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第5話:暗躍する組織

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虎太郎と北条が別行動をとって1時間。


「悠真!!」

「はい了解。」


司令室に飛び込んだ虎太郎の頼みを、悠真は予め察して準備を進めていた。


「あの、『神の国』のサイトを……」

「だから、了解。」

「え?」

「何のために無線がついてるのさ。さっきのやり取り、ずっと聞いてたよ、早速準備してるから、少し待っててね。」


悠真は、自前のノートパソコンを司令室の端末につなぎ、あれこれ操作をしている。


「あれだけの信者を抱えるサイトだからね。いろんなプロテクトや裏コードがありそうなんだよね。こっちの情報を逆にハッキングされても困るから、準備だけは万全にしておこうと思ってね。」


「ほう……すげぇなやっぱり。で、どのくらいかかるんだ?」

「準備にあと20分。あとは……やってみないとわからないかな。」

「まぁ、そうだよな……。頼むわ。お前しかこのサイトをどうにかできないからな。」

「あとで、甘いものでも奢ってよ~」

「はいはい、分かったよ。」


虎太郎は、このまま司令室で事の顛末を見守ることにした。


一方、北条は……。


「ありがとうございました。情報収集がなかなか捗らなくてね。事件直後で心中お察ししますが、あえて伺った次第です。わかってください。この後、同じような悲しい事件が起こらないようにするためです……。」


大学生の自宅を後にし、他2件の同時多発事件の犯人の家族のもとに来ていた。
家族たちは悲痛な表情で、しかし北条にありのままを話してくれた。
その中で分かったこと。

3件の犯人たちは皆、家庭環境に問題はなかった。
そして、共通するのは……。

「やっぱり、サイトだったか……。あのサイトを開いたということは、何かしらの不安や問題があったということだね。そこまで調べるか……。」


北条が、手帳を開き先程まで犯人の家族に聞いていた事項を確認する。
勤務先、恋人の有無、趣味、行きつけの店など……。

「オジサンはオジサンらしく、しらみつぶしに行ってみるかね。」


足を止めている暇はない。
北条は片っ端から足を運ぶことにした。


「よーし、行きますか。……ん?」


そんな北条の携帯に着信が入っている。

「捜査一課・稲取……?」

胸騒ぎがする。
北条は急いで電話に出る。


「もしもし、北条です。」

「あ、北条さん!今どこだ?」

「今……赤羽付近だけど……?」

「すぐに台東区に来てくれ!」

「台東区……?」


珍しく取り乱している稲取。
ただ事ではない様子に、北条の足が自然と台東区の方へ向く。


「高層ビルの立ち入り禁止区域に、民間人が大勢……!」


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