冒険者育成学園の日常

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「私たちは尾張に付こうと思うのだけど異存はあるかしら？」彩先輩がそういった。僕は頷いたあと話し始める。
「河童に協力するのはいいですけど、僕は、できれば平和的に済ませたいです。あの……こんな事態になっても先生方はうごいてくれないんですかね？」
　そう聞くとセバスさんが答えてくれた。
「すでに動いているようですよ」
「えっ？そうなんですか？」驚いて聞き返す僕にセバス先輩は続けた。
「教員のなかで独自に動き始めている方もいるようです。一年担当のアルフ・カリオン先生とか」
「アルフ先生が？」意外な名前が出てきて驚く僕。彼は一年B組の担任の教師であり、僕も初日だけだが顔を合わせている。
　とても面倒見が良い人で、彼の授業はわかりやすく面白いと評判だ。
「まあ、あの方は優秀ですからいきなり学園を掌握されるということはないでしょう」そう言って笑うセバスさん。

「では、僕たちはこれからどうすればいいですか？」そう尋ねるとセバス先輩は答える。
「そうですね、とりあえず我々は情報収集に努めましょう。もう一人の力を持った新入生を見つけて仲間に出来れば状況が変わるかもしれません」
「でも、向こう側には情報収集のプロがいるんですよね？こちらが先に見つけられますかね？」僕がそういうと今度は彩先輩が答えた。
「大丈夫じゃないかな。だっては向こうの忍者は『服部』でしょう？伊賀忍者の」
「伊賀忍者だと大丈夫なんですか？」
　不思議に思って聞いてみたら彼女は笑って答えた。
「ええ。伊賀忍者ってのはね、戦闘技術はとても高いけど諜報活動は苦手なのよ。諜報活動や薬物の調合が得意なのは甲賀忍者よ」
　そうなんだ？でも苦手と言っても僕たち一般人よりは忍者の方が得意なのでは？そう思っていると彩先輩が続ける。
「それに多分、五行に全面的に協力してるわけじゃないと思うわ。だって伊賀忍者が本気で攻めるつもりならとっくの昔に勝負はついてるもの」
　そうなのだろうか？というか彩先輩って忍者のことに詳しいんだなあ。もしかして忍者マニア？なんて考えていたら彩先輩がこちらをジト目で見ていた。
「今変なこと考えたでしょ？違うわよ。私の知り合いにもいるのよ。忍者が」
「そうなんですか？へえ、会ってみたいなあ。どんな人なんだろう？ 僕、子供の頃忍者にあこがれていたんですよね！」
　目を輝かせて話す僕にセバス先輩は優雅に礼をしながらこう答えた。
「改めまして。ご紹介に預かりました。わたくし甲賀忍者が一人、セバスチャンでございます」
　ええええええーー！！セバス先輩が忍者？！