2 / 11
二人の生活が開始されました
しおりを挟む
透明さんとの婚姻生活は、思っていたより穏やかで暖かな日々だった。
透明さんはどうやら以前から私を知っていたらしく、私の好む家具や衣服を全て取り揃えて準備万端状態で出迎えられ驚いたがその後の生活は穏やかだった。
優しく家事なども手伝ってくれ、お風呂掃除など自分の担当だと率先してやってくれる。夫婦になったのだから夜のお勤めもあるのかと思えば私の心が追い付くまでは無体を強いたくないと寝室は別になっており、お互いのプライベートを大切にするという事でお互いの部屋が用意されていた。透明さんの部屋は自分で掃除するので立ち入り禁止だったり不思議な人なのだがそれ以外は特に不満もなく、食事やテレビなどは共同部屋のリビングで行い、お互いの好む本を読んだりDVDを共に見たり話したりした。
姿は見えないが彼の着る衣服で大体の居る場所はわかるしスマホを使えば会話も出来るので意思の疎通ははかれた。
最初の1ヶ月は同棲生活に慣れることからスタートし、今はお互いの好みや趣味を知っていきなんとなく彼の事をわかってきた所。
透明さんは紳士で真面目な人の様で、毎日お仕事に行って私が待つ家に残業がなければすぐ帰ってきてくれて手料理を美味しいと食べてくれる、たまに頭を優しく撫でくれ誉めてくれる。頭を撫でられるなんていつぶりだろう、まだお父さんが生きてる時だったかな…ふっと暖かい気持ちになり目頭が熱くなると優しくハグしてくれるがそれ以上の手は出してこない。
透明さんの姿は見えないが、抱き締められた時に少し透明さんの香りがする、その香りに不快感は無く最近では少しその香りに包まれると心地良く安心する様になった。
「透明さん…いつも優しくして頂いてありがとうございます…」
《おや聡子さん…貴方も今や透明さんなんですから私の事は悟と呼んでください》
ふぁぁ…確かに問答無用で入籍させられて、今や私は人妻なのだそして透明 聡子となっている。
《ねぇ…奥さん…》
AIボイスで感情などわからない声色なはずなのに、なぜだか甘い雰囲気が漂っているのは気のせいですかね?この人は私の旦那様で私の事を好いて頂いてるのはこの数ヶ月でわかっている…そろそろ聞いてもいいかな?
「さ…さと…悟さんはなぜ私をお嫁さんに選ばれのですか…?」
《やっと聞いてくれましたね。貴方を見かけたのは三年前のお通夜の日でした。私は仕事でその近くで張り込みをしていまして…》
「あぁ…旦那様は刑事さんですものね…三年前のお通夜ですか…まさか…」
《そう貴方のお父様のお通夜の日でした。貴方は虚ろげな瞳で淡々と喪主をこなしていました。その姿はまるでこの世から消えてしまいそうに儚げでふっとその場から存在を無くしてしまいそうで…透明人間の私が言うのもなんですがね…消えてしまうのではとヒヤヒヤしました…》
私は父子家庭だった。父一人子一人、母は私を産んで亡くなったが、母のぶんまでお父さんは私を愛し慈しみ育てくれた。やっと成人してこれから親孝行するって時に父親の癌がみつかりあっという間にこの世を去った。
感謝もお礼も告げられず亡くなった事も受け入れられず途方に暮れた。でも現実は無情でやる事のは多く親戚や知り合いに迷惑をかけるわけにいかず淡々と葬儀をこなした。その時の記憶は朧気で、今だに思い出すと苦しくなる。葬儀後も父親の顔に泥を塗る真似はしたくなくて、日々の生活をこなしてきたが本当は寂しいかった。
葬儀の時の悲しみも切なさも誰かに話したくてわかち合いたくてしかたなかった…
《私は貴方が心配で心配で…葬儀後も泣くことも感情を出すこともなく、淡々と生きていく姿が痛々しく…目が離せなくて…》
「そんな前から旦那様は私を気にかけてくれたのですね…」
ホロリと涙が溢れる…父が亡くなって天涯孤独になった私は一人ぼっちになった。これからずっと一人で生きて行くのだと思っていたのに、私は知らない間に旦那様に見守って頂いていたらしい。
《はい…人外能力で貴方に危険がないか、生命の灯を自ら消されてないか常に監し…いえ見張っておりました…不安で心配で本音はその場で拐ってしまおうとも考えましたが、経済的苦労をかけない様蓄えを増やしやっと貴方を囲う事が可能になりました》
「んっ…?一目惚れって話はどこに…?」
《三年前のその時に一目惚れでした。それからはずっとお慕いし見守り続けておりました》
「人外能力で常に見守っていた…?えっえっえっ…それ恋愛感情では無いのでは…」
《24時間365日…仕事で近くに居られない時は、遠隔透明能力を駆使しました。これほどまで私を虜しときながら…この気持ちを疑われるのですか?》
あれ…ちょっといい話だと思ったのに背筋にゾクリと寒気が走る、そもそも初対面前から貴方は私を見守る続けるという名目で人外スキル生かしてストーキングしておられたと…
「旦那様…もしや…私のストーカー?」
《ちっ…ちが…違います!?そっそっんなつもりは、本当に心配だったんです…》
姿は見えないのにあわあわ慌てて腕を振るい、かなり動揺する洋服の袖が上下に慌ただしく揺れ動き忙しない。なぜだかそんな彼が可愛いくて思わず微笑んでしまう私。この半年の同棲生活で彼の包み込む優しいさを知ってきた。父の様な兄の様な居心地の良さ、確実に好かれ大切にされてるのは伝わっている。父を亡くした虚無感にさいなまれていたが、胸にポッカリあいた穴を彼が少しずつ埋めていく。彼に癒され彼に絆され、恋心の芽がニョッキり成長し始めた自覚はある…
でも彼は私に触れてこない…人外だから性欲というものが無いのかもしれない半年たっても夜は別々の布団で寝る
触れて欲しい…
でも嫌われたくない…
また一人ぼっちに戻りたくない…
だから家族として夫婦としてこれからも彼の側に居続けたいから白い関係を続ける…
「私をお嫁さんに選んで頂だきありがとうございます」
《聡子さん…一生幸せにします》
初めて私から彼に抱き付き、そんな私を彼も抱き締め返してくれた幸せな休日の1日
透明さんはどうやら以前から私を知っていたらしく、私の好む家具や衣服を全て取り揃えて準備万端状態で出迎えられ驚いたがその後の生活は穏やかだった。
優しく家事なども手伝ってくれ、お風呂掃除など自分の担当だと率先してやってくれる。夫婦になったのだから夜のお勤めもあるのかと思えば私の心が追い付くまでは無体を強いたくないと寝室は別になっており、お互いのプライベートを大切にするという事でお互いの部屋が用意されていた。透明さんの部屋は自分で掃除するので立ち入り禁止だったり不思議な人なのだがそれ以外は特に不満もなく、食事やテレビなどは共同部屋のリビングで行い、お互いの好む本を読んだりDVDを共に見たり話したりした。
姿は見えないが彼の着る衣服で大体の居る場所はわかるしスマホを使えば会話も出来るので意思の疎通ははかれた。
最初の1ヶ月は同棲生活に慣れることからスタートし、今はお互いの好みや趣味を知っていきなんとなく彼の事をわかってきた所。
透明さんは紳士で真面目な人の様で、毎日お仕事に行って私が待つ家に残業がなければすぐ帰ってきてくれて手料理を美味しいと食べてくれる、たまに頭を優しく撫でくれ誉めてくれる。頭を撫でられるなんていつぶりだろう、まだお父さんが生きてる時だったかな…ふっと暖かい気持ちになり目頭が熱くなると優しくハグしてくれるがそれ以上の手は出してこない。
透明さんの姿は見えないが、抱き締められた時に少し透明さんの香りがする、その香りに不快感は無く最近では少しその香りに包まれると心地良く安心する様になった。
「透明さん…いつも優しくして頂いてありがとうございます…」
《おや聡子さん…貴方も今や透明さんなんですから私の事は悟と呼んでください》
ふぁぁ…確かに問答無用で入籍させられて、今や私は人妻なのだそして透明 聡子となっている。
《ねぇ…奥さん…》
AIボイスで感情などわからない声色なはずなのに、なぜだか甘い雰囲気が漂っているのは気のせいですかね?この人は私の旦那様で私の事を好いて頂いてるのはこの数ヶ月でわかっている…そろそろ聞いてもいいかな?
「さ…さと…悟さんはなぜ私をお嫁さんに選ばれのですか…?」
《やっと聞いてくれましたね。貴方を見かけたのは三年前のお通夜の日でした。私は仕事でその近くで張り込みをしていまして…》
「あぁ…旦那様は刑事さんですものね…三年前のお通夜ですか…まさか…」
《そう貴方のお父様のお通夜の日でした。貴方は虚ろげな瞳で淡々と喪主をこなしていました。その姿はまるでこの世から消えてしまいそうに儚げでふっとその場から存在を無くしてしまいそうで…透明人間の私が言うのもなんですがね…消えてしまうのではとヒヤヒヤしました…》
私は父子家庭だった。父一人子一人、母は私を産んで亡くなったが、母のぶんまでお父さんは私を愛し慈しみ育てくれた。やっと成人してこれから親孝行するって時に父親の癌がみつかりあっという間にこの世を去った。
感謝もお礼も告げられず亡くなった事も受け入れられず途方に暮れた。でも現実は無情でやる事のは多く親戚や知り合いに迷惑をかけるわけにいかず淡々と葬儀をこなした。その時の記憶は朧気で、今だに思い出すと苦しくなる。葬儀後も父親の顔に泥を塗る真似はしたくなくて、日々の生活をこなしてきたが本当は寂しいかった。
葬儀の時の悲しみも切なさも誰かに話したくてわかち合いたくてしかたなかった…
《私は貴方が心配で心配で…葬儀後も泣くことも感情を出すこともなく、淡々と生きていく姿が痛々しく…目が離せなくて…》
「そんな前から旦那様は私を気にかけてくれたのですね…」
ホロリと涙が溢れる…父が亡くなって天涯孤独になった私は一人ぼっちになった。これからずっと一人で生きて行くのだと思っていたのに、私は知らない間に旦那様に見守って頂いていたらしい。
《はい…人外能力で貴方に危険がないか、生命の灯を自ら消されてないか常に監し…いえ見張っておりました…不安で心配で本音はその場で拐ってしまおうとも考えましたが、経済的苦労をかけない様蓄えを増やしやっと貴方を囲う事が可能になりました》
「んっ…?一目惚れって話はどこに…?」
《三年前のその時に一目惚れでした。それからはずっとお慕いし見守り続けておりました》
「人外能力で常に見守っていた…?えっえっえっ…それ恋愛感情では無いのでは…」
《24時間365日…仕事で近くに居られない時は、遠隔透明能力を駆使しました。これほどまで私を虜しときながら…この気持ちを疑われるのですか?》
あれ…ちょっといい話だと思ったのに背筋にゾクリと寒気が走る、そもそも初対面前から貴方は私を見守る続けるという名目で人外スキル生かしてストーキングしておられたと…
「旦那様…もしや…私のストーカー?」
《ちっ…ちが…違います!?そっそっんなつもりは、本当に心配だったんです…》
姿は見えないのにあわあわ慌てて腕を振るい、かなり動揺する洋服の袖が上下に慌ただしく揺れ動き忙しない。なぜだかそんな彼が可愛いくて思わず微笑んでしまう私。この半年の同棲生活で彼の包み込む優しいさを知ってきた。父の様な兄の様な居心地の良さ、確実に好かれ大切にされてるのは伝わっている。父を亡くした虚無感にさいなまれていたが、胸にポッカリあいた穴を彼が少しずつ埋めていく。彼に癒され彼に絆され、恋心の芽がニョッキり成長し始めた自覚はある…
でも彼は私に触れてこない…人外だから性欲というものが無いのかもしれない半年たっても夜は別々の布団で寝る
触れて欲しい…
でも嫌われたくない…
また一人ぼっちに戻りたくない…
だから家族として夫婦としてこれからも彼の側に居続けたいから白い関係を続ける…
「私をお嫁さんに選んで頂だきありがとうございます」
《聡子さん…一生幸せにします》
初めて私から彼に抱き付き、そんな私を彼も抱き締め返してくれた幸せな休日の1日
0
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
腹黒宰相との白い結婚
黎
恋愛
大嫌いな腹黒宰相ロイドと結婚する羽目になったランメリアは、条件をつきつけた――これは白い結婚であること。代わりに側妻を娶るも愛人を作るも好きにすればいい。そう決めたはずだったのだが、なぜか、周囲が全力で溝を埋めてくる。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる