平々凡々悪役令嬢は必死に逃げだす予定です

運動会《中編》

今の自分の状況が信じられず二度見するが変わらない。

私は今足を舐められている、ソフトクリームを舐めるように美味しそうにペロペロと、足の甲から足裏までくすぐったくて身体を捩るが足を離してもらえない・・・・


足の指と指の間も念入りにペロペロクチャクチャ、すでに左足首に巻かれた包帯も貴方様の唾液でデロデロです。



「何をなさっているのですか・・・・？」



怯えながらおずおずと聞けば、ソフトクリームの足から一瞬口を離し、真剣な顔で話し出すロリコン・・



「捻挫されてるリリア嬢の足が早く治る様治療中です。」



こいつ何言ってるんだ・・・・？

足を舐めて治るわけがないだろう・・？

怖いよどんどん激しく舐めてきて、保健室はこのロリコン宰相公爵と私だけ逃げないと、しかしがっしり捻挫した左足を掴まれ身動きが取れない。



「足の親指をしゃぶならないで下さい～こんな治療おかしいです！指の間もしゃぶりつかないでぇぇぇ～」



「ハァハァ～リリア嬢は、本当に可愛いらしい～足の指までこんなに小さくて、ペロペロと舐めるとくすぐったいのかピクピク動く。おもわず食べてしまいたくなる」



誰か助けてください！！！ここに変態ロリコンおじさんが居ます。鼻息も荒くてハァハァ興奮され何がそんなに美味しいのか、夢中で私の足指にしゃぶりつくのを止めろ！！



「宰相公爵！止めてくださいー！！！」






なぜこうなった・・・・

なぜこうなった・・・・





少し時間を遡り、午後の競技が始まった時まで時を戻します。気合いを入れ直す為リリアは髪を一まとめに高い位置で結ぶ。ポニーテールになれば首元も涼やかになり動きやすくなったリリアはアインヒット隊長と、各競技で無双を始める。


玉入れでは大声で相手を威嚇するアインヒット その横でちょこまか動きリリアは相手チームの玉を遠くに投げて妨害をする『この卑怯もの！』と罵られても聞こえぬ振りをする。


騎馬戦では高身長で体格の良いアインヒットが並みいる敵にタックル頭突きをかます、よろけた隙にリリアは相手のハチマキを奪い取る。リリアは小さく的にするには狙いずらい、相手から襲いかかってきても身を低くしアインヒットの後ろに隠れてしまう。やりたい放題の二人に仲間も苦笑いを浮かべるが、騎馬戦はＣチームの大勝利だった。



「隊長！！やってやりましたぁぁ！！」


「リリア隊員よくやった、惜しいのは時間切れで全ての騎馬からハチマキを取れなかった事だな！」


「今後の課題ですね隊長！自分はいつまでも隊長に付いていきますイエッサー！！」



「リリアさんアインヒット先輩、二人で熱くなってますが、敵陣の皆様からはすごく冷たい目線で見られてますよ。早く現実に目を向けてください、学園中の嫌われ者になりますよー！」



唯一冷静なソウカが二人を宥めても、燃え上がる二人にはまったく聞こえなかった。




そんなリリアに天罰が下る時がきた、その後の男女混合リレーだ。勝負ごとに熱くなるリリアだったが、さすがにこの競技では1位にならなくても良いと考えていた。ヒロイン アメリアの妨害をするつもりは更々無い、その妨害によりイベントが始まる事を阻止する為だった。


運良く最後の走者のリリアにバトンが渡る時には、Ｃチームはビリだった。ヒロイン アメリアのＡチームは2位の位置。このまま少し距離を縮め惜しくも最下位でゴールを目論んだが、なんの運命の悪戯か1位のＢチーム最終走者のスカーレットは距離を縮めるアメリアに脅威を感じ、ゴール手前で地面を激しく蹴りあげ砂埃をあげた。目に砂埃が入ったアメリアは転倒してしまった・・


まさかスカーレットによりヒロインの走行妨害が行われるとは予想せず驚きで目を見開くリリア、その時遅れてやってきた大量の砂埃がリリアの瞳にも入ってしまう。



「目がぁぁぁぁぁぁ！めぇぇぇがぁぁぁぁ」



目を押さえて狼狽えるその瞬間左足首が、グニュッと内側に曲がりそのまま全体重をかけて転んでしまった。グキリと嫌な音がする・・・・

必死に立ち上がろとするが足首に激痛が走り立ち上がれない。『リリア隊員どうしたー？』隊長の声が聞こえる、とにかくゴールせねばと立ち上がれないならしょうがないとばかりに、地面を這いながら必死にゴールをする。


目も痛いし足も痛い、地面を這いながら進めば髪も顔も砂ぼこりまみれゴール出来ても最下位、イベントを回避出来たのかわからない 酷く惨めな気分で泣けてくる・・・・




両脇を持ち上げられ、ひょいっと身体を持ち上げられる『大丈夫かリリア？』と声がする。こんな時はいつでも助けてくれるライラックだ、救助に来てくれたんだと喜び見上げれば、救助してくれた人物はアインヒット隊長だった・・・・


唖然として隊長を見れば


「大丈夫かリリア隊員？足を捻ったようだな、顔も砂まみれだし保健室に行こう」


「なんで・・・・？ライお兄ちゃんじゃないの」


「ライラックは転倒して流血したアメリア嬢を、お姫様抱っこして救助して行ったぞ」



そっか・・・・ライラックはアメリアたんを救助したのか、きっとガイアが攻略対象にならないように動いてくれたんだ。ありがとうと感謝しなきゃいけない所、わかっている私の未来を変えようとしてくれての行動だ。





でもなんでだろ・・・・？

目頭が熱くなってポロポロ涙が出てきてしまう

「リリア隊員痛むのか？そんなに痛いのか、すぐ保健室に運んで治療してもらうからな」

隊長はすごく優しくてまた泣けてきてしまった。

我侭だとわかってる自分勝手だとも思う




でも

ライラックに助けられたかった・・

ライラックが来てくれると思った・・

ライラックがアメリアたんを救助した・・



悲しいのと痛いのがゴチャマゼになり、ポロポロと泣いているうちに保健室に到着し、アインヒット隊長は応急措置とばかりに、左足首を包帯で固定してくれた。擦り傷もあるが消毒する為の薬品の棚には鍵がかかっていた、保険医を探してくると保健室から隊長は退出していった。




リリアは保健室のベッドに寝転びながら呆けていた。１人で居れば少しづつ冷静さを取り戻し、自分が悲しむなどお門違いだと反省する。

周りを見回しても他に治療待ちをしてる人物はおらず不思議に思う。なぜアメリアたんは居ないのだろう？




あれ・・？

あれ・・？




《保健医を探しに攻略対象が出て行く隙をみて、余り素行の良くない上級生3人に保健室に淫乱な美女が待っているとけしかける悪役令嬢。

あわやヒロインは強姦紛いの危機に、そんな悲鳴を聞きつけ攻略対象がピンチを救う！！》



もしかして・・・・！


これから素行の悪い上級生が来ちゃうの？




しかし・・・・登場したのはロリコンだった！！

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