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2章

たまには頑張るモブ娘です

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ペッと繋がれていた手を引き剥がし、慌てて車から飛び降りる。赤信号で車は止まっていたし後方から車きていないのは確認済み!




「あっう!!」



寂しい気に鳴くピヨ男さんを無視して、私は周りを警戒し一人車から降りて、慌てて車から離れさもいままでここを歩いてましたと、すまし顔をしながら一人徒歩で学園へと登校する。



あぶないとこだった~



毎朝当たり前の様に我が家まで迎えに来る黒のセダンその後部座席にはチャラ男カイン先輩がいる、朝から眩しほどの光輝を晒した顔に強引に牛乳瓶底眼鏡をかけさせ鼻血を抑える。迎えにきてくれたお礼と他愛もない話で盛り上がるのが毎度のことになってきてる、でもつい話が盛り上がり周囲の景色を確認しておかないと、学園の校門前まで到着してしまうのだ。慌てる私を他所にピヨ男さんは私と手を繋ぎ校門をくぐって見せつける様に校内へと歩きだそうと暴挙に出る、沢山のご令嬢の花道の真ん中を私が登校できるわけがないので慌てその時は逃げたが…

それからは常に車中でも周りの風景を気にして、学園近くになるとスタントマン顔負けの車から飛び降りるのが日課になった。




「そんなわけで今日も車から飛び降りたんですけど、不注意でガードレールに手をぶつけてしまったんです。」


「あかりちゃん痛々しいわ~、そもそもカイ…いやピヨ男さんがちゃんと事前に車から降ろしてくれればいいのにね。私も達也君とお別れしてるはずなのに、当たり前に校内で手を繋ごうとしてきて困ってるんです…」



私はお昼休憩時間に悪役令嬢こと、日暮さんと女子トークをしている。すっかり4人でランチをする仲になっており、先に到着した1年の私と2年の日暮さんは仲良く女子トークを開始したのだ。妹の様に可愛いがってくれる日暮さん最近はあかりちゃんと呼んでくれて、姉が居たら日暮さんみたいなのかなって親しみがわき、すっかり姉いえ日暮さんになつき日暮さんラブになってる私♪

そうそう赤井先輩と日暮さんは別れたと、デマ情報を流したらしい…

そうしたら途端に日暮さんへの嫌がらせや虐めは落ち着き、手のひらを返した様に同情され声をかけられる事がしばしばあるらしい。仲が良いと思ってたお友達が赤井先輩と付き合ってると解ると、地味な嫌がらせや無視を受けていたが、別れたとわかれば前の様に声をかけてくるので日暮さんはちょっと人間不信に陥っている。

たぶん…そんな日暮さんを俺は味方だよって、赤井先輩なりに態度に示したい気持ちもわかるが…




「学校でやるなよって話で…赤ピヨさんいまいちわかってないなぁ~」


「達也君曲がった事嫌いだから、こそこそするとか嘘とかつけないタイプでね」


「まぁ~みたまんまのキャラですよね、スポ根青年の典型的キャラとも言えますが…そんな赤ピヨさんがよくもまぁ~私の意見なんて聞きましたね」


「私の為なら…なんでもするって…」



ポッと顔を赤らめてモジモジする日暮さんが可愛いではないか、本当お似合いなカップルだな。なんで乙女ゲームではこの二人は上手くいかなくなったんだろう?その心の隙間にヒロインちゃんが現れ優柔不断男になった赤ピヨは最後にはヒロインちゃんに寝とられるんだけど…






「あっ!?日暮先輩すみません赤井先輩知りませんか?今後の部活のスケジュールを相談したくて探しているんですがみつけられなくて…」




ふいに日暮さんに話かける人物をみれば、ピンクの髪は緩くカールされ柔らかそう、大きな瞳に整ったお顔それはそれは二次元のヒロインやお姫様の様な女の子が日暮さんに話しかけてきた。一目みただけで見惚れるとはこういう事なのかと実感する…




てか…

てか…



やべぇぇぇぇ!!まんまヒロインちゃんじゃん、この乙女ゲームのヒロインちゃんが今私の目の前にいる、まさかこんな突然の再会におもわず日暮さんに隠れるように身を隠す私…




「えっ…白鳥さん…赤井君の居場所わからないわ…ごめんなさい…」



白鳥さんとはヒロインちゃんの定型名字だ。やはり彼女がヒロインちゃんなのか、こりゃ~攻略対象が惚れるのも納得できるわ…

オーラが違うもん周りにいる男子もチラチラこっちみて頬をピンクに染めて声かけたそうにしてる、注目を浴びるこの場が息苦しいモブ娘には相応しくないこの場を今すぐ逃げ出したい。




「あ~すみません~!!日暮先輩と赤井先輩…もぉ~なんにも関係ないんですよね、なら知るわけないですよね。私ったら早とちりして…本当ごめんなさい」




申し訳なさそうに頭を下げるヒロイン…


シュンとするヒロインの姿に庇護欲がわく男子も多いだろう…




「きっ…きに…気にしないで…頭を上げて白鳥さん」


「でも私とっても失礼でしたよ…すみません、すみません、すみません」



大袈裟にぐらいに頭を下げて謝るヒロインちゃん。まるで悪役令嬢日暮さんに暴言を吐かれ、必死に困りながら謝るシーンの様だ。シュンと項垂れ誤り続ける可哀想な美少女…周りがどんどんこちらに注目していく。


このアマヒロイン自分がどうすれば可哀想で悲劇のヒロインみたいにみえるかわかってて行動してるぞ…


瞳をウルウルさせて必死に頭下げてるけど、口元笑ってるからニヤリと笑ってるから周りには見えてないけど、目の前の私にははっきり見えてる…



イラッ…



このままでは日暮さんの印象が悪くなってしまう、それじゃなくても赤井先輩の元彼もとかのって事で妬む輩が多いのに…

先程の言動でヒロインちゃんは剣道部マネージャーになった事はわかったし、レッドルートに進むなら私とピヨ男さんの仲を邪魔されないのでは…ラッキーと万歳したいところだが、私は日暮お姉様が大好きだ。マネージャーのヒロインに嫉妬した日暮さんが嫌がらせし罵倒している様に見えるこの現場をくつがえしたい…




地味モブ娘の地味な反撃をくらわしてやる!!



「すみません~なぜそんなに頭を下げて謝られてるんですか?それだけ疚しい事をされたんですか?疚しい気持ちがなければそんなに普通頭を下げませんよね…あれ?あれ?」




目立つことは嫌いだが人一倍声を張り上げて、周りに聞こえるようにヒロインちゃんに話かける。

えっ…て顔して顔を上げたヒロインちゃん、やっと日暮さんの横に居た私の存在に気付いたらしい、えぇ…わかってますよ…空気より存在感無いですよね私…




「あぁぁーーー!!もしかして私と日暮お姉様が仲良しだから羨ましかったんですねぇ~言ってくれればお仲間に♪白鳥さんって日暮お姉様のファンだったんですね、私もなんですぅ~嬉しいなぁ~日暮お姉様の魅力について一緒に語り明かしませんか♪」



強引にヒロインちゃんの手を握りブンブン振ってみる。



「はぁ…!?」



あらあら眉間皺寄せて不機嫌顔ですわよ、ヒロインちゃんの可愛いお顔が台無し



「あかりちゃんそんな恥ずかしいわぁ…私なんて地味で華やかさの欠片も…」


「日暮お姉様何も言ってるんですか、大人しそうではなく従順で儚げでお優しいお姉様。そんなお姉様の王子様になりたくて沢山の男子が、お姉様に声をかけてるのを私知ってるですわよ♪」



これは実話…


赤井先輩と別れたと噂が流れてから、日暮さんすげぇ~モテモテなんです。お昼休みも声かけられまくり、でも私と赤ピヨが阻止しまくっているので日暮さん本人には自覚無いみたいですが、今もこっそり庇護欲をかきたてている男子が日暮さんに熱き視線を送っている。



「ちょっっと離して!!別に日暮先輩に興味なんて微塵もありません!!もぉぉぉ地味子に邪魔されるなんてやる気が失せたわ、いいわ自力で赤井先輩は探します!使えない方々ね!ふっん!!」




すげぇーーー暴言を吐きヒロインちゃんは颯爽とその場を去って行った。

どうせ演技するなら最後までやりきればいいのに、どうせ貴方にしてみればここに居る野次馬なんて興味無いのもわかるけど、やるならとことんヒロインキャラ通さないとダメですよ。



そんな騒動があったことも知らず、三年生のピヨ男と赤ピヨが合流してきたのは、その10分後だった…もうちょっとヒロインちゃん待ってれば会えたのにね、そもそも赤ピヨの姿を見ても気付かないかな…?




「あかりちゃん大好き♪」



日暮さんにいい子いい子される私、不思議そうな顔をするピヨ男さんと不満そうな赤ピヨ



「真由…小野とは適度な距離を…お前まで腐ったら俺は悲しい…」



と暴言吐かれたが、日暮お姉様ラブな私はまったく気にならなかった。たまには私だって頑張るんだぞ、悪役令嬢とすっかり仲良くなったモブ娘でした♪


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