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第6話:人間の可能性

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「ただいま~」


捜査一課から特務課司令室に戻った北条。

「あ、お帰りなさい。」

いちばん最初に目が合った志乃が挨拶をする。

「ただいま。志乃ちゃんさ、今日は何時で帰る?」

「私ですか?とりあえず21時には仕事が片付くと思うんですけど……。」

「そっか。ひとつお願いがあるんだけど……。」


申し訳なさそうに手を合わせる北条。そしてその様子を見ていたあさみを手招きで呼ぶ。


「なぁに?」

「志乃ちゃんとあさみちゃんに、少しだけ協力して欲しいんだ。」


それは、北条が連続殺人犯を逮捕するための『布石』。


「志乃ちゃんの部屋を貸して欲しいんだ。なぁに、僕が足を踏み入れたり、汚したりはしない。あさみちゃんを少しだけ、部屋にいれて欲しいんだ。」

「え……?」

北条の言葉の意図が全く読めない志乃。
あさみも同じだったようで、


「北条さん、言ってる意味が全く分からないんだけど……。」

と、口を尖らせる。


「うん。最近の連続殺人犯の次のターゲット、それはきっと志乃ちゃんだと僕は踏んでるんだ。」

「わ……私ですか?」



北条の真剣な推理に、志乃の表情が凍りつく。
それでも、北条は言う。


「うん。僕が犯人なら、次は志乃ちゃんかな。だから、あさみちゃんに志乃ちゃんのふりをして、志乃ちゃんの部屋で待機していて欲しいんだ。」

「なるほど!私なら、余程のヒットマンでも来ない限り、やられないからね!」

「そうそう、それでね……。」


北条が、犯人を炙り出すための作戦を、志乃とあさみに告げる。


「それだけで、いいの……?」

「うん。きっと犯人には『それしか出来ない』と思うんだ。」

「はい……そう言うことなら、了解です……。」

「ごめんね志乃ちゃん。でも志乃ちゃんの身の安全は僕が保証するよ。捜査一課にも協力を頼んである。それに、僕も一緒にいるからね。」

「……分かりました。あさみちゃん、これが私の部屋の鍵です。」


北条を信じた志乃は、あさみに自分の部屋の鍵を手渡した。


「……ありがと。絶対に北条さんにいい方向でバトンを渡すからね!」


志乃から鍵を受け取ったあさみは、そのまま志乃の部屋へと走っていった。


「北条さん、いよいよ確信に迫ったのね。私たちに出来ることは?」


あさみが去った司令室には、司、辰川、悠真が控えている。


「3人は……いつも通り仕事して、いつも通りにあがって欲しい。」

その北条の言葉に、3人は驚く。

「犯人逮捕のチャンスなんでしょう?」

「うん、だからこそ、『いつも通りでないといけない』んだ。」

3人に普段通りの仕事をするよう告げる北条。
その言葉には、確かな理由があった。


「とにかく……今夜、犯人を逮捕するよ。」

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