人外の旦那様に食べられたいの

おんちゃん

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出会い

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「おめでとうございます!貴方は選ばれました!!」



職場でいきなり社長から緊急で呼びだしを受け、なにか業績に影響するミスやらかしたんじゃないかと慌てる私。

23歳やっと中小企業の事務員として働けるようになったのにいきなり首になるミスを犯すとは、ガクブル震えながら社長室にいけばいきなりクラッカーを鳴らされおめでとうございますと言われた…


まったく状況を飲み込めず、ふっと助けを求める様に社長を見つめれば。



「西園寺君おめでとう!わが社から人外さんの嫁が選ばられるとはじつに縁起良い!!」


「へっ!?」



まったく意味がわからない…


「人外の透明とうめい悟さん25歳、もちろん独身で君に一目惚れしたらしいよ」



社長と一緒にソファーに腰掛けるのはスーツ姿の誰か?確かにスーツも革靴も見えるが、まったく顔が見えない…いや手も首も見当たらない、まるでスーツ着た誰かがいるはずなのに中身がまったく見当たらないのだ。

瞼をこすって再度見渡すがやはりその人外とされる透明さんが見えない。


この世界は普通に人外がいる世の中で、人間と同じ様に生活している。人外さんの能力は人間より優れている為、国の中心で働いているという都市伝説まであるが、生まれてこのかた人外さんを見たことも会った事もない。



「二度目になりますが西園寺 聡子さん」


「はい…?」


「貴方は人外さん透明 悟さんのお嫁さんに選ばれました」



パチパチと透明さんの後ろに立っている役所の方々とおもしき人々に拍手をおくられる。

その役所の方によれば、この透明さんは国家公務員のエリートで人外スキルを生かした部署にお勤めとか…



「すみませんまったく現状を理解出来ないのですが、まず…その…透明さんが見えないのは私だけですか…?」


「ぷっっ…あっはっはっ~」



社長と役所職員が一斉に笑いだす。

スーツ姿の見えないその人は慌ててスマホを取り出し何を必死に入力しだした。

入力が終わればAIボイスが入力した文字を話し始める



《初めまして…私は透明人間の人外でして、透明悟と申します》


「はぁ…?」


《急なことで驚かれるとは思いますが、この求婚は法律で定められている様に拒否することは出来ません…出来ましたら穏やかな家庭を築きたいと考えております。どうぞ宜しくお願いします》



スーツが頭を下げる様にペコリと曲がった。どうやら頭を下げられているらしい、透明さんのいう通り人外さんに選ばれた人間は拒否が出来ない、この世界は人外さんを重要視しその力で数々の危機に救われているからだ。天災や地球外生物の侵略もこの人外さん達によって救われたらしい…



「いやいや…求婚拒否とか以前に姿を見えない方とどうやって生活をすればよいのか…?」


「あっはっはっ君達はまだ若いから話し合いが大切だね!!わしらは野暮になるから後は若い二人で話しなさい♪」



社長は愉快そうに社長室から役所職員達を引き連れて退出していく、いやいやおかしいでしょお見合いとかで言う台詞だけどさ、相手が人外のうえ見えないんだから…

それも会話にもスマホ必須でAIが話さなければ意思の疎通も図れないそんな二人が結婚なんてあり得ないから…



《急な事で驚かれてますよね?》


はい…とっても驚き困っています…なんて言えるわけもなく透明さんのスーツ姿を見つめながら苦笑いを浮かべるしかなくて戸惑ってしまう



《驚かせ困らせてしまっているのはわかってます…でも…でも逃がすつもりありませんから!聡子さんは私のお嫁さんになるんですよ…》



感情のないAIが冷たく非情な言葉を告げる、透明さんの表情を伺うことも出来ないから感情もわからない。怒ってる?困ってる?悲しんでる?笑ってる?

打算的に考えればこの人国家公務員のエリートだから食い扶持には困らないのかしら、彼氏も現在いないし天涯孤独の私に家族が出来るのは嬉しいような?でも相手は透明人間なんだよな…



《まだ悩んでいる様ですね…拒否権は貴方には無いんだ、入籍は明日にでもするから今日は私の住んでいるマンションに移り住んで貰いますよ》


「えっ!?そんな急に言われても困ります…職務中ですし、いきなり同棲なんて…」


《私も本日から人外ハネムーン休日を取得してありますし、貴方の会社の社長さんには話を通してあります。私に選ばれた貴方の居る会社は国から手厚い補助金が出ますので何も心配する事はありません》



ん…?

これ逃げ場がない感じですよね?もし拒否して逃げれば国を相手に反逆者扱いになるのかしら…



私の現状把握も思考も追い付かないまま、透明さんは立ち上がり私に近付き私の手を引く。

握られた透明さんの手は見えないけど暖かかく力強く確かに彼が存在するのだと教えてくれた。


《聡子さん私は貴方を幸せにします!さぁ~行きましょう♪》



まだ了承してないんだけどな…と思いながら彼に着いていくしかなかった。



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