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第6話:人間の可能性
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その夜、早速事件が起こった。
「人が、大きな植木鉢に生けられているんです!!」
そんな、おかしな通報から長い夜は始まった。
通報を受けたのは、志乃だった。
「落ち着いて……ゆっくり、深呼吸しながらで構いません。状況を詳しくお聞かせいただけますか?もうすぐこちらから刑事が向かいます。身の回りのことは心配しないで……。」
志乃が優しく澄んだ声で、通報者を落ち着かせようとする。が……。
「ひぃ……人が、大きな植木鉢に、生けられているんだ。大きな木の杭に縛り付けられて、足が、足が土に埋まっているんです……!」
「その人の性別は?」
「男性です……。若い、男性……。」
「その人、まだ生きていますか?」
「分かりません、怖くて見に行けない……。」
少しずつ、優しく目撃者の目の前の状況を確認するも、犯人は目の前のありえない状況に気が動転しているようだ。話している言葉が要領を得ない。
「虎太郎君、到着まであとどのくらい?」
「あー、たぶん10分かからねぇ!」
「僕も向かってるよ、15分くらいかな?」
志乃が虎太郎と北条に現着までの時間を確認する。
「大丈夫です、もうすぐに刑事が来ますから。警視庁でもトップクラスの捜査員です。安心してください。近づかなくてもいいです。その場から、少し呼びかけてみて下さいませんか?」
あくまでも優しく、ゆっくりと。
被害者が生きているのなら、迅速な処置が必要なのだが、それをいま目撃者に要求しても、思った通りの成果は得られないだろう。
ゆえに、虎太郎と北条の位置関係を確認したのだ。
「……反応が、ないです。でも……少しだけ動いたような……。」
「そうですか、ありがとう。おかげで何となくの状況が分かりました。頑張りましたね。」
優しく、目撃者に話しかける志乃。
(さすがね。気が動転している目撃者からここまで情報を引き出せるなんて……。きっと、私でもそこまでは出来ないわ。)
その様子を見ている司が、志乃の能力の高さに脱帽する。
「悠真君!各課と情報を共有しましょう。詳しい現場の住所を各課に転送して応援を!」
「りょうかい!!」
「辰川さんは半径2キロ圏内のパトロールを。住民への聞き込みも重ねてお願いします。」
「あいよ!」
次々と司の指示で動いていく特務課員。
「ねぇ司さん、あたしは~?」
「あさみはこの後、もしかしたら出番が来るかもしれないから待機。」
「え~~!!」
「とりあえず、室内に流れる情報をしっかり聞いていてちょうだい。その状況によっては出動をお願いするかもしれないから。」
これは、ただの事件ではない。
司の予感がそう言っていた。
「人が、大きな植木鉢に生けられているんです!!」
そんな、おかしな通報から長い夜は始まった。
通報を受けたのは、志乃だった。
「落ち着いて……ゆっくり、深呼吸しながらで構いません。状況を詳しくお聞かせいただけますか?もうすぐこちらから刑事が向かいます。身の回りのことは心配しないで……。」
志乃が優しく澄んだ声で、通報者を落ち着かせようとする。が……。
「ひぃ……人が、大きな植木鉢に、生けられているんだ。大きな木の杭に縛り付けられて、足が、足が土に埋まっているんです……!」
「その人の性別は?」
「男性です……。若い、男性……。」
「その人、まだ生きていますか?」
「分かりません、怖くて見に行けない……。」
少しずつ、優しく目撃者の目の前の状況を確認するも、犯人は目の前のありえない状況に気が動転しているようだ。話している言葉が要領を得ない。
「虎太郎君、到着まであとどのくらい?」
「あー、たぶん10分かからねぇ!」
「僕も向かってるよ、15分くらいかな?」
志乃が虎太郎と北条に現着までの時間を確認する。
「大丈夫です、もうすぐに刑事が来ますから。警視庁でもトップクラスの捜査員です。安心してください。近づかなくてもいいです。その場から、少し呼びかけてみて下さいませんか?」
あくまでも優しく、ゆっくりと。
被害者が生きているのなら、迅速な処置が必要なのだが、それをいま目撃者に要求しても、思った通りの成果は得られないだろう。
ゆえに、虎太郎と北条の位置関係を確認したのだ。
「……反応が、ないです。でも……少しだけ動いたような……。」
「そうですか、ありがとう。おかげで何となくの状況が分かりました。頑張りましたね。」
優しく、目撃者に話しかける志乃。
(さすがね。気が動転している目撃者からここまで情報を引き出せるなんて……。きっと、私でもそこまでは出来ないわ。)
その様子を見ている司が、志乃の能力の高さに脱帽する。
「悠真君!各課と情報を共有しましょう。詳しい現場の住所を各課に転送して応援を!」
「りょうかい!!」
「辰川さんは半径2キロ圏内のパトロールを。住民への聞き込みも重ねてお願いします。」
「あいよ!」
次々と司の指示で動いていく特務課員。
「ねぇ司さん、あたしは~?」
「あさみはこの後、もしかしたら出番が来るかもしれないから待機。」
「え~~!!」
「とりあえず、室内に流れる情報をしっかり聞いていてちょうだい。その状況によっては出動をお願いするかもしれないから。」
これは、ただの事件ではない。
司の予感がそう言っていた。
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