卵を拾ってみたが食べられないので捨ててみようと思います

おんちゃん

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舞踏会でわかる真実

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高い天井に大きなシャンデリラ、乙女が一度は夢みる豪華で盛大な舞踏会会場だった。

色とりどりな様々な料理品数の豊富さに度肝を抜かれ、そして沢山の令嬢や貴族の方々に目が回った。

ウッ…場違いな場所に参加させられてしまったとは思うが、竜王様のご命令なら逆らう事も出来ず、カエラさんの導きでおっかなビックリしながら慣れないドレスを身に纏い来てしまった。



「ユイカたんみつけまちた!」



黄色いドレスに身を纏い見知った方に会えれば、ホッと安堵のため息が漏れた。

トテトテと私の近くまで来てくれて、愛らしいカテーシーの礼をとる。一夜漬けで必死に特訓をしたカテーシーで礼を返す、絶対顔が強ばってるしプルプル膝が震えてるのはご愛敬で許して欲しい…



「アイシャ様お会い出来てよかった…場違いな場所に来てしまい緊張で逃げたしたいところでした。」


「すぐユイカたんを見つけられてよかったでしゅわ♪ありゃ~お目目が真っ赤でしゅわね、昨夜は夜更かしでちたか…?」



アイシャ様の言う通り私は明け方に僅かな睡眠をとっただけだった、りっちゃんをただただずっと待って居た。カエラさんには夜更かしは美容に悪いと注意されたが、りっちゃんと約束したから寝て待つ事など出来なかった。

『わかってる…ちゃんと話そうユイカたん』これからの私達の未来について話せると、不安だった想いを全て打ち明けようと期待していたのに彼は何も告げす私の部屋には来なかった。




「ちょっと寝付けずに…」


「緊張しましゅわよね、でもご安心してくだしゃい。ユイカたんが一人ぼっちにならない様に私が常に隣に居る予定でしゅから」


「心強いですわ…この城にとって私は招かざる客人のようですから不安でしたの、なぜ竜王様はわざわざこの様な公な場所に私を参加する様にご命令されるのか…」


「ユイカたん…肩身の狭い想いをなさったんでしゅね可哀想に、後少しで全て解決しましゅうから私はユイカたんの味方でしゅわ…」




後少しで解決…?

アイシャ様が何を言ってるのかわならない何か事件にでも巻き込まれてるかの様な口調だ、もしかして昨晩りっちゃんが私の客間に訪れなかったのは、その事件処理に追われいたからなの?また秘密事だ、彼は私に秘密が多いそんな秘密事の多い彼とこれから未来を誓えるのだろうか…



「私は何も知らない事ばかり…いつも蚊帳の外だな…」



ボソリと愚痴のように呟いてしまう…

いいのか悪いのかアイシャ様のお耳には届かなかったようで、ん?と首を傾げるアイシャ様の愛らしい仕草と可愛いさに沈んだ心のが一瞬癒される、アイシャ様が居てくれてよかった




「アアアアイシャァァァァーー!!」



奇声が聞こえたと思った瞬間に此方へ向かって来るドスドスと凄い振動を感じ、すぐ隣に居てくれたアイシャ様の身体がフワリと空中に舞った




「あーーー何時もの奴ですか…」


「うちの嫁が可愛くて可愛くて辛い、アイシャの黄色いドレス姿最高だよぉぉ~ちょっとだけ頬っぺたをペロペロしていい?」


「旦那しゃま下ろして離して~公な場で何を貴方様はなさってらっしゅるのですか!」


「あ~アイシャの怒ってる顔も最高だよ、舐めたい剥ぎたいひんむきたい…」



ん?舐めたいはペロペロしたい事でしょ?剥ぎたいって何を剥ぐのかしらまさか今纏われているドレスの事じゃありませんよね、ひんむきたいまで言いやがったなエクリサー先生の幼妻にかける愛情がみればみるほど変態にさんにしか思えない…逃げてぇぇアイシャ様…



「アイシャ…窮屈だと思うがリザリー公爵家の方々に共に挨拶に伺いにいかねばならない。私もこの場でアイシャとユイカさんと共に居たいのだが…」



そうですよね…いくら舞踏会といえども、日本人の会社でいえば新年会や忘年会に名刺交換と挨拶回りは営業マンとしての基本です!お仕事の一環ですからね




「エクリサー先生お気になさらずお二人で挨拶回りいってらっしゃいませ。私此処でお二人がお戻りになるのをお待ちしております。」




寂しいが二人に膝プルプルカテーシーの礼をして笑顔で二人をお見送りする。アイシャ様とエクリサー先生は手を振って私から離れて行った。










一人ポツネンと壁の花になり当たりを見渡せば、ガヤガヤと周りが騒がしくなりギャラリーが一斉に会場中央に間をあけ始めた。皆が壁側に一斉に下がってくるいよいよ本格的に舞踏会が開始するらしい。


ゴクリと生唾を飲み込み只静かに開始を待つ


バターンと扉が開けば皆の視線がそちらに集中した、白いマントを翻し金髪の見栄麗しい金髪を靡かせ翡翠瞳の美男が圧倒的オーラを漂わせこの国の頂点竜王様が登壇された。皆が一斉に頭を伏せる私も慌ててカテーシーの礼をとる一斉に静まり返り頂点の威厳をヒシヒシと感じる



「紳士淑女の皆様本日は忙しい中、私の為にお集まり下さいました事感謝致します。私は本日よりこの国の頂点王としての公務に戻る事が出来ましたのも、此処に集まる紳士淑女の皆様と忠誠心の厚い民のお陰です。今後二度と皆様に猜疑心をもたさせる様な行いをしない事を此処に誓います。本日は僅かながら時間ですがこの舞踏会を心行くまでお楽しみ頂ければ幸いです」



竜人国竜王クロード様の挨拶は広いこの会場に響き渡り王の品格と偉大差を沢山のギャラリーに見せつけた。

登壇されているクロード様は、私の知っているイメージと180度違い、紳士的口調と王としての圧倒的オーラを纏い近寄ることすら恐れ多く言葉すら交わすことなど出来ない奇跡の様なお方だった事を自覚する…



「皆様に少しでもお楽しみ頂けるようファーストダンスはこのお二方にお願い致しました。」




再度大きな扉が開けば、美男子と美女の二人が舞台中央に登場した。男性はグレーのマントを纏い金髪の神を三つ編みにして真紅の瞳をしている。

思わず声が出そうになる口を慌てて手で押さえる、眩しいほどの美しさ王子様の衣装を纏ったりっちゃんが舞台中央に居る。そのりっちゃんにエスコートされ真紅のドレスに身を纏い美女が観衆にカテーシーの礼をとる。


私の近くに居たご夫婦が二人の登場に興奮し、いやでも二人の話し声が聞こえてくる。



「おおおおおーーー!元竜王様だーーー!!」

「キャーーー元竜王様と王妃様がファーストダンスを踊られるなんてなんて素敵なの!!」



あ…あれが…あのお方がりっちゃんの奥様…

金髪の髪は緩やかにウェーブがかかり、大きな瞳は翡翠だった。見てるだけで魅了され圧倒的な美しさに観客誰もがため息が溢れうっとりした瞳で王妃をみつめる


「王妃様相変わらずお美しい!あの見た目で現竜王の母親だとは信じられないよな」

「本当よねー!美男美女とはお二人の事を言うですわぁぁ~国のシンボルようなお二人方憧れるわぁ~」



観客誰もが元竜王と王妃の登場に歓喜し喜び盛り上がる



「でもさ元竜王様と王妃は不仲だったんじゃなかったけ?」

「元竜王様の生前の話ですわ、やはり生まれ変わっても魂の片割れ運命の番の絆はほどける事ないんですわよ、生まれ変わっても番の王妃様に元竜王様は会いにきたんですわよ~素敵ぃ」




りっちゃんは…番の王妃様に会いに来た…?



「でもさ…嘘か本当か知らないが元竜王様が愛妾を連れてきたって噂もあるぜ…」


「貴方馬鹿ねぇ~しょせん番の王妃様に会う間での繋ぎよ…そこには愛情なんてなく性処理だけの関係でしょ!」


「お前結構キツイ事言うな…」


「だって貴方だって知ってるでしょ竜人にとって魂の片割れ運命の番は唯一無二、出逢える確率はかなり低いのにあの二人は出逢ってしまったんですもの…ほら息ピッタリのダンス見ている此方が魅了されるわぁぁ~」





あれ…私は王妃様に会うまでの性処理道具だったんだ…




「お前の言う通りだな竜人や獣人は番絶対主義、理性で抑えつけても本能が番を求めるからな…」


「でしょ~でしょ~!でもその妾さんの立場になれば可哀想な気もするけど、そんなの常識だし妾さんもそれなりに良い想いしてたと思うよ」


「まぁ~今の元竜王様と王妃様のダンス見れば全然自分がお呼びじゃないのもわかるだろうしな!」




頭を金槌で思いっきり殴られた衝撃が走る


『彼女とは二度と逢うつもりもない』


嘘つき…今目の前で逢い観衆を魅了するまでの熱い情熱的なダンスを披露されてるじゃない…


『ユイカたん捨てないで…僕の唯一の雌もぉ二度離さない…』


嘘つき…貴方が私を捨てるじゃない、男の人ってベッドの上では簡単に愛しるって言えるだって聞いた事がある。性処理をさせる為だけにそんな重い嘘は酷いよさすがに騙されるよ…


『ユイカたんに肩身を狭い想いさせてるのは今日でよくわかったし自覚した…ちゃんと話そう…そして一緒に帰ろう…ごめんねユイカたん…』


嘘つき…貴方は昨晩来なかったじゃない、本当は一緒帰る気なんてないくせに話合う気も無いくせに




なんでよ・・・中途半端に期待させたのよ


なんでよ・・・なら母親と息子のままでいたかった




惨めで情けなくてフラフラと会場を一人で脱け出すしかなかった。

竜人にとっての常識なんて知らない、いや知らなけらばならなかったのだ。竜人に恋した時点で知ろうとしなかった私の落ち度なんだ。番絶対主義なら私など勝ち目があるわけがない、張り合う相手にもなりもしない…



そもそも…この国に来たのもりっちゃんを一目見に来て、彼が幸せそうなら彼の幸せを応援する。二度と恋心を持たない、常に母親としての目線で彼の幸せを邪魔しないと考えていたじゃないか…


だから此処で潔く身をひくのが良いのだ、頭では必死に理解しようとするのに心が追い付かない、ドレスの裾を持ち泣きながら走り出していた…


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