平々凡々悪役令嬢は必死に逃げだす予定です

おんちゃん

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後悔と怒り 《ライラック視点》

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『ごめん冷静なれなくて・・・ライお兄ちゃんの顔をみたくない・・・・話したくない・』





手を振り払われ・・・・

目を反らされ・・・・・

拒絶された・・・・・・




過去にも僕とリリアは何度も喧嘩や言い争いをしてきた。でもその度に話し合いお互いの妥協点をみつけ、お互いに反省し仲直りをしてきた。今回だって一晩たてば心が落ち着くと、僕がした行動はリリアの為なんだからと慢心していた。


でもその後ガイアから聞かされた話に、意識が遠のく・・

『リリアは宰相公爵にベッドに組み敷かれていた・・・・』閉会後にリリアに声をかけた時点では、そんな現状を知りもせず転倒して捻挫し落ち込んでいるだけだと勘違いしていた。

リリアを担ぐアインヒットを忌々しく思ってたぐらいだから。

なんてお気楽で間抜け奴なんだ自身に怒りが沸く・・




あの時・・・・


アメリア嬢が転倒した時ほうっておけば良かったんだ・・



アメリアの転倒に咄嗟にガイアが動くのが目の端でとらえ、無意識に行動を起こす自分。アメリアを担ぎ上げ周囲が囃し立てるのも気にせず夢中で走り出した。治療をしてもらう為保健室を目指したが

『ヒロインは保健室で素行の悪い上級生に強姦紛いの危機』

リリアの忠告が脳裏をよぎる、保健室はダメだ間違ってもこの娘アメリアを近付けてはいけない!!


そんな時だった


「ライラック君!保険医が此処に居るアメリアを此処に早く!」


この運動会の為に出来ていた簡易テントの下に、携帯救護道具を所持した保険医が居た。そして僕に声をかけてきたのが宰相公爵その人だった。

治療をうけるアメリアにそっと小声で耳打ちをし宰相公爵は所用があると姿を消した・・



「ライラック様・・もう少しだけ一緒に居て頂けませんか・・・・?」



頬に擦り傷を負い心細そうな顔で、僕の服を掴むアメリアに同情しその場に残った。美少女アメリアは確かに物語のヒロインと言われれば納得出来る、可憐でか弱く儚げで僕以外の男ならきっと庇護欲をそそられ恋に落ちるだろう・・



きっと僕は人とは趣向が違うのかもしれない。

リリアと居ると家族とも兄弟とも違う暖かさを感じる、予想も出来ない行動に苛立ちもするが楽しくて可笑しくて目を離せなくなる。

家族の優しさも、兄弟の暖かさも思い遣りも労りも全てを教えてくれたリリア・・・・

笑って・泣いて・怒って全てが愛しくなるのは時間なんてかからなかった。



未来でリリアが不幸にならないように、アメリアの側に居ればイベントを回避出来たのだと安堵した・・・・




その時に気付くべきだった・・・・




最近リリアの周りは騒がしい、避けてるはずのガイアとはすっかり打ち解け婚約者候補、同級生のソウカは常にリリアの側にいる、アインヒットを隊長と崇め忠誠心を誓い慕っている・・

リリアの周りに蔓延る雑草を全て引っこ抜いてやりたいが、きっとリリアがいい顔をしないだろう。


本来ヒロインが行うイベントをリリアが宰相公爵に悪戯されるという形で遂行されてしまったのではないだろうか・・・・?

つまり・・・・リリア自身がこの物語のヒロインだったのか?そう思えばリリアにまとわりつく害虫達も納得がいく




リリアがその害虫達の誰かと恋に落ちるだと・・

絶対そんなの許さない!!












薬学の授業で習った催眠効果のある薬草を調合する。その薬草を水に浸しハンカチも浸す。

僕から遠ざるなんて許さない、僕はこんなに必死に君の未来を守ろうとしてるのに、君は他の誰かと恋に落ちるだと!!

リリアに猛烈に腹がたった・・・・




『嘘つきーーー!何があっても助けるっていったじゃない!!』


『怖くて怖くて何度も助けてってライラックを呼んだじゃない!』


『なんでよ~なんであんな悪戯されなきゃいけないのよ、まだ私は悪役令嬢になってないじゃない、悪い事一つもやってない何がいけなかったの、何がダメだったの?』




僕は全然わかってなかった・・・・

リリアの苦しみも・・・・

リリアの悲しみも・・・・



自分のことばかりで、こんなにも傷付いて泣き叫ぶリリアを見なければ・・・・



ごめんね・・・・ごめんなさい・・・・

身勝手で自分自身の事しか考えてなかった自分が恥ずかしい、リリアをこんなにも辱しめ傷付けた宰相公爵に殺意が沸く。




ひとまずリリアを僕以外の目につかないとこに連れていかなきゃ・・・・

ちゃんと話し合おう・・・・

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