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第4章 トール・ド・ルート
第6話 光の精霊の行方と敵襲
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なんと、この星でこんなことが」
同じ頃、ソウマたちも真実を知っていた。
「ふむ、混沌こそが敵だったのか」
光と闇の集合体である混沌。
その混沌は、光と闇以外のものを取り込むことが目的らしい。
「あの地獄には、闇の軍勢しかいなかったが、どこかに光の軍勢が捕らえられた地獄もあるのか?」
ソウマたちが潜った地獄に捕らえられていたのは闇の軍勢がほとんどで、光の軍勢は足止め程度だった。
「ふむ。地獄といえば、私たちの故郷ではありますが……」
ナターシャが唸る。
「あの地獄には、闇の精霊がいた……。ならば光の精霊もいるはずです」
デーモンロードが話す。
「たしかに。光の精霊はまた別の所に捕らえられているのか?」
「一度、エグゼたちと合流した方がいいかもしれないな」
「ナターシャ、お前はソウマ殿と一緒に行くのだ。我はここを動くことができん」
「わかりました」
ラーズの街にて、一度集合したエグゼとソウマ一行。
「やはり、光の精霊の場所も探し出さないといけないか……」
二人の意見が一致したが、その答えはどこにも無い。
そもそも、地獄はどことつながるのかも判らないのだ。
先ほどの闇の軍勢たちの地獄すら、この瞬間にも別のところに転移してしまうこともある。
もしからしたら、この大陸には無いかもしれない。
しかし。
「霊峰メイルストローム。最も天に近いといわれる霊峰だが、その出自がよくわかっていない」
不意にミクが話し始めた。
「ここはエンシェントドラゴンが住まう山だからこそ、『霊峰』と呼ばれているのじゃ。ならば、同じ霊峰とよばれるメイルストロームにも、なにかあってもおかしくはないぞ」
なるほど、確かに一理ある。
「麓のツクヨミには、今はビスタが待機しているはずだ。連絡を取ってみよう」
エグゼが連絡を受けたビスタは、武具作りがひと段落した、たたらを伴ってなぜ『メイルストローム山脈が霊峰と呼ばれるようになったのか』を調べていた。
「私はただ、ミスリルなどのレアメタルが採れるからだと思っていだが……」
とたたらが言う。
ミスリル、ダマスカス、玉鋼。
さまざまな素材が採れる。しかし。
「どれもこれも、『霊峰エクレアのラルファリオン』や『武器不能地帯の魔水晶』には勝てない。いまいち霊峰の由来と位置付けるには弱いかもな」
かく言うビスタも、なぜここが霊峰なのか、疑問に思ったこともなかったのだが。
しかし、どの歴史の本を見ても、その理由しては。
レアメタルが豊富にある。
連峰のその雄大さ。
などの話ばかりで、光の軍勢や精霊が関係してくる書物がない。
「この図書館ではだめか……」
しかし、ほかにそういった書物を扱うところはこの街にはない。
そうなると古老を探し、話を聴きこむのが次なる手か。
「エグゼ様から伝言っす!」
その時、伝令役でハピナが飛んできた。
「月の大精霊ツクヨミ様の精霊の寝所に、それらしき本があるかも知れないみたいっす!今回は特別に入ってもいいそうっす!」
たしかに、ツクヨミの部屋には大きな書架があった。
そこに求める本はあるのだろうか。
「とりあえず行ってみるしかないな」
月の大精霊ツクヨミの部屋。
そこにはかなり大型の書架、と言うよりは小さな図書館だ。
今エグゼと契約している大精霊たちも、光の精霊や、闇の精霊のことは知らなかった。
かろうじてツクヨミのみが、この書架でそのような本を見た気がする、と言う程度。
しかし、何も手がかりがないまま動き回るよりは、可能性の高い方から潰していく方がいいだろう。
ハピナを加えた一行は歴史書物を中心に調べていく。
「しかし、恋愛小説が多いっすね~」
飽きてきたのか、ハピナが本を探す目的を失い始めた。
「ツクヨミ様の趣味だろう、あまり見てやるな」
とビスタ。
でも、興味はあるようだ。
「可愛らしいっすね!」
と、恋愛小説が並ぶ本棚に、5冊からなる恋愛小説があった。
しかし、作られた年代が明らかに古い。
この本だけ異質だった。
「おい、ハピナ。その欄には用はないだろう?こっちを手伝え!」
たたらがハピナに声をかけたが、ハピナはその本をパラパラとめくっている。
そして、逆にビスタとたたらを呼ぶ。
タイトルは。
『光と闇に包まれて~精霊の声~』
「もしかしたら、もしかするっすよ」
『光と闇は本来一つであった』
このあたりは今まで調べたことと同じことがかいてある。
内容的には光と闇は交わることができない悲恋を描いた小説だった。
『光の精霊は天に一番近い山脈に。闇の精霊は地獄に最も近い洞窟に』
「これは……」
「この大陸で一番高いのは、このメイルストローム連峰の霊峰メイルストローム」
「ビンゴ、っすかね?」
3人はその小説を読み進めていく。
すると、この小説は純粋な創作ではなく誰かの実体験を元に作られた小説であることがわかった。
その作者とは。
『光を統べる精霊』
そう、光の精霊の著書であった。
最後には。
『光と闇を解き放たんとするもの、山頂に来れ。さすれば光の塔現れ、汝らを導くだろう』
と。
「早速エグゼたちに報告だ、ハピナ」
「了解っす!」
「たたら、私たちは登山の準備だ。最悪、エグゼとソウマたちなしでも行くぞ」
「ああ!」
「エグゼ様、朗報っす!」
早速ハピナはエグゼとソウマにことの仔細を話す。
「じゃあ、メイルストロームの山頂に行けば、光の精霊に会えるかも知れないんだね?」
「そうっす!この街のこともあるので、エグゼ様かソウマ様、どちらかに来ていただけると……」
その時、執務室に飛び込んでくる者が
いた。
「た、大変です!」
周囲を哨戒していた、ハーピーの一人だ。
「これを……」
彼女が手にしていたのは、一通の手紙。
それは。
「トール・ドライゼン」
エグゼが呟く。
「トール・ドライゼン?たしかそいつは、トール・ド・ルートの……」
トール・ド・ルートを仕切るボスの名だった。
その内容は。
「トール・ド・ルートが、攻めてくる」
エグゼはその手紙を握りつぶした。
「……」
ソウマは何やら思案している様子だ。
「ど、どうするっすか?」
今現在のトップはソウマだ。
彼の采配次第で、この戦の勝敗は決まる。
「エグゼとミクは、ツクヨミの街に行き部隊を編成してくれ。ナターシャ、軍事戦略の経験は?」
「ち、知識はありますが、実戦は初めてですわ」
「十分だ」
「まて、ソウマ!お前の考えてることくらいわかるが、その身体では無茶だ!」
エグゼが叫ぶ。
ソウマは一言。
「大丈夫だ」
と言った後に命令を下す。
「メイルストロームの攻略は、ビスタ、たたら、ハピナに任せる。ハピナ、大変だとは思うが、ツクヨミに戻り、二人と合流して光の精霊の捜索を3人で行ってくれ」
「わかったっす!ちょっぱやで行くっす!」
「続いてエグゼ。お前もミクと一緒にツクヨミの街にいき、トール・ド・ルートに対抗する部隊を編成してくれ」
「ソウマ、僕は反対だ!僕が残るぞ!」
エグゼがここまで声を荒げるのも珍しい。
「ダメだ。これは命令だ」
そして、ここまで頑なに命令と言い切るソウマも見たことがなかった。
「しかし!」
その言葉を遮るようにソウマは次の命令を下す。
「ナターシャはこの街に残っている戦力で部隊を編成。のちにツクヨミの部隊よりも先行して出発だ」
「は、はい!あの…….ソウマ様は……」
おずおずと、ナターシャがソウマの役割を訪ねる。
「俺は一人、これから全速力でトール・ド・ルートと交戦場まで行き、戦を開始する」
今のタイミングでソウマが動けば、軍の侵攻の速度で3日はかかる場所で、トールと戦うことができる。
そしてエグゼとミクが早駆けでツクヨミのまちまで2日。
軍隊を率いてラーズに戻るのに4日。
計6日を、ソウマとこのラーズにいる部隊で食い止めればいいのだ。
「ま、俺が一人で全滅させちまうかも知れんがな!」
「だめだ、ソウマ!お前の傷は……っ!!」
「だめですソウマ様!そのお身体ではっ!」
エグゼとナターシャの声が重なる。
「エグゼ、ナターシャ。そこまでじゃ」
ミクが止める。
幼いとは言えミクもエンシェントドラゴンである。
ソウマの怪我がどういう状態なのかもわかっているだろう。
「これは戦争なのじゃ。そして、今ソウマが提案した戦術が一番被害が少ない」
「僕とソウマの役割は変わってもいいはずだ!」
「もし、トール・ドライゼンが出てきた時、お前は精霊の力を使わずに倒すことができるか?」
ソウマの問い。
エグゼは答えに詰まる。
「お前が精霊と融合して戦い、失ったものはなんだ?目は色覚をなくし、左腕を失なった。たしかに左腕がなかろうと、戦力としては申し分ない。しかし、次に失うのはなんだ?」
「それは……」
それは、エグゼにもわからない。
「視力を失うか。声を失うか。片足を失うか。
……命を失うか。わからないんだぞ」
「しかし、それを言ったら、ソウマ、君だってそうだ!
その身体で戦って、生きて帰れるのか!?」
「当たり前だ。俺を誰だと思ってやがる。
『メリクリウス』の『深淵のソウマ』だ。負けるはずがないだろう」
そこまで言い切り、ソウマは執務室を出て行く。
エグゼは悔しそうに机を叩くと、ミクと一緒にツクヨミの街に向かうのだった。
同じ頃、ソウマたちも真実を知っていた。
「ふむ、混沌こそが敵だったのか」
光と闇の集合体である混沌。
その混沌は、光と闇以外のものを取り込むことが目的らしい。
「あの地獄には、闇の軍勢しかいなかったが、どこかに光の軍勢が捕らえられた地獄もあるのか?」
ソウマたちが潜った地獄に捕らえられていたのは闇の軍勢がほとんどで、光の軍勢は足止め程度だった。
「ふむ。地獄といえば、私たちの故郷ではありますが……」
ナターシャが唸る。
「あの地獄には、闇の精霊がいた……。ならば光の精霊もいるはずです」
デーモンロードが話す。
「たしかに。光の精霊はまた別の所に捕らえられているのか?」
「一度、エグゼたちと合流した方がいいかもしれないな」
「ナターシャ、お前はソウマ殿と一緒に行くのだ。我はここを動くことができん」
「わかりました」
ラーズの街にて、一度集合したエグゼとソウマ一行。
「やはり、光の精霊の場所も探し出さないといけないか……」
二人の意見が一致したが、その答えはどこにも無い。
そもそも、地獄はどことつながるのかも判らないのだ。
先ほどの闇の軍勢たちの地獄すら、この瞬間にも別のところに転移してしまうこともある。
もしからしたら、この大陸には無いかもしれない。
しかし。
「霊峰メイルストローム。最も天に近いといわれる霊峰だが、その出自がよくわかっていない」
不意にミクが話し始めた。
「ここはエンシェントドラゴンが住まう山だからこそ、『霊峰』と呼ばれているのじゃ。ならば、同じ霊峰とよばれるメイルストロームにも、なにかあってもおかしくはないぞ」
なるほど、確かに一理ある。
「麓のツクヨミには、今はビスタが待機しているはずだ。連絡を取ってみよう」
エグゼが連絡を受けたビスタは、武具作りがひと段落した、たたらを伴ってなぜ『メイルストローム山脈が霊峰と呼ばれるようになったのか』を調べていた。
「私はただ、ミスリルなどのレアメタルが採れるからだと思っていだが……」
とたたらが言う。
ミスリル、ダマスカス、玉鋼。
さまざまな素材が採れる。しかし。
「どれもこれも、『霊峰エクレアのラルファリオン』や『武器不能地帯の魔水晶』には勝てない。いまいち霊峰の由来と位置付けるには弱いかもな」
かく言うビスタも、なぜここが霊峰なのか、疑問に思ったこともなかったのだが。
しかし、どの歴史の本を見ても、その理由しては。
レアメタルが豊富にある。
連峰のその雄大さ。
などの話ばかりで、光の軍勢や精霊が関係してくる書物がない。
「この図書館ではだめか……」
しかし、ほかにそういった書物を扱うところはこの街にはない。
そうなると古老を探し、話を聴きこむのが次なる手か。
「エグゼ様から伝言っす!」
その時、伝令役でハピナが飛んできた。
「月の大精霊ツクヨミ様の精霊の寝所に、それらしき本があるかも知れないみたいっす!今回は特別に入ってもいいそうっす!」
たしかに、ツクヨミの部屋には大きな書架があった。
そこに求める本はあるのだろうか。
「とりあえず行ってみるしかないな」
月の大精霊ツクヨミの部屋。
そこにはかなり大型の書架、と言うよりは小さな図書館だ。
今エグゼと契約している大精霊たちも、光の精霊や、闇の精霊のことは知らなかった。
かろうじてツクヨミのみが、この書架でそのような本を見た気がする、と言う程度。
しかし、何も手がかりがないまま動き回るよりは、可能性の高い方から潰していく方がいいだろう。
ハピナを加えた一行は歴史書物を中心に調べていく。
「しかし、恋愛小説が多いっすね~」
飽きてきたのか、ハピナが本を探す目的を失い始めた。
「ツクヨミ様の趣味だろう、あまり見てやるな」
とビスタ。
でも、興味はあるようだ。
「可愛らしいっすね!」
と、恋愛小説が並ぶ本棚に、5冊からなる恋愛小説があった。
しかし、作られた年代が明らかに古い。
この本だけ異質だった。
「おい、ハピナ。その欄には用はないだろう?こっちを手伝え!」
たたらがハピナに声をかけたが、ハピナはその本をパラパラとめくっている。
そして、逆にビスタとたたらを呼ぶ。
タイトルは。
『光と闇に包まれて~精霊の声~』
「もしかしたら、もしかするっすよ」
『光と闇は本来一つであった』
このあたりは今まで調べたことと同じことがかいてある。
内容的には光と闇は交わることができない悲恋を描いた小説だった。
『光の精霊は天に一番近い山脈に。闇の精霊は地獄に最も近い洞窟に』
「これは……」
「この大陸で一番高いのは、このメイルストローム連峰の霊峰メイルストローム」
「ビンゴ、っすかね?」
3人はその小説を読み進めていく。
すると、この小説は純粋な創作ではなく誰かの実体験を元に作られた小説であることがわかった。
その作者とは。
『光を統べる精霊』
そう、光の精霊の著書であった。
最後には。
『光と闇を解き放たんとするもの、山頂に来れ。さすれば光の塔現れ、汝らを導くだろう』
と。
「早速エグゼたちに報告だ、ハピナ」
「了解っす!」
「たたら、私たちは登山の準備だ。最悪、エグゼとソウマたちなしでも行くぞ」
「ああ!」
「エグゼ様、朗報っす!」
早速ハピナはエグゼとソウマにことの仔細を話す。
「じゃあ、メイルストロームの山頂に行けば、光の精霊に会えるかも知れないんだね?」
「そうっす!この街のこともあるので、エグゼ様かソウマ様、どちらかに来ていただけると……」
その時、執務室に飛び込んでくる者が
いた。
「た、大変です!」
周囲を哨戒していた、ハーピーの一人だ。
「これを……」
彼女が手にしていたのは、一通の手紙。
それは。
「トール・ドライゼン」
エグゼが呟く。
「トール・ドライゼン?たしかそいつは、トール・ド・ルートの……」
トール・ド・ルートを仕切るボスの名だった。
その内容は。
「トール・ド・ルートが、攻めてくる」
エグゼはその手紙を握りつぶした。
「……」
ソウマは何やら思案している様子だ。
「ど、どうするっすか?」
今現在のトップはソウマだ。
彼の采配次第で、この戦の勝敗は決まる。
「エグゼとミクは、ツクヨミの街に行き部隊を編成してくれ。ナターシャ、軍事戦略の経験は?」
「ち、知識はありますが、実戦は初めてですわ」
「十分だ」
「まて、ソウマ!お前の考えてることくらいわかるが、その身体では無茶だ!」
エグゼが叫ぶ。
ソウマは一言。
「大丈夫だ」
と言った後に命令を下す。
「メイルストロームの攻略は、ビスタ、たたら、ハピナに任せる。ハピナ、大変だとは思うが、ツクヨミに戻り、二人と合流して光の精霊の捜索を3人で行ってくれ」
「わかったっす!ちょっぱやで行くっす!」
「続いてエグゼ。お前もミクと一緒にツクヨミの街にいき、トール・ド・ルートに対抗する部隊を編成してくれ」
「ソウマ、僕は反対だ!僕が残るぞ!」
エグゼがここまで声を荒げるのも珍しい。
「ダメだ。これは命令だ」
そして、ここまで頑なに命令と言い切るソウマも見たことがなかった。
「しかし!」
その言葉を遮るようにソウマは次の命令を下す。
「ナターシャはこの街に残っている戦力で部隊を編成。のちにツクヨミの部隊よりも先行して出発だ」
「は、はい!あの…….ソウマ様は……」
おずおずと、ナターシャがソウマの役割を訪ねる。
「俺は一人、これから全速力でトール・ド・ルートと交戦場まで行き、戦を開始する」
今のタイミングでソウマが動けば、軍の侵攻の速度で3日はかかる場所で、トールと戦うことができる。
そしてエグゼとミクが早駆けでツクヨミのまちまで2日。
軍隊を率いてラーズに戻るのに4日。
計6日を、ソウマとこのラーズにいる部隊で食い止めればいいのだ。
「ま、俺が一人で全滅させちまうかも知れんがな!」
「だめだ、ソウマ!お前の傷は……っ!!」
「だめですソウマ様!そのお身体ではっ!」
エグゼとナターシャの声が重なる。
「エグゼ、ナターシャ。そこまでじゃ」
ミクが止める。
幼いとは言えミクもエンシェントドラゴンである。
ソウマの怪我がどういう状態なのかもわかっているだろう。
「これは戦争なのじゃ。そして、今ソウマが提案した戦術が一番被害が少ない」
「僕とソウマの役割は変わってもいいはずだ!」
「もし、トール・ドライゼンが出てきた時、お前は精霊の力を使わずに倒すことができるか?」
ソウマの問い。
エグゼは答えに詰まる。
「お前が精霊と融合して戦い、失ったものはなんだ?目は色覚をなくし、左腕を失なった。たしかに左腕がなかろうと、戦力としては申し分ない。しかし、次に失うのはなんだ?」
「それは……」
それは、エグゼにもわからない。
「視力を失うか。声を失うか。片足を失うか。
……命を失うか。わからないんだぞ」
「しかし、それを言ったら、ソウマ、君だってそうだ!
その身体で戦って、生きて帰れるのか!?」
「当たり前だ。俺を誰だと思ってやがる。
『メリクリウス』の『深淵のソウマ』だ。負けるはずがないだろう」
そこまで言い切り、ソウマは執務室を出て行く。
エグゼは悔しそうに机を叩くと、ミクと一緒にツクヨミの街に向かうのだった。
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