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突然の提案に驚く私。まさかそんな話を切り出してくるとは思わなかったからだ。しかし、彼女の口調からは冗談を言っているような感じはしないし本気のようだ。
「いや、それは、私の方では判断できません。なので、一度彼女と相談してから決めるという形になりますね」
『そう……。ところで、その子はどこの巫女かわかるかしら?火の神とか水の神とか風の神とか色々あるでしょう?』
「すみません、そこまではちょっとわからないです……。ただ、猫に翼が生えているというのは聞きました」
『翼が生えた猫、か。なるほどねぇ……』
考え込んでいる様子の彼女。しばらくして再び話し始めた。
『わかったわ、じゃあ、その件に関してはまた今度話し合いましょう。他に何かあるかしら?』
「ええと、そちらも魔力を集めていますよね?差し支えなければ理由を知りたいのですが」
『……差し支え、あるわね。教えられないわ』
きっぱりと言われてしまったので諦めることにした。これ以上聞いても教えてもらえなさそうだしな。
「わかりました。それでは、そろそろ失礼しますね」
私は立ち上がろうとした時、スマホから呼び止められた。
『待って、最後に一つだけいいかしら?』
振り返ると彼女は続けて言った。
『オオカミと蛇、そうあの子に伝えて。それで伝わるはずよ』
「あ、はい、わかりました」
私が返事をすると、通話が切れた。
「もういいのか?」
男が声をかけてきたので、頷き返す私。
「はい、ありがとうございました」
「そうか、それなら良かった。くれぐれもこのことは内密にな」
「それなのですが、そちらと協力するかしないか、あの子達にもにも聞いてみないといけないのですが、どうしましょうか?」
私の問いかけに男は答えた。
「ボスがOKを出したら良いんじゃないか?」
「わかりました……それと、あの方と連絡したいときはどうすればいいでしょう?」
「ああ、そうだな、この店に来るか、俺に電話してくれ」
そ う言うと彼は名刺を一枚差し出した。そこには電話番号が書いてある。
「ありがとうございます。では、今日はこれで失礼いたします」
受け取った名刺をポケットにしまうと、頭を下げて店を出ていった。
家に帰る途中、翼ちゃん達に何て伝えればいいのか考えていた。
あの人は思った通り、異世界から来た人だった。でも、信用は出来るのだろうか?何故、直接翼ちゃんに会いに行かないのだろう。
それに、どうやら猫ちゃんの事は向こうには知られてないみたいだった。あの子、と言っていた。あの子達ではなく。
それと、向こうにとって、私が出てくるのは予想外のような感じがした。用があるのはあくまで異世界から来た翼ちゃん達で、私が翼ちゃん達と協力関係にあることは想定外だったような、そんな感じがした。
あの人たちにも魔力を集める何かしらの理由があることが分かった。それと、おそらく他にも異世界から来た人を知っているのだろう。でなければ答えられないなんて言わないはずだ。知らないと言えばいいだけなのに。わざわざそう答えたってことは、何かあるはず。
そんなことを考えながら歩いていると家に着いた。鍵を開けて中に入ると電気をつける。テレビをつけてみるとちょうどニュースをやっていた。
『先日盗まれた宝石が本庁の方に送付されました。警察の調べでは……』
ああ、無事に届いたんだな。そんな内容を聞きながら着替えていると、スマホが鳴った。見ると翼ちゃんからだった。私は慌てて電話に出る。
「もしもし、翼ちゃん?」
『おじさん!今どこにいるの!?』
焦った様子で聞いてくる彼女に私は戸惑いながらも答える。
「えっと、今は家だけど……」
『喫茶店!すぐに来て!』
それだけ言うと電話を切られてしまった。いったい何があったんだろう?私は急いで支度をすると家を出たのだった。
喫茶店に着くと、翼ちゃんが待っていた。彼女は私の姿を見つけると駆け寄ってきた。
「おじさん!」
「どうしたの?」
何かあったのかと心配しながら問いかけると、彼女は私の手を掴んで引っ張った。
「とにかくこっち来て!」
言われるまま店内に入ると、カウンター席に座るような形で、猫ちゃんがぐったりと倒れていた。
「ちょ、ちょっと、これ、どういうこと!?」
慌てる私に翼ちゃんは説明してくれた。
「わかんない!なんか急にぐったりして動かなくなっちゃって!」
泣きそうになりながら話す翼ちゃんに私は尋ねる。
「すぐ病院に連絡しよう!」
「駄目!私たちが普通の人間じゃないってバレちゃう!」
「いや、異世界だろうがこっちだろうが人間なんて変わらないだろう?」
「違うの!駄目なの!」
泣きながら訴えてくる翼ちゃんの姿に私は困惑する。違う?何が?
「じゃあ、私はどうすればいい?どうすればこの子を助けられるの?」
私の問いに翼ちゃんはしばらく黙っていたが、やがて口を開いた。
「これ!何かわかる?これのせいで猫が!」
そう言って取り出したのは木の枝?なんだこれ?とりあえず受け取ってよく観察してみるが何もわからない。においを嗅ぐと何とも言えない香りがする。ただの木の枝にしか見えないのだが……。
「これは何なの?」
「わかんないよ!」
泣きじゃくる翼ちゃん。参ったなあ……。とりあえず、この枝が原因なら何とかしないと。でも、どうやって? 考えていると、ふと、あることを思い出した。
「ねえ、翼ちゃん。さっき人間なんて変わらないだろうって言った時、違うって言ったよね?あれってどういうこと?」
尋ねると彼女は言葉が詰まる。
「……それはっ……!」
言い淀む彼女を見つつ、私は質問を続けた。
「もしかしてなんだけど、猫ちゃんって……」
「いや、それは、私の方では判断できません。なので、一度彼女と相談してから決めるという形になりますね」
『そう……。ところで、その子はどこの巫女かわかるかしら?火の神とか水の神とか風の神とか色々あるでしょう?』
「すみません、そこまではちょっとわからないです……。ただ、猫に翼が生えているというのは聞きました」
『翼が生えた猫、か。なるほどねぇ……』
考え込んでいる様子の彼女。しばらくして再び話し始めた。
『わかったわ、じゃあ、その件に関してはまた今度話し合いましょう。他に何かあるかしら?』
「ええと、そちらも魔力を集めていますよね?差し支えなければ理由を知りたいのですが」
『……差し支え、あるわね。教えられないわ』
きっぱりと言われてしまったので諦めることにした。これ以上聞いても教えてもらえなさそうだしな。
「わかりました。それでは、そろそろ失礼しますね」
私は立ち上がろうとした時、スマホから呼び止められた。
『待って、最後に一つだけいいかしら?』
振り返ると彼女は続けて言った。
『オオカミと蛇、そうあの子に伝えて。それで伝わるはずよ』
「あ、はい、わかりました」
私が返事をすると、通話が切れた。
「もういいのか?」
男が声をかけてきたので、頷き返す私。
「はい、ありがとうございました」
「そうか、それなら良かった。くれぐれもこのことは内密にな」
「それなのですが、そちらと協力するかしないか、あの子達にもにも聞いてみないといけないのですが、どうしましょうか?」
私の問いかけに男は答えた。
「ボスがOKを出したら良いんじゃないか?」
「わかりました……それと、あの方と連絡したいときはどうすればいいでしょう?」
「ああ、そうだな、この店に来るか、俺に電話してくれ」
そ う言うと彼は名刺を一枚差し出した。そこには電話番号が書いてある。
「ありがとうございます。では、今日はこれで失礼いたします」
受け取った名刺をポケットにしまうと、頭を下げて店を出ていった。
家に帰る途中、翼ちゃん達に何て伝えればいいのか考えていた。
あの人は思った通り、異世界から来た人だった。でも、信用は出来るのだろうか?何故、直接翼ちゃんに会いに行かないのだろう。
それに、どうやら猫ちゃんの事は向こうには知られてないみたいだった。あの子、と言っていた。あの子達ではなく。
それと、向こうにとって、私が出てくるのは予想外のような感じがした。用があるのはあくまで異世界から来た翼ちゃん達で、私が翼ちゃん達と協力関係にあることは想定外だったような、そんな感じがした。
あの人たちにも魔力を集める何かしらの理由があることが分かった。それと、おそらく他にも異世界から来た人を知っているのだろう。でなければ答えられないなんて言わないはずだ。知らないと言えばいいだけなのに。わざわざそう答えたってことは、何かあるはず。
そんなことを考えながら歩いていると家に着いた。鍵を開けて中に入ると電気をつける。テレビをつけてみるとちょうどニュースをやっていた。
『先日盗まれた宝石が本庁の方に送付されました。警察の調べでは……』
ああ、無事に届いたんだな。そんな内容を聞きながら着替えていると、スマホが鳴った。見ると翼ちゃんからだった。私は慌てて電話に出る。
「もしもし、翼ちゃん?」
『おじさん!今どこにいるの!?』
焦った様子で聞いてくる彼女に私は戸惑いながらも答える。
「えっと、今は家だけど……」
『喫茶店!すぐに来て!』
それだけ言うと電話を切られてしまった。いったい何があったんだろう?私は急いで支度をすると家を出たのだった。
喫茶店に着くと、翼ちゃんが待っていた。彼女は私の姿を見つけると駆け寄ってきた。
「おじさん!」
「どうしたの?」
何かあったのかと心配しながら問いかけると、彼女は私の手を掴んで引っ張った。
「とにかくこっち来て!」
言われるまま店内に入ると、カウンター席に座るような形で、猫ちゃんがぐったりと倒れていた。
「ちょ、ちょっと、これ、どういうこと!?」
慌てる私に翼ちゃんは説明してくれた。
「わかんない!なんか急にぐったりして動かなくなっちゃって!」
泣きそうになりながら話す翼ちゃんに私は尋ねる。
「すぐ病院に連絡しよう!」
「駄目!私たちが普通の人間じゃないってバレちゃう!」
「いや、異世界だろうがこっちだろうが人間なんて変わらないだろう?」
「違うの!駄目なの!」
泣きながら訴えてくる翼ちゃんの姿に私は困惑する。違う?何が?
「じゃあ、私はどうすればいい?どうすればこの子を助けられるの?」
私の問いに翼ちゃんはしばらく黙っていたが、やがて口を開いた。
「これ!何かわかる?これのせいで猫が!」
そう言って取り出したのは木の枝?なんだこれ?とりあえず受け取ってよく観察してみるが何もわからない。においを嗅ぐと何とも言えない香りがする。ただの木の枝にしか見えないのだが……。
「これは何なの?」
「わかんないよ!」
泣きじゃくる翼ちゃん。参ったなあ……。とりあえず、この枝が原因なら何とかしないと。でも、どうやって? 考えていると、ふと、あることを思い出した。
「ねえ、翼ちゃん。さっき人間なんて変わらないだろうって言った時、違うって言ったよね?あれってどういうこと?」
尋ねると彼女は言葉が詰まる。
「……それはっ……!」
言い淀む彼女を見つつ、私は質問を続けた。
「もしかしてなんだけど、猫ちゃんって……」
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