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2章

第97話 もっと、自信をもって

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 エリアが、戦いを終えたのか彼らの方に寄っていく。

「あんた達だって、頑張ればできるわ。自信を持ちなさい」

 そう言って、笑顔を作った。


「そうだ、みんなだってできるようになる。だからこれからも、こうやって力を合わせて戦ってほしい」

 すると、シャフィーが出てきて軽はずみに言った。シャフィーは、俺たちが戦っている間、周囲の冒険者をまとめたり、デュラハンを退治したりしていた。

 彼も十分貢献してくれた。

「そうだ。ガルドだって昔はそんなに大したやつじゃなかったぜ。お前達だってできるよ」

「言うねぇ……」

 軽はずみなその言葉。ちょっとピクリと来た。
 まあ、彼らの士気が上がればそれでいい。

 それから、ウィン。
 少し離れた所に、ウィンはいた。
 ふらついている姿を見て、早足でウィンに歩いていく。相当消耗していた様だ。

 ウィンは、力を使いつくしてしまったのか、その場にへたり込んでしまった。倒れこむウィンの隣に寄り、その肩を支える。

「大丈夫?」

「大丈夫──です」

 ウィンの頭を、優しくなでた。

「ウィン、ありがとうね」

「いえ、皆さんが力をくれて、グラーキと戦うことができたんです」

 謙遜するウィン。ウィンらしい返し方だ。
 今日一番貢献したのはウィンだ。自分のトラウマを克服し、冒険者たちの力を一つにまとめた。
 ウィンのまた戦いたいという強い願いが、トラウマを乗り越えたのだ。

「確かにそうかもしれない。でも、今日はウィンが勇気を出して踏み込んだ。だからこそ、みんなの想いを一つにすることができた」

「それは、そうかもしれないですね」

 言葉を返して来るウィンの表情が、どこか誇らしげだ。自信をもって、笑みを浮かべている。


「だから、今日に関しては自信を持っていい。ウィンのおかげで、街は救われたんだ」

「……わかりました。ありがとうございます」

 これで、ウィンがすこしでも自信が持てるようになるといいな。

 そうだ、敵はグラーキだけじゃない。
 デュラハン達はどうなっただろうか。みんなは、無事だったのだろうか。
 気になって周囲に視線を配る。
「あんたたち、大丈夫?」

 右手を振って、こっちに誰かがやって来た。エリアだ。

 エリア俺の隣に来ると、からかうように肘をうりうりと当ててくる。

 一瞬だけウィンにちらりと不満げな表情を向けた後、顛末を離し始めた。
 デュラハン達はほとんど片づけてくれたそうだ。残りの残党も、シャフィーが倒してくれたのだとか。

「ありがとう、エリア」

「どういたまして。でも、私よりあの子をほめた方がいいと思うわ」

 エリアが俺の隣にいるニナに視線を向ける。ニナは俺の隣で満足げな表情で寝っ転がっていた。
 確かに、今日は大活躍した。しっかりと、ほめてあげよう。

「ニナ、大丈夫? お疲れ様」

「せ、せ、せ、先輩。この位、大丈夫です! 今回は、足──引っ張りませんでしたよ!」

 ニナが、ガッツポーズをして言葉を返して来た。
 自信満々で、誇らしげに笑みを浮かべている。

「ありがとう。ニナならできるって、信じてたよ」

 そう言ってニナの頭を、優しくなでる。

「先輩。ありがとうございますぅ~~」

 ニナは顔をほんのりと赤くして、とても嬉しそうな表情をしていた。
 そんな表情を見ているだけで、こっちも嬉しくなる。
 すると、エリアが、ニタニタと笑いながら肩に腕を乗っけながら言う。

「あれれ~~、ガルド君浮気はダメだぞ! ニナちゃんに乗り換えたのかな??」

 からかうような口調、冷静に突っ込んだ。

「……ないから。後輩がよく頑張って戦ってくれた。だから褒める。ニナのことを大切に想っている先輩として当然のことをしただけだよ」

「大切に……想って」

 ニナがほうっとした表情になる。

「ニナ」

「ひゃ、ひゃい!」

 ニナは体をピクリとさせ、こっちを向いて敬礼をする。なんだ、その反応
 ……。
 それに、魂ここにあらず。みたいにボーっとして。

「今日は大活躍だったね」

「そ、そうですか?」

「大活躍だったよ。ニナが頑張ったおかげで、俺達はグラーキを倒すことに集中できた。サポートがあったおかげで、アイツの心臓を貫けた。これからも、活躍の方期待しているよ」

 そう言って、ちょっとだけ首をかしげて笑みを見せる。
 作り物の演技だけど、それでニナが喜んでくれて自信をもってくれるならそれでいい。

「あ、あ、あ、ありがとうございます。これからも、役に立てるようにがんがばります」

 ニナは、何故か顔を赤くして動きが硬くなり、言葉を噛ませながら言葉を返した。

 取りあえず──ギルドに結果報告だ。それから、ウィンの家族に言うんだ。ウィンが、トラウマを乗り越えたということを。



「じゃあ、帰ろうか」

「ですね、先輩」

 そう言って俺が立ち上がった後、ウィンも立ち上がろうとするがどこかふらついている。
 やっぱり、回復しきってない。

「肩貸すよ」

「ありがとう、ございます」

 ウィンの肩を抑えて二人三脚のように歩きだす。

「あ~~っ、ずるい!」

 ニナが俺に向かって指をさし、顔をむすっと膨らませて言う。
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