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第6章:戦火・再び。
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「しっかし……バァさんが加入してからというもの、すっかり移動が楽になったな。」
ローランド王国、王城前の平野部。
シエラ一行はローランド国王にエルシードでの顛末を報告するために、王城へと向かうことにした。
「ゼロ……お主は妾を乗り物か何かと勘違いしておるな?……よぅし分かった。次はお主だけ、転移魔法から外していく!」
「げっ……怒るなよバァさん……別に誰もアンタのこと『乗り物』だなんて思ってねぇよ……。ゼルドとの戦いで、アンタは別次元の魔導士だって分かったからさ……。」
カミューの墓に寄った後、国境付近の砦からは一瞬だった。
『一度、訪れた地ならば転移できる』
そんなヨハネしか使えない転移魔法。
この魔法のお陰で、一行が移動にかける時間が劇的に減少したのだ。
「それよりじゃ、ゼロ。」
ヨハネは、ゼロの前に立ち、その鼻先に人差し指を突き付ける。
「な……なんだよ」
「妾のことを『バァさん』などと呼ぶでない!!何処からどう見ても、うら若き乙女であろうが!!」
確かに、1世紀は生きているとは言え、ヨハネは自ら編み出した『転生の秘術』
を使い、生きながらえている。
今の彼女の見た目は、十代後半から二十代前半ほどだろう。
ヨハネがゼロの顔をじっと見据える。
「で、でもよ……現に100年は生きてるんだし……」
そんなヨハネがゼロの顔間近まで迫ってきているのだから。ゼロもついつい赤面してしまう。
「『見た目は』若いのじゃから構わんのじゃ!!……通行人がいちいち妾の歳を聞いてから話すわけが無い。」
ごもっともな意見を述べよはねは言う
「じゃぁどうする?姉御?姐さん?……大先輩?」
ゼロはまるで冷やかすようにヨハネに問う。
ヨハネは少しだけ考えたが……
「ヨハネ、で良いわ。」
結果、呼び捨てで良いということに収まったらしい。
「さすがに呼び捨てはし辛いなぁ……」
「良い良い。お互いにその方が気を遣わずに済む。」
「分かった。じゃぁヨハネ、飯……買ってきてくれ。」
ゼロがヨハネの肩に手を置いた瞬間……
ゼロの身体が宙を舞った。
エルシードでの激戦で、またひとつ成長した一行。
ローランド王城まで、あと少し。
「久しぶりに戻ってきましたけど……何事もなかったでしょうか……?」
久しぶりのローランド王国。
シエラが帝国を落とされて最初に落ち延びた国であり、ゼロがエリシャを出て初めて滞在した国。
国王は、ふたりの両親と同じ、7英雄のひとり。
最近大陸を圧巻し始めた漆黒の軍勢に抗うことを決め、シエラたちに力を貸し、漆黒の軍勢に対抗する第一線の勢力となった、ローランド王国。
「帰ったぜ~」
城門では、番兵たちが一行の顔を見て素早く門を開ける。
「このローランド、アズマ、そしてエルシード……同盟国がどんどん増えていきますわね。このまま、大陸の他の国の協力も得られれば良いのですけど……。」
同盟国を作るという目的は順調といっても良い。
漆黒の軍勢の、2人の将軍に戦いで敗れはしたものの、国を征服されるまでには至っていない。
「でも……さ」
しかし、ゼロは不安を拭いきれない。
「エリシャみたいに、他の国に気づかれないまま滅ぼされる国だってあるだろ?早いとこ他の国に協力を頼んでおかねーと……行ったところで既に滅ぼされてましたじゃ済まねーぞ?」
それはシエラも懸念していることだった。
実際、帝国が落とされたのも突然の出来事だったし、侵略者はいつの間にか国境に迫っていた。
近隣諸国から連絡がないのが不思議なくらいだった。
「そうですわね……出来るだけ早く、他の国々と同盟・協定を組んで連絡体制を密にしておかないと……。もし襲撃されても、同盟かつ近隣の国の軍が応援に出られる体制を、出来るだけ早めに作っておく必要があります。」
シエラもゼロの意見に同調する。
「あとは、軍備の問題じゃの。同盟が増えたところで、将たる器の者がおらぬ。ゼロ、シエラ、ガーネット、そして妾でそれなりにバランスの取れた部隊は編成できるであろうが、いかんせん絶対数が足りぬ。そこもまた、問題じゃの。」
そしてヨハネが現状の戦力を冷静に分析する。
「やれやれ……前途多難ってわけか。」
ゼロは大きなため息を吐く。
「……まぁ、ここで悩んでいても仕方ありません。まずは陛下に謁見いたしましょう。そこで、これからの作戦を練るべきかと。」
こういう時に頼りになるのは『冷静な』人材。
ガーネットが、3人に提案すると、3人とも頷くことで同意した。
「じゃ、まずは『戦鬼』様にお目通りだな~」
ローランド王国、王城前の平野部。
シエラ一行はローランド国王にエルシードでの顛末を報告するために、王城へと向かうことにした。
「ゼロ……お主は妾を乗り物か何かと勘違いしておるな?……よぅし分かった。次はお主だけ、転移魔法から外していく!」
「げっ……怒るなよバァさん……別に誰もアンタのこと『乗り物』だなんて思ってねぇよ……。ゼルドとの戦いで、アンタは別次元の魔導士だって分かったからさ……。」
カミューの墓に寄った後、国境付近の砦からは一瞬だった。
『一度、訪れた地ならば転移できる』
そんなヨハネしか使えない転移魔法。
この魔法のお陰で、一行が移動にかける時間が劇的に減少したのだ。
「それよりじゃ、ゼロ。」
ヨハネは、ゼロの前に立ち、その鼻先に人差し指を突き付ける。
「な……なんだよ」
「妾のことを『バァさん』などと呼ぶでない!!何処からどう見ても、うら若き乙女であろうが!!」
確かに、1世紀は生きているとは言え、ヨハネは自ら編み出した『転生の秘術』
を使い、生きながらえている。
今の彼女の見た目は、十代後半から二十代前半ほどだろう。
ヨハネがゼロの顔をじっと見据える。
「で、でもよ……現に100年は生きてるんだし……」
そんなヨハネがゼロの顔間近まで迫ってきているのだから。ゼロもついつい赤面してしまう。
「『見た目は』若いのじゃから構わんのじゃ!!……通行人がいちいち妾の歳を聞いてから話すわけが無い。」
ごもっともな意見を述べよはねは言う
「じゃぁどうする?姉御?姐さん?……大先輩?」
ゼロはまるで冷やかすようにヨハネに問う。
ヨハネは少しだけ考えたが……
「ヨハネ、で良いわ。」
結果、呼び捨てで良いということに収まったらしい。
「さすがに呼び捨てはし辛いなぁ……」
「良い良い。お互いにその方が気を遣わずに済む。」
「分かった。じゃぁヨハネ、飯……買ってきてくれ。」
ゼロがヨハネの肩に手を置いた瞬間……
ゼロの身体が宙を舞った。
エルシードでの激戦で、またひとつ成長した一行。
ローランド王城まで、あと少し。
「久しぶりに戻ってきましたけど……何事もなかったでしょうか……?」
久しぶりのローランド王国。
シエラが帝国を落とされて最初に落ち延びた国であり、ゼロがエリシャを出て初めて滞在した国。
国王は、ふたりの両親と同じ、7英雄のひとり。
最近大陸を圧巻し始めた漆黒の軍勢に抗うことを決め、シエラたちに力を貸し、漆黒の軍勢に対抗する第一線の勢力となった、ローランド王国。
「帰ったぜ~」
城門では、番兵たちが一行の顔を見て素早く門を開ける。
「このローランド、アズマ、そしてエルシード……同盟国がどんどん増えていきますわね。このまま、大陸の他の国の協力も得られれば良いのですけど……。」
同盟国を作るという目的は順調といっても良い。
漆黒の軍勢の、2人の将軍に戦いで敗れはしたものの、国を征服されるまでには至っていない。
「でも……さ」
しかし、ゼロは不安を拭いきれない。
「エリシャみたいに、他の国に気づかれないまま滅ぼされる国だってあるだろ?早いとこ他の国に協力を頼んでおかねーと……行ったところで既に滅ぼされてましたじゃ済まねーぞ?」
それはシエラも懸念していることだった。
実際、帝国が落とされたのも突然の出来事だったし、侵略者はいつの間にか国境に迫っていた。
近隣諸国から連絡がないのが不思議なくらいだった。
「そうですわね……出来るだけ早く、他の国々と同盟・協定を組んで連絡体制を密にしておかないと……。もし襲撃されても、同盟かつ近隣の国の軍が応援に出られる体制を、出来るだけ早めに作っておく必要があります。」
シエラもゼロの意見に同調する。
「あとは、軍備の問題じゃの。同盟が増えたところで、将たる器の者がおらぬ。ゼロ、シエラ、ガーネット、そして妾でそれなりにバランスの取れた部隊は編成できるであろうが、いかんせん絶対数が足りぬ。そこもまた、問題じゃの。」
そしてヨハネが現状の戦力を冷静に分析する。
「やれやれ……前途多難ってわけか。」
ゼロは大きなため息を吐く。
「……まぁ、ここで悩んでいても仕方ありません。まずは陛下に謁見いたしましょう。そこで、これからの作戦を練るべきかと。」
こういう時に頼りになるのは『冷静な』人材。
ガーネットが、3人に提案すると、3人とも頷くことで同意した。
「じゃ、まずは『戦鬼』様にお目通りだな~」
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