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最終章 建国祭編
第89話 元勇者 最強の敵「ハスタル」と戦う
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そして次の日。
俺たちは警備担当の日となり、大通りで怪しいそぶりをした人がいないか見張っていた。
雲一つない快晴の日。
以前よりも増して人だかりで溢れ、ごった返している
警備を始めてから1時間ほど。怪しいと思うことは特にない。
このまま何も起こらずに1日が終わればいい。
そんなふうに俺が思っていた中、その事件は起こってしまった。
「陽君。あの空、怪しくない?」
ルシフェルが俺の肩をたたいて話しかける。俺はその空を見上げる。
「確かに──。何かあるぞ」
快晴だったはずの空に突然雲が出現しだした。そしてそれは渦巻き状に形を変える。
異様な形状の雲に周囲も気づき始め、ざわざわとしだす。
そして──。
ドォォォォォォォォォォォォォォォン!!
その雲の空からいきなり豪快な爆発音が聞こえだす。雲は徐々に真黒になり、黒い穴と化した。
周囲の人たちが次々に視線を黒い穴に向け、騒然としだす。
「まずいわ。あれはダークゲートというやつよ」
「ルシフェルさん。それって、何ですか?」
「一言で言うと魔界から直接つながっているトンネルの出口よ、ローザ。基本的にはあのホールから直接魔王軍の兵士たちを召喚させて一気に奇襲をかけるためのものよ」
そう、ゲートとは世界でも限られた人物しか使えない特殊な術式だ。
膨大な魔力を代償とし、亜空間を伝って異なる空間同士をつなげる術式のことだ。
魔王軍では、幹部クラスの人物しか使えないはずだ。
相当強力な奴が、この街を襲おうとしているということか。
そして開いた空間から、突然大量の魔物たちが出現したのだ。
コボルト、オーク、ゴブリンなど、数えきれないほどの黒く光る魔獣たちがこの街に落下してきた。
「ま、ま、魔物だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「に、逃げろぉぉぉ」
突然の出来事に、街はパニックに陥っている。冒険者たちはいっせいに戦闘モードに入り、警備の兵士たちはすぐに住民たちの避難にあたり始めた。
「とりあえず、術者を見つけないと──」
そういって俺は周囲を見回していると……。
「陽君、あいつじゃない?」
ルシフェルがゲートの方向を指さす。
すると1人の人物が、ゲートの前で腕を組んでいるのがわかる。そしてその人物に俺とルシフェルは驚愕した。
「あいつが首謀者だったのか? これはやばいぞ」
「そうね。こころしてか戦わないと、消し炭にされるわ」
そしてルシフェルがローザとセフィラに話しかける。
「あなたたち2人は祭りの参加者の避難と、魔物たちとの戦いをお願い。私達は、そのあいだにアイツを片付けるわ」
「そ、そんな。一緒に戦おうよルシフェルちゃん」
「そうです。強い敵なら、私達も力になった方がいいじゃないですか」
2人も俺たちと一緒に戦いのだろう。俺達だってその気持ちには変わらない。けど──。
「その気持ちは本当に嬉しいわ。けれどだめよ。生半可な思いや、未熟な強さであいつに立ち向かっていって、生きて帰るのは不可能なの」
「ああ、俺もアイツは知っている。すまないが、お前たちを絶対に死なせないという保証はできない」
俺とルシフェルは強気な口調で言い返す。その通り、目の前にいる人物は、それくらい強い実力を持った人物なのだ。
「簡単に説明する。あいつは魔王軍の幹部だ」
その言葉に2人は驚愕する。
真っ黒い光に包まれ、騎士の格好をした人物。そこから放たれるオーラが彼が強大な魔力を持っている人物であることをアピールしていた。
彼の名は魔王軍幹部の一人「ハスタル」。
破壊や殺戮を得意とし、目的のためなら、敵味方を問わず死体の山を築き上げるのが当たり前になっていた存在。
また、感情が存在していないといわれるくらい冷徹で、冒険者や同じ魔王軍からも恐れられていた存在だ。
実力も、魔王軍の中ではトップクラスで、俺たちが以前倒した時はパーティー全員で対策を打ち、ギリギリで買ったくらいだ。
正直、1対1で勝てるかというと、自信をもってそうですとは言えない。
ランク A
HP 100
AT 125
DEF 80
魔法攻撃 120
魔法防御 75
速度 100
俺と同じ600族。それだけではない。魔王軍であるから肉体は当然人間よりも強化されている。
正直俺1人で勝てるという保証はない。俺はそう悩んでいると、後ろからルシフェルがパンと背中をたたいてきた。
ビックリした俺はとっさに後ろを振り向くと、彼女はにっこりとしながら話しかけてくる。
「もう、勇者さん。そんな自信ない表情するんじゃないわよ!」
「やっぱり、わかってた?」
「当たり前じゃない。顔に書いてあるわよ。勝てるかどうか不安なんでしょ!」
「当前だ。前回は仲間たちと力を合わせてやっと倒した魔王軍最強クラスの敵だ。おまけにハスタルは空中にいるから接近することも出来ない。苦戦は必至だ」
するとルシフェルはフッと笑って俺に向かって右手をかざす。そして右手が真っ白に光始めた。すると──。
「これであなたは空を飛べるはずよ。絶対に勝ちなさい。あなたなら、それができるはずよ」
術式名は「スカイ・ウォーク」。これを使うことで対象者は空を自在に動くことができる。
代償として魔力消費が激しいことと、これを使う側の術者は動けなくなってしまう欠点があり、ルシフェルは俺が空にいる限り動くことができないのだ。
けど、ルシフェルにはこの術式があったんだったな。これで俺は念じる方向に体を動かすことができる。
とりあえずハスタルのところまで行こう。接近戦でないと、正直勝負にならない。
俺は上へ動けと全身一帯に念じる。すると体がすっと上へと動き出した。
そして俺は体内にある魔力を使い、空中にいるハスタルの元へと向かう。
「じゃあ、行ってくるよ」
「絶対に勝って帰ってきなさい!」
そして俺は1人、ハスタルのところへといった。強敵だけど、これだけルシフェルがこれだけ応援してくれたんだ。絶対に勝つ!
俺たちは警備担当の日となり、大通りで怪しいそぶりをした人がいないか見張っていた。
雲一つない快晴の日。
以前よりも増して人だかりで溢れ、ごった返している
警備を始めてから1時間ほど。怪しいと思うことは特にない。
このまま何も起こらずに1日が終わればいい。
そんなふうに俺が思っていた中、その事件は起こってしまった。
「陽君。あの空、怪しくない?」
ルシフェルが俺の肩をたたいて話しかける。俺はその空を見上げる。
「確かに──。何かあるぞ」
快晴だったはずの空に突然雲が出現しだした。そしてそれは渦巻き状に形を変える。
異様な形状の雲に周囲も気づき始め、ざわざわとしだす。
そして──。
ドォォォォォォォォォォォォォォォン!!
その雲の空からいきなり豪快な爆発音が聞こえだす。雲は徐々に真黒になり、黒い穴と化した。
周囲の人たちが次々に視線を黒い穴に向け、騒然としだす。
「まずいわ。あれはダークゲートというやつよ」
「ルシフェルさん。それって、何ですか?」
「一言で言うと魔界から直接つながっているトンネルの出口よ、ローザ。基本的にはあのホールから直接魔王軍の兵士たちを召喚させて一気に奇襲をかけるためのものよ」
そう、ゲートとは世界でも限られた人物しか使えない特殊な術式だ。
膨大な魔力を代償とし、亜空間を伝って異なる空間同士をつなげる術式のことだ。
魔王軍では、幹部クラスの人物しか使えないはずだ。
相当強力な奴が、この街を襲おうとしているということか。
そして開いた空間から、突然大量の魔物たちが出現したのだ。
コボルト、オーク、ゴブリンなど、数えきれないほどの黒く光る魔獣たちがこの街に落下してきた。
「ま、ま、魔物だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「に、逃げろぉぉぉ」
突然の出来事に、街はパニックに陥っている。冒険者たちはいっせいに戦闘モードに入り、警備の兵士たちはすぐに住民たちの避難にあたり始めた。
「とりあえず、術者を見つけないと──」
そういって俺は周囲を見回していると……。
「陽君、あいつじゃない?」
ルシフェルがゲートの方向を指さす。
すると1人の人物が、ゲートの前で腕を組んでいるのがわかる。そしてその人物に俺とルシフェルは驚愕した。
「あいつが首謀者だったのか? これはやばいぞ」
「そうね。こころしてか戦わないと、消し炭にされるわ」
そしてルシフェルがローザとセフィラに話しかける。
「あなたたち2人は祭りの参加者の避難と、魔物たちとの戦いをお願い。私達は、そのあいだにアイツを片付けるわ」
「そ、そんな。一緒に戦おうよルシフェルちゃん」
「そうです。強い敵なら、私達も力になった方がいいじゃないですか」
2人も俺たちと一緒に戦いのだろう。俺達だってその気持ちには変わらない。けど──。
「その気持ちは本当に嬉しいわ。けれどだめよ。生半可な思いや、未熟な強さであいつに立ち向かっていって、生きて帰るのは不可能なの」
「ああ、俺もアイツは知っている。すまないが、お前たちを絶対に死なせないという保証はできない」
俺とルシフェルは強気な口調で言い返す。その通り、目の前にいる人物は、それくらい強い実力を持った人物なのだ。
「簡単に説明する。あいつは魔王軍の幹部だ」
その言葉に2人は驚愕する。
真っ黒い光に包まれ、騎士の格好をした人物。そこから放たれるオーラが彼が強大な魔力を持っている人物であることをアピールしていた。
彼の名は魔王軍幹部の一人「ハスタル」。
破壊や殺戮を得意とし、目的のためなら、敵味方を問わず死体の山を築き上げるのが当たり前になっていた存在。
また、感情が存在していないといわれるくらい冷徹で、冒険者や同じ魔王軍からも恐れられていた存在だ。
実力も、魔王軍の中ではトップクラスで、俺たちが以前倒した時はパーティー全員で対策を打ち、ギリギリで買ったくらいだ。
正直、1対1で勝てるかというと、自信をもってそうですとは言えない。
ランク A
HP 100
AT 125
DEF 80
魔法攻撃 120
魔法防御 75
速度 100
俺と同じ600族。それだけではない。魔王軍であるから肉体は当然人間よりも強化されている。
正直俺1人で勝てるという保証はない。俺はそう悩んでいると、後ろからルシフェルがパンと背中をたたいてきた。
ビックリした俺はとっさに後ろを振り向くと、彼女はにっこりとしながら話しかけてくる。
「もう、勇者さん。そんな自信ない表情するんじゃないわよ!」
「やっぱり、わかってた?」
「当たり前じゃない。顔に書いてあるわよ。勝てるかどうか不安なんでしょ!」
「当前だ。前回は仲間たちと力を合わせてやっと倒した魔王軍最強クラスの敵だ。おまけにハスタルは空中にいるから接近することも出来ない。苦戦は必至だ」
するとルシフェルはフッと笑って俺に向かって右手をかざす。そして右手が真っ白に光始めた。すると──。
「これであなたは空を飛べるはずよ。絶対に勝ちなさい。あなたなら、それができるはずよ」
術式名は「スカイ・ウォーク」。これを使うことで対象者は空を自在に動くことができる。
代償として魔力消費が激しいことと、これを使う側の術者は動けなくなってしまう欠点があり、ルシフェルは俺が空にいる限り動くことができないのだ。
けど、ルシフェルにはこの術式があったんだったな。これで俺は念じる方向に体を動かすことができる。
とりあえずハスタルのところまで行こう。接近戦でないと、正直勝負にならない。
俺は上へ動けと全身一帯に念じる。すると体がすっと上へと動き出した。
そして俺は体内にある魔力を使い、空中にいるハスタルの元へと向かう。
「じゃあ、行ってくるよ」
「絶対に勝って帰ってきなさい!」
そして俺は1人、ハスタルのところへといった。強敵だけど、これだけルシフェルがこれだけ応援してくれたんだ。絶対に勝つ!
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※修正要請のコメントは対処後に削除します。

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