平々凡々悪役令嬢は必死に逃げだす予定です

おんちゃん

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衝突

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赤毛の美青年が近付いてくるとわかった瞬間に、今まで着席してた椅子からスッと立ち上がり急いで移動する



「リリアさんまだ宿題の途中では・・・・」



後ろで慌てて勉強具を片付けるソウカ君の声がする。ソウカ君には悪いが待ってる余裕などない、後ろを振り向きもせず慌てて逃げ出す。どこに向かってるわけでも無いが、兎に角彼の居ない場所なら何処だって良い。自慢の脚力を生かしその場から遠ざかるが捻挫した足がズキズキ痛みヨタヨタヨと前に進む



「リリア・・・・待って・・!!」



聞こえない・・・・

聞きたくない・・・・


耳を両手でふさいで、全ての音が耳から入るのを阻止する。



ライラックと私はあの運動会から拗れたまま。

運動会の後からライラックとアメリアが付き合い始めたと噂がとびかった。運動会の美男ライラック 美女アメリア救出劇は在校生の女子達の憧れのネタになり。2日後には噂に尾ひれが付き二人は在学前からの幼馴染、お互い初恋相手同士で誰にも邪魔出来ない絆で結ばれていると。



噂など信じてなかった、ライラックと話し合わなければいけないとわかっている、あのイベントは回避出来たのか否か今後の方針など・・・・。


なのに昨日昼休みに遠目で見た、二人の仲睦まじい姿に酷く動揺し怒りすら沸き上がる、同時に自分はあのロリコンに悪戯されかけた悪役令嬢と思うと惨めで情けなくて・・・・

アメリアは悲劇のヒロイン、転倒して怪我を負えば白馬に乗った王子様ライラックに助けられ皆から憧れの対象とされ祝福される。




捻挫した足がズキズキ痛い・・・・

吐き出したい嫉妬がズキズキして破裂しそう・・




「無理してどうするんだ?それでは良くなる足も治らないだろ・・・・リリア逃げないで・・」



捻挫した足では逃げる事は出来なかった、覚悟をきめてライラックに振り返る。

今の私の顔は嫉妬と怒りで震える悪役令嬢そのままだろう。怒りで震える手を制服のスカートを握り必死に抑え、込み上げる暴言を飲み込む



「ライお兄ちゃんの・・・・嘘つき・・」


「リリアごめんね・・・・リリアにそんな顔をさせるつもりじゃなかったんだ。ちゃんとお互いの状況を話し合おう・・・・」



赤毛の大きな瞳が少し寂しげに語りかけてくる

そんな悲しそうな瞳をされると罪悪感が沸いてくる


「もぉ・・・・いいよ・・ごめんなさい。私がライお兄ちゃんに頼りすぎていた、行動も精神的にも依存しすぎてた・・・・」


「リリアそんな寂しい事を言わないで、僕はもっと頼って欲しいし・・・・ここでは人目もあるしちょっと移動しよう。その足では辛いでしょ」



私の返事も待つことなく当たり前に両脇を持ち上げられ抱っこされる、自分の小さな幼児体型を悔しく思う。必死にバタバタと抵抗するがまったく

効果なくスッポリとライラックの胸に収まってしう



「アメリアたんに怒られるから降ろして!二人はお似合いの我が学園の理想的な恋人達なんでしょー!離して降ろしてーーー!!」



「リリアそんな噂を信じてるのか!?」



抱っこするライラックの腕に力が入る、動揺した瞳がカッと開かれた。リリアも負けずにライラックを睨み付け無言で睨み合う二人!!

ライラックは怒りながら無言で人目のつかない中庭にリリアを運ぶ、今は放課後なので授業の心配をする必要もない、怒りながらもリリアを優しく芝生の上に降ろす。



「し・・しん・・・・信じてるわよー!!ライお兄ちゃんがアメリアたんとくっつけばいいのよ!」



そうだわ!自分で発言して気付く、アメリアが新たなるライラックというルートに進めば、もしかしたら断罪イベントなど起きず、アへendも国外追放も発生しないのではないのだろうか?

ここは二人を応援した方がいいのではないのだろうか?


でも・・・・

嫌・・・・


胸が張り裂けそうにズキズキと痛むのだ・・



「本心・・・・?」


「ほ・・・・ほん・・・・」


「ごめん・・・・リリア泣かせるつもりはなかったんだ、まさかリリアが襲われるとは予想もしてなくて・・・・」



気付けばライラックを睨み付けながら、ポロポロと涙を溢れ出させていた。ギューと抱きつかられると、幼き頃の記憶が蘇る。ライラックが自分の屋敷に戻ると聞いた時、号泣する私をライラックは優しく抱き締めてくれ宥めてくれた・・・・


やっと思いっきり泣けるとばかりに、大声を出して泣き出していた

『嘘つきーーー!何があっても助けるっていったじゃない!!』

『怖くて怖くて何度も助けてってライラックを呼んだじゃない!』

『なんでよ~なんであんな悪戯されなきゃいけないのよ、まだ私は悪役令嬢になってないじゃない、悪い事一つもやってない何がいけなかったの、何がダメだったの?』


夢中で泣きながらライラックの胸をダンダンと叩く、ライラックは黙って私をそのままにしてくれる。痛いだろうに私の手を止める事はしない、どんどん興奮し感情が高ぶる私はついにはひきつけをおこし過呼吸になる・・・・

ヒィヒィと苦しみ出す私の背中を優しく擦り、落ち着かせるライラック

『大丈夫・・大丈夫だから吸わずに、息を吐き出す事に集中して・・・・ごめんなさい、ごめんねリリア』


ライラックの瞳にも涙が溢れていて、その瞳をみた瞬間やっと私の感情が落ち着こうと冷めていく。



「リリア・・・・落ち着こう、今は無理そうだからちょっとの間おやすみなさい・・起きたら昔のように話し合おう・・・・」



ライラックが私の口元にハンカチを押し当てる、何か薬品の臭いがすると思った瞬間そのまま意識を手離した・・・・


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