卵を拾ってみたが食べられないので捨ててみようと思います

おんちゃん

文字の大きさ
上 下
23 / 42

迷子はテンプレです…

しおりを挟む
永遠と続くかと思われた説教タイムもやっと終了が近付くと、山間の高い位置に大きな街並みが見えてきた。その街並みの中心部には大きな西洋のお城がただずみ、まるでネズミの国のシンデレラ城のような巨体なお城に驚きと興奮と感動を覚える。



城の周りには運搬用ドラゴンとは違う、沢山のドラゴンが城周りに飛び交いさまざまな体格のドラゴンが浮遊していた。



「すっごい…」


「ユイカさんは初めての来訪ですからね驚きますよね。この運搬用とは違いあの浮遊してる赤竜は体格は小さいですが、素早さ戦闘能力が高いんですよ」



クロさんは丁寧に指を差しながら説明してくれる



「あの赤竜は竜人さんなんですか?」


「恐らく竜人が本来の姿になったものかと、きっとこの国の騎士様だと予想します」


「この運搬用ドラゴンさんも竜人さんですか?」


「いやこの子は人の姿には慣れないみたいですね」


「へ~あんまり区別がつかないです私凡人ですから」


「クックック牛娘は凡牛だろ」


「モォォォーーーー熊さんは黙って下さい!」



すっかり熊さんは私をからかう事に味をしめたようで、クロさんとの会話にチョイチョイ参加して揚げ足取ってくる。ムキになって否定すればするほど愉快そうに笑い声あげて構ってくる、悪い熊ではないんだけど私的にはもっとワイルドなんだけど女性の扱いに不器用な感じの方が萌えポイントが上がるんだけどな。



「ほら牛娘到着するぞ!ここでお別れだけど、また会ったらご飯でも奢ってやるよ。俺がこの国の傭兵になれるよう祈っとけよ」


「随分上目線な熊さんな事、でもお祈りしときますね!どうぞ我が運送屋のご依頼お待ちしておりまーーーす」


「ちっ!!すっかり商売根性だしやがって生意気な牛娘だ」


「ユイカさんナイスアイデア!先輩として鼻が高いです」



クロさんがとても喜んでくれてる、熊さんことワイドさんとワイワイお食事してみたけど私がここに滞在できるのはたった1日だ。すでに夕暮れ明日朝一に養育費を送ってくれている依頼主様に会う予定、本当はいまからでも会いたいけどさすがに失礼にあたるししょうがない、熊さんに丁寧にお礼とお別れをして本日宿泊する宿屋をさがす事になった。

沢山の人々が街中を行き交い凡人の私には人間にしか見えないが、よくよく観察すればりっちゃんに似た蜥蜴尻尾や長い舌を出している人々つまり竜人さんが居たり。頭の上にはカイザー兄さんとおなじく犬耳やウサギ耳など沢山の獣人が溢れていた。



「あんまりキョロキョロしてると危ないですよユイカさん」


「あっすみません…田舎者なんで物珍しくて…」


「ちゃんと貴重品は身につけてスリに気を付けて下さいね」


「あまり治安が良くないのですね…」


「夕刻ですからね、早めに宿屋をみつけましょうもっと日が沈めば雌の一人歩きは襲ってくれと言ってるようなものです。わかりましたか?」


「は~いクロ先輩!」


「良いお返事です」



クロさんから離れないように必死に後ろから着いていく、そこまで自分自身背丈が低くないとは思っていたが、この街では埋もれてしまう、皆背丈が高くぶつからない様に上ばかりみていたら足元の石につまづいてコケてしまった、慌てて立ち上がり前を向くとクロさんの後ろ姿がない…

黒猫耳を必死にさがすが人通りが多く見当たらない、キョロキョロ周りを見渡すが居ない。いきなり立ち止まると周りの方々に迷惑だし道の脇へと流れに沿って進み、やっと立ち止まれそうなポイントまでたどり着き必死にクロさんを探す。こんな事になるならクロさんの服の裾でも掴んでおけばよかった、また怒られると恐怖と不安にかられる…




「お嬢さんどうしたの迷子かな?」



ふっと私に声をかけてきた人をみつめると、金髪の髪をポニーテール結い眉目秀麗なイケメンお兄さんに声をかけられた。雰囲気がりっちゃんに似てると直感で感じる、でも瞳は緑でりっちゃんはこんなに背が高くなかったし肩幅も違う。あっでも蜥蜴尻尾が見えるから竜人さんなんだ、優しい瞳でにこやかに微笑まれれば悪い人ではなさそう…いやまて世の中人の良さそう見た目で極悪人だっている見た目に騙されるな



「いえ大丈夫です待ち合わせをしてるだけなので」


「そうですか…でももうすぐ日も暮れますし、雌がお一人では危ないですよ。待ち人が来るまで私もご一緒しましょうか?」


「いえいえ…あの…その…」



逃げるように後ずさればお兄さんは私の方に近寄ってくる、困ったなクロさん早く私をみつけてよぉぉ~

そんな時だった金髪お兄さんの後ろから簡易鎧を纏った方が近づいてきた



「クロード様!!またこんな城下町にお忍びで何をなさってるんですか」


「あ~あ~エクリサーもぉ~見つけちゃったの…公務は終わらせたから息抜きにね、ミノタウルスの女の子が迷子ぽくてさお手伝いしようと」


「ミノタウルスの女の子?」



鎧を纏った人がこちら見る、バッチリ目が合う。


あっ…



「エクリサー先生助けてぇぇ~」


「ええええええ~ユイカさん何で此処に、それもミノタウルスってそういえば明日妻が客人が来ると…なるほど…」


「んっ?牛娘ちゃんはユイカちゃんて言うの可愛いね、エクリサー知り合い?怖くないからお兄さんとこおいでぇ~」



イヤイヤ怖くないって言われても行きません、それもなんで大きく腕を広げてるのかしら?まるで子供を抱き締め上げる体勢ですよね、見知らぬ人に抱き付く趣向は持ってませんしそんな尻軽女ではありませんから…てか子供扱いしないでくださいよ。イヤイヤ首を横に振って慌ててエクリサー先生の後ろに隠れる




「あらユイカちゃん隠れちゃった…」


「クロード様この子はちょっと…そう妻の友人でして、人見知りも激しくクロード様の身分も知らないのです、不敬をお許しください」


「エクリサー別に怒ってないよ、それに今は身分など掲げるつもりなど無い。可愛い牛娘が居て困っていたら声をかけないのは紳士的じゃないからね…」




うぇぇぇ~この金髪お兄さん、えっとクロードさんだっけ?チャラいなおもわずエクリサーさんの後ろに隠れて舌を出してしまう



「エクリサーより僕の方がモテるはずなのになぁ~おかしいな~ま~知り合いの方が強いか…残念…」


「クロード様何が残念なんですか…本当は私が貴方をお城にお戻ししなければいけませんが、ユイカさんを送り届けますからクロード様は部下にお任せします」


「ええええ~僕もユイカちゃん送るよ!ここで知り合えたのも何かの縁だし、可愛い雌に興味があるのは雄の性だよね~」



ニヤニヤしながら金髪お兄さんが近付いてくる、近付くなチャラ雄!イケメンだけどそのチャラさは萌えポイントを低下させているぞ、エクリサー先生の口調で高位の方だとは予想出来るが苦手なタイプだわ…余りお近づきになりたくない…



「はぁ~なんでかなぁ~本当ユイカさんはこの親族にとことん好かれますね…」


「エクリサー先生意味わかりません…」


「いいんですか…お父上をお呼びしても…」


「ぐぬぅぅぅ…わかったよぉ~ユイカちゃんまた今度お話ししようねぇ~エクリサーとこに滞在するのかな?会いに行くよ♪」




いえ…ご遠慮します、会いに来ないで下さい。明日には此処を離れなければなりません貴方に時間を裂く余裕も暇もありません。親切心でお声をかけてくれたかもしれませんが、エクリサー先生にも会えましたしどうぞさようなら~無言で笑顔でバイバイと手を振る



「うわぁぁぁ~素っ気な~クール~そんな塩対応に益々興味沸くんですけど…ミノタウルスの幼女ってこんな可愛いんだ…」


「早く部下と一緒に帰ってください!!ユイカさんに近付ない!振り返らないほら行きなさい~!!」



渋々とチャラ雄は踵を返しいつの間に現れたエクリサー先生の部下と人混みの中を消えて行った。



「さてさて…ユイカさんにも事情を色々聞かねばなりませんが、本当に日が暮れますから本日は我が屋敷に滞在してもらいますかね…」


「あの連れが…いま宿屋を探してて…」


「あ~確かにユイカさん一人でこの国に来るのは無謀ですもんね、共犯者は誰ですかね。でもしかしこれは好都合かも…ナイスタイミングなのかも…」



エクリサー先生はぶつぶつ独り言を言って思考に暮れていた。

その後10分程思考に暮れるエクリサー先生の横にいれば、クロさんがやっと私を見つけてくれた




「ユイカさぁぁぁぁん!貴方って人は何度迷子になれば気が済むのですかぁぁぁ!!ってててててて…エクリサー様、、、、」


「ほぉぉぉぉ…クロが共犯者か…そして我妻もこの一件関わってそうですね…二人まとめて我が屋敷にいらっしゃい拒否など認めませんからね…」



それはそれは優しい笑顔でエクリサー先生が微笑むが、クロさんは硬直し恐怖で震えていた。クロさんとエクリサー先生が知り合いだったのも驚きだったが今は詮索する時ではないと雰囲気を読み大人しくエクリサー先生の屋敷と着いて行った。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

騎士団寮のシングルマザー

古森きり
恋愛
夫と離婚し、実家へ帰る駅への道。 突然突っ込んできた車に死を覚悟した歩美。 しかし、目を覚ますとそこは森の中。 異世界に聖女として召喚された幼い娘、真美の為に、歩美の奮闘が今、始まる! ……と、意気込んだものの全く家事が出来ない歩美の明日はどっちだ!? ※ノベルアップ+様(読み直し改稿ナッシング先行公開)にも掲載しましたが、カクヨムさん(は改稿・完結済みです)、小説家になろうさん、アルファポリスさんは改稿したものを掲載しています。 ※割と鬱展開多いのでご注意ください。作者はあんまり鬱展開だと思ってませんけども。

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

飯屋の娘は魔法を使いたくない?

秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。 魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。 それを見ていた貴族の青年が…。 異世界転生の話です。 のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。 ※ 表紙は星影さんの作品です。 ※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。

転生したらチートすぎて逆に怖い

至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん 愛されることを望んでいた… 神様のミスで刺されて転生! 運命の番と出会って…? 貰った能力は努力次第でスーパーチート! 番と幸せになるために無双します! 溺愛する家族もだいすき! 恋愛です! 無事1章完結しました!

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです

新条 カイ
恋愛
 ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。  それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?  将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!? 婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。  ■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…) ■■

美醜逆転異世界で、非モテなのに前向きな騎士様が素敵です

花野はる
恋愛
先祖返りで醜い容貌に生まれてしまったセドリック・ローランド、18歳は非モテの騎士副団長。 けれども曽祖父が同じ醜さでありながら、愛する人と幸せな一生を送ったと祖父から聞いて育ったセドリックは、顔を隠すことなく前向きに希望を持って生きている。けれどやはりこの世界の女性からは忌み嫌われ、中身を見ようとしてくれる人はいない。 そんな中、セドリックの元に異世界の稀人がやって来た!外見はこんなでも、中身で勝負し、専属護衛になりたいと頑張るセドリックだが……。 醜いイケメン騎士とぽっちゃり喪女のラブストーリーです。 多分短い話になると思われます。 サクサク読めるように、一話ずつを短めにしてみました。

獣人公爵のエスコート

ざっく
恋愛
デビューの日、城に着いたが、会場に入れてもらえず、別室に通されたフィディア。エスコート役が来ると言うが、心当たりがない。 将軍閣下は、番を見つけて興奮していた。すぐに他の男からの視線が無い場所へ、移動してもらうべく、副官に命令した。 軽いすれ違いです。 書籍化していただくことになりました!それに伴い、11月10日に削除いたします。

処理中です...