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ライラック幼少期(1) ライラック視点

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生まれた時から、伯爵家を継ぐ一人息子として礼節・一般教養・身体作りを厳しくしつけられ。

衣服・食事・屋敷など不自由なく市井の者から見れば贅沢な生活だったのかもしれない


だがライラックは親子の愛情を知らず5歳まで育った。伯爵夫婦は政略結婚だった、ライラックの父親は地方行政の責任者として執務に全力を注ぎ。母親は世継ぎを生んで責務を果たしたとばかりに、夜会や貴族のお茶会に勤しみ子を育てるという思考はなかった。



幼い頃から彼の世話をしたのは侍女と執事だけ、家庭教師は知識を授けてくれるが、高熱を出そうが怪我をしようが一晩看病してくれるのは使用人達だけだった。

そんなライラックを哀れんだのが子爵。伯爵の弟つまりはライラックの叔父であり、リリアの父親だった。

ライラックは5歳からリリアの屋敷で生活するようになる。しかし5歳になるライラックは、伯爵家を追い出されたと勘違いした。




追い出された・・・・

捨てられた・・・・

僕が高熱を出し泣いたから邪魔になったんだ・・





傷心した心でリリアの屋敷で生活が始まるが、物を壊し・花をムシリ・家庭教師から逃げ回り。どこまでやれば怒られ捨てられるのかを、リリアの両親で試し始めた。

リリアの両親は朗らかな性格でどんなにライラックが物を壊しても叱咤せず、苦笑いを浮かべて頭を優しく撫でるだけ。



偽善者め・・・・

どうせ僕なんて捨てたいくせに・・・・




ある日リリアの母親が、2歳のリリアを抱きライラックに与えられた部屋に訪れる。


「ライラック今日からリリアを宜しくね。可愛がってあげてね♪」


何を言われてるかわからず、唖然とするライラックにリリアを抱かせ部屋から退出する母親。

抱かれてるリリアは人見知りもせずニコニコ笑っている。なんだか能天気に笑ってるリリアに苛立ち床に下ろす。


「だっこぉーーーー!だっーーーこ!」


リリアを無視して本でも読もうと長椅子に座り本を広げる。トテトテと一生懸命歩いてきて、僕の足にすがり付『だっこぉぉぉーー』と甘えてくる、やはりイラッとして軽くリリアの額にデコピンする。自分に何をさせられたかわからない表情をし、だんだん顔が赤らみ、瞳に涙が溢れだすリリア。


「うァァーーーン!だっーーーこーーー!」


えっ!?痛いと泣くんじゃなくて、抱っこして貰えないのが嫌なんだとは思うけど泣いても無視する。どうせ放置すれば慌ててリリアの母親か侍女が来るだろう・・・・











リリアが泣き出しぐずっても誰も救出することなく15分たった・・・・

ライラックの部屋には誰も訪れる気配も足音もない、リリアは泣きすぎてひきつけを起こす。

さすがに哀れみが出てきたライラックは、リリアの背中を優しく擦すってやる


「うあーーーん、ひっくひっく、だっこぉ~」


はぁ~ため息をつき諦めてリリアを抱っこして膝の上に座らせてあげる。すぐには泣き止む事はなかったが、徐々にひきつけが落ち着いてくる。

なんだかお前も捨てられたみたいだな?泣いてこんなにひきつけ起こしてるのに、まったく誰も心配してないなんて、僕に暴力振るわれるとか考えてないのかな?


えっぐえっぐしながらも、リリアは僕の膝に座り瞼をグシグシ拭いている。10分もすれば落ち着いて、僕の胸に抱きついて寝始める。すやすやと




神経図太い!!




呆れもしたが、リリアの頭を優しくすいてやる。

何だか温かくて、可愛いくて・・・・

その件があったせいなのか、リリアはとにかく僕になついた。ご飯もお風呂も『ライに~一緒!』が口癖になり、夜にはベッドにも潜りこんできて一緒に寝た。両親とも使用人とも一緒に寝た記憶のなかった僕はリリアの暖かさになんだか涙が溢れた、家族とはこんなに暖かいものなのかもしれないと始めて知った。





僕が8歳 リリアが5歳

すっかり僕にベッタリのリリアは、いつも僕が家庭教師に時間を費やされる事にご不満だ。勉強が終わるまで、僕の部屋の前で頬を膨らまし終わるまでじっと待つ。たまに待ち疲れると廊下で寝てしまうことしばしば


とにかくここまで懐かれると、可愛くなってくる顔も平々凡々でソバカスなのにリリアの笑顔は心の底から溢れだす笑顔で、見ていてこちらも幸せになる


「すっかりリリアはライラックにベッタリだな。母上は2歳児特有イヤイヤ期を、ライラックに押し付けただけなのに本当にごめんな~」


リリアのお兄ちゃんのリース兄様も、最近では、すっかり僕を家族の一員のように話しかけてくれる。


「僕は・・・・リリアを押し付けられただけだったのか・・・・」


軽くショックを受けたが、リリアの家族は本当に暖かく家族はこういう物だと教えてくれた。

僕が熱をだせば必ず医者を呼び、普段騒がしいリリアが大人しく『ライに~痛いいたね。リリアも痛いいたい』と舌ったらずの口調で、一緒に添い寝する。うつるからダメだと言っても、号泣して側から離れない。リリアの両親もこうなったら仕方ないからとリリアを僕のベッドに寝かしつけてしまう。



いいのか!!それで!?



でも高熱で心の弱った僕には、側に誰か居てくれる嬉しさと安心でリリアと手を繋いで熟睡してしまう。すっかり僕もリリアに絆されてしまっている、彼女のお陰で僕はこの家族の一員になれた気がするのだから困ってしまう。

以前なら高熱で泣き出しても医者は呼ぶが後は放置された事だろう、ここでは辛い僕をみてリリアは一緒に泣いてくれる心配してくれる。僕はなんて幸せなんだろう


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