50 / 50
【番外編】 さぁ~帰ろうよ!
しおりを挟む
彼女は高い棟に監禁されていた。
三年間罪を償うという名目で凌辱され辱しめられ犯されてきた。刑期があけても多額な賠償金を借金の様に返済させられる為、男爵(養父)にこの棟で娼婦のように客をとらされていたらしい。
ピンクの艶のある髪は白髪が混じり、頬も胴も身体全体が痩せ細り、腕などは木の棒の様に容易く折れてしまいそうで恐ろしくなる。大きな瞳は昔と変わらず開かれているが、その瞳はすごく濁ってしまっていた。
ベットの片隅に腰掛けている彼女は、突然の来客に驚いて此方を見ているようだが、けっして目線が合うことはない。
「随分懐かしい香りがしますね、この棟に上がってくる階段の足音だと3人~4人ぐらいかしら?ついに処刑が決行されるのかしら?」
盲目になり聴覚・嗅覚が鋭くなった彼女はそこで色んな状況を推理する
「アメリアたん・・・・もぉ・・償いは終わったんだよ?ここから出よう・・・・」
「懐かしい声ですね、お久しぶりですリリアさんご健在で良かったですわ。本当に本当に良かったですわ・・・・」
ニコリと微笑み見えない瞳で声のするほうを見つめるアメリア
「リリアの言う通りだ、アメリアもぉ~君の罪は償われた、ここから出て外の世界を行こう」
「まぁ~お義兄もご一緒ですか、でもまだ借金の返済が終わってませんし、もっともっとお客様をお相手せねば。こんな罪人を貴族の貴女方が構ってしまったら評判が落ちてしまいますわ、お優しいお言葉をありがとうございます。大変申し訳ないのですがどうぞお引き取りを・・・・」
私が想像するよりも壮絶で辛い思いをしてきたんだろう、まさか盲目になり足の健すら切られてしまうなんて今のアメリアたんの姿は一歩間違えれば私が迎えたエンディングだ。
いやこのアへエンドを私が回避したから、彼女がこのエンディングに選ばれてしまったのではないのだろうか。
もっと・・・・
もっと・・・・
もっと・・・・
早くアメリアたんを救出に行けたはずなのに、彼女はこの物語のヒロインで私だった。もっと早くに救出に行けたじゃないか、こんな惨く痛めつけられ、今にも生命を枯らしてしまいそうな彼女の状況をもっと早く知れる可能性があったのに・・
アメリアの義兄ブラッディが何度も何度も我屋敷に来ていた。その理由はライラックに謝罪と私への謝罪そして大量慰謝料を支払い続けていた。
しかしライラックは頑なにブラッディを私に会わせる事がなくアメリアの情報を遮断し続けた。
「アメリアたん迎えに来るの遅くなってごめんなさい・・・・貴方の借金も終わったよ、もぉ~自由なんだよ。ごめんねぇ~遅くなってごめんねぇ~こんな姿にさせちゃってごめんなさい」
喉がカァーと熱くなって言葉に詰まる、手がプルプル震えてしまう
「私が私が・・・・逃げたせいだ、私がこの物語の道筋を歪ませたから・・・・ごめんなさい本当ごめんなさい・・・・」
「リリアは被害者だ!!お前が謝る必要などない」
「ラ・・ライラック先輩・・・・も来てくれたのですか!?」
「俺は来るつもりは・・・・」
アメリアは口元を手で押さえて、やっと感情を表情をあらわす。今までは無表情で淡々と話していたのに、ポロリと涙を流しアメリアがライラックを求めていた事がわかる
「やっと来てくれたんですね・・・・ライラック先輩・・・・ずっとお待ちしてました。許して頂けるわけはないとわかってます、こうやって来てくれただけで今まで生きてきてよかった。本当うっうっ 嬉しいです」
ブラッディの話が聞けたのはつい最近、私が成人してアメリアたんを捜索したいと言い出してライラックが折れたから、ブラッディの話ではアメリアたんは何度も自害しようとして発狂し精神的におかしくなったそうだ。そのたびに
『ライラック・・・・ライラックに会いたい・・助けてお願い・・ライラックぅぅ・・』
泣き叫んで嗚咽をこぼし暴れ狂った、そんなアメリアを鎮静剤で寝かす日々だったらしい
(一番の推しのライラック先輩)
アメリアたんの一番の推しはライラックだった、こんな状況になっても彼女は救いを求めるようにライラックの名を叫んだ。
『ブラッディ先輩・・・・私がいうのも何ですが、賠償金だって多額の慰謝料だって貴方が肩替わりしたんですよね・・なぜそこまで貴方が?』
『そうだね・・なんでだろうね』
『アメリアたんは、公爵令嬢の養子縁組が破棄された今ブラッディ先輩にとって血も繋がってなく縁もゆかり無いはずなのに・・』
『侯爵家で生活しているなかで、彼女が養女になってから、堅苦しい生活から解放されゆっくり呼吸できる優しい時間を貰えたからかな、彼女といると癒されて温かくて幸せで・・』
『もしかして・・・・その感情は』
『そんな幸せをくれたアメリアがライラックを求めるなら会わせてやりたい、それで彼女が1分でも1秒でも生き様としてくれるならそれでいいんだ・・・・彼女がただ生きててくれればいいんだ・・』
悲しそうだけどすごく優しい笑顔を浮かべるブラッディ先輩はすごく切なさそうだけど、どこか幸せそうだった。冷たいイメージだったブラッディ先輩がすごく優しく一途な感情を浮かべる。その表情に胸がキューンとして見惚れてしまった、目敏いライラックに頬っぺたを掴まれてブラッディ先輩を見せない様に首を捻られて美男の悲痛顔を堪能出来なかった。
同時にプルプルとライラックに怒りがわく
『な・・・・なんで教えてくれなかったのライお兄ちゃん!』
『お前に害をなした罪人の情報など知る必要がない』
『むぅぅぅ!!でも知った以上、私はアメリアたんを迎えにいくから、ブラッディ先輩いきましょう引きこもりアメリアたんを救出に行きましょう』
『リリア!また襲われるかもしれないんだぞ、こら話を聞きなさい。ブラッディと腕を組んでどこ行くつもりだぁぁぁ!リリア俺以外と腕組むとか許さないからなぁぁぁ!』
『べぇぇぇ~だ!!友達のブラッディ先輩が何年も謝罪して救出要請してるのに、そんな冷たいライお兄ちゃんなんか~あっかんべぇぇ~だ!』
『なっ!?成人した淑女がなんてはしたない、あぁぁ~リリア戻っておいで、怒らないからぁ~俺はリリアだけが笑ってばいいのに・・わかったよ行くよ~置いていくなぁぁぁぁ~』
文句を言いつつも、激甘なライラックはアメリアたん救出作戦に同行する事になった。
そして現在ボロボロになったアメリアたんをみてさすがにライラックは同情を隠せないようだ、困ったように頭をかいている。優しい言葉をなにかかけてやれと、私とブラッディに睨まれて困り顔しながらもアメリアの頭を優しく撫でた
「わかったよ・・・・アメリア・・お前の罪は償えた、ここから出て帰るぞ・・・・」
「ふぁぁ・・あぁぁぁぁ・・・・」
アメリアたんが子供の様に泣き出す、ブラッディ先輩は慰めたくて私の背後でウズウズしているが、私がブラッディ先輩を制止しライラックにジェスチャーで抱き締めて落ち着かせろ、背中を優しくトントンするのも忘れずにと、うんうん頷き顎で指示する。
え~!?て顔をしながらライラックはしぶしぶ泣きじゃくるアメリアたんを優しく抱き締めてトントンした、アメリアは一瞬ビクリと肩を震わせたがそのままライラックの胸で泣き崩れた。
そのまま10分ぐらい泣き続けたら、やっとアメリアは落ち着きを取り戻した
「ライラック先輩・・・・ずっとずっと・・お慕いしてました・・・・」
「アメリア・・・・すまな「でも違いました」」
ライラックが謝罪するのに被せるように、アメリアが発言しました
「違うです・・・・私が求めてたのは、ライラック先輩じゃなかった。ライラックはゲームの二次元だけの人でした・・・・」
「ほぇ!?」
「この世界は現実で物語なんかじゃなくて、でも認めたくなくて・・・・これはゲームだ私が主人公で世界の中心は自分なんだって思い込みたかった。この罪を受けて始めて現実だって実感して、汚されて凌辱されて気付くなんて馬鹿すぎる。だからライラック先輩を求めることで現実逃避しました・・・・」
「アメリアたん・・・・」
「リリアさん本当にごめんなさい、もぉ~終わらせるから」
チャッリと金属音がしたと思ったら、アメリアたんはライラックを突飛ばし鋏を自らの首につきつけ勢いをつけるため首もとから離す
「もぉ~こんなに穢れてまで生きていたくない、ごめんなさいお義兄様いままでありがとうございました」
鋏を一気に自らの首に突き立てるつもりだ、止めなきゃ!やっと救出しにきたのに、まさかここで死亡エンドになんかさせない
「アメリアたんいい加減にしなさぁぁぁぁい!」
「リリアさん・・・・」
「ビービー泣いて、人の旦那に泣きついたと思ったら今度は自殺するですってぇぇぇ!ふざけるなぁぁぁ!これは現実なの貴方自身がやっとわかったって言ったんでしょぉぉぉ!」
「だからぁぁ・・・・こんな穢れたまま生きていたくない・・・・」
「逃げるんじゃないのぉぉぉ、自殺なんて逃げてるだけじゃない現実逃避してるだけじゃない!またおんなじ事繰り返すのぉぉぉ・・」
「だってぇぇぇ~だってぇぇ~」
ブラッディの背中を押してアメリアから鋏を回収させる。
「貴方を今まで守ってきた人に感謝もお礼もしないで逃げさせないわよ!!貴方をずっと守ってたのはだれ?」
「・・・・・・・・」
「わからないのぉぉぉ!?」
「ライラック先輩?」
「んなわけないでしょぉぉ~こんな私のことしか興味も無い無慈悲な冷徹人間が貴方をいつ助けた?」
「リリア・・そこまで言わなくても・・」
「確かにライラック先輩はリリアさんのことしか興味なくて、私のことをゴミをみる様な目線でみてきました・・・・」
「アメリアたん・・・・ここはゲームじゃない、現実なの・・よく考えなさい!!」
「・・・・お義兄さま・・・・」
「アメリア・・いいんだよ・・・・無理しなくて、お前が息をして生きててくれればそれでいいんだよ・・・・」
「ふぁぁぁ~ライラックじゃこんなセリフ出てこないでしょ?アメリアたんのお馬鹿さん、ライラックはロリコンの変態の特殊性癖の持ち主だから近寄っちゃダメあぶないから!」
「お・・おに・・・・お義兄様ぁぁぁぁ~ごめんなさいごめんなさい~一杯迷惑かけて、ロリコンライラック先輩なんて・・好きじゃありしぇぇ~ん~」
「アメリア・・・・!!」
ガッシリと抱き合う兄妹におもわず、ホロリと目頭が熱くなる。えかったぁ~えかったぁ~パチパチ拍手までしちゃうよコレ
ツンツンとつつっかれてそちらに顔を向ければライラックの顔がピキリと青筋を立てている。あれ?おもわず言い過ぎちゃった?あっはぁ?
「アメリア出よう・・・・ここから出よう。お前がどんな姿になっても、俺がこれからは守るからごめんなぁ~助けてあげらなくて、ごめんなぁ~」
「お義兄さまぁぁぁ~お義兄さまぁぁぁ~」
感動のシーンだけど、すっかり悪者にされてしまったライラックはへそを曲げてしまってる。
コテン首傾け作戦も通用せず、帰宅後の地獄を予感しつつ覚悟を決めた。
・
・
・
・
・
それからは・・・・
アメリアたんは半年間療養し、平民に戻り我が家の侍女として雇用した。松葉杖をつきながら私と一緒に孤児院のお手伝いをしてもらってます、過度なストレスで見えなくなった瞳も朧気ながら光を写すぐらいには回復しました。
相変わらずブラッディ先輩がアメリアたんに求婚しに来ますがもう少し時間が必要みたいです。いまはまだレイプされたトラウマを回復する優しい時間と体力が必要だから・・・・
「俺は許可してないのに・・・・アメリアは侍女になるし毎日求婚しにブラッディは来るわ・・王太子妃は月に何度もお茶会と称して来訪、ガイアまでひっついてきて!!!なんなのなんでこの屋敷は人が溢れてるのぉぉぉ!!」
「あ~来週は脳筋も遊びに来るそうですよぉ~」
「俺はリリアと二人きりがいいですけどぉぉ」
「うふふ~旦那様~そのうちもう一人人が増えそうですわぁぁ~」
自らのお腹をゆっくり擦る、どうやらついに新しい生命がお腹に宿ったらしい。実は遅かったぐらいかしら?
いつも私の我儘をなんだかんだ許しくれ受け入れくれるそんな貴方が居てくれるから、私は悪役令嬢にならなかった全て貴方のお陰です。
「えっえっえっ!?リリアもしかして・・・・」
「愛してますわ ライお兄ちゃん」
【お・し・ま・い】
【裏話】
大団円で終了させてもらいました。
ご都合主義かもしれませんが、少しでも物語の中だけは幸せで笑顔で終わりたいと考えました。
ちなみにアメリアの破瓜を奪ったのはブラッディなんですよねぇ~一杯賄賂を積んだことでしょう。ブラッディはアメリアのストーカーなのは間違いありません(ドヤッ)
拙い物語ですがお読み頂きましてありがとうございましたm(__)m
三年間罪を償うという名目で凌辱され辱しめられ犯されてきた。刑期があけても多額な賠償金を借金の様に返済させられる為、男爵(養父)にこの棟で娼婦のように客をとらされていたらしい。
ピンクの艶のある髪は白髪が混じり、頬も胴も身体全体が痩せ細り、腕などは木の棒の様に容易く折れてしまいそうで恐ろしくなる。大きな瞳は昔と変わらず開かれているが、その瞳はすごく濁ってしまっていた。
ベットの片隅に腰掛けている彼女は、突然の来客に驚いて此方を見ているようだが、けっして目線が合うことはない。
「随分懐かしい香りがしますね、この棟に上がってくる階段の足音だと3人~4人ぐらいかしら?ついに処刑が決行されるのかしら?」
盲目になり聴覚・嗅覚が鋭くなった彼女はそこで色んな状況を推理する
「アメリアたん・・・・もぉ・・償いは終わったんだよ?ここから出よう・・・・」
「懐かしい声ですね、お久しぶりですリリアさんご健在で良かったですわ。本当に本当に良かったですわ・・・・」
ニコリと微笑み見えない瞳で声のするほうを見つめるアメリア
「リリアの言う通りだ、アメリアもぉ~君の罪は償われた、ここから出て外の世界を行こう」
「まぁ~お義兄もご一緒ですか、でもまだ借金の返済が終わってませんし、もっともっとお客様をお相手せねば。こんな罪人を貴族の貴女方が構ってしまったら評判が落ちてしまいますわ、お優しいお言葉をありがとうございます。大変申し訳ないのですがどうぞお引き取りを・・・・」
私が想像するよりも壮絶で辛い思いをしてきたんだろう、まさか盲目になり足の健すら切られてしまうなんて今のアメリアたんの姿は一歩間違えれば私が迎えたエンディングだ。
いやこのアへエンドを私が回避したから、彼女がこのエンディングに選ばれてしまったのではないのだろうか。
もっと・・・・
もっと・・・・
もっと・・・・
早くアメリアたんを救出に行けたはずなのに、彼女はこの物語のヒロインで私だった。もっと早くに救出に行けたじゃないか、こんな惨く痛めつけられ、今にも生命を枯らしてしまいそうな彼女の状況をもっと早く知れる可能性があったのに・・
アメリアの義兄ブラッディが何度も何度も我屋敷に来ていた。その理由はライラックに謝罪と私への謝罪そして大量慰謝料を支払い続けていた。
しかしライラックは頑なにブラッディを私に会わせる事がなくアメリアの情報を遮断し続けた。
「アメリアたん迎えに来るの遅くなってごめんなさい・・・・貴方の借金も終わったよ、もぉ~自由なんだよ。ごめんねぇ~遅くなってごめんねぇ~こんな姿にさせちゃってごめんなさい」
喉がカァーと熱くなって言葉に詰まる、手がプルプル震えてしまう
「私が私が・・・・逃げたせいだ、私がこの物語の道筋を歪ませたから・・・・ごめんなさい本当ごめんなさい・・・・」
「リリアは被害者だ!!お前が謝る必要などない」
「ラ・・ライラック先輩・・・・も来てくれたのですか!?」
「俺は来るつもりは・・・・」
アメリアは口元を手で押さえて、やっと感情を表情をあらわす。今までは無表情で淡々と話していたのに、ポロリと涙を流しアメリアがライラックを求めていた事がわかる
「やっと来てくれたんですね・・・・ライラック先輩・・・・ずっとお待ちしてました。許して頂けるわけはないとわかってます、こうやって来てくれただけで今まで生きてきてよかった。本当うっうっ 嬉しいです」
ブラッディの話が聞けたのはつい最近、私が成人してアメリアたんを捜索したいと言い出してライラックが折れたから、ブラッディの話ではアメリアたんは何度も自害しようとして発狂し精神的におかしくなったそうだ。そのたびに
『ライラック・・・・ライラックに会いたい・・助けてお願い・・ライラックぅぅ・・』
泣き叫んで嗚咽をこぼし暴れ狂った、そんなアメリアを鎮静剤で寝かす日々だったらしい
(一番の推しのライラック先輩)
アメリアたんの一番の推しはライラックだった、こんな状況になっても彼女は救いを求めるようにライラックの名を叫んだ。
『ブラッディ先輩・・・・私がいうのも何ですが、賠償金だって多額の慰謝料だって貴方が肩替わりしたんですよね・・なぜそこまで貴方が?』
『そうだね・・なんでだろうね』
『アメリアたんは、公爵令嬢の養子縁組が破棄された今ブラッディ先輩にとって血も繋がってなく縁もゆかり無いはずなのに・・』
『侯爵家で生活しているなかで、彼女が養女になってから、堅苦しい生活から解放されゆっくり呼吸できる優しい時間を貰えたからかな、彼女といると癒されて温かくて幸せで・・』
『もしかして・・・・その感情は』
『そんな幸せをくれたアメリアがライラックを求めるなら会わせてやりたい、それで彼女が1分でも1秒でも生き様としてくれるならそれでいいんだ・・・・彼女がただ生きててくれればいいんだ・・』
悲しそうだけどすごく優しい笑顔を浮かべるブラッディ先輩はすごく切なさそうだけど、どこか幸せそうだった。冷たいイメージだったブラッディ先輩がすごく優しく一途な感情を浮かべる。その表情に胸がキューンとして見惚れてしまった、目敏いライラックに頬っぺたを掴まれてブラッディ先輩を見せない様に首を捻られて美男の悲痛顔を堪能出来なかった。
同時にプルプルとライラックに怒りがわく
『な・・・・なんで教えてくれなかったのライお兄ちゃん!』
『お前に害をなした罪人の情報など知る必要がない』
『むぅぅぅ!!でも知った以上、私はアメリアたんを迎えにいくから、ブラッディ先輩いきましょう引きこもりアメリアたんを救出に行きましょう』
『リリア!また襲われるかもしれないんだぞ、こら話を聞きなさい。ブラッディと腕を組んでどこ行くつもりだぁぁぁ!リリア俺以外と腕組むとか許さないからなぁぁぁ!』
『べぇぇぇ~だ!!友達のブラッディ先輩が何年も謝罪して救出要請してるのに、そんな冷たいライお兄ちゃんなんか~あっかんべぇぇ~だ!』
『なっ!?成人した淑女がなんてはしたない、あぁぁ~リリア戻っておいで、怒らないからぁ~俺はリリアだけが笑ってばいいのに・・わかったよ行くよ~置いていくなぁぁぁぁ~』
文句を言いつつも、激甘なライラックはアメリアたん救出作戦に同行する事になった。
そして現在ボロボロになったアメリアたんをみてさすがにライラックは同情を隠せないようだ、困ったように頭をかいている。優しい言葉をなにかかけてやれと、私とブラッディに睨まれて困り顔しながらもアメリアの頭を優しく撫でた
「わかったよ・・・・アメリア・・お前の罪は償えた、ここから出て帰るぞ・・・・」
「ふぁぁ・・あぁぁぁぁ・・・・」
アメリアたんが子供の様に泣き出す、ブラッディ先輩は慰めたくて私の背後でウズウズしているが、私がブラッディ先輩を制止しライラックにジェスチャーで抱き締めて落ち着かせろ、背中を優しくトントンするのも忘れずにと、うんうん頷き顎で指示する。
え~!?て顔をしながらライラックはしぶしぶ泣きじゃくるアメリアたんを優しく抱き締めてトントンした、アメリアは一瞬ビクリと肩を震わせたがそのままライラックの胸で泣き崩れた。
そのまま10分ぐらい泣き続けたら、やっとアメリアは落ち着きを取り戻した
「ライラック先輩・・・・ずっとずっと・・お慕いしてました・・・・」
「アメリア・・・・すまな「でも違いました」」
ライラックが謝罪するのに被せるように、アメリアが発言しました
「違うです・・・・私が求めてたのは、ライラック先輩じゃなかった。ライラックはゲームの二次元だけの人でした・・・・」
「ほぇ!?」
「この世界は現実で物語なんかじゃなくて、でも認めたくなくて・・・・これはゲームだ私が主人公で世界の中心は自分なんだって思い込みたかった。この罪を受けて始めて現実だって実感して、汚されて凌辱されて気付くなんて馬鹿すぎる。だからライラック先輩を求めることで現実逃避しました・・・・」
「アメリアたん・・・・」
「リリアさん本当にごめんなさい、もぉ~終わらせるから」
チャッリと金属音がしたと思ったら、アメリアたんはライラックを突飛ばし鋏を自らの首につきつけ勢いをつけるため首もとから離す
「もぉ~こんなに穢れてまで生きていたくない、ごめんなさいお義兄様いままでありがとうございました」
鋏を一気に自らの首に突き立てるつもりだ、止めなきゃ!やっと救出しにきたのに、まさかここで死亡エンドになんかさせない
「アメリアたんいい加減にしなさぁぁぁぁい!」
「リリアさん・・・・」
「ビービー泣いて、人の旦那に泣きついたと思ったら今度は自殺するですってぇぇぇ!ふざけるなぁぁぁ!これは現実なの貴方自身がやっとわかったって言ったんでしょぉぉぉ!」
「だからぁぁ・・・・こんな穢れたまま生きていたくない・・・・」
「逃げるんじゃないのぉぉぉ、自殺なんて逃げてるだけじゃない現実逃避してるだけじゃない!またおんなじ事繰り返すのぉぉぉ・・」
「だってぇぇぇ~だってぇぇ~」
ブラッディの背中を押してアメリアから鋏を回収させる。
「貴方を今まで守ってきた人に感謝もお礼もしないで逃げさせないわよ!!貴方をずっと守ってたのはだれ?」
「・・・・・・・・」
「わからないのぉぉぉ!?」
「ライラック先輩?」
「んなわけないでしょぉぉ~こんな私のことしか興味も無い無慈悲な冷徹人間が貴方をいつ助けた?」
「リリア・・そこまで言わなくても・・」
「確かにライラック先輩はリリアさんのことしか興味なくて、私のことをゴミをみる様な目線でみてきました・・・・」
「アメリアたん・・・・ここはゲームじゃない、現実なの・・よく考えなさい!!」
「・・・・お義兄さま・・・・」
「アメリア・・いいんだよ・・・・無理しなくて、お前が息をして生きててくれればそれでいいんだよ・・・・」
「ふぁぁぁ~ライラックじゃこんなセリフ出てこないでしょ?アメリアたんのお馬鹿さん、ライラックはロリコンの変態の特殊性癖の持ち主だから近寄っちゃダメあぶないから!」
「お・・おに・・・・お義兄様ぁぁぁぁ~ごめんなさいごめんなさい~一杯迷惑かけて、ロリコンライラック先輩なんて・・好きじゃありしぇぇ~ん~」
「アメリア・・・・!!」
ガッシリと抱き合う兄妹におもわず、ホロリと目頭が熱くなる。えかったぁ~えかったぁ~パチパチ拍手までしちゃうよコレ
ツンツンとつつっかれてそちらに顔を向ければライラックの顔がピキリと青筋を立てている。あれ?おもわず言い過ぎちゃった?あっはぁ?
「アメリア出よう・・・・ここから出よう。お前がどんな姿になっても、俺がこれからは守るからごめんなぁ~助けてあげらなくて、ごめんなぁ~」
「お義兄さまぁぁぁ~お義兄さまぁぁぁ~」
感動のシーンだけど、すっかり悪者にされてしまったライラックはへそを曲げてしまってる。
コテン首傾け作戦も通用せず、帰宅後の地獄を予感しつつ覚悟を決めた。
・
・
・
・
・
それからは・・・・
アメリアたんは半年間療養し、平民に戻り我が家の侍女として雇用した。松葉杖をつきながら私と一緒に孤児院のお手伝いをしてもらってます、過度なストレスで見えなくなった瞳も朧気ながら光を写すぐらいには回復しました。
相変わらずブラッディ先輩がアメリアたんに求婚しに来ますがもう少し時間が必要みたいです。いまはまだレイプされたトラウマを回復する優しい時間と体力が必要だから・・・・
「俺は許可してないのに・・・・アメリアは侍女になるし毎日求婚しにブラッディは来るわ・・王太子妃は月に何度もお茶会と称して来訪、ガイアまでひっついてきて!!!なんなのなんでこの屋敷は人が溢れてるのぉぉぉ!!」
「あ~来週は脳筋も遊びに来るそうですよぉ~」
「俺はリリアと二人きりがいいですけどぉぉ」
「うふふ~旦那様~そのうちもう一人人が増えそうですわぁぁ~」
自らのお腹をゆっくり擦る、どうやらついに新しい生命がお腹に宿ったらしい。実は遅かったぐらいかしら?
いつも私の我儘をなんだかんだ許しくれ受け入れくれるそんな貴方が居てくれるから、私は悪役令嬢にならなかった全て貴方のお陰です。
「えっえっえっ!?リリアもしかして・・・・」
「愛してますわ ライお兄ちゃん」
【お・し・ま・い】
【裏話】
大団円で終了させてもらいました。
ご都合主義かもしれませんが、少しでも物語の中だけは幸せで笑顔で終わりたいと考えました。
ちなみにアメリアの破瓜を奪ったのはブラッディなんですよねぇ~一杯賄賂を積んだことでしょう。ブラッディはアメリアのストーカーなのは間違いありません(ドヤッ)
拙い物語ですがお読み頂きましてありがとうございましたm(__)m
0
お気に入りに追加
796
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(18件)
あなたにおすすめの小説
【完結】転生したら少女漫画の悪役令嬢でした〜アホ王子との婚約フラグを壊したら義理の兄に溺愛されました〜
まほりろ
恋愛
ムーンライトノベルズで日間総合1位、週間総合2位になった作品です。
【完結】「ディアーナ・フォークト! 貴様との婚約を破棄する!!」見目麗しい第二王子にそう言い渡されたとき、ディアーナは騎士団長の子息に取り押さえられ膝をついていた。王子の側近により読み上げられるディアーナの罪状。第二王子の腕の中で幸せそうに微笑むヒロインのユリア。悪役令嬢のディアーナはユリアに斬りかかり、義理の兄で第二王子の近衛隊のフリードに斬り殺される。
三日月杏奈は漫画好きの普通の女の子、バナナの皮で滑って転んで死んだ。享年二十歳。
目を覚ました杏奈は少女漫画「クリンゲル学園の天使」悪役令嬢ディアーナ・フォークト転生していた。破滅フラグを壊す為に義理の兄と仲良くしようとしたら溺愛されました。
私の事を大切にしてくれるお義兄様と仲良く暮らします。王子殿下私のことは放っておいてください。
ムーンライトノベルズにも投稿しています。
「Copyright(C)2021-九十九沢まほろ」
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒―
私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。
「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」
その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。
※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
ヒロイン不在だから悪役令嬢からお飾りの王妃になるのを決めたのに、誓いの場で登場とか聞いてないのですが!?
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
ヒロインがいない。
もう一度言おう。ヒロインがいない!!
乙女ゲーム《夢見と夜明け前の乙女》のヒロインのキャロル・ガードナーがいないのだ。その結果、王太子ブルーノ・フロレンス・フォード・ゴルウィンとの婚約は継続され、今日私は彼の婚約者から妻になるはずが……。まさかの式の最中に突撃。
※ざまぁ展開あり
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
踏み台令嬢はへこたれない
IchikoMiyagi
恋愛
「婚約破棄してくれ!」
公爵令嬢のメルティアーラは婚約者からの何度目かの申し出を受けていたーー。
春、学院に入学しいつしかついたあだ名は踏み台令嬢。……幸せを運んでいますのに、その名付けはあんまりでは……。
そう思いつつも学院生活を満喫していたら、噂を聞きつけた第三王子がチラチラこっちを見ている。しかもうっかり婚約者になってしまったわ……?!?
これは無自覚に他人の踏み台になって引っ張り上げる主人公が、たまにしょげては踏ん張りながらやっぱり周りを幸せにしたりやっと自分も幸せになったりするかもしれない物語。
「わたくし、甘い砂を吐くのには慣れておりますの」
ーー踏み台令嬢は今日も誰かを幸せにする。
なろうでも投稿しています。

【コミカライズ】今夜中に婚約破棄してもらわナイト
待鳥園子
恋愛
気がつけば私、悪役令嬢に転生してしまったらしい。
不幸なことに記憶を取り戻したのが、なんと断罪不可避の婚約破棄される予定の、その日の朝だった!
けど、後日談に書かれていた悪役令嬢の末路は珍しくぬるい。都会好きで派手好きな彼女はヒロインをいじめた罰として、都会を離れて静かな田舎で暮らすことになるだけ。
前世から筋金入りの陰キャな私は、華やかな社交界なんか興味ないし、のんびり田舎暮らしも悪くない。罰でもなく、単なるご褒美。文句など一言も言わずに、潔く婚約破棄されましょう。
……えっ! ヒロインも探しているし、私の婚約者会場に不在なんだけど……私と婚約破棄する予定の王子様、どこに行ったのか、誰か知りませんか?!
♡コミカライズされることになりました。詳細は追って発表いたします。
悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。
香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。
皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。
さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。
しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。
それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
「馬鹿可愛いってなんぞや?」と思いながら読み始めると、「これかー!!これが馬鹿可愛いかぁあ」と納得してしまいました(笑)
リリアちゃんがくせになる可愛さで、読めば読むほど味が出てきて、何度「ブハッ」と吹き出したことか!!
先の展開が読めない楽しさもつまっていて、それぞれの魅力的なキャラのハッピーエンドに大満足でした(*´∇`*)
アメリア視点に泣きました( ;∀;)
素敵な作品をありがとうございました!
番外編ありがとうございました!次回作も楽しみにしてます(*^_^*)
ちろ様
拙い文章と物語を最後までお付き合い頂きますましてありがとうございますm(__)m土下座
ひとまずこれに本当の完結です、次回作品もお付き合い頂ければ嬉しいです。
重ね重ねになりますが本当にありがとうございました
灰色モモンガ様
いつもいつも感想ありがとうございますm(__)m土下座
いやぁ~急展開の急ぎ足完結でしたよね(>_<)申し訳ないないです。
番外編はもうちょい濃厚な話しになると思います…きっと…たぶん…もしかしたら(笑)
どうぞお願いします…番外編もお付き合い下さい( ;∀;)号泣