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3・冒険者ギルド
しおりを挟む「こんにちは~♪」
〈転移〉魔法を使って人知れず城下へ降りる。
今世の私はピンクブロンドに赤と紫のオッドアイという少々派手な見た目をしているので、茶色の鬘に"色変眼鏡"という魔道具(私作)を使ってギルドへ入る。
「あら、こんにちは。ルーファちゃん。今日もお仕事?」
「はい。Bランクの仕事で日帰り、何かいいのありますか?」
「あら!もうBランクへ行ったの!?まだ七歳よね!?この調子だと、十五歳までにSランク行けちゃうんじゃない?」
冒険者にはGからSSSのランクがある。
普通に鍛錬した騎士がDランクで、SSSランクは四万人いるとされる冒険者でまだ五人しかなっていない奇跡のランク。んで、私はそんなSSSランクの五つ下。Bランクに所属している。
ここは確かに実力主義なんだけど、こなしたクエストの数もランクアップの条件に入るから時間が必要となってくるんだ。
「目指すは十五歳でSSSランクですよ、リイお姉さん。それで、何かありました?」
「…うーんとね。じゃあ、これなんてどう?大量発生したオークを始末してほしいっていう依頼。本来Aランクパーティー用なんだけど、ルーファちゃんなら一人で行けるんじゃないかしら?」
この世界には"モンスター"が存在する。これは"魔物"とはまた別の存在で、魔石をエネルギー源として存在している。"魔物"は私たちと同じように知能があり、"モンスター"は知能がない。だから世界的に危険視されていて、モンスターを倒す"冒険者"って言う職業が出来たんだって。
「!分かりました。じゃあそれ…」
本来Sランク相当の力を持っている私は、最近よくAランクのクエストをこなしていた。本来はダメなんだけど、ギルドマスターにお墨付きをもらっているから大丈夫なんだ~!
"早くSSSランクになりたいな"とワクワクしながら依頼書を受け取ろうとすると、隣から声が聞こえた。
「ねぇ、オーク多勢に女の子一人じゃ流石に危険じゃないかな?」
「!?」
横を見ると私と同い年か一、二歳年上の少年の姿。
ー恐らく彼も冒険者なのだろう。
「あら、ゼノ君。久しぶり。貴方もクエスト?」
受付嬢であるリイさんが私の隣にいる金髪蒼眼の少年―ゼノへ向かって話しかけた。
「はい。久しぶりに纏まった時間が取れたので、運動がてらクエストでもこなそうかと」
「あら!じゃあゼノ君、今暇なのね?」
「?まぁ、そうですけど…?」
「じゃあ、ルーファちゃんと一緒にこのクエスト受けてくれないかしら?」
「「!?!」」
出会ったばかりの人とクエスト!?
しかもオーク殲滅クエストって中々時間かかるヤツじゃないっけ?
ー恐らくこの子も貴族子息のお忍びだろうし…もし変に位が高かったら迷惑!深窓の令嬢として社交の場に出ていないから、素がバレても被害は少ないだろうけど…。
「えーっと…僕たち出会ったばかりだし、そもそもこんな小さな子がクエストなんて…」
ー!! 小さな子!?私がッ!?
「ふふふ。ルーファちゃんは確かに背が低いけど、実力派Sランク相当のBランク冒険者よ?実力もクラスもAランクの貴方とは釣り合いが取れると思うのだけど」
「…!?」
ーうわ。顔に"こんな小さな女の子の実力が僕より上のSランクッ!?"って書かれているよ。
…なんかムカつくなぁ~?
それからリイさん背が低いは余計です。七歳で百五センチは低くないッ!!(多分)
「…分かりました。どの道この子を一人じゃ行かせられないし、僕も運動したかったのでそれでいいです」
むうぅぅぅぅぅぅ!!本当ムカつくなぁ~!?
なんでそんなに"小さい子"認定するのッ!?全人生合わせたら二百五十歳くらいだよ?もはや御祖母ちゃんだよ?敬うべき対象なんだよッ?
「じゃあクエストを受注します。Aランク冒険者、ゼノとー」
「…Bランク冒険者、ルーファです」
「はい!じゃあ頑張ってくださいね!くれぐれもケガに気を付けて!いってらっしゃい!!」
こうして私とゼノの初クエストは幕を開けたー。
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