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最終章 建国祭編
第86話 元勇者 ローザのすべてを見てしまう
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「さっき男の人が言っていた『ハスタル』っていう人、私、聞いた事がないです。どんな人なんですか?」
ローザがそういうのも無理はない。
こいつの名前を知っているのは、俺たちのような、第1戦で魔王軍と戦い続けた者たち。それと、俺たちから極秘に情報を得ていた王族ぐらいだ。
その残虐さと、どう猛さゆえ、冒険者たちや、襲撃してきた地区にただならぬ被害を与えていた。
こいつが襲った場所は例外なく廃墟と化し、大量の犠牲者も出ている。
それだけでなく、勝利のためならばどれだけ被害が出ていても、たとえそれが味方であっても平然としている姿から、敵味方問わず恐れられていた存在だ。
強さも、魔王軍の中でもトップクラス。Aランクの冒険者たちが束になってもこいつにはかなわなかったくらいだ。
俺たちが倒した時も、エミールやその他の仲間たちと連携を取り、ギリギリ勝利したほどだ。
「そ、そんな強い相手なんですか?」
ローザが、震えている。無理もない。こいつを見ただけで逃げ出した冒険者は、数えきれないほどいる。
「ああ。けれど、必ず勝つ方法はあるはずだ。絶対、街のみんなを危険な目になんか合わせない」
俺は強い口調でそう宣言すると、ローザが弱弱しい言葉で言葉を返す。
「うん。一緒に、頑張ろうね」
そうだ。弱音を吐いても状況は変わらない。今の俺にはローザみたいな頼りになる仲間がいる。頑張って乗り越えよう。
そして、不審者たちが連れられる姿が見えなくなる。
それから俺とローザはルシフェルたちの所へ戻ってくる。
「おかえり。こっちは特に何もなかったわ。そっちはどうだった?」
「犯人は何とか捕まえたよ。けど──」
そして俺はルシフェルとセフィラに、あったことをそのまま話す。もちろんハスタルのことも……。
ルシフェルがその事実に驚き、食いついてくる。
「ハスタル。奴が動いていたのね」
確かに、奴らの言葉をそのまま信じるのもよくない。
一般人はそもそもハスタルの名前なんか知らない。奴の名前を口にした時点で黒確定だ。
「ルシフェルもそれを理解しているようで、特に疑いはしなかった」
「今回の建国祭。間違いなく一波乱あるわね。厳重に警戒しないと、街が廃墟になりかねないわ。気を引き締めましょう」
「うん!」
ローザの強い言葉に俺も同調する。確かに敵は強い、けど、絶対に街を守ってみせる。
ということで、警備を再開。
幸いにも初日はどこかおかしい所や、襲撃にあったりすることはなかった。
夜になり、1日目は終了。
俺たちはにぎやかな商店街で、いろいろな屋台の食べ物を買った後、ホテルに戻り睡眠に入る。
これから、大変だろうけど頑張ろう!
今日はローザとのデート回だ。
タキシード姿に着替えた後。俺はローザの元へ。
理由は一つ。ローザのためだ。
どうしてこうなったのかというと、先日ルシフェルが言ったこの言葉にある。
「ローザちゃんもこれから要人とかと行動することだって多いはずよ。これはね、その練習なの」
「わたしも、それなら賛成です」
「陽君。ローザちゃんが、偉い人と会っても恥をかくことが無いようにちゃんと教えるのよ」
ちゃんと教えるって、俺だって身分が高い人の作法とか知らないぞ。けど、ローザの頼みなら仕方ない。それに、ローザ自信が俺に頼み込んできたのだ。
その気持ちを察してかセフィラとルシフェルは2人で遊びに行ってしまった。
後いろいろ聞いてみたいこともある。
パトラさんと一緒に内政に関わったりしているが、うまくいっているのだろうか。彼女の優しい性格じゃああいった世界には向いていないのは感じる。
俺も以前は世界を団結させるため内政に首を突っ込んでいたから、何かアドバイスが出来るかもしれない。
そしてドアの前に立つ。なんか緊張するなあ。
(ローザのこと、俺はもっと知れるといいなあ。彼女の力になれるかな……)
そんな事を考えながらドアをノックする。
「入って、いいよ」
「わかった。入るよ」
そして俺はゆっくりとドアを開ける。
キィィィィィィィィ──。
「ローザ、じゃあデートに……ってえええええっ!!!!」
部屋を開けるとベッドの隣にローザが立っていた。俺が驚いたのはその彼女の姿だ。
「な、何で服を脱いでいるのかな?」
何と彼女は着替えの最中だったのだ。
小ぶりな胸を右腕、股を左手で押さえ両手にそれぞれブラとパンツを握っている。
以前不覚にも見てしまったが、やはりきれいだ。色気がある。
「入っていいって言ったよね?」
「言ったよ。準備出来たもん」
「陽君、私の体。好きにしていいよ」
幼い外見と大人びた格好が良い具合にミスマッチして、とても色気があるように感じた。
誘惑するような表情と仕草に、ドキドキして、思わず本能に身を任せてしまいそうになる。
やめてくれ、今はお楽しみの時間じゃない!
「と、とりあえず服を着て準備ができたら表に来てくれ、そしてら外へ出よう」
「──わかった」
ローザは少し顔を膨らませ、不満げな表情だった。
そして俺たちは外へ。
ローザがそういうのも無理はない。
こいつの名前を知っているのは、俺たちのような、第1戦で魔王軍と戦い続けた者たち。それと、俺たちから極秘に情報を得ていた王族ぐらいだ。
その残虐さと、どう猛さゆえ、冒険者たちや、襲撃してきた地区にただならぬ被害を与えていた。
こいつが襲った場所は例外なく廃墟と化し、大量の犠牲者も出ている。
それだけでなく、勝利のためならばどれだけ被害が出ていても、たとえそれが味方であっても平然としている姿から、敵味方問わず恐れられていた存在だ。
強さも、魔王軍の中でもトップクラス。Aランクの冒険者たちが束になってもこいつにはかなわなかったくらいだ。
俺たちが倒した時も、エミールやその他の仲間たちと連携を取り、ギリギリ勝利したほどだ。
「そ、そんな強い相手なんですか?」
ローザが、震えている。無理もない。こいつを見ただけで逃げ出した冒険者は、数えきれないほどいる。
「ああ。けれど、必ず勝つ方法はあるはずだ。絶対、街のみんなを危険な目になんか合わせない」
俺は強い口調でそう宣言すると、ローザが弱弱しい言葉で言葉を返す。
「うん。一緒に、頑張ろうね」
そうだ。弱音を吐いても状況は変わらない。今の俺にはローザみたいな頼りになる仲間がいる。頑張って乗り越えよう。
そして、不審者たちが連れられる姿が見えなくなる。
それから俺とローザはルシフェルたちの所へ戻ってくる。
「おかえり。こっちは特に何もなかったわ。そっちはどうだった?」
「犯人は何とか捕まえたよ。けど──」
そして俺はルシフェルとセフィラに、あったことをそのまま話す。もちろんハスタルのことも……。
ルシフェルがその事実に驚き、食いついてくる。
「ハスタル。奴が動いていたのね」
確かに、奴らの言葉をそのまま信じるのもよくない。
一般人はそもそもハスタルの名前なんか知らない。奴の名前を口にした時点で黒確定だ。
「ルシフェルもそれを理解しているようで、特に疑いはしなかった」
「今回の建国祭。間違いなく一波乱あるわね。厳重に警戒しないと、街が廃墟になりかねないわ。気を引き締めましょう」
「うん!」
ローザの強い言葉に俺も同調する。確かに敵は強い、けど、絶対に街を守ってみせる。
ということで、警備を再開。
幸いにも初日はどこかおかしい所や、襲撃にあったりすることはなかった。
夜になり、1日目は終了。
俺たちはにぎやかな商店街で、いろいろな屋台の食べ物を買った後、ホテルに戻り睡眠に入る。
これから、大変だろうけど頑張ろう!
今日はローザとのデート回だ。
タキシード姿に着替えた後。俺はローザの元へ。
理由は一つ。ローザのためだ。
どうしてこうなったのかというと、先日ルシフェルが言ったこの言葉にある。
「ローザちゃんもこれから要人とかと行動することだって多いはずよ。これはね、その練習なの」
「わたしも、それなら賛成です」
「陽君。ローザちゃんが、偉い人と会っても恥をかくことが無いようにちゃんと教えるのよ」
ちゃんと教えるって、俺だって身分が高い人の作法とか知らないぞ。けど、ローザの頼みなら仕方ない。それに、ローザ自信が俺に頼み込んできたのだ。
その気持ちを察してかセフィラとルシフェルは2人で遊びに行ってしまった。
後いろいろ聞いてみたいこともある。
パトラさんと一緒に内政に関わったりしているが、うまくいっているのだろうか。彼女の優しい性格じゃああいった世界には向いていないのは感じる。
俺も以前は世界を団結させるため内政に首を突っ込んでいたから、何かアドバイスが出来るかもしれない。
そしてドアの前に立つ。なんか緊張するなあ。
(ローザのこと、俺はもっと知れるといいなあ。彼女の力になれるかな……)
そんな事を考えながらドアをノックする。
「入って、いいよ」
「わかった。入るよ」
そして俺はゆっくりとドアを開ける。
キィィィィィィィィ──。
「ローザ、じゃあデートに……ってえええええっ!!!!」
部屋を開けるとベッドの隣にローザが立っていた。俺が驚いたのはその彼女の姿だ。
「な、何で服を脱いでいるのかな?」
何と彼女は着替えの最中だったのだ。
小ぶりな胸を右腕、股を左手で押さえ両手にそれぞれブラとパンツを握っている。
以前不覚にも見てしまったが、やはりきれいだ。色気がある。
「入っていいって言ったよね?」
「言ったよ。準備出来たもん」
「陽君、私の体。好きにしていいよ」
幼い外見と大人びた格好が良い具合にミスマッチして、とても色気があるように感じた。
誘惑するような表情と仕草に、ドキドキして、思わず本能に身を任せてしまいそうになる。
やめてくれ、今はお楽しみの時間じゃない!
「と、とりあえず服を着て準備ができたら表に来てくれ、そしてら外へ出よう」
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そして俺たちは外へ。
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