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最終章
第117話 最高の休日
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「だ、だ、大丈夫ですよ先輩。私にゃら、ぴんぴんしてますっ!」
しかも噛んでるし。何かあったのかな?
「せ、先輩こそどうしてここに来たんですか? 確か、休暇を頂いていたはずですよね」
「そうなんだけど──その帰りに道を歩いてたら、ニナたちが戦っているのを見つけた。それで、放っておけなくて戦いに加わったんだ」
俺の言葉を聞いてニナは、大きく息を吐いて腰に手を置く。そして、微笑を浮かべて言葉を返してきた。
「もう──お人よしの先輩らしいというか」
「それは、ありがと」
するとニナは、ウィンの方に視線を向ける。まるで、ウィンの全身を見るようにきょろきょろと視線を動かしてきた。ウィンに、何かついているかのように。
「ウィンちゃん、ちょっと日に焼けてないですか?」
「ああ、二人で海に行っててね。そのせいだと思う」
「海? 海に行ってたんですか?」
「うん、そうだよ。ここまで、いろいろあって疲れちゃったから──たまには楽しみがあってもいいかなって、ウィンと一緒に海に言って楽しんでたんだ」
日焼けか。どう返せばいいか迷ったが、うまくごまかす言葉が思いつかず正直に答えてしまった。
「そ、そういうことだったんですか……」
ぼそっと、独り言のようにつぶやいた。
一瞬だけ、ニナの瞳から光が消えたのを感じ取った。何かあったのかな。今日のニナは、何かおかしい。
とりあえず、ごまかし手も後でぼろが出るだろうと考え、真実を話してしまった。まあ、言って問題があることじゃないし、別にいいか。
「あ……はい──そうなんですか……」
ニナの表情が、数秒ほどふっと消えて無表情になってしまう。そして、何かを振り切るかのように顔をぶんぶんと振ってから、にっこりと笑顔になった。
そして、腰を曲げ、膝に手をついてウィンの目線に合わせてウィンに話しかけた。
「ウィンちゃんは、楽しかった?」
「は、はい……楽しかった──です。その──はい」
ウィンもどこか遠慮気味に、気まずそうにしている。あまり、大っぴらにこのことを言いたくないかのようだ。
きょろきょろと、ニナから目線をそらす。
何なんだろう。さっきからニナの様子がおかしい。何か、地雷でもふんじゃったのかな?
「何ていうか、カップルみたいですね」
「そう……見えるかもしれないですね」
ウィンも、どこかいいずらそうに言葉を返している。
「ウィンちゃん、ガルド先輩どう? 頼りないとか、もっとエスコートしてほしいとか、思ったりしてない?」
ウィンは、ドキッと思い当たる節があるかのように体をピクリとさせ、視線をニナからきょろきょろと目を泳がせる。
「も、問題ないです……。ガルド様は、私のために一生懸命尽くしてくれます。私のことを、いつも思ってくれていて、一緒にいて良かったって、心の底から感じています。確かに、もうちょっと強く押してきて欲しいとは感じますが」
その言葉に、ニナはにっこりと笑みを浮かべてきた。
「ああ……やっぱり、そういうことだったんですね……」
ぼそっと、そうつぶやく。まるで、思い当たる節があるかのような物言い。
どこかニナの様子がおかしい。やはり、何か悪いことをしてしまったのだろうか。
「ニナ、ごめん──その……」
慌てて謝るものの、ニナは笑顔を浮かべたまま俺の隣に移動する。そして──。
バン!!
「いてっ!」
あろうことかニナが、背中を思いっきりバンと叩いてきたのだった。。いたたたた……。
ちょっとは手加減しろよな……。背中を押さえながら涙目でニナをじっと見る
「先輩。そんな表情してちゃだめです。もっと元気出して──」
「元気出してって……」
ニナが、人差し指を俺のほっぺに当ててくる。
「ほら、愛しのウィンちゃんのために──もっとカッコイイ所見せてあげなさい! ねっ」
そう言って、再びウィンの方向を向いてウィンクをする。
「後輩として、本当にすごいと思うし──素敵な人だと思うよ」
そして、大きく息を吐いた。
「後輩として──ですか?」
「うん、ニナは──大切な後輩だよ」
精一杯に、ニナに対して感謝の言葉をかける。これからも、ニナにはもっと頑張って腕をあげてほしい。ニナは、実力もそうだけど正義感も向上心もある。これから、もっと腕をあげてほしい。
そのために、ニナを精一杯労って──喜ばせようと言葉をかける。
ニナは、照れているのか顔をほんのりと赤く染めほっぺを人差し指でポリポリと触れていた。
そして、軽く頭を下げる。
「ありがとうございます。私、これからももっと強くなるように努力します」
「応援してるよ」
「じゃあ、一緒に帰りましょう」
「そうだね」
周囲を見回すと、救護班の人がけが人を手当てしたり、元気な人たちは一人また一人と帰路についているのがわかる。
ウィンとニナは戦いに疲れているだろうし、俺たちも帰ろう。
そして俺たちは、王都へと歩いていく。
3人で歩きながら、バカンスのこと、戦いのことを思い出す。
ウィンと一緒のバカンス。一緒に海へ行って、一緒に遊んで。一緒に夜を過ごして──。
最後に戦いが入っちゃったけど、本当に充実した時間だった。
ウィンも、満足そうに笑顔を浮かべていた。ウィンが喜んでくれていて、本当によかった。
これからも、ウィンのために尽くしていきたいって心の底から思える一日だった。
そしてニナ、以前と比べて本当に頼りになった感じがある。
以前は至近距離がだめで、ミスをしたりしてよく同僚から怒られていた。でも、最近はそう言ったことも少なくなり、周囲を引っ張ることもあるようになった。
今までにないくらい成長していて、本人のモチベーションも高い。たまに、変に突っかかってくるのが気になるけど──。
これからもニナを一生懸命応援して、彼女のために尽くしていこうと強く思った。
充実した休日だったと、心の底から思う。
しかも噛んでるし。何かあったのかな?
「せ、先輩こそどうしてここに来たんですか? 確か、休暇を頂いていたはずですよね」
「そうなんだけど──その帰りに道を歩いてたら、ニナたちが戦っているのを見つけた。それで、放っておけなくて戦いに加わったんだ」
俺の言葉を聞いてニナは、大きく息を吐いて腰に手を置く。そして、微笑を浮かべて言葉を返してきた。
「もう──お人よしの先輩らしいというか」
「それは、ありがと」
するとニナは、ウィンの方に視線を向ける。まるで、ウィンの全身を見るようにきょろきょろと視線を動かしてきた。ウィンに、何かついているかのように。
「ウィンちゃん、ちょっと日に焼けてないですか?」
「ああ、二人で海に行っててね。そのせいだと思う」
「海? 海に行ってたんですか?」
「うん、そうだよ。ここまで、いろいろあって疲れちゃったから──たまには楽しみがあってもいいかなって、ウィンと一緒に海に言って楽しんでたんだ」
日焼けか。どう返せばいいか迷ったが、うまくごまかす言葉が思いつかず正直に答えてしまった。
「そ、そういうことだったんですか……」
ぼそっと、独り言のようにつぶやいた。
一瞬だけ、ニナの瞳から光が消えたのを感じ取った。何かあったのかな。今日のニナは、何かおかしい。
とりあえず、ごまかし手も後でぼろが出るだろうと考え、真実を話してしまった。まあ、言って問題があることじゃないし、別にいいか。
「あ……はい──そうなんですか……」
ニナの表情が、数秒ほどふっと消えて無表情になってしまう。そして、何かを振り切るかのように顔をぶんぶんと振ってから、にっこりと笑顔になった。
そして、腰を曲げ、膝に手をついてウィンの目線に合わせてウィンに話しかけた。
「ウィンちゃんは、楽しかった?」
「は、はい……楽しかった──です。その──はい」
ウィンもどこか遠慮気味に、気まずそうにしている。あまり、大っぴらにこのことを言いたくないかのようだ。
きょろきょろと、ニナから目線をそらす。
何なんだろう。さっきからニナの様子がおかしい。何か、地雷でもふんじゃったのかな?
「何ていうか、カップルみたいですね」
「そう……見えるかもしれないですね」
ウィンも、どこかいいずらそうに言葉を返している。
「ウィンちゃん、ガルド先輩どう? 頼りないとか、もっとエスコートしてほしいとか、思ったりしてない?」
ウィンは、ドキッと思い当たる節があるかのように体をピクリとさせ、視線をニナからきょろきょろと目を泳がせる。
「も、問題ないです……。ガルド様は、私のために一生懸命尽くしてくれます。私のことを、いつも思ってくれていて、一緒にいて良かったって、心の底から感じています。確かに、もうちょっと強く押してきて欲しいとは感じますが」
その言葉に、ニナはにっこりと笑みを浮かべてきた。
「ああ……やっぱり、そういうことだったんですね……」
ぼそっと、そうつぶやく。まるで、思い当たる節があるかのような物言い。
どこかニナの様子がおかしい。やはり、何か悪いことをしてしまったのだろうか。
「ニナ、ごめん──その……」
慌てて謝るものの、ニナは笑顔を浮かべたまま俺の隣に移動する。そして──。
バン!!
「いてっ!」
あろうことかニナが、背中を思いっきりバンと叩いてきたのだった。。いたたたた……。
ちょっとは手加減しろよな……。背中を押さえながら涙目でニナをじっと見る
「先輩。そんな表情してちゃだめです。もっと元気出して──」
「元気出してって……」
ニナが、人差し指を俺のほっぺに当ててくる。
「ほら、愛しのウィンちゃんのために──もっとカッコイイ所見せてあげなさい! ねっ」
そう言って、再びウィンの方向を向いてウィンクをする。
「後輩として、本当にすごいと思うし──素敵な人だと思うよ」
そして、大きく息を吐いた。
「後輩として──ですか?」
「うん、ニナは──大切な後輩だよ」
精一杯に、ニナに対して感謝の言葉をかける。これからも、ニナにはもっと頑張って腕をあげてほしい。ニナは、実力もそうだけど正義感も向上心もある。これから、もっと腕をあげてほしい。
そのために、ニナを精一杯労って──喜ばせようと言葉をかける。
ニナは、照れているのか顔をほんのりと赤く染めほっぺを人差し指でポリポリと触れていた。
そして、軽く頭を下げる。
「ありがとうございます。私、これからももっと強くなるように努力します」
「応援してるよ」
「じゃあ、一緒に帰りましょう」
「そうだね」
周囲を見回すと、救護班の人がけが人を手当てしたり、元気な人たちは一人また一人と帰路についているのがわかる。
ウィンとニナは戦いに疲れているだろうし、俺たちも帰ろう。
そして俺たちは、王都へと歩いていく。
3人で歩きながら、バカンスのこと、戦いのことを思い出す。
ウィンと一緒のバカンス。一緒に海へ行って、一緒に遊んで。一緒に夜を過ごして──。
最後に戦いが入っちゃったけど、本当に充実した時間だった。
ウィンも、満足そうに笑顔を浮かべていた。ウィンが喜んでくれていて、本当によかった。
これからも、ウィンのために尽くしていきたいって心の底から思える一日だった。
そしてニナ、以前と比べて本当に頼りになった感じがある。
以前は至近距離がだめで、ミスをしたりしてよく同僚から怒られていた。でも、最近はそう言ったことも少なくなり、周囲を引っ張ることもあるようになった。
今までにないくらい成長していて、本人のモチベーションも高い。たまに、変に突っかかってくるのが気になるけど──。
これからもニナを一生懸命応援して、彼女のために尽くしていこうと強く思った。
充実した休日だったと、心の底から思う。
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