ!」
「王子?」といい、胡散臭い王子を外に追いやるとトイレへと駆け込み座る。
用を足せば、思う……眠り続けていた間、トイレってどうしてたのかしら? と。取り乱し始めたころ、終わったかっと軽い調子で、セプトがまた部屋に入ってきた。
実験だと言われ、思うところがあるこの痕とセプトを見比べ、モヤっとした気持ちをスッキリさせることにする。
「ねぇ、私にキスマークつけたのあんただけ?」
「あぁ、そうだが? もっとつけ……」
パーンっといい音が、鳥籠の中で響いた。
「さいっていね!」
私が睨むと、叩いた頬を撫でながら、話を聞けって! とセプトは拗ね説明を始めた。
「いってぇーな! 言っとくけど、あんたが空から来て、抱き留めた瞬間に服が全部破れた。まるで、劣化したみたいに」
「そんなの信じないわ!」
「それでも構わない。一緒に見てたものたちも同じこと言うさ」
「そんなの、王子に命令されたら、口裏ぐらい合わせるわよ!」
訝しみながら、セプトを睨みつける。私の話を聞いていたら、話が進まないと無視をすることに決めたらしい。どかっと元居た席に座り直した。
「そうかよ! それは、勝手にそう思っておけ! こっからが本題だ。ここに運んだのは、あんたが裸で人目に付きにくい場所へ移動させたかったからっていうのもあるんだけど、その体は、ほんのり発光してた。陛下が聖女だっていうあんたの裸をその他の大勢の人に見せるわけにもいかないから、今は、誰も来ないここに運んだんだ。
ここに運んでからも、侍女がもちろん下着も服も着せたんだ。布団も着せようとしたらしい。あんたがまとっていたベールのような光が何もかもを拒んだ。侍女の手も俺以外の他の王子の手も。不思議と全て弾き返される。それさえなかったら、あんたは俺でなく第一王子の妃になって、俺はお役ごめんだったんだ……」
「だった?」
「俺だけ、その体に触ることが許された。当てつけに、痕を付けたけど、他はなんもしてないから」
「信じらんないっ!」
「でも、それが真実。俺も困ってるんだ! で、今、夜着が着れてるってことは……他の人でも、あんたの体に触れるようになったってことか?」
ポケットから出したベルをセプトが鳴らすと、侍女が部屋に入ってきた。
「お呼びでしょうか? 殿下」
「あぁ、聖女様が目を覚ました。夜着を羽織っているから、誰でも触れることができると考えられるから着替えさせてくれ」
「かしこまりました。聖女様、こちらにお着替えをご用意しましたので、お着替えください」
私を恭しく扱う侍女に従い、夜着を脱ごうと思ったが、チラッとさっきの場所を見ると、こちらに視線を向けにやついている王子がいた。
「出ていかないの?」
「そう言えば……」と言いながらニコッと笑い、「今更だろ?」と返ってきた。
意識のないうちのことは、100歩譲って、いいとしよう。
今現在、意識もあり見知らぬ誰か……王子なのだが、私にとっては、初めて見る男性に裸を見られるのは嫌だった。
「出て行って!」
「どうして?」
「どうしても! 着替えられないじゃない!」
「あぁ、そういうこと? なんなら、俺が着替えさせてあげようか?」
ガタッと座っていた席をたち、ゆっくり余裕を持ってこちらに歩いてくる。侍女に下がるよう命じると何食わぬ顔で背中から抱きしめてきた。
「なんだ、俺が着せないとダメだって?」
「誰もそんなこと言ってないわよ! 話、通じている? 出て行ってといって……ひゃうん……」
「いい声してるんだ」
首筋を舐められ、思わず声が出てしまう。
おとなしくしているわけではないのに、一向に振り解けないのが憎たらしい。
「離して!」
「俺、一応、婚約者なんだから、多少の……」
セプトがクスッと笑うのが背中から伝わる。
「スキンシップくらいいいだろ?」
「やめて!」
私はうっすら一瞬発光していた。自分が光ったことに驚いたのだが、王子も驚いたのだろう。腕の中からスルッと抜け出すことができた。
「へぇー感情によっても、体が光ったりするんだ?」
「知りません! 今すぐ出てって!」
ふぅふぅと暴れていたので荒い息を吐き、声を荒げる。
流石に可哀想と思ってくれたのか、忙しいからなのか、降参降参と合図を送り、「また来るよ」と出て行った。
私は近くにあったベッドにへなへなと座りこむ。流石に目覚めてから、いろいろと知らされることが多すぎて追いついていない。
遊び慣れているようなセプトにいいようにされてたまるか!と心の火をつけた。
ただ、この部屋は、『鳥籠』という冷宮だとセプトが言っていた。
王宮にある、冷宮。そんなものが、噂では聞いたことがあったが、本当にあるだなんて知らなかった。
まさか、私がその場所に押し込まれてしまうとも思ってもいない。
殺風景な最低限の生活用品しかない部屋で、私はこれから監禁されて生活することになるのだろうか?
「一度死んだとは言え、こんなことになるなんて……ちゃんと死ねたら……よかったのに。ここから、いつか逃げ出してやるわ!」
結局、侍女も戻ってきてくれず、夜着のままだ。怒涛の出来事に、疲れてベッドに崩れるように倒れ込んでしまう。
聞き慣れない国、見知らぬ男性、何もない冷宮。どこに希望があるのかさえわからず、涙を流す。
救いは、あるのだろうか……? 冤罪から断罪され、私は、この先どうなるのか不安になりながらも、起きてからの少しの時間でさえ、どっと疲れが出て眠ってしまうのであった。
「私、王家の一員でもないし、たぶん、ここでは、まだ何もしていないわよ?」
「そんなに気にすることもない。空から降ってきた天使のようだったから、天に帰らないようにと、急遽、史実にもとづき、この部屋に閉じ込めただけだ。世話をしたのは侍女で……お……俺は見てないぞ!」
「私の裸、見たんだ? ふーん、そっかぁ」
夜着の胸元をはだけるとわかる。ところどころにある、赤い斑点。絶対、この目の前のセプトがつけたに違いない。
含んだ感じにニコリと笑うと、急にソワソワし始めた。
「王子としては、その……」
どう謝っていいのかわからず、モゴモゴと話すセプト。
可愛げがあればいいんだが、あろうことか実験しただけだとのたうちまわった。
じとっとした視線を送ると、「あんたさ、どんな格好で寝てたかわかってる?」と、セプトは開き直ったのか逆に聞かれた。
「起きたら裸だったわね? それも、下着も何もつけてないし、布団もかけられてなかった」
睨むように、どうしてなの?とセプトに視線向ける。私の睨みに臆したのか、目が泳いでいた。
「そ……それには、理由がある!」
「理由って何よ? 人の体に痕つけまくったヤツが言うことじゃないわ!」
「侯爵令嬢の割にかなり口が悪いな!」
「うるさいわね! 起きたときに裸で寝かせられているほうの身にもなって……って、私、トイレに行きたい!」
「はぁ? トイレ? ……あぁ……その端の方だ」
「外、出ててよ!」
「王子?」といい、胡散臭い王子を外に追いやるとトイレへと駆け込み座る。
用を足せば、思う……眠り続けていた間、トイレってどうしてたのかしら? と。取り乱し始めたころ、終わったかっと軽い調子で、セプトがまた部屋に入ってきた。
実験だと言われ、思うところがあるこの痕とセプトを見比べ、モヤっとした気持ちをスッキリさせることにする。
「ねぇ、私にキスマークつけたのあんただけ?」
「あぁ、そうだが? もっとつけ……」
パーンっといい音が、鳥籠の中で響いた。
「さいっていね!」
私が睨むと、叩いた頬を撫でながら、話を聞けって! とセプトは拗ね説明を始めた。
「いってぇーな! 言っとくけど、あんたが空から来て、抱き留めた瞬間に服が全部破れた。まるで、劣化したみたいに」
「そんなの信じないわ!」
「それでも構わない。一緒に見てたものたちも同じこと言うさ」
「そんなの、王子に命令されたら、口裏ぐらい合わせるわよ!」
訝しみながら、セプトを睨みつける。私の話を聞いていたら、話が進まないと無視をすることに決めたらしい。どかっと元居た席に座り直した。
「そうかよ! それは、勝手にそう思っておけ! こっからが本題だ。ここに運んだのは、あんたが裸で人目に付きにくい場所へ移動させたかったからっていうのもあるんだけど、その体は、ほんのり発光してた。陛下が聖女だっていうあんたの裸をその他の大勢の人に見せるわけにもいかないから、今は、誰も来ないここに運んだんだ。
ここに運んでからも、侍女がもちろん下着も服も着せたんだ。布団も着せようとしたらしい。あんたがまとっていたベールのような光が何もかもを拒んだ。侍女の手も俺以外の他の王子の手も。不思議と全て弾き返される。それさえなかったら、あんたは俺でなく第一王子の妃になって、俺はお役ごめんだったんだ……」
「だった?」
「俺だけ、その体に触ることが許された。当てつけに、痕を付けたけど、他はなんもしてないから」
「信じらんないっ!」
「でも、それが真実。俺も困ってるんだ! で、今、夜着が着れてるってことは……他の人でも、あんたの体に触れるようになったってことか?」
ポケットから出したベルをセプトが鳴らすと、侍女が部屋に入ってきた。
「お呼びでしょうか? 殿下」
「あぁ、聖女様が目を覚ました。夜着を羽織っているから、誰でも触れることができると考えられるから着替えさせてくれ」
「かしこまりました。聖女様、こちらにお着替えをご用意しましたので、お着替えください」
私を恭しく扱う侍女に従い、夜着を脱ごうと思ったが、チラッとさっきの場所を見ると、こちらに視線を向けにやついている王子がいた。
「出ていかないの?」
「そう言えば……」と言いながらニコッと笑い、「今更だろ?」と返ってきた。
意識のないうちのことは、100歩譲って、いいとしよう。
今現在、意識もあり見知らぬ誰か……王子なのだが、私にとっては、初めて見る男性に裸を見られるのは嫌だった。
「出て行って!」
「どうして?」
「どうしても! 着替えられないじゃない!」
「あぁ、そういうこと? なんなら、俺が着替えさせてあげようか?」
ガタッと座っていた席をたち、ゆっくり余裕を持ってこちらに歩いてくる。侍女に下がるよう命じると何食わぬ顔で背中から抱きしめてきた。
「なんだ、俺が着せないとダメだって?」
「誰もそんなこと言ってないわよ! 話、通じている? 出て行ってといって……ひゃうん……」
「いい声してるんだ」
首筋を舐められ、思わず声が出てしまう。
おとなしくしているわけではないのに、一向に振り解けないのが憎たらしい。
「離して!」
「俺、一応、婚約者なんだから、多少の……」
セプトがクスッと笑うのが背中から伝わる。
「スキンシップくらいいいだろ?」
「やめて!」
私はうっすら一瞬発光していた。自分が光ったことに驚いたのだが、王子も驚いたのだろう。腕の中からスルッと抜け出すことができた。
「へぇー感情によっても、体が光ったりするんだ?」
「知りません! 今すぐ出てって!」
ふぅふぅと暴れていたので荒い息を吐き、声を荒げる。
流石に可哀想と思ってくれたのか、忙しいからなのか、降参降参と合図を送り、「また来るよ」と出て行った。
私は近くにあったベッドにへなへなと座りこむ。流石に目覚めてから、いろいろと知らされることが多すぎて追いついていない。
遊び慣れているようなセプトにいいようにされてたまるか!と心の火をつけた。
ただ、この部屋は、『鳥籠』という冷宮だとセプトが言っていた。
王宮にある、冷宮。そんなものが、噂では聞いたことがあったが、本当にあるだなんて知らなかった。
まさか、私がその場所に押し込まれてしまうとも思ってもいない。
殺風景な最低限の生活用品しかない部屋で、私はこれから監禁されて生活することになるのだろうか?
「一度死んだとは言え、こんなことになるなんて……ちゃんと死ねたら……よかったのに。ここから、いつか逃げ出してやるわ!」
結局、侍女も戻ってきてくれず、夜着のままだ。怒涛の出来事に、疲れてベッドに崩れるように倒れ込んでしまう。
聞き慣れない国、見知らぬ男性、何もない冷宮。どこに希望があるのかさえわからず、涙を流す。
救いは、あるのだろうか……? 冤罪から断罪され、私は、この先どうなるのか不安になりながらも、起きてからの少しの時間でさえ、どっと疲れが出て眠ってしまうのであった。
1
お気に入りに追加
66
あなたにおすすめの小説

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される
風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。
しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。
そんな時、隣国から王太子がやって来た。
王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。
すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。
アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。
そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。
アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。
そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。

五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

【完結】あなたのいない世界、うふふ。
やまぐちこはる
恋愛
17歳のヨヌク子爵家令嬢アニエラは栗毛に栗色の瞳の穏やかな令嬢だった。近衛騎士で伯爵家三男、かつ騎士爵を賜るトーソルド・ロイリーと幼少から婚約しており、成人とともに政略的な結婚をした。
しかしトーソルドには恋人がおり、結婚式のあと、初夜を迎える前に出たまま戻ることもなく、一人ロイリー騎士爵家を切り盛りするはめになる。
とはいえ、アニエラにはさほどの不満はない。結婚前だって殆ど会うこともなかったのだから。
===========
感想は一件づつ個別のお返事ができなくなっておりますが、有り難く拝読しております。
4万文字ほどの作品で、最終話まで予約投稿済です。お楽しみいただけましたら幸いでございます。

【近々再開予定】ピンク頭と呼ばないで―攻略対象者がお花畑で萌えない為スルーして良いですか―
咲桜りおな
恋愛
前世で散々遊び尽くした乙女ゲームの世界にどうやらヒロイン転生したらしい主人公・パフィット・カルベロス。この目で攻略対象者たちを拝めると楽しみに学園に入学してみたら、軒並み恋愛お馬鹿なお花畑や攻略対象者自らイベント拒否して来たりと、おかしな相手ばかりでガッカリしてしまう。
あんなのに萌えれない。ゲーム画面で見たキラキラ輝かしい彼らは何処へいったのよ! ヒロインだけど、恋愛イベントスルーして良いですかね? 王子? どうぞ、お好きに持って行って下さい。
ん? イベントスルー出来ないってどういう事!? ゲーム補正? そんなの知らないわよ!
攻略対象者を避けたいのに避けさせて貰えない「矯正力」に翻弄される毎日。
それでもポジティブモットー!な元気ヒロインちゃんは、今日も自分の思った道を突き進むのだ!
◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆
ちょっとお口と態度の悪い突っ込みヒロインちゃんです。
「小説家になろう」でも公開しています。
傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。
石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。
そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。
新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。
初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、別サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

【完】夫から冷遇される伯爵夫人でしたが、身分を隠して踊り子として夜働いていたら、その夫に見初められました。
112
恋愛
伯爵家同士の結婚、申し分ない筈だった。
エッジワーズ家の娘、エリシアは踊り子の娘だったが為に嫁ぎ先の夫に冷遇され、虐げられ、屋敷を追い出される。
庭の片隅、掘っ立て小屋で生活していたエリシアは、街で祝祭が開かれることを耳にする。どうせ誰からも顧みられないからと、こっそり抜け出して街へ向かう。すると街の中心部で民衆が音楽に合わせて踊っていた。その輪の中にエリシアも入り一緒になって踊っていると──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる