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最終章 建国祭編
第95話 元勇者 決着をつける
しおりを挟む こいつめ、完全に勝った気でいるな。だが正論ではある。現状、俺はこいつの攻撃に対応しきれていない。
いくら俺が集中してこいつの攻撃を捕らえようとしても──。
捕える? そうか、わかったぞ。攻略法が──。
なるほどな、ハスタル、今貴様は俺に素晴らしいヒントを俺にくれた。俺に有利に立ち回れて気分が浮ついているのがよくわかる。だからあんな上機嫌で口を滑らせたんだ。
見えないものを無理やり目でとらえようとするから駄目だったんだ。
だったら、作戦は1つしかない。
そして再びハスタルは間合いを詰めてきた。自信満々な笑み、もうこいつには勝利しか頭にないのだろう。
顔面部分に攻撃が来る。盲点を突くゆえの欠点といえば欠点だ。
そしてその場所を狙うというのはよくわかっている。
俺はその瞬間、自身の剣にありったけの力を込め、顔の高さで剣を振り払う。
ハスタルから見れば苦し紛れにも見える攻撃。当然簡単に防がれてしまう。だが力任せだったため、威力は高い。ハスタルは無理に対応しようとせず、俺の剣が届かない位置まで後退した。
自分が有利に戦いを進めているという慢心もあるのだろう。だが、俺に一瞬の猶予を与えた時点で、勝負は決まったようなものだ。
その瞬間、俺に一瞬だけスキができる。これで勝負は決まった。
この俺に、それだけのスキを与えるということは敗北を意味する。待ってろ、そのことにすぐに気づかせてやる!
俺はそのスキをついて、立ったまま身体を脱力させた。
深呼吸をしてリラックスをした後、目をつぶる。
そして目をつぶったまま精神と一つにする。そのまま俺は目を開けない。
どうせ、ハスタルの攻撃は俺の盲点を貫く性質上、肉眼でとらえることはできない。
であれば、視界というものは精神の統一を妨げるノイズでしかない。
だったら、最初から閉じてしまおう。
その行動にハスタルは笑い声をあげて俺に話しかけてきた。
「元勇者よ。時代遅れの化石に今、印籠を渡してやる」
「渡せるもんなら、渡してみろよ!」
そして深呼吸そした後、ハスタルの見ることができない攻撃が襲い掛かってくる。
「き、貴様、どんな奇跡を使っている。なぜ攻撃を読み取ることができるというのだ。目を、つぶっているというのに!」
身体をむやみに動かさず、最低限の動きで相手の攻撃を感じ取り、うけながす。ハスタルがその姿を見て驚いているのがよくわかる。
俺だって、ただ必死に戦ってきたわけじゃない。
勝てない相手に、どうやって勝利していくか、いつも俺は考えてきた。
あの時に俺を倒しきれなかったのが、貴様の敗因というわけだ
これは、全身で万物全てを感じ取るという術式だ。
口で言うほどこの方法は簡単じゃない。
数ミリ体の動きがずれるだけでハスタルの攻撃が俺の肉体を直撃し、致命傷を負ってしまうだろう。
極限までの集中力、そして
ズバァァァァァァァァァ──!
ハスタルの肉体を貫通。
勝負は、あった。
ルシフェルが俺のところに寄ってくる。
「陽君、流石じゃない。素晴らしいわ」
「いや、褒めるほどのことじゃないよ。すごいギリギリの戦いだったし」
そりゃそうだ。ハスタルは魔剣の強さを鼻にかけていた、そこにわずかなスキがあって、それをついたから勝っただけだ。
俺がやったのは実戦経験がなく、ぶっつけ本番のような曲芸。
打ち破られたっておかしくなかった。
それでも価値は勝ちだ。
「とりあえず、アイツのところに行こう」
「──そうね」
俺とルシフェルは倒れこんでいるハスタルの元へ向かった。
ハスタルは、あおむけになって息を荒げながら倒れこんでいる。
すでに虫の息という感じだ。
「さすがだ……、元勇者よ。我の全力を、いとも簡単に超えてくとは──」
「簡単なんかじゃないよ。ギリギリの戦いだった。俺が負ける未来だって十分にあった」
そしてハスタルは視線を魔城の方に視線を向ける。
部下たちのことを考えているのだろうか、その方向を向きながら俺に話しかけてくる。
「こんな不様に負けておいてなんだが、要求がある」
「なんだ?」
「先ずは我が亡き後の配下達の処遇だ」
「わかっているわ。魔王城は取り壊したりしないし、彼らを社会に解き放ったりしないわ」
ルシフェルはフッと微笑を浮かべながら答える。同じ魔王軍に所属していたから、考えて入る事がわかるのだろう。
無理に彼らから居場所を奪う必要はない。それに、彼らを解き放ったところで、うまくいくとは限らない。それは、そいつらと過ごしてきた2人の方がよく知っているようだ。
「我が言うのもなんだが、あいつらを集団のトップとして見て来たからわかる。あいつらは間違いなく一般社会では通じない。社会になじめず、不法行為をして兵士に捕まり、牢獄にいる姿が目に見えている」
「魔王軍にはいる人って、大きく分けて2種類いるの。一つは、自分の出世のために魔王軍に入るもの。比較的頭が良いが、倫理観がなく他人を傷つけても罪悪感を感じない狂人タイプ。もう一つは、人間たちの世界になじむことができず、居場所を求めて入ってくる人物。ここに残っているのは、おそらく後者よ」
魔王軍に入って1発当てようと考えるタイプの人間はすでにここにはいない。今頃裏社会にいて成功すれば大金、失敗は死、そんな違法な仕事でもしているだろう。
頭のよさ故、ここにいても未来がないことを理解しているからだ。
だからここにいるやつの大半はもう一つのタイプだ。
いくら俺が集中してこいつの攻撃を捕らえようとしても──。
捕える? そうか、わかったぞ。攻略法が──。
なるほどな、ハスタル、今貴様は俺に素晴らしいヒントを俺にくれた。俺に有利に立ち回れて気分が浮ついているのがよくわかる。だからあんな上機嫌で口を滑らせたんだ。
見えないものを無理やり目でとらえようとするから駄目だったんだ。
だったら、作戦は1つしかない。
そして再びハスタルは間合いを詰めてきた。自信満々な笑み、もうこいつには勝利しか頭にないのだろう。
顔面部分に攻撃が来る。盲点を突くゆえの欠点といえば欠点だ。
そしてその場所を狙うというのはよくわかっている。
俺はその瞬間、自身の剣にありったけの力を込め、顔の高さで剣を振り払う。
ハスタルから見れば苦し紛れにも見える攻撃。当然簡単に防がれてしまう。だが力任せだったため、威力は高い。ハスタルは無理に対応しようとせず、俺の剣が届かない位置まで後退した。
自分が有利に戦いを進めているという慢心もあるのだろう。だが、俺に一瞬の猶予を与えた時点で、勝負は決まったようなものだ。
その瞬間、俺に一瞬だけスキができる。これで勝負は決まった。
この俺に、それだけのスキを与えるということは敗北を意味する。待ってろ、そのことにすぐに気づかせてやる!
俺はそのスキをついて、立ったまま身体を脱力させた。
深呼吸をしてリラックスをした後、目をつぶる。
そして目をつぶったまま精神と一つにする。そのまま俺は目を開けない。
どうせ、ハスタルの攻撃は俺の盲点を貫く性質上、肉眼でとらえることはできない。
であれば、視界というものは精神の統一を妨げるノイズでしかない。
だったら、最初から閉じてしまおう。
その行動にハスタルは笑い声をあげて俺に話しかけてきた。
「元勇者よ。時代遅れの化石に今、印籠を渡してやる」
「渡せるもんなら、渡してみろよ!」
そして深呼吸そした後、ハスタルの見ることができない攻撃が襲い掛かってくる。
「き、貴様、どんな奇跡を使っている。なぜ攻撃を読み取ることができるというのだ。目を、つぶっているというのに!」
身体をむやみに動かさず、最低限の動きで相手の攻撃を感じ取り、うけながす。ハスタルがその姿を見て驚いているのがよくわかる。
俺だって、ただ必死に戦ってきたわけじゃない。
勝てない相手に、どうやって勝利していくか、いつも俺は考えてきた。
あの時に俺を倒しきれなかったのが、貴様の敗因というわけだ
これは、全身で万物全てを感じ取るという術式だ。
口で言うほどこの方法は簡単じゃない。
数ミリ体の動きがずれるだけでハスタルの攻撃が俺の肉体を直撃し、致命傷を負ってしまうだろう。
極限までの集中力、そして
ズバァァァァァァァァァ──!
ハスタルの肉体を貫通。
勝負は、あった。
ルシフェルが俺のところに寄ってくる。
「陽君、流石じゃない。素晴らしいわ」
「いや、褒めるほどのことじゃないよ。すごいギリギリの戦いだったし」
そりゃそうだ。ハスタルは魔剣の強さを鼻にかけていた、そこにわずかなスキがあって、それをついたから勝っただけだ。
俺がやったのは実戦経験がなく、ぶっつけ本番のような曲芸。
打ち破られたっておかしくなかった。
それでも価値は勝ちだ。
「とりあえず、アイツのところに行こう」
「──そうね」
俺とルシフェルは倒れこんでいるハスタルの元へ向かった。
ハスタルは、あおむけになって息を荒げながら倒れこんでいる。
すでに虫の息という感じだ。
「さすがだ……、元勇者よ。我の全力を、いとも簡単に超えてくとは──」
「簡単なんかじゃないよ。ギリギリの戦いだった。俺が負ける未来だって十分にあった」
そしてハスタルは視線を魔城の方に視線を向ける。
部下たちのことを考えているのだろうか、その方向を向きながら俺に話しかけてくる。
「こんな不様に負けておいてなんだが、要求がある」
「なんだ?」
「先ずは我が亡き後の配下達の処遇だ」
「わかっているわ。魔王城は取り壊したりしないし、彼らを社会に解き放ったりしないわ」
ルシフェルはフッと微笑を浮かべながら答える。同じ魔王軍に所属していたから、考えて入る事がわかるのだろう。
無理に彼らから居場所を奪う必要はない。それに、彼らを解き放ったところで、うまくいくとは限らない。それは、そいつらと過ごしてきた2人の方がよく知っているようだ。
「我が言うのもなんだが、あいつらを集団のトップとして見て来たからわかる。あいつらは間違いなく一般社会では通じない。社会になじめず、不法行為をして兵士に捕まり、牢獄にいる姿が目に見えている」
「魔王軍にはいる人って、大きく分けて2種類いるの。一つは、自分の出世のために魔王軍に入るもの。比較的頭が良いが、倫理観がなく他人を傷つけても罪悪感を感じない狂人タイプ。もう一つは、人間たちの世界になじむことができず、居場所を求めて入ってくる人物。ここに残っているのは、おそらく後者よ」
魔王軍に入って1発当てようと考えるタイプの人間はすでにここにはいない。今頃裏社会にいて成功すれば大金、失敗は死、そんな違法な仕事でもしているだろう。
頭のよさ故、ここにいても未来がないことを理解しているからだ。
だからここにいるやつの大半はもう一つのタイプだ。
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