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二人は並んでカウンター席に座る。
「紅茶でいいかな?それともコーヒーにするかい?」と尋ねると、同時に答えが返ってきた。
「ミルクティーがいいな!」「あ、じゃあ私も同じものを」
「了解しました」二人のオーダーを聞いて早速作り始める。
出来上がったミルクティーをそれぞれの目の前に置くとさっそく飲み始めた。一息ついたところで猫ちゃんが真っ白い布に包まれた四角い板のようなものを渡してきた。結構大きいな。なんだろう?
「はい、これおみやげ。店の適当なところに飾るといいよ」
布を外してみると、中には絵が出てきた。立派な額縁に入った絵画だ。青い服みたいなものを腰に巻いた女性が小さな水瓶を持っている絵だ。
「これは……?」思わず質問すると翼ちゃんが答えた。
「フェルメールって人の絵だって。おじさん、知ってる?」
「いや、知らないな。それにしても綺麗な絵だね」
「でしょ~?」なぜか自慢げな猫ちゃん。
「ちなみにいくらくらいするものなんだ?」
値段を聞いてみることにした。高いものなら貰うわけにもいかないしなあ……と思っていたのだが答えは予想の遥か上のものだった。
「60万ポンドだよ」
さらっと答える猫ちゃん。思わず耳を疑った。
「……え?なんて?60万円?」
「違うって。だから、60万ポンドだよ」
猫ちゃんは繰り返した。
「……え?ええっ?!」
驚きのあまり声が裏返ってしまった。60万円じゃなくて60万ポンド?あれ、1ポンドって何円だ?たしか10円より高かったはず。
「ちなみに日本円に換算したらどれくらいになるのかな?」
おそるおそる聞いてみると、猫ちゃんはあっさり教えてくれた。
「んー、まあ、だいたい約1億円かな?」
「い、いちおくぅ?!」
あまりの金額に頭がくらくらする。そんな私の様子に気づいたのか、猫ちゃんはこう付け加えた。
「大丈夫だよ。本物じゃないから」
「え?どういうこと?」
「だって本物だったらそんなもんじゃないもの。十倍以上はするよ。これは贋作」
「贋作ってことは偽物だよね?それにしても1億円なんて大金すぎるだろ……そんなの貰えないよ……」
頭を抱える私に翼ちゃんが説明してくれた。
「昨日、猫から聞いたよね?私には魔力が必要だって」
「ああ、聞いたね……」
「それでね、この絵画には魔力があったの。もう抜いたけどね」
「つまり、魔力はもう取ったから絵画の方は用済みってこと?」
「そういうことー!」
元気よく答える猫ちゃんに私は呆れていた。なんというかスケールが違うというか……。そんな私の様子を見て猫ちゃんは不思議そうな顔で尋ねてきた。
「どうしたの?嬉しくないの?」
「嬉しいっていうか、びっくりしちゃって……」
「そっかぁ……喜んでもらえると思ったんだけどな……」
残念そうに肩を落とす猫ちゃん。翼ちゃんも心配そうな顔でこちらを見ていた。ああ、これは断れない。これは受け取らざるを得ないやつだ。
「ごめんごめん、すごく嬉しかったよ。ありがとう!」気を取り直して礼を言うと、彼女は笑顔で答えた。
「どういたしまして!」
「そういえば、この絵ってどこで手に入れたんだい?」気になったので聞いてみた。
「ロンドンのオークションだよ。」
「ロンドン?じゃあ朝から二人が出かけてたのってロンドンに行ってきたってこと?」
「ううん、違うよ。さすがに日帰りで日本とロンドンは往復できないよ」
「じゃあ、どうやって買ったの?」
「代理落札だね。現地に行かなくても業者を通して買えるんだよ」
なるほど……そういうものがあるのか……。
「ありがとう。飾らせてもらうよ」
改めてお礼を言うと、彼女は笑顔で頷いた。
「そういえば、またあの刑事たちが店にきてたぞ」
思い出したように伝えると猫ちゃんは嫌そうな顔をした。
「えー、また来てるのぉ?」
「なんか事件の調査をしてるようだけど、あの路地のやつかな?最初に猫ちゃんに会った時の」
「どうだろう。あの時って私、何も盗んでないんだよねえ……」
首を傾げる猫ちゃん。翼ちゃんが口を挟む。
「そうそう、不発だったんだよねえ」
「うん、だから私たちは無関係だと思う……思うんだけど、ちょっと気になるよね……」
考え込むような仕草をする猫ちゃんを見て翼ちゃんが言う。
「あんまり関わらない方がいいんじゃない?」
「うん、まあそうなんだけどね……」
何か思うところがあるようだ。まあ、何なら私が探りを入れてみるのもいいかもしれない。次に刑事さんが来たらそれとなく聞いてみようか。そんなことを思いながら、ふと時計を見ると閉店時間から一時間も過ぎていた。
「おっと、外が暗くなる前に帰らないとね」慌てて二人に帰るように促す。
「そうだね!帰ろうか!」元気に返事をする猫ちゃん。「うん、じゃあね!おじさん」手を振る翼ちゃん。
「ああ、また明日ね」
そうして、彼女たちは帰っていった。私も店の戸締りをして帰ることにした。
「紅茶でいいかな?それともコーヒーにするかい?」と尋ねると、同時に答えが返ってきた。
「ミルクティーがいいな!」「あ、じゃあ私も同じものを」
「了解しました」二人のオーダーを聞いて早速作り始める。
出来上がったミルクティーをそれぞれの目の前に置くとさっそく飲み始めた。一息ついたところで猫ちゃんが真っ白い布に包まれた四角い板のようなものを渡してきた。結構大きいな。なんだろう?
「はい、これおみやげ。店の適当なところに飾るといいよ」
布を外してみると、中には絵が出てきた。立派な額縁に入った絵画だ。青い服みたいなものを腰に巻いた女性が小さな水瓶を持っている絵だ。
「これは……?」思わず質問すると翼ちゃんが答えた。
「フェルメールって人の絵だって。おじさん、知ってる?」
「いや、知らないな。それにしても綺麗な絵だね」
「でしょ~?」なぜか自慢げな猫ちゃん。
「ちなみにいくらくらいするものなんだ?」
値段を聞いてみることにした。高いものなら貰うわけにもいかないしなあ……と思っていたのだが答えは予想の遥か上のものだった。
「60万ポンドだよ」
さらっと答える猫ちゃん。思わず耳を疑った。
「……え?なんて?60万円?」
「違うって。だから、60万ポンドだよ」
猫ちゃんは繰り返した。
「……え?ええっ?!」
驚きのあまり声が裏返ってしまった。60万円じゃなくて60万ポンド?あれ、1ポンドって何円だ?たしか10円より高かったはず。
「ちなみに日本円に換算したらどれくらいになるのかな?」
おそるおそる聞いてみると、猫ちゃんはあっさり教えてくれた。
「んー、まあ、だいたい約1億円かな?」
「い、いちおくぅ?!」
あまりの金額に頭がくらくらする。そんな私の様子に気づいたのか、猫ちゃんはこう付け加えた。
「大丈夫だよ。本物じゃないから」
「え?どういうこと?」
「だって本物だったらそんなもんじゃないもの。十倍以上はするよ。これは贋作」
「贋作ってことは偽物だよね?それにしても1億円なんて大金すぎるだろ……そんなの貰えないよ……」
頭を抱える私に翼ちゃんが説明してくれた。
「昨日、猫から聞いたよね?私には魔力が必要だって」
「ああ、聞いたね……」
「それでね、この絵画には魔力があったの。もう抜いたけどね」
「つまり、魔力はもう取ったから絵画の方は用済みってこと?」
「そういうことー!」
元気よく答える猫ちゃんに私は呆れていた。なんというかスケールが違うというか……。そんな私の様子を見て猫ちゃんは不思議そうな顔で尋ねてきた。
「どうしたの?嬉しくないの?」
「嬉しいっていうか、びっくりしちゃって……」
「そっかぁ……喜んでもらえると思ったんだけどな……」
残念そうに肩を落とす猫ちゃん。翼ちゃんも心配そうな顔でこちらを見ていた。ああ、これは断れない。これは受け取らざるを得ないやつだ。
「ごめんごめん、すごく嬉しかったよ。ありがとう!」気を取り直して礼を言うと、彼女は笑顔で答えた。
「どういたしまして!」
「そういえば、この絵ってどこで手に入れたんだい?」気になったので聞いてみた。
「ロンドンのオークションだよ。」
「ロンドン?じゃあ朝から二人が出かけてたのってロンドンに行ってきたってこと?」
「ううん、違うよ。さすがに日帰りで日本とロンドンは往復できないよ」
「じゃあ、どうやって買ったの?」
「代理落札だね。現地に行かなくても業者を通して買えるんだよ」
なるほど……そういうものがあるのか……。
「ありがとう。飾らせてもらうよ」
改めてお礼を言うと、彼女は笑顔で頷いた。
「そういえば、またあの刑事たちが店にきてたぞ」
思い出したように伝えると猫ちゃんは嫌そうな顔をした。
「えー、また来てるのぉ?」
「なんか事件の調査をしてるようだけど、あの路地のやつかな?最初に猫ちゃんに会った時の」
「どうだろう。あの時って私、何も盗んでないんだよねえ……」
首を傾げる猫ちゃん。翼ちゃんが口を挟む。
「そうそう、不発だったんだよねえ」
「うん、だから私たちは無関係だと思う……思うんだけど、ちょっと気になるよね……」
考え込むような仕草をする猫ちゃんを見て翼ちゃんが言う。
「あんまり関わらない方がいいんじゃない?」
「うん、まあそうなんだけどね……」
何か思うところがあるようだ。まあ、何なら私が探りを入れてみるのもいいかもしれない。次に刑事さんが来たらそれとなく聞いてみようか。そんなことを思いながら、ふと時計を見ると閉店時間から一時間も過ぎていた。
「おっと、外が暗くなる前に帰らないとね」慌てて二人に帰るように促す。
「そうだね!帰ろうか!」元気に返事をする猫ちゃん。「うん、じゃあね!おじさん」手を振る翼ちゃん。
「ああ、また明日ね」
そうして、彼女たちは帰っていった。私も店の戸締りをして帰ることにした。
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