平々凡々悪役令嬢は必死に逃げだす予定です

おんちゃん

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お忍びデート③

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「リリアちゃんと大人しくしててね、拘束を外した事が皆にバレてしまうからね」



ライラックが皆に聞こえないよう小声で話す、もちろんわかってる コクンコクンと首を縦に振り静かにする。ガイアとスカーレットのお見合いのお膳立ては全てした、後は恒例の『あとはお若いお二人で・・』と仲人が退場するってわけだね!

何やら二人で腕を繋ぎ仲良さそうに話してるみたいだし聞き耳をたてるのは野暮だ。


それに先程から私を誘惑する匂いがそこらじゅうに漂っている、トテトテと匂いのでどころに調査と称して勝手に行動をし始めるリリア




「コッラ!勝手に行動しないの~!」



慌てて市場の露店に走りだす駄犬リリアの後を追う飼主ライラック 。犬は無駄吠えはしないが尻尾をブンブン振ってキラキラした瞳で『これ食べたい!買って~買って~』とライラックの腕をぶんぶん振って訴える。さすが駄犬の飼主、そんな可愛い顔をされると頬が緩み駄犬の頭を優しく撫で購入してしまう。やはり飼主もダメ飼い主だった・・・・

一言も言葉をはっさないがリリアもすごく嬉しいそうに林檎飴をほうばる、よほど嬉しかったのかニコニコしてご機嫌で『ライお兄ちゃんも食べる?あ~んして』『あ~ん!』と食べさせていた。



当然のようにライラックの手を握れば優しく握り返してくれる、嬉しくて顔が緩みっぱなしの私。ふっと露店に興味深いお店を発見した、ブレスレットやネックレスなどイミテーションだが宝石の用に輝く装飾品。

前の二人は気にする事なく進んでしまうが、どうしてもゆっくり観賞したい、ライラックの袖を掴めば『ん?どうしたの?見たいの』コクンコクンと頷けば、しょうがないなぁ~と微笑み、前の二人に交渉してくれるみたい。




「ガイアせっかくの市場視察だし、通りすぎてばかりおらず立ち止まって商品をみないかい?」


「ライラック何か気になるものでもあったのか?」



ガイアとスカーレットは足を止め振り返る、私は反省したふりをして下を向き大人しくする。



「僕の大切な人にお土産を買いたいんだ」


「確かにここに来た思い出に僕も自分にお土産を買おうかな」


「素敵ですわね♪なら私も便乗させてください」



ばんざーいと両手を上げて喜んでしまう私。四人で色々な装飾品をみる、太陽に照らされキラキラ光る装飾品 硝子だとわかっていても本物の宝石のように輝く装飾品はどれも魅力的だった。ふっと私は思い付きスカーレット様には紫の硝子が埋められたブレスレットを、ガイアには青の硝子が埋まったブローチを二人にプレゼントする。



「リリアさんいつの間に拘束をほどいて仕方ない人ですね、私にこのブレスレットを頂けるんですか?」


「はい!今日のお詫びにガイア様の瞳を・・」



私の意図がわかって真っ赤になるスカーレット



「つまりリリアはスカーレット嬢の瞳を僕にプレゼントしたわけだな」


「はい!!出来たら私のお詫びの品として受け取っては貰えませんでしょうか?せっかくここで出掛けられたのも何かの縁ですし・・思い出の品として・・・・」


「調子のいい奴だな」


「本当ですわ~調子のいい方、でもなぜだか憎めない うふふふ~」



ガイアもスカーレットもしょうがないなぁ~と言いながら受け取ってくれた。よかった身分の高い二人にとってこんな物オモチャみたいなものだとは思うが拒否されず受けとって貰えれば嬉しい。



「じゃ~僕はリリアにこれをあげるね♪」



そっと指を持ち上げられ右指の薬指には赤い硝子の埋まった指輪がつけられる、まるで結婚式の指輪の交換のようにゆっくりとはめられた。

指輪のされた手に軽く口付けを落され、真剣な眼差しでみつめられる



「まだこんな安物しかあげられないけど、将来はもっと高級な物をちゃんと贈るね、だから余所見しないでね僕のリリア」


「ライお兄ちゃん・・・・皆みてるわ・・恥ずかしい」


「ガイア もぉ~君の茶番に付き合うのはここらへんでいいだろ?いい加減僕とリリアを解放して貰えないかな?」



軽々と大きなライラックに持ち上げられ抱っこされる、慌てて落ちないようにライラックの首に手をまわせばライラックはクンクンと私の匂いを嗅ぎまわる。お前は犬かなぜそんなに必死に私の臭いを嗅ぐのだ!




「ライラック先輩・・・・何をなさってるのですか?リリアさんはガイア様の婚約者候補なんですのよ・・・・」


「スカーレット嬢この子は昔もこれからもずっと僕のものだ、馬鹿なのにお人好しだから君達の茶番にも付き合っているけど、王太子との婚約など望んではいない」


「ライラック・・・・」


「ライラック先輩・・・・確かに初めてお会いした時リリアさん本人も言ってらっしゃいましたわね。とても名誉で皆が憧れる事なのに」


「誰しもそれを望むわけではないよ、王命となれば従わざるをえない・・・・ガイアはそんな関係を僕らに強いるのかい?」


「ち・・ちが・・・・う」


「僕がリリア一筋だって君はわかってるとは思う。でもヘタレの君はリリア以外の女性が怖いとのたうちまわって強引に婚約者候補なんかに選出し、その上今日の茶番劇だ、何が楽しくて別の婚約者候補の付き添いをするんだよ!僕達には休日もプライベートもなく拘束されなければならないのかい?」


「ライラック落ち着いてくれ強引にリリアを巻き込んでしまった事は詫びる、必ずリリアとは婚約を解消する本当にすまない・・・・」


「ライラック先輩!!!さすがに言い過ぎです、ガイア様とて謝罪されているのではないですか不敬罪に問われて仕方ないですわよ!」


「スカーレット嬢貴方もこのいびつな関係を強いろうとするのかい?」


「そんなわけでは無いのですが・・・・」


「ちょっちょっちょ!!ライお兄ちゃん落ち着いて熱くなりすぎだよ~ちゃんとガイアは約束してくれたもん婚約は解消してくれると」


「なら僕がリリアに指輪を贈るのも問題ないよね?」


『はぁ~~』



なんだかライラックにはめられた気がする、指輪は勿論嬉しい しかしライラックは皆に認めさせたいのだ私達の関係は他は踏み込めない恋仲なのだと、ガイアに解らせそして皆に認識させたのか。嬉しいけど恥ずかしいしそんな事を急がなくて良いのでは?




「ライラック先輩はアメリアさんと恋仲なのではないのですか?」


「なにか学園で変な噂が流れたみたいですね、僕の恋人はリリアだけだ!!」



言いきっちゃったよ~怖いもの知らずとは貴方の事を言うですね



「ライラック・・・・本当にごめん・・お前達に甘えすぎてたのは自覚していたんだが・・お前がそんなに鬱憤を溜めていたとは気付きもしなかった。今日はここまでで解散しよう・・・・」


「こらぁぁぁぁぁ!!いくらライお兄ちゃんでもこんな雰囲気悪くして『はい!さようなら!』なんてさせないわよ!確かにこの同行で私にもスカーレット様にも大変失礼な事をしたのはガイアだけど、でもちゃんとガイアはスカーレット様と向き合い話せるようになってるじゃない!前に進もうとしてるじゃない、友達の前向きな姿勢をみてライお兄ちゃんも嬉しくならないの?」


「いや特に・・・・リリア以外興味ない・・」


「うっわぁぁぁ!どんだけ鬼畜なのよぉぉ!そんな冷たいライお兄ちゃんなんて好きくない!」


「僕はリリアの為に言ってあげてるんだ!!」


「私の為にって言うけど自分の為でしょ!自分の思った通りにこの休日を過ごせなくて拗ねて子供みたいに八つ当たりしてるんでしょ?友達の前向きな姿勢も喜べない自分の事ばっかを主張してるのはライお兄ちゃんの方よ!!」



ストンとライラックの腕から脱出して地面に着地する私、まさかライラックと私が揉めるとは予想もしてなかったガイアは『二人が揉めるな、僕が悪かった』と必死に謝罪をするが、私の怒りは治まらない。ライラックとギリギリ睨み合う



「そう・・・・リリアは僕と過ごすより、この二人の同行の方が良かったんだね・・・・」


「そうは言ってない!!さっきも言ったけどここで出掛け仲良く話せる様になったのも何かの縁だし、仲良くやって行きたいと思うのは間違っているのかな?」


「では僕が間違っているの?」



腕を組ライラックも不機嫌そうだ、私の意見も納得出来ないというわけだね。

どうやってライラックの機嫌を直し納得させようかと思案に暮れていた時だった。



遠くから急いだ馬の蹄の音が聞こえてくる・・・

フワリと身体が宙に浮いたと思えば『ガバリ!!』と凄い勢いで捕まれ軽々と持ち上げられ、馬に乗った男性に私は誘拐されたようだ・・・・

強引に馬上に上げられ口と手首を縄で拘束され、その場を凄い勢いで立ち退いていく



ドナドナドーナードーナー



子牛のように私も市場に売られに行くのかぁぁぁ

まさかの出来事に頭がパニックになる、ある晴れた昼下がりて歌詞あったよねまさに今じゃん!!

『騒ぐな抵抗すると痛い目にあうぞ!』誘拐犯はドスの聞いたら声で呟かれる、



「リリアァァァァ!!!」



ライラックの叫び声がどんどん遠ざかっていく、手を伸ばしても届くことなく・・・・


ドナドナドーナードーナ♪子牛乗せて~♪



神様ごめんなさい ライラックが必死に私達の未来の為に奮闘してくれてたの偉そうに逆らったからいけないんですね。きっとこれは罰があたったんだ・・・・

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