18 / 50
14歳の誕生日(3)
しおりを挟む『リリア!貴様との婚約を破棄させて貰う。公爵令嬢アメリアに行った様々な虐めや脅迫行為、これ以上見逃す訳にはいかない!』
華々しい夜会にそぐわない叫び声により、人々の話し声が息を潜め舞台中央に視線が注がれる。何が起きたか何を言われてるのか理解出来ず、ワナワナと身体を震わせながら暴言を吐く相手を見ても結果は何も変わらない。
『再度言わせてもらう、貴様との婚約は破棄させて貰う!お前の処分はすでに決まっている、貴様の一族にもそれ相当の罪を償って貰う。』
言い訳も反論も許されず、護衛に拘束され身動きをとれず。犯罪者をみるような視線、暴言が沸き起こり、人々から蔑む視線が注がれる。
私は何を間違えた?
私は王太子の婚約者になるべく知識・礼節を血も滲む想いで努力してきた。足りなかったのか?
身分・容姿・知識・努力も全てに置いて最初から足りなかったのでは?
彼女 公爵令嬢アメリアは全てに恵まれていた。努力しても決して得られない美貌は羨ましく焦がれ嫉妬し我を忘れた……。
嫉妬の炎で、様々なあらぬ噂を流した。様々な物を破壊した。得られたのは最低限の自尊心のみ
虚しい・・・・
寂しい・・・・
身分・容姿・博学な王太子を恋い焦がれる前に、私を拾わず捨て置いてくれれば、こんなにも醜く見苦しい女にならなかったのに・・・・
・
・
・
・
・
・
「リリア様~リリア様!大丈夫ですか?」
ピンクの髪は肩に掛かる緩やかなウェーブ、大きな目に赤い瞳 目鼻立ちがはっきりとした美少女が話しかけてる。
「お義兄ブラッディが、リリア様のお顔を握り潰すような事をなさるから、リリア様が放心状態になってしまったのです!」
「僕が!?悪いのか?どう考えてもコイツの行いが・・・・確かに一心不乱にケーキを食べているが、無表情で一言も話さない・・・・気味が悪いな・・・・」
何やら過去の断罪を思いだし、感傷に耽っている私にシスコン兄妹が声をかけてるらしい。心配までされては申し訳がたたない。
「お声をかけて頂いたのに、お返事が遅くなりまして申し訳ございません。改めてご挨拶を、私子爵家のリリアと申します、お茶会の際はお見苦しく失礼な態度この場で再度謝罪をさせて頂だきたくお願い申し上げます」
完璧な淑女の礼をとり、深々と頭を下げる。
先程との対応・口調が180度も違うリリアに、唖然とする二人
「リリア様!頭を上げて下さい。謝罪なんて私などに親しく声をかけて頂きとても嬉しかったです。それに春から同じ学園に通えると伺いました。出来たら親しくして頂ければ嬉しいです」
「アメリアお前は優しすぎるよ。リリア嬢は何か悪い物でも口に入れただけだ」
「アメリア公爵令嬢・ブラッディ公爵子息ご心配かけて申し訳ないです。私のような平々凡々の馬鹿にアメリア令嬢と、親しくなどもったいないです。」
まだ断罪の過去の余韻がぬけない、また過ちを繰り返してしまっているのでは?という衝動にかられる。
そもそも傲慢に女嫌いの克服のお手伝いという名目で、王太子の婚約者候補を了承するなど間違っているのでは?調子に乗りすぎていたのでないのか?
関わるべきではなかった・・・・
同情など傲慢にも甚だしい・・・・
そして婚約者候補の立場を軽く考えすぎていた。
今さら自ら辞退など出来るわけもなく、八方塞がりにしたのは自分自身。自らの首を自ら締め上げている。
なんだか泣きそうになる、自分の馬鹿さ加減にヘドがでる。
「ごめ・・・・ごめんなさい・・ちょっとお手洗いに・・・・」
そんな時だった・・・・
ふわっとリリアの頭の上に、手が置かれ優しく頭を撫でられる。
ふわっと身体を持ち上げられれば、抱き上げられる
「大丈夫だよ!リリアは僕が守るから、何にも心配しなくても平気だよ。やっと僕がお仕置きした意味わかったね。本当に馬鹿なんだから・・・」
目に水が溢れだす、ライラックはなぜこんなに優しいのかわからないけど、戻ってきてくれた安心と自分自身の愚かさで声にならない。喉に熱いものが込み上げて、しゃくりあげる
「ライお兄ちゃん・・・・助けて・・・・」
「だから言ったでしょ。何で僕に相談しなかったんだって・・・・大丈夫、ほら泣かない。ごめんね二人ともリリアはちょっと暗い過去が、トラウマでね。たまに精神不安になるんだ落ち着かせる為、この場を抜けるね」
「ライラック・・・・大丈夫なのか?本当何があったリリア嬢に」
「ライラック様リリア様を宜しくお願いします。今にも壊れてしまいそうです。」
ライラックは優しい笑顔で、リリアを抱きその場を離れていく。アメリアにもブラッディにもその場を止める事はなかった。
二人の絆のような雰囲気を壊す者などいなかった。
ただ寂しげにたたずむ・・・・王太子だけは居た。
0
お気に入りに追加
799
あなたにおすすめの小説
大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました
扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!?
*こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。
――
ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。
そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。
その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。
結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。
が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。
彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。
しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。
どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。
そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。
――もしかして、これは嫌がらせ?
メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。
「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」
どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……?
*WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。
[R18] 18禁ゲームの世界に御招待! 王子とヤらなきゃゲームが進まない。そんなのお断りします。
ピエール
恋愛
R18 がっつりエロです。ご注意下さい
えーー!!
転生したら、いきなり推しと リアルセッ○スの真っ最中!!!
ここって、もしかしたら???
18禁PCゲーム ラブキャッスル[愛と欲望の宮廷]の世界
私って悪役令嬢のカトリーヌに転生しちゃってるの???
カトリーヌって•••、あの、淫乱の•••
マズイ、非常にマズイ、貞操の危機だ!!!
私、確か、彼氏とドライブ中に事故に遭い••••
異世界転生って事は、絶対彼氏も転生しているはず!
だって[ラノベ]ではそれがお約束!
彼を探して、一緒に こんな世界から逃げ出してやる!
カトリーヌの身体に、男達のイヤラシイ魔の手が伸びる。
果たして、主人公は、数々のエロイベントを乗り切る事が出来るのか?
ゲームはエンディングを迎える事が出来るのか?
そして、彼氏の行方は•••
攻略対象別 オムニバスエロです。
完結しておりますので最後までお楽しみいただけます。
(攻略対象に変態もいます。ご注意下さい)
ドS騎士団長のご奉仕メイドに任命されましたが、私××なんですけど!?
yori
恋愛
*ノーチェブックスさまより書籍化&コミカライズ連載7/5~startしました*
コミカライズは最新話無料ですのでぜひ!
読み終わったらいいね♥もよろしくお願いします!
⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆
ふりふりのエプロンをつけたメイドになるのが夢だった男爵令嬢エミリア。
王城のメイド試験に受かったはいいけど、処女なのに、性のお世話をする、ご奉仕メイドになってしまった!?
担当する騎士団長は、ある事情があって、専任のご奉仕メイドがついていないらしい……。
だけど普通のメイドよりも、お給金が倍だったので、貧乏な実家のために、いっぱい稼ぎます!!
【R-18】年下国王の異常な執愛~義母は義息子に啼かされる~【挿絵付】
臣桜
恋愛
『ガーランドの翠玉』、『妖精の紡いだ銀糸』……数々の美辞麗句が当てはまる17歳のリディアは、国王ブライアンに見初められ側室となった。しかし間もなくブライアンは崩御し、息子であるオーガストが成人して即位する事になった。17歳にして10歳の息子を持ったリディアは、戸惑いつつも宰相の力を借りオーガストを育てる。やがて11年後、21歳になり成人したオーガストは国王となるなり、28歳のリディアを妻に求めて……!?
※毎日更新予定です
※血の繋がりは一切ありませんが、義息子×義母という特殊な関係ですので地雷っぽい方はお気をつけください
※ムーンライトノベルズ様にも同時連載しています
【R18】殿下!そこは舐めてイイところじゃありません! 〜悪役令嬢に転生したけど元潔癖症の王子に溺愛されてます〜
茅野ガク
恋愛
予想外に起きたイベントでなんとか王太子を救おうとしたら、彼に執着されることになった悪役令嬢の話。
☆他サイトにも投稿しています
好きすぎて、壊れるまで抱きたい。
すずなり。
恋愛
ある日、俺の前に現れた女の子。
「はぁ・・はぁ・・・」
「ちょっと待ってろよ?」
息苦しそうにしてるから診ようと思い、聴診器を取りに行った。戻ってくるとその女の子は姿を消していた。
「どこいった?」
また別の日、その女の子を見かけたのに、声をかける前にその子は姿を消す。
「幽霊だったりして・・・。」
そんな不安が頭をよぎったけど、その女の子は同期の彼女だったことが判明。可愛くて眩しく笑う女の子に惹かれていく自分。無駄なことは諦めて他の女を抱くけれども、イくことができない。
だめだと思っていても・・・想いは加速していく。
俺は彼女を好きになってもいいんだろうか・・・。
※お話の世界は全て想像の世界です。現実世界とは何の関係もありません。
※いつもは1日1~3ページ公開なのですが、このお話は週一公開にしようと思います。
※お気に入りに登録してもらえたら嬉しいです。すずなり。
いつも読んでくださってありがとうございます。体調がすぐれない為、一旦お休みさせていただきます。
悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~
一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、
快楽漬けの日々を過ごすことになる!
そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!?
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
未亡人メイド、ショタ公爵令息の筆下ろしに選ばれる。ただの性処理係かと思ったら、彼から結婚しようと告白されました。【完結】
高橋冬夏
恋愛
騎士だった夫を魔物討伐の傷が元で失ったエレン。そんな悲しみの中にある彼女に夫との思い出の詰まった家を火事で無くすという更なる悲劇が襲う。
全てを失ったエレンは娼婦になる覚悟で娼館を訪れようとしたときに夫の雇い主と出会い、だたのメイドとしてではなく、幼い子息の筆下ろしを頼まれてしまう。
断ることも出来たが覚悟を決め、子息の性処理を兼ねたメイドとして働き始めるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる