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少女達の守護者

62体目 白銀メイド3

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 一秒毎に背筋を駆け上がる快感に理性が悲鳴をあげている。絶頂が近い。今すぐにでもイキたい。菜々は震える身体を押しとどめ、最後のトドメを刺した。
 銀髪少女のクリトリスが押しつぶされ、一際大きく愛液が吹き上がる。だが菜々は自分も限界が近かったせいで腰を打ち付ける直前で力を抜いてしまった。
 白銀が振り乱されるがそれだけでは絶頂に届かず、更にそこから何度か腰を交わすことになる。

 カアッと熱が足先まで突き抜け、真っ白な世界が視界を覆う。どちらがどうなっても絶頂は止められない。止まらない。
 紅のツインテールが空中を鞭のように舞った。仰け反った事で、細い喉が顕わになる。

「ひううううううんっ! あひぃいいいっ! ダメッ! ダメえええええぇぇぇぇぇっっっ! ダメですのにぃぃいいいいいいいいいいいーーーー!」

「くああっ! 何耐えてんのよっ! 早く……ああああぁぁあっ! イ……イ……イク……はあぁっ! あああああぁぁぁあぁぁああああっっっ!」

 視界が失われる。全身が快感の塊になってしまったようだ。熱い飛沫がまたぐらと太ももを流れているのだけは分かる。
 次の瞬間見えたのは、口を開けて絶頂に溺れる相手の姿だった。同時絶頂。頭から倒れる。跳ねる身体、荒い息。艶めかしく光る肌。

 痙攣が終わるとあれだけ全身を覆っていた熱の塊が、まるで波が引いていくように流れ出ていく。
 それでも身体の各所に染み込んだ快感は消えず、二人は股を突き合せたままぐったりとして動かない。
 どちらが先に起きるのか……緑たち外野は生唾を呑み込み趨勢すうせいを見守る。

 ぜえぜえと呼吸する口から先に言葉を絞り出したのは銀髪の少女だった。

「負け……ない……諦めません……わよ……」

 それを聞いた菜々が咄嗟に口撃する。

「身体……動かないクセしてっ……強がってんじゃないわよおっ!」

「!」

 銀髪の少女より先に身体を起こし、もう一度、しかし今度は有利になるよう貝合わせの体勢を作った。
 陰唇がクリトリスを呑み込み、柔らかな肉が鋭敏な器官をこすった。
 少女は眉をハの字にゆがめ、歯をかみしめる。悔しいというよりも諦めと絶望感が混じった顔をしている。

「……」

「……どうしたの? 私はまだできるわよ」

「あ……ああ……」

「……」

 怯える瞳が静かに闘志を燃やす目に惹き付けられ、同時に負けを悟る。
 少女は咄嗟に、悲鳴のようなか細い声を喉からひり出した。

「こ、降参……降参っ! します! だから許してえ……」

「言うのが遅いっつーの……うわ! 汚いわよバカ!」

 貝合わせ中だと言うのに少女が漏らしたせいで菜々の下腹部に黄色い液体がパシャパシャ音を立ててかかった。
 敗北の印が生温く尻まで滴り落ちた。

「ごめんなさいぃ……」

 先程までの口調はどうしたのか、随分と素直な言葉が出てくる。安堵と恥ずかしさでいっぱいになってしまったのか、泣き顔を晒し脱力した。
 プライドと自信をへし折られ、子供のようにボロボロと涙をこぼす。

「……んもう仕方ないわね」

 そんな少女を見ていられなかったのか、それとも単に優しいだけなのか。菜々は少女に覆いかぶさり、何度か頬に口付けをした。
 ほっそりとした色白の裸体が重なり、体温を交換する。頬を包み込む小さな手が熱く優しく、溶け始めた意識を抱く。
 何度も軽いキスを繰り返した少女の身体は、ほのかな熱を残し落ち着いていった。

「ぁ……優しい……」

「勘違いすんじゃないわよ。まだ火照って収まんないの」

「そうですか……」

 会話を交わした後、またピロートーク代わりの口付けを繰り返し、心地良いぬるま湯に浸るような感覚を味わいながら少女は眠りに落ちていった。



「で、こいつ何?」

 気持ちよさそうに素っ裸で眠る少女を指差し、ブラの中に胸を寄せながら緑に愚痴っぽい口調で聞く。

「詳しい事は分からないが……大佐の言っていた『私たちに匹敵するハンター』か?」

 緑がそう言うと、残る三人も一斉に頷く。楽と奈津美は少女が脱いだメイド服を漁りながら、レモンはその様子を見ながらであった。

「可能性は……高そうね」

「むしろ、そうとしか考えられない……だろ?」

 ニヤニヤ笑いながら緑が菜々の背に覆いかぶさった。小さな背に巨乳が押し付けられ柔らかに潰れる。

「どういう意味かしら。私は匹敵するなんて微塵も思ってないけど」

「嘘をつけ嘘を。ギリギリの戦いだったのは見てて分かったぞ」

「いーえ、こいつの能力じゃどう足掻いても私の勝ちよ」

 菜々はあくまでもツンとした態度を取る。嘘をついている気は無いようだ。本心からそうだと思っているのだろう。
 しかしわずかな迷いがその声の中に含まれていた。

「単に、この女に実戦経験が少なかったからでは?」

「それは……」

「この女が驕らなければ、負けてた。違うか?」

「……ちょっと、どこ触ってるの」

「怒るなよ。揉みほぐしてやるだけだ」

 緑は菜々の腰周りや背中を優しく揉み始めた。バトル後のマッサージだ。
 菜々は好意を無下にするわけにもいかず、若干手つきがいやらしいのはこの際気にしないことにした。

「ん……いいわ、何にせよ、強い事は認める。でも聞いてたほどじゃない」

「ふむ。では別のハンターがいると?」

「その可能性は薄いわ。こんなのを何人も遊ばせる余裕は無いはず。私だったら見つけ次第『N』に突っ込むわ」

 菜々は自分が、ひいては皇都防衛隊のトップハンターが日本で一番強いハンター部隊であることを信じて疑わない。
 だがそんな自分達に匹敵するであろう特殊部隊の略称を口にする。

 NエヌRaIGaPライギャップ……新型荒獣情報収集小隊(New Rough animal Information Gathering Platoon)は日本各地を飛び回り新形荒獣の対応と情報収集を行う精鋭のハンター部隊だ。

 つまりはそれだけの戦闘力があると、何だかんだ言いながらも菜々は認めたのだ。

「ふむむ……で、結果はどうだ」

 緑は菜々の胸と腹部を触りながら、楽と奈津美に声をかける。楽は一つの手帳を、奈津美は自分のスマホの検索画面を見せながら笑った。

「大当たりだよ」

「しかもしかも! 多分大佐の娘さーん!」

 手帳には「一ノ瀬鈴谷いちのせすずや」との名前が記載されており、陸佐の名字「一ノ瀬」と一致している。画面を見ると、ハンター情報が。

 ハンターとしての登録は極最近、数日前だ。ソート数は1、つまり一度しか出撃していないにも関わらず、デイビーズ32体、ハイウルフ13体を倒している。
 低位荒獣のみとはいえ、驚異的な数字だ。

「間違いないな」

「……って、私不味くない? アレの娘こてんぱんにやったわけだけど、解雇とかなったりしない?」

 周りが興味津々しんしんに個人情報を漁る中、菜々だけは不安げに顔を曇らせる。

「ううん、菜々くんを解雇するなんて有り得ないと思うけどな……」

 楽が菜々の不安を取り払うように意見を言う。その時だった。

「その通りだ」

 突如としてドアが開き、男の声に全員が振り向く。軍服に各種徽章きしょうを付けた陸佐が、ツカツカと近づいてくる。

「たたっ、大佐!?」

 全員が敬礼するが、陸佐は手の平を見せて止めさせた。

「いいんだ。私が感謝したいだけなのだから、敬礼は必要ない」

 そう言って彼女達の前に立ち鈴谷に目を落とすと……ゆっくりと話し出した。

「この子は私の自慢の娘だよ。妻が死んでしまったので、私が育てた。随分と可哀想な事をしてしまったが、立派に育ってくれたんだよ。ただ周りに、娘よりできる者がいなかったせいか必要以上に自信家に育ってしまってね。今回の件……見たところ負けてしまったようだが、いい薬になるだろう。ありがとう」

 言い終わると陸佐はニッコリと微笑む。菜々は謙遜するが、陸佐はそれを止めることなく、単に「介抱してやってくれ」とだけ言って演習室を後にした。

 その後、彼女達は陸佐の言う通り鈴谷を菜々の部屋に持ち帰りベッドに寝かせ、目が覚めるまで待つ。
 鈴谷は目を覚ますと服を着て、手短に謝罪と感謝の言葉を述べるとバツが悪そうに自分の部屋へ帰って行った。
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