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執行部は学校の本館、職員室の隣に位置していた。河童に連れられてやってきた僕らは受付で事情を説明する。すると奥の部屋に案内され、そこでしばらく待つことになった。やがて金髪でイケメンの男やってきた。
(あれ?この顔、どこかで見たような?)
不思議に思っていると彼が話しかけてきた。
「はじめまして。私が執行部部長補佐を務めている織田三郎です。よろしくお願いします」何やら丁寧な挨拶してきたので慌ててこちらも挨拶をする。続いて他のみんなも自己紹介をする。最後に河童が名乗る番になったがなぜか黙っている。不審に思い見つめていると、いつもかけていたサングラスをおもむろに外した。
(あっ!)
その瞬間、先程の疑問が解けた。
同じ顔なのだ。執行部の織田さんと河童が。
「あれ?もしかして兄弟?!」僕は思わず口にすると、みんなの視線が織田さんと河童を行き来する。
「おい影よ、これはどういうことなのだ?答えろ!」
高圧的な態度で言う河童に対し、恭しく答える織田さん。
「御屋形様、申し訳ありません。実は件の女生徒二人は五行の手に落ちまして……」
「なんだと?では、あやつが動いたのか?」
「はい、その通りでございます」二人が話す間、僕は混乱して固まっていた。そんな二人を見て彩先輩が声をかけた。
「ねえ、これってどういうこと?わかるように説明してほしいんだけど?」その言葉を聞いた二人は顔を見合わせると頷き合ったあと話し始めた。
「実は我々はギルド尾張の者なのです」そう切り出したのは織田さんの方だった。
「お、尾張?!ギルド序列トップの?!」驚く彩先輩。
「ええ、その尾張です。まあ、トップではないですけどね」
「陰陽師どもの五行ギルドの奴らと天を二分してるのだ。忌々しいことにな」
吐き捨てるようにいう河童。それを気にせず織田さんは話を続ける。
「我々尾張と五行がぶつかると学園全体にただならぬ被害が出てしましますからね。そのため数年前から対立せずにお互い不干渉を貫いてきました。しかし最近になって状況が変わってしまったのです」
「状況がかわったとはどういうことでしょう?」
セバスさんが問いかけると織田さんは答える。
「今年の新入生に厄介なやつが入学してきてしまったのですよ。そいつの名は安倍晴実と言います」
その名前は聞き覚えがある。覚えがあんだけど……あれ?どこだったかな?思い出せない。思い出そうとしている僕を置いて話は進んでいく。
「そやつは今、学園に在籍してる陰陽術どもとは格が違うのだ。陰陽道はな、日本政府の命により明治の頃にに一度その技術が途絶えている。それが世界の改変を機に再び蘇えらせた。幸い土御門の家系はのこっていたからな。だが安倍晴実は違う」
「もしかして土御門ではない陰陽師の直系が?……そんなこと……いや、ひょっとすると……それならあり得ますが……」納得するセバスさん。僕にはなんのことだかわからなかったので聞いてみることにした。
「すみません、話が見えないんですが……いったいなにがどういうことなんですか?」すると織田さんが答えた。
「そうですね、簡単に言うと大昔の陰陽師の一部は日本から離れて海外に移住したのです。その為、陰陽の術が途絶えることなく現代まで受け継がれたのです。日本の歴史上最強といわれる物の怪、鬼すら使役する術をです」
それを聞いて絶句する一同。さらに続ける織田さん。
「かの一族はその力を使って政府中枢に入り込み好き勝手やってます。それこそ世界を牛耳ろうと画策するほどにね」
「そこの娘が今年の新入生として入ってきたのだ。しかもとびきり強力な力を持ってな」そう言って河童はため息をつく。
「それでどうなさるのですか御屋形様?」
尋ねる織田さんに河童はこう返した。
「もう一人が見つかれば良いのだがな。見つからなければ戦(いくさ)しかあるまい。未だ見つかってはおらぬのだろう?」
その言葉に頷く織田さん。それを見て今度は彩先輩が質問した。
「ねえ、もう一人って誰のことなの?」
「もう一人いるんですよ。今年の新入生に強力な力を持った人が。まあ、どんな能力を持っているかわからないのですが」
そう答えて黙り込む織田さん。そんな中、突然部室の扉が開いたかと思うと女の人が入ってきた。織田さんに何か言おうとしたのだけど、河童の顔を見るなり膝を折って頭を下げる。
「御屋形様。失礼します!」
「よい。急いでおるのだろ?申せ」
「はっ!忍びがこちらとの同盟を破り五行につきました!」
「なんだと!服部(はっとり)め裏切りおったのか!!」怒りをあらわにする河童。
しかしすぐに冷静になると続けてこう言った。
「すぐに行く。案内せよ!」
「かしこまりました!」そう言うと女は河童とともに部屋から出ていった。それを見送った後、彩先輩はこういった。
「いったん情報を整理しましょう!」
ありがたい。あまりの展開(主に河童の部分)に脳が拒否反応起こして記憶が多少吹っ飛んでいたから助かる。
(あれ?この顔、どこかで見たような?)
不思議に思っていると彼が話しかけてきた。
「はじめまして。私が執行部部長補佐を務めている織田三郎です。よろしくお願いします」何やら丁寧な挨拶してきたので慌ててこちらも挨拶をする。続いて他のみんなも自己紹介をする。最後に河童が名乗る番になったがなぜか黙っている。不審に思い見つめていると、いつもかけていたサングラスをおもむろに外した。
(あっ!)
その瞬間、先程の疑問が解けた。
同じ顔なのだ。執行部の織田さんと河童が。
「あれ?もしかして兄弟?!」僕は思わず口にすると、みんなの視線が織田さんと河童を行き来する。
「おい影よ、これはどういうことなのだ?答えろ!」
高圧的な態度で言う河童に対し、恭しく答える織田さん。
「御屋形様、申し訳ありません。実は件の女生徒二人は五行の手に落ちまして……」
「なんだと?では、あやつが動いたのか?」
「はい、その通りでございます」二人が話す間、僕は混乱して固まっていた。そんな二人を見て彩先輩が声をかけた。
「ねえ、これってどういうこと?わかるように説明してほしいんだけど?」その言葉を聞いた二人は顔を見合わせると頷き合ったあと話し始めた。
「実は我々はギルド尾張の者なのです」そう切り出したのは織田さんの方だった。
「お、尾張?!ギルド序列トップの?!」驚く彩先輩。
「ええ、その尾張です。まあ、トップではないですけどね」
「陰陽師どもの五行ギルドの奴らと天を二分してるのだ。忌々しいことにな」
吐き捨てるようにいう河童。それを気にせず織田さんは話を続ける。
「我々尾張と五行がぶつかると学園全体にただならぬ被害が出てしましますからね。そのため数年前から対立せずにお互い不干渉を貫いてきました。しかし最近になって状況が変わってしまったのです」
「状況がかわったとはどういうことでしょう?」
セバスさんが問いかけると織田さんは答える。
「今年の新入生に厄介なやつが入学してきてしまったのですよ。そいつの名は安倍晴実と言います」
その名前は聞き覚えがある。覚えがあんだけど……あれ?どこだったかな?思い出せない。思い出そうとしている僕を置いて話は進んでいく。
「そやつは今、学園に在籍してる陰陽術どもとは格が違うのだ。陰陽道はな、日本政府の命により明治の頃にに一度その技術が途絶えている。それが世界の改変を機に再び蘇えらせた。幸い土御門の家系はのこっていたからな。だが安倍晴実は違う」
「もしかして土御門ではない陰陽師の直系が?……そんなこと……いや、ひょっとすると……それならあり得ますが……」納得するセバスさん。僕にはなんのことだかわからなかったので聞いてみることにした。
「すみません、話が見えないんですが……いったいなにがどういうことなんですか?」すると織田さんが答えた。
「そうですね、簡単に言うと大昔の陰陽師の一部は日本から離れて海外に移住したのです。その為、陰陽の術が途絶えることなく現代まで受け継がれたのです。日本の歴史上最強といわれる物の怪、鬼すら使役する術をです」
それを聞いて絶句する一同。さらに続ける織田さん。
「かの一族はその力を使って政府中枢に入り込み好き勝手やってます。それこそ世界を牛耳ろうと画策するほどにね」
「そこの娘が今年の新入生として入ってきたのだ。しかもとびきり強力な力を持ってな」そう言って河童はため息をつく。
「それでどうなさるのですか御屋形様?」
尋ねる織田さんに河童はこう返した。
「もう一人が見つかれば良いのだがな。見つからなければ戦(いくさ)しかあるまい。未だ見つかってはおらぬのだろう?」
その言葉に頷く織田さん。それを見て今度は彩先輩が質問した。
「ねえ、もう一人って誰のことなの?」
「もう一人いるんですよ。今年の新入生に強力な力を持った人が。まあ、どんな能力を持っているかわからないのですが」
そう答えて黙り込む織田さん。そんな中、突然部室の扉が開いたかと思うと女の人が入ってきた。織田さんに何か言おうとしたのだけど、河童の顔を見るなり膝を折って頭を下げる。
「御屋形様。失礼します!」
「よい。急いでおるのだろ?申せ」
「はっ!忍びがこちらとの同盟を破り五行につきました!」
「なんだと!服部(はっとり)め裏切りおったのか!!」怒りをあらわにする河童。
しかしすぐに冷静になると続けてこう言った。
「すぐに行く。案内せよ!」
「かしこまりました!」そう言うと女は河童とともに部屋から出ていった。それを見送った後、彩先輩はこういった。
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