平々凡々悪役令嬢は必死に逃げだす予定です

おんちゃん

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ライラック幼少期(3)ライラック視点

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「先生!僕はまだ幼く無知な子供です。先生しかこんな事聞けなくて、どうか先生の広い知識を僕に授けて頂けないでしょうか?」


「ら・・・・ライラック君どうしましたか、そんな改めて・・・・」


僕はリリアの事が心配で、リリアの屋敷の叔父の書斎で必死に僕なりに調べたがまったく成果が出ない。なら僕に知識を授けてくれる家庭教師の先生に素直に質問してみようと考えた。



「先生!破瓜て何ですか?」


「ラ・・・・ライラック君!どこでそんな言葉を・・・・まだ君には早い・・・・」


「先生 僕にはまだ早いとはどういう意味なんですか?僕は知りたいのです、知らなければあの子を助ける手段がわからない・・」


「な・・なに・・・・なにがあったんですか?10歳の君にそんな言葉を教えたのは誰ですか?」


家庭教師の先生は男性 推定40歳ぐらいの紳士だ。僕と同じ伯爵家の三男坊 家を継ぐ必要がなく騎士として生計を立ていたが、怪我により現役引退しその知識を生かし貴族の子息に家庭教師をなさっている。性格は温厚で一般教養以外にも剣の稽古もつけて頂いている。



「いや・・・・ライラック君も10歳か、あと少しで精通を迎える歳になりますね。そうですね今日は閨の勉強をしましょう」


先生は穏やかな口調で男性と女性の身体の仕組みを教えてくれた。子を成すとはとても凄い事なんだと感嘆してしまう



「ライラック君の知りたかった、破瓜とは女性の処女膜が破れること意味する言葉ですね。」


「えっ!?そんな・・・・まさか・・」


「ライラック誰を助けたいんだい?」


ここで素直にリリアと言えば、先生は驚いてしまうだろう。リリアはまだ8歳だ、それに高熱に冒された戯言だったかもしれない・・・・



「先生!高熱に冒された時に、身体中に痣が浮かびあがる事などあるんですか?時間がたつと綺麗に消えてしまっていたんですが・・・・」


「ライラック君の話なんですか?なんとも不思議な現象ですね・・・・」


「僕の事では無いのですが、僕よりも年下の子で高熱に冒され、人が変わったように叫びだし痣が浮かび上がったんです」


「ふ~む・・・・私なりの仮説なんですがね、幼少期に前世の夢を見る子が居ると聞いた事があります。大人になるにつれ忘れていくらしいのですが、前世の記憶が幼少期に出たのかもしれませんね?」


「前世の記憶・・・・?」


「もしかしたら前世は辛い人生だったのかもしれませんね。高熱を出し身体が辛い状態で前世の記憶が甦ってしまった・・・・あくまでも私の仮説ですがね」


「辛い人生・・・・」


「その痣というのも、現世ではなく前世の痛みだったのかも・・・・」


「前世の痛み・・・・」



その後も先生はいろいろ仮説をたててくれたが、僕の中でこの仮説がなんだかしっくりきた。もしかしたら前世のリリアは僕に何か伝えたいのかも・・・・


本日の一通りの勉強を終え僕は急いでリリアの部屋に向かう、リリアの意識まだ朦朧としていて苦しそうだった。うつるから入室しちゃダメだと言われるが、僕が居た方がリリアも安心すると強引に押しきった。



「リリア唇も熱で乾いてしまっているね、氷を持ってきたから少し濡らそうね」


「ライお兄ちゃん・・痛いにょ・・ぐりゅぐりゅ・・気持ちわりゅい・・」


「無理して話さなくていいからね。早くお熱下がるといいね。」


力なくリリアはニコリとするけど、僕と話すのも余裕が無くなり目を閉じて、苦しそうに呼吸する頭を優しくすいてやる。

額のタオルを何度も交換し、乾いた唇に氷をぬる。













気付けば僕も看病疲れでリリアのベッドとの傍らで寝てしまっていた。額のタオルが乾いている、急いで水に濡らし額に置いてあげる

ゆっくりリリアの瞳が開く、ふらふら身体を起こした。また視点が定まっていない、また叫びだすのかと身構えたが


「なぜ・・・・婚約などなさったの?拾わず捨て置いてくれれば、こんなにも醜く見苦しい女にならなかったのに・・・・」


悲しそうに泣き始める、やはり口調はしっかりしている。先生が言っていた前世の記憶なのか?まだ頬には痣は出て居ない


「貴方は誰ですか・・・・リリアを苦しめないで欲しい」


恐る恐る問いかけてみる、焦点の定まっていない瞳が僕をみた


「赤毛・・大きな瞳・・・・貴方!モブのライラック・・・・」


「なっ!?何で前世の記憶じゃないの?何で僕を知ってるの?貴方は誰!リリアを苦しめないで!!」


「痛いの・・噛まないで、初めてなの・・・・止めてお願い怖いこわい」



ブルブル震えだすリリアの頬や首筋に痣が浮かびあがってきた。また歯形だ・・・・誰がこんな目にあわせたんだ


「何でこんな痣だらけに、何をされたの?僕に何か言いたいの?」


「ライラック・・助けて、初めてなの・・・・嫌いいや・・・・」


なんだかリリアなのにリリアじゃない人、でも本当に怯えていて可哀想になってくる。おもわずリリアの身体を優しく抱き締める、安心させるように背中を擦ってあげる


「大丈夫・・・・怖くないよ・・こわくない」


「怖くない?でも・・大勢の男達がくるわ・・服を破らないで、お願いよ・・」


僕の声が届いてるようだが、やはり焦点は定まっておらず僕には見えない状況を見ているようだ。



「大丈夫!大丈夫だよ。今日ちゃんと勉強してきたから、リリアの最初は僕が貰うから。怖くないよ」


「私の処女は・・・・貴方が・・?」


「そう!僕が貰う!!光栄に思ってよね!?」



ジョーダンぽく優しくおどけるように話しかける。リリアは僕になついてるだから怖くないでしょ?僕なら安心できるでしょ?



「そう・・・・貴方が私を破瓜させるのね・・あの方の婚約者にさえならなければ・・・・」



クテリと意識を失った。先生の仮説とはなんだか違う気がしてきた、前世の記憶なら僕の事を認識なんて出来ないはず。いったいこのリリアは何者なんだろう?僕の知っている馬鹿可愛いリリアとは違う。でもほっとけない・・・・














次の日に少しリリアの熱は下がり、食欲が出てきた。いつもの馬鹿可愛いリリアに安堵したが、熱でうなされた時のあの状況を僕は忘れる事が出来なかった。


彼女は『ライラック・・・・助けて・・』と僕に懇願したのだから。

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