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聖女姫なんて柄じゃない…っ!
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ルーグナスト魔術学院。
二百年の歴史を誇り、時に戦場、時に闘技場、時に国際会議場、と姿を変え、人類史の要となっている由緒ある学校。
三学年で構成されているその学院の第二学年には、一人の”姫”が存在する。
名を、リーリア=ヴィルへスト。ヴィルへスト侯爵家の御令嬢だ。
公爵令嬢どころか自国、隣国の王女までもを数多く入学させている学院で、”侯爵”という身分にも関わらず本当に”姫”という地位にある女子生徒までもがリーリアのことを〈聖女姫〉と呼んでいる。
その理由は簡単明白。リーリアは五百年に一人と言われるほどの【光】の魔力を有している上、聖女の如く誰に対しても平等に優しく、暖かみに溢れた少女だからである。
ふわりと靡く水縹色の髪は花の香りを纏い、吸い込まれそうなルビーの瞳は深淵の如く深みを持つ。優等生然ときっちり身に着けている制服からは、清潔さと共に色香があふれ出している。笑えば花の様、冷静な表情でさえ一つの芸術作品。
リーリアはそんな常人離れした生徒である。
**
「はぁ~~」
一日の疲れを吐き出すような溜息と共に、彼女はベッドへ肢体を投げだした。
「あぁぁぁーーっ!つーかーれーたぁああああああ~~~ッ!!もうだめっ!もう動きたくないぃ~」
学院付属の寮。実力至上主義であるルーグナスト学院で、極一握りの強者しか入居することを許されない”選ばれし実力者の階”。
その階の中でも上位の者が住まう部屋に、その少女の哀れな声は響いた。
「はぁ~…”聖女姫”かぁ~。私はそんな柄じゃないのになぁ~」
制服が皴になりそうなほど寝返りを繰り返しながら、少女―リーリアは泣き出す寸前の声を上げた。
「それに…彼も、彼だし……」
リーリアの頭の中を埋め尽くすのは、幼馴染であり婚約者であるシルビアのこと。
(別に私を愛して欲しい…って思っているわけじゃない。ただ……)
細められた真紅の瞳に涙が滲んだ。
(……ただ?――ただ、なんなのかな…?)
上手く掴めない自身の心に問いかけるように、リーリアの思考は暗転した。
二百年の歴史を誇り、時に戦場、時に闘技場、時に国際会議場、と姿を変え、人類史の要となっている由緒ある学校。
三学年で構成されているその学院の第二学年には、一人の”姫”が存在する。
名を、リーリア=ヴィルへスト。ヴィルへスト侯爵家の御令嬢だ。
公爵令嬢どころか自国、隣国の王女までもを数多く入学させている学院で、”侯爵”という身分にも関わらず本当に”姫”という地位にある女子生徒までもがリーリアのことを〈聖女姫〉と呼んでいる。
その理由は簡単明白。リーリアは五百年に一人と言われるほどの【光】の魔力を有している上、聖女の如く誰に対しても平等に優しく、暖かみに溢れた少女だからである。
ふわりと靡く水縹色の髪は花の香りを纏い、吸い込まれそうなルビーの瞳は深淵の如く深みを持つ。優等生然ときっちり身に着けている制服からは、清潔さと共に色香があふれ出している。笑えば花の様、冷静な表情でさえ一つの芸術作品。
リーリアはそんな常人離れした生徒である。
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「はぁ~~」
一日の疲れを吐き出すような溜息と共に、彼女はベッドへ肢体を投げだした。
「あぁぁぁーーっ!つーかーれーたぁああああああ~~~ッ!!もうだめっ!もう動きたくないぃ~」
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その階の中でも上位の者が住まう部屋に、その少女の哀れな声は響いた。
「はぁ~…”聖女姫”かぁ~。私はそんな柄じゃないのになぁ~」
制服が皴になりそうなほど寝返りを繰り返しながら、少女―リーリアは泣き出す寸前の声を上げた。
「それに…彼も、彼だし……」
リーリアの頭の中を埋め尽くすのは、幼馴染であり婚約者であるシルビアのこと。
(別に私を愛して欲しい…って思っているわけじゃない。ただ……)
細められた真紅の瞳に涙が滲んだ。
(……ただ?――ただ、なんなのかな…?)
上手く掴めない自身の心に問いかけるように、リーリアの思考は暗転した。
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