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あれから11年

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あれから11年の月日が流れた、泣き虫だった私も公爵令嬢として年頃の娘に成長した。お父様のご命令に従い淑女としての教養も作法も学んだ。常に無表情で感情を隠すことも覚えた。

しかし私はまだまだ未熟だ、だからこんな時に感情を表してはいけないと思いつつ、ボッフと私の毛布に見事な着地をした生き物に驚き文句を言ってしまう。艶やかなシルバーの毛並みオッドアイの瞳を持った成猫に…深夜だというのにキラキラと瞳を光輝かせ、悪びれる素振りもなく毛布越しの私の身体の上で優雅に毛繕いを始めた



「ちょっと…こんな真夜中に重いですわよ…!!」


「ニャーーーー」


「なんですの可愛いらしく鳴かれて、飛び降りてくる理由になってませんことよ」



11年共に成長してきた…


初対面では威嚇され嫌われていたと思っていたが、気付けば苦楽を共にする家族となった…


寒い夜は共に身を寄せて暖をとり眠った…


どちらかが体調を壊せば回復するまで片時も離れず寄り添った…


兄の様に私を優しく労ったと思えば、弟の様に悪戯や意地悪する、妖艶なこの猫にすっかり魅了され心を許し共に生活した…


何度心を救われたことか…



カーテンの隙間から月明かりが入る今日は満月。夜中なのに月明かりは明るく私の身体の上に組敷くこの成猫も月明かりに照らされる…

キラキラと月明かりに照らされた成猫の身体はどんどん縦へと伸びていき、丸まっていた手はニョキニョキと5本の指へと変換する。私の身体の上の重心もどんどん重さが増しその体重に耐えきれず身体が痛くなる。



《しまったうっかりしてた…》


気付けば私の身体の上には艶やかなシルバーの御髪の見目麗しい美男子が私の身体を組敷いている。オッドアイの瞳は変わらずキラキラ輝き続けるその妖艶な美男子に目が離せない、呼吸すら忘れ神々しい彼に一目で魅了されたドキドキと鼓動すら騒がしく忙しない…

彼もこちらを見つめいると解ると羞恥心が一気に沸き上がり見つめ合っていた瞳を反らした。無駄にこの人は見目が良すぎるなぜ私が照れて狼狽えなければならないのか…




「ふぅ~やっと戻れた…戻れた場所には不満だがな…」



でも口は悪い…



「ルア…毎度毎度なぜ満月の夜に私の部屋までやってきて元の姿に戻るのですか…」


「この姿の私を猫の名で呼ぶなと何度も言っておるだろ…」




年頃の淑女の私の寝室に無作法にベッドに飛び降りきたのは、初対面で私を引っ掻き傷物にされた綺麗な仔猫。

そして…その正体はクーデターによりその身分を剥奪され呪いをかけられた前国王の息子、かつての王太子 クーデターの最中に王妃様の手により呪いをかけられ仔猫の姿に変えられた。命だけは助けようとした王妃様の必死の抵抗と息子への母心、のろいともまじないとも読むその術は、神仏その他神秘的なものの威力を借りて、災いを取り除いたり起こしたりする術。王太子は神秘の力で命の危機を取り除かれた…


たった一匹になった哀れで可哀想な仔猫ルシア、現国王は前国王の弟となる方で王太子の叔父となっていた方、前国王にコンプレックスを抱えており喩え身内といえども自分の地位を揺るがす者には容赦が無いと伝え聞く王太子の命も危うかったと容易に予想が出来た。

仔猫いや王太子 その名をルシア・アレクサンドロス様。私のお母様は王妃の妹にあたり私とルシア様は従姉弟になる、秘密裏に仔猫ルシアを託されたお父様が我が家へ保護した。その後あらぬ疑いで前国王と前王妃は民衆の前で見せしめの様に処刑された…


クーデターの混乱で王太子の遺体が見つからず不審に思った国王が、前国王と縁の深い我がキース公爵家に疑心を持ち過度な詰問が行われた。クーデターを起こしうる存在として当時は警戒され監視され一時は完全に自由を奪われた。お父様はその影響で身分こそ剥奪されなかったが宰相の職を剥奪される。しかしお父様は博識で我が国には無くてはならない優秀な人材で、現在は宰相を補佐し一般文官とし王宮で勤め11年かけ国王の信頼を得るようになった。


さらに国王の忠誠を誓う名目として、キース公爵家の令嬢に国王の側妃とし嫁ぐ命が下った。王からの命令に逆らうことが出来ず、苦渋の選択の末、一人娘の私が国王の側妃として将来嫁ぐ事を承諾させられた。私の政略結婚が決まったのは10年前、現国王当時40歳 私が8歳だった。成人するまで何度も顔合わせという名目でお茶会に招待される、その度に舐めるような瞳で私を見渡し卑猥な笑みを浮かべ身体のいたるところに触れてくる国王。




『お前の容姿は前王妃によく似ている…なんて愛らしい…将来が楽しみだ…』




クツクツと笑うその顔は粘っこく嫌悪感が溢れだす、握りこぶしをつくり無表情で必死に堪えた少女時代…

純潔を奪われる事だけは免れたが、性的屈辱行為は年が上がる度に過激になった。



『ほらお前の小さな口を開けてごらん…』



何を咥えさせられてるのかわからぬまま生臭い逸物を咥えた…



『どんどん乳房が膨らんできたな…我が可愛がってやろう…』



徐々に膨らみ始めた乳房を問答無用に揉まれ、時に舐められ頂きを甘噛みされた…



『ほら…咥えるんだよ。上手くしゃぶれたらお前の一族のお咎めをもっと緩くしてやろう…』


『はっはっはっ…その歳で随分上手くなった物だ、純潔を奪う時が楽しみで仕方ない』


『随分厭らしく秘部から涎を垂らせる様になったな…全てを私に見せなさい…お前に拒否など許されない…泣け…喘げ…感情を現せ…』




唇を噛みしめて感情を隠し通したが、涙が溢れることだけは抑えきれず…苦痛に涙する私をみると国王は大層歓喜して喜ばれた…


国王とのお茶会の後、我が屋敷に戻れば吐いて吐いて吐いて水分すら吐いて胃が痙攣するまで嘔吐し続けた。酷い時には高熱までだし一週間寝込み、どんどん私の心も身体も国王に蝕まれ汚される、お風呂に入って洗って洗って磨いても消えぬドロドロした染みが身体中に徐々に広がり蝕んでいく…穢い我が身…

国王に嫌悪感しか湧かぬがただただ表情を無く感情を無くし両親の為、私の可愛い仔猫の為、堪えて堪えて堪えてきた。



ベッドで就寝する時だけ涙を流す。国王の前では意地でも涙を堪えたし、両親の前でも号泣しない…やっと感情を解放することが出来る一人の時間、でもなぜだか私が泣いているとルアだけは深夜にも関わらず私の側にやってきて私に寄り添った、慰めるように身を擦り寄せ涙を舐めとり優しく『にゃ~』と鳴く。その優しさがその暖かさが、私の涙腺を崩壊させ瞼が腫れるまで泣き続る。猫のぬくもりが私の精神を保たせてくれた



私が堪えねばキース公爵家も、そして私のルアの命をも守ることが出来ないから…






「ユーデル…君は来月に成人するんだね…」


「ええ…ルシア様…成人女性となります。だからこんな夜更けに殿方と密会してると知れたら不貞を疑われてしまいますわ…」




満月の夜4日間はルシアにかけられた呪いが薄まり、私の可愛い猫ルシアは本来の姿に戻る事が出来る。初めて満月の夜にみたルシア王子は幼かったのに、今は逞しさが相まって精悍な顔立ちにおなりになられた。この身をもって守り続けたとても綺麗な綺麗な王子様、国王の側妃に正式になれば二度と会う事は叶わないだろう…

この満月の夜4日間が終われば、人間の姿の貴方とは生涯会えない…

こうやってお互いの額と額を会わせて見つめ合い会話する事も叶わない、キュッと胸が締め付けられて苦しい。




「お前…その首はどうしたんだ…」



ルシア王子の顔が一瞬で曇り、私の首を凝視し他に傷がないかと忙しく調べ始める。寝着は首もとがゆったりしていた事を忘れていた、ルシア王子に抵抗するように首を竦めて身体をうつ伏せにしようとするが、所詮女の私には男性の力には及ばない



「ここにも…ここにも…内出血の跡や…擦り傷のあと…」




夜着は薄手での物だった為か、あっという間にルシアにより剥され、彼女の日に焼けていない白肌は外気に触れビクリと身体が揺れる。恥ずかしさでうつ伏せになった彼女の白い背中には赤い擦り傷が複数、鞭などで打たれた長い傷は背中から腰にかけて赤い線が引かれ痛々しさが露になる。


「こ…これは…お前の白い肌が…」


「加虐趣味がおありなのです…」


「チッ…アイツめ…」




こんな傷だらけの身体…


見窄らしくて恥ずかしい…


きっとルシア様に嫌われてしまうわ…


侍女にも隠し通したのに、一番知られたくない人に気付かれてしまうなんて情けなさと悔しいさで涙が溢れる。

しかし私の感情など二の次だ、今のまで苦痛に堪え守り続けた物がこのままでは水の泡になる誰かに見付かる前に早くこの場からルシア様に立ち退いて頂だかねば…




「ルシア様…ご心配をおかけしてしまってスミマセン…私は大丈夫なので…」




早くこの部屋から退出願わねば…


ポタリ…

ポタリ…


俯せになっている背中に雨つぶが落ちてきた、背中の傷口に染みてビックリと身体が揺れる。室内なのになぜ水滴が?慌てて首だけで現状を確認すれば



「すまない…本当すまない…お前をお前をこんな傷だらけにさせて…痛みも屈辱も耐えて耐えさせてばかりで…」


「ルア…泣かないで…私は大丈夫だから…だって私が耐えれば…守れるから…」


「もぉ…ユーデル…大丈夫だ…大丈夫だから…お前が傷つく必要などないから…本当に本当にお前とお前の一族ばかりに苦渋を与えてすまない」


「!!!」



大丈夫ってなんですか?何が大丈夫だと言っているのだ、ま…まさか…ルアは…



「ルア…人生を諦めるおつもりですか…?」


「ちっ…ちが…」


「許さないわよルア!!絶対許さないその生涯を自らの手で終わらせようとしてるなら、いくら愛してる貴方でも許さない…」


力の限り身体を翻し組敷くルシア王子に襲いかかる…絶対嫌だわ…貴方を失うなんて神様が許しても私が許さない、貴方にはこれから華々しい未来が待っているお父様だって尽力をしていてあと少しのはずなのだから…


ルシア王子の頬に手をつき彼の顔を強引に覗きこむ、月の光に照らされた彼の顔は涙に濡れており光輝燦然とした泣き顔はあまりにも美しく思わず見惚れしまう



「ユーデル…違うから…落ち着きなさい…」


「だってだって…ルアがルシア王子が…私の生きる希望を…奪おうとするから…」


「お前にとって俺は生きる希望なのか…」


「貴方の為ならば私がどんなに汚されて凌辱されても堪えられる…貴方さえ輝かしく美しく居てくれれば…あと少しなのです…あのクーデターの際に国王に味方した貴族達は不審な失踪や死を遂げました…」


「ああ…」


「国王の不正の証も揃ってきております、あとは貴方が成人する来年になれば…王座を奪い返せます…」


「来年では遅い…来年ではお前は手の届かない所へと行ってしまう…」


「私など良いのです…」


「なっ!!何を言ってるんだぁぁぁ」



涙目のルシア王子が今度は怒り始めた、痛いほど両腕を握られて王子の顔が迫ってくる。

唇に温かく柔な感触が、ルアとの口付けは初めてではない猫の時に何度かした事がある。

澄まし顔でクールな猫が額や唇に口付けをするとカチンコチンに固まって10秒間静止したかと思えばフラフラと立ち上がるも腰が抜けて立てなくなる。その姿が可愛くて愛らしくて決して人型の時には出来ない甘い悪戯に自分の立場も忘れて夢中になった。

弱々しく猫パンチしてくるのに再度私がルアに口付けすれば抵抗せずに私を見上げて口付けを受け入れてくれる…

でも今はルアではなく人間の王子ルシアなのだ、私みたいな穢れた存在に噛みつくように口付けている…


「ル…ルアっ、、んっ、」



名前を呼ぼうとした口を塞がれる。するりと入り込んでいた生暖かいぬるぬるした物がルシア王子の舌だと気が付いた時には、口の中を舐めまわされていた。





「んっ、、んんんっ!!」





だらりと開いた口からはだらしなく涎が溢れ出て口周りを汚す、呑み込む余裕など与えて貰えず深呼吸もままならず大きな荒波に飲まれてるようで息ぐるし…なのに拒めずブクブクと海に沈みゆく…




「君の純潔を貰うよ…」




朦朧とする意識で恐ろしい発言が聞こえる…

国王にされた時には吐き気しか起きなかった行為が彼にされると身体が甘く疼きだす。

既に夜着は剥がれており、辛うじて下着だけが私の身体を隠す。胸当てを軽く捲し上げ乳房に吸い付かれる際に弱々しく抵抗する。



「アッ……ダメだめなの……」


「君を愛している……今まで守られてばかりだったが、これからは俺が君を守る……だから…だから…ユーデル君を全部俺にくれ!!!」


「ルア……」



必死に懇願されて今にも泣き出してしまいそうな、ルアを拒む事など出来るわけもなく。思わず優しく彼の頭を撫でてしまう、こんな傷だらけで汚れてしまった私をそんなに欲するなんて……なんと奇特な方なのだろう拒否して逃げねば行けないのに身体が硬直して動かない。


でも……

でも……

でも……


私も望んでしまっているからたちが悪い……


精悍な顔立ちな綺麗な綺麗な王子様に、このたった残された純潔を貰って欲しい。

身体も心も薄汚く汚れてしまったが、唯一貴方に捧げられる贄。シルバーの毛並み、オッドアイの瞳の白猫に出会ってしまってから私の心は堕ちていたんだわ……



仰向けに寝転ぶ私の身体、下半身は大きく開かれて蛙の様だと冷静に分析する思考もあるが、ただただ熱に浮かされた様に恍惚に頬を染める。彼はオッドアイの瞳を輝かせながら私に覆い被さっており、私の身体の奥深くには彼の雄を挿入され緩やかな律動を繰り返していた。初めて受け入れる行為に身体中がギシギシと悲鳴をあげているのに、



「アッ……アッ……クゥッ……」



と甘くだらしない喘ぎ声が漏れてしまう。


下半身は抉るような快感で頭がおかしくなる、彼の顔が近付けば抵抗などせず、唇をピンクの舌がペロペロと舐めとられ、自らもおもわず口を開いて彼の舌を受け入れしまう


息継ぎする間に彼が何度も何度も呟く

「愛してる」

「愛してる」

「君を愛してる」



今此処で死んでもいい……


愛してる人に愛を囁かれ至福のまま果てたい……



私の身体は快楽で震えついに逝ってしまった、キュウキュウと膣を締め付け彼の雄を膣で抱き締め喘いで果てる、次の瞬間凄い勢いでピストンされ部屋にパンパンと卑猥な音が鳴り響き最奥に吐き出され、蜜壺の中がほんのり暖かく白濁液を注がれてるのがわかった・・・・




「やっとお前が手に入った、大丈夫だ安心しろそのまま寝てもいいから……」



優しく頬を撫でられ、額や瞼に優しく口付けが落ちてくる。疲労困憊で目をあける事も出来ず愛する彼の姿を見る事もままらない……



「アッ……ルアでも……」


「お前が目覚め時にはとっておきな土産を持ってくるから、安心して俺の帰りを夢みながら待ってろ……」




彼の力強い言葉に安堵し私はそのまま意識を飛ばすのだった……



ルシア王子貴方を愛しております、この身を犠牲にするぐらい貴方に溺れおります……





翌朝……

猫の悪戯?猫の恩返しで飼い主に痛め付けたネズミや小鳥を持ってくる様に、ルシア王子は国王の頭を目の前に持ってくる事を私はまだ知らない……








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