卵を拾ってみたが食べられないので捨ててみようと思います

おんちゃん

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父と息子

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モグモグ パクパク たまにフォークに刺さった食べ物をあ~んとさせられ…最初は無視したが辛抱強く食べてくれるまで待ち続けるから根負けしてハッムと食べてしまった。


翡翠の瞳が嬉しいそうに揺れ、なぜだか頭をヨシヨシ撫でられる




「本当にお腹減っていたんだね…可哀想に…モグモグ頬っぺに食べ物溜めて…ぷっぷっハムスターみたいだねぇ」




なんか言われてるけど、今の私は目の前の食事に集中していた。

サラダ・バーニャカウダとにかく野菜野菜野菜…美味しいし新鮮だしやっとありつけたご飯なので文句は無い。なにより毒餌じゃないのが嬉しい、警戒して手を着けない私を安心させる為にチャラ雄いえ竜王様自ら毒味をしてくれたのだ。お付きの従者が慌てて止めるのも華麗にスルーし私の食事を当たり前の様に口にし、ニコリと微笑み『大丈夫だよ』と知らせるように頷かれた。私の身体は硬直し知らぬ間に身体に力が入っていてた為、頷き共にホッと全身の力が抜けていった。




『あ…あり…ありがとうございます?』


『ふふふ…なんで疑問系なの…ほらいいから早くお食べ』




優しい笑顔で微笑まれれば、やっぱりりっちゃんと雰囲気が似てる。本当は悪い人じゃないのかも?見た目はりっちゃんのお兄様みたいで、背は高く二十代後半ぐらいの渋さを醸し出しこれは間違いなく泣かした女は数知れずってタイプなわけで、その口からりっちゃんを『父上』と呼ぶ姿はまるで幼い子供の様で思い出し笑いで頬が緩んでしまった。だって何も知らなければこの竜王様の方が年上なのだから、転生したりっちゃんと彼はどんな風に会話し親子関係を築いたのか興味がわく。


少しにやけた顔で椅子に腰掛けパクパクモグモグ食事を始めた。




「ほら牛娘こっちもお食べよ~あ~ん」


「ハムハム…お野菜美味しいですけど、王様自らお食事の介助して貰うのは…さすがに申し訳ない…です。」


「さっきまであんなに激怒してウッモォォーと叫んでたのにすっかり従順なったね。本当お腹減ってたんだねヨシヨシ…可哀想に…」




哀れむ瞳で見つめないで下さい…

優しく頭を撫でないで下さい…




急激に後悔と反省がこみ上げてくる、いくらお腹が減って冷遇されていたとはいえ。王様に楯突く物言い不敬罪で処罰されてもおかしくない…それなのにこんなに優しくしてもらって…申し訳ない気持ちが沸き上がる、せめて言葉では伝えられなくても態度で感謝を現す様にフォークを咥えたままペコリと頭を下げる。



「んっ?」



そんなに優しく微笑まないで…再度ペコリとして、感謝の意をこめて竜王様のあ~んを素直に食べる。ハムハム モグモグ




「クッ!!可愛い…なんだ先程まで反抗期まっさかりツンツン牛娘が、今は上目遣いで素直に僕の餌付けに応じる…そのギャップにどれだけ雄を狂わすつもりなんだ…ハァァァ~癒される~」




どうやら竜王様は小さな生き物がお好きな様だ、まるでペットを見つめる飼い主目線で私を見るのを止めて頂きたい…



「牛娘は牛さんだからね~やっぱお野菜が好きなんだね~本当はお肉も食べさせてあげたいけど、共食いさせたら可哀想だからね」



あ~なるほど!だからこの食卓には野菜しかないのか、本音はお魚やお肉も欲しいけど…毒餌じゃない事に感謝しかない贅沢などいえる立場じゃございません




「牛娘~こんな可愛いだし、妾なんて止めちゃいなよ…僕が何不自由なく飼ってあげてもいいしさ…今の立場で此処に残ればますます冷遇されるかもよ…」




妾になったつもりでは無いのですが…


そうですよね…


招かざる客とはまさに私の事なんだろうな…

一目りっちゃんを見て幸せそうなら諦めるつもりだった。

なのにあの子は窶れ果て身体を酷使してるのは一目瞭然で…置いていけない…





「ねぇ?クロードさぁ~誰の了解を得てユイカたんに給餌してるのかな?」



低く脅すような口調であの子が言った



「ち…父上…」


「ユイカたんは無知だから仕方ないけど、お前はわかってるよね給餌行動の意味…」


「りっちゃん…何怒ってるの?」


「父上…可愛いペットへの愛情表現ですよ」



「ユイカはペットじゃない!!そんな愛情表現など欲してない、我以外の接触を禁じているはずだが…」



「父上…あなたそれほどまで…この牛娘を…ふっ…ならなぜ大切な牛娘は飢えているのですか?貴方の監督不行き届きなのでは?」



先程まで鋭い目付きで睨み付け、不快感をあらわにしていた彼だったが。その竜王の一言で慌てふためき彼女の後ろから抱き付き彼女の身体を無作法に触り始めた



「ぷぎゃぁぁぁぁぁ!!ユイカたん飢えていたの?あ~あぁぁ~確かにおっぱいが少し縮んでいる気がする、なんでぇぇぇ~ご飯口に合わなかった?ごめんぷぎゃぁ~」



「えっ…ぷっぎゃ?」



息子クロードよ、すまぬ貴方の偉大なお父上は過去の人だ?過去の竜人だ、ここにいるのはどうやら育児失敗したおっぱい星人の変態蜥蜴しかおらず…育ての親としてはお恥ずかしい限りです本当にごめんなさい…

モニュモニュと当たり前のように、私の胸を揉みまくる不埒な手をペッチンと叩き振り返る。




「りっちゃん人様の前でこんな不埒な行動しちゃメッでしょ!?」


「ぷぎゃぁぁぁぁぁ~ごめんなさい~人前じゃなきゃいいぷぎゃ?」


「ぷぎゃ…の上に即謝罪…この目の前にいる竜人は誰だ…誰なんだ…こんなの父上じゃない」


「ほらぁ~竜王様も困惑しちゃったよ~なんでこんなに見栄麗しいのに残念な子になっちゃったの?竜王様にごめんなさいを一緒にしよ?」


「いやぷぎゃ~ユイカたんにちょっかい出すからいい気味ぷぎゃ~」


「父上…が…まるで子供のように駄々をこねている…あれは誰だ…あれは…」


「クロードよ…諦めろ…お前の父は居ない…すでに絶命している…お前の尻拭いも此処までだ。僕は生まれ変わり新たな道で生きていく…ユイカたんとおっぱいと共に!!」



何かっこよく宣言してるんだ宣言した内容全然かっこよく無いからな、結局はお前はおっぱいと生きて行くって言ってるんだからね。この変態蜥蜴はドヤ顔して鼻まで大きく開いてるよ、どうしてこんな変態に育ってしまったのか実子にそんな事宣言して恥ずかしくないのか?




「りっちゃん黙りなさい!私が言ってるわけじゃないのに、なんで私がこんなに自尊心を傷付けられるのか…竜王様本当に申し訳ごさいません…とんだ失態を」


「いや…牛娘…いやいいんだ…ぷぎゃ…おっぱい」


「ありゃ~ちょっとショックが大き過ぎたかな?愚息よ…頑張れ~」


「りっちゃんちゃんと反省して、子供は親の背を見て成長するんだよ!それなのにこんな子供みたいに駄々ごねたり意地悪発言したり恥ずかしくないの?」


「クロードよ…お前はまだ幼き子供なのか…?」


「父上…」


「お前は成人しこの国の王なのだぞ…」


「しかし父上、私には荷が重すぎて貴方の様な賢王にはなれません…」


「我が賢王だったら…呪いなど受けなかったよ。無知で無謀で愚かな王だった、そして過去の過ちを何千年かけて償っただけ…やっとお前という後継者を持てて生前は幸せだったよ。お前は我の誇りだ…」


「父上…」


「お前のことはいつでも遠くから応援し見守っているよ」


「父上…なんか押し付けてませんか?」


「ぷぎゃぁぁ?」


「幼いふりして誤魔化さないで下さい!!」


「お前はこんなに立派に賢く逞しく育ったじゃないか、我の役目は終わったよ」


「不祥事おこす王など相応しくありません」


「お前宰相の娘に手を出してないだろ…なぜ黙秘など通してるのか、証拠を集めればわかる事なのに」


「すでに全部を把握されてる様で…」


「まっ!!宰相派閥に上手くやられただけだ、老害とはどこでもあるものよのぉ~」


「父上がお戻りなられ事態は一気に終息しましたが、僕ではこんな短期間で収まること出来ませんでした…」


「お前なら出来るよ…お前は優しく賢いからな相手の立場を考えるぐらいに…」


「父上…どうしても旅立つおつもりですか…」


「いや…家に帰るだけだよ」


「家ならこの国では…」


「新たな人生を生かせてくれ…」




親子二人の真剣な会話に私は混ざることなど出来なかった。ただ二人を見守ることしかできたない



「父上…せめて…母上に会ってください…」


「何度も言ってるだろ…番だったのも、我の妃だったのも生前の過去の話なんだよ…」


「一目でも会って話してください、新たな人生を歩むと言うならばこの国に戻らなければよかった…僕が言うのもなんですが…母上は貴方に会いたがっております…」



「会わない…」



頑なにりっちゃんは元王妃様に会う事を承諾しなかった。まるで会ってしまうのが怖いかのように…

そんな態度になぜだか私は不安になった…


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