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最終章 建国祭編
第81話 元勇者 セフィラとデートへ
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「じゃあ楽しみにしてるわよ。勇者さん!」
俺に言われても困るだろ……。そして演劇が始まる。
話は日常シーン(勇者を必要以上にかっこよくしている)から始まり。
やがて戦いのシーンになる。
確かこの時はいきなり奇襲を食らって市街地戦になったんだっけ。それで激戦になったんだよな。
「何? 奇襲だと、卑怯だ」
こんなかっこつけなセリフ、俺は絶対行っていない。大体俺たちも、魔王軍も互いに存在をかけて戦っているんだから奇襲など当たり前なことだ。スポーツじゃないんだぞこれは。
舞台には魔王軍の兵士役が、剣の形をした模型をのどに突き刺し人質にしているシーンへ。
「助けてーー、勇者様!!」
「フッ。貴様がいくら助けを乞おうとも、勇者は死んだ。無駄だ、奴隷になるのだ」
お姫様が目に涙を浮かべ叫んだその時。
「魔王軍め、その王女様を解放しろ!!」
後ろの方から大きな叫び声が聞こえ思わず首を後ろに振る。
すると観客席の入り口に大きな剣を持った勇者役がいた。
「勇者はここにいます。必ずあなたをお助けするため、まいりました」
しかし俺がいつあんな言葉使いしたんだ? そりゃ演劇なのはわかるが少しオーバーな演技じゃないのか?
そして観客席の階段を走って魔獣役の所へ向かっていく。
「ほう──、冒険者風情が。粉々にしてやる!!」
すぐに戦闘が始まる、魔獣役がそう叫ぶと勇者役はその剣で次々と魔獣たちを倒していった。
1分ほどで戦闘は終了、魔獣たちは「覚えてろー」「次はボコボコにしてやる!!」と捨て台詞を吐きながら舞台から逃げて行った。
魔獣役がいなくなると勇者役はお姫様役の所へ向かう。そして座り込んでいたお姫様役をたき抱え始めた。
「ああ王女様、そなたは美しい。」
「そんなことございません」
「ああお美しいお嬢様、そなたをかならずやお守りしますぞ」
そしてなんとお姫様役をした幼女の手を取り……。
チュッ──。
熱い口づけをする。
しかしさっきから気になっていたがあの俺役の歯の浮くセリフ、ナルシストを具現化したようなそぶり。
見ているだけで蕁麻疹が出てきそうだ。
ただの演劇ならば笑って別に聞き流しながら聞けばそれでいいのだがこれは俺をモチーフにした勇者の演劇。
俺の事をなんだと思っているのか? あまりの勇者のキャラのおかしさに劇を直視できなくなり隣にいるローザやルシフェル達に視線を向け始める。
ローザは興味しんしんそうに劇を見ている、そして左にいるルシフェルに視線を送る。すると──。
(フッ──、クスクスッ)
笑いをこらえてやがる……、気持ちは分からんでもないが──。
「この私がいる限り、この世に悪は栄えない。民たちよ、この俺がいるからにはもう大丈夫だ!」
そのあとも、明らかに脚色させたようなナルシストのセリフをつぶやく勇者役。言っていて気持ち悪くなったりしないのだろうか。
長い演劇がようやく終わる。
俺はどこかほっとしながらこの建物を後にする。
隣を歩いているローザのお腹が鳴ると、ルシフェルが俺たちに話しかける。
「もうお昼ね。ご飯だけど、この先にある店のパスタがおいしいんだって。ちょっと行ってみない」
「そうですね。私は、そこで大丈夫です」
「私もセフィラちゃんと一緒。そこでいいよ」
そしてその店へと歩く最中。
「ああお美しいお嬢様、そなたをかならずやお守りしますぞ、チュッ──」
「やめろ、あいつの真似すんな」
「本当に笑える──」
ルシフェルめ、まだ俺の事をからかってやがる。あの勇者役だ。
あまりの歯の浮くセリフに見てるこっちが恥ずかしい気分になった。
俺を視界に入れるなりさっきの俺役が演じていたやつと同じ口調と言い回しで真似をし始める。真似だけでなく幼女に放ったキスまで──、思い出しただけで憂鬱な気分になる。
ローザとセフィラも、口にはしていないが、口を押え、笑いをこらえているのがわかる。
そして食事を済ませた後、俺たちは一回ホテルに帰る。理由は、セフィラが特別な服に着替えたいからだとルシフェルは言う。
「な、なに? デート用に服を買っていたの?」
「は、はい。実を言うと、このデート用に用意していた服があるんです」
「え? このために服買ったの?」
「そ、そうなんですよ……。私は結構ですといったんですが。ローザ様とルシフェルさんが──」
そう、話は一週間前、ルシフェルとローザがデート作戦を決めた時のこと。その後、服屋にセフィラを誘い込む。
「わ、私がこんな可愛い服など、おかしいですよ~~」
セフィラは顔を真っ赤にして否定するがローザはそんな事お構いもせずにセフィラに詰め寄る。
「そんなことないよ。セフィラちゃん、もっと可愛くした方がいいよ自分に自信を持って!!」
「それは私も思うわ。あなた素材はとてもいいの、あとは服装や髪を可愛く女の子っぽくすれば陽君はもうメロメロよ!!」
そう言って2人は強引にセフィラにかわいい服を着せたのだ。
「あのような服を、私になど──、もう……」
セフィラは、いやいやホテルに入っていく。
俺はその後、ホテルの前で、緊張しながらセフィラを待つこと10分ほど。
「陽平様。お待たせいたしました」
「セフィラ、じゃあ行こうか──ってえっ!」
その姿に俺は驚く。
純白を思わせるような白いワンピース姿、下はフリフリのミニスカート姿。
髪型もいつものセミロングではなく、薄いピンク色のリボンで髪を留め、綺麗な花飾りをつけている。
気合入りまくりだな、流石にこれは予想できなかったぞ……。
俺に言われても困るだろ……。そして演劇が始まる。
話は日常シーン(勇者を必要以上にかっこよくしている)から始まり。
やがて戦いのシーンになる。
確かこの時はいきなり奇襲を食らって市街地戦になったんだっけ。それで激戦になったんだよな。
「何? 奇襲だと、卑怯だ」
こんなかっこつけなセリフ、俺は絶対行っていない。大体俺たちも、魔王軍も互いに存在をかけて戦っているんだから奇襲など当たり前なことだ。スポーツじゃないんだぞこれは。
舞台には魔王軍の兵士役が、剣の形をした模型をのどに突き刺し人質にしているシーンへ。
「助けてーー、勇者様!!」
「フッ。貴様がいくら助けを乞おうとも、勇者は死んだ。無駄だ、奴隷になるのだ」
お姫様が目に涙を浮かべ叫んだその時。
「魔王軍め、その王女様を解放しろ!!」
後ろの方から大きな叫び声が聞こえ思わず首を後ろに振る。
すると観客席の入り口に大きな剣を持った勇者役がいた。
「勇者はここにいます。必ずあなたをお助けするため、まいりました」
しかし俺がいつあんな言葉使いしたんだ? そりゃ演劇なのはわかるが少しオーバーな演技じゃないのか?
そして観客席の階段を走って魔獣役の所へ向かっていく。
「ほう──、冒険者風情が。粉々にしてやる!!」
すぐに戦闘が始まる、魔獣役がそう叫ぶと勇者役はその剣で次々と魔獣たちを倒していった。
1分ほどで戦闘は終了、魔獣たちは「覚えてろー」「次はボコボコにしてやる!!」と捨て台詞を吐きながら舞台から逃げて行った。
魔獣役がいなくなると勇者役はお姫様役の所へ向かう。そして座り込んでいたお姫様役をたき抱え始めた。
「ああ王女様、そなたは美しい。」
「そんなことございません」
「ああお美しいお嬢様、そなたをかならずやお守りしますぞ」
そしてなんとお姫様役をした幼女の手を取り……。
チュッ──。
熱い口づけをする。
しかしさっきから気になっていたがあの俺役の歯の浮くセリフ、ナルシストを具現化したようなそぶり。
見ているだけで蕁麻疹が出てきそうだ。
ただの演劇ならば笑って別に聞き流しながら聞けばそれでいいのだがこれは俺をモチーフにした勇者の演劇。
俺の事をなんだと思っているのか? あまりの勇者のキャラのおかしさに劇を直視できなくなり隣にいるローザやルシフェル達に視線を向け始める。
ローザは興味しんしんそうに劇を見ている、そして左にいるルシフェルに視線を送る。すると──。
(フッ──、クスクスッ)
笑いをこらえてやがる……、気持ちは分からんでもないが──。
「この私がいる限り、この世に悪は栄えない。民たちよ、この俺がいるからにはもう大丈夫だ!」
そのあとも、明らかに脚色させたようなナルシストのセリフをつぶやく勇者役。言っていて気持ち悪くなったりしないのだろうか。
長い演劇がようやく終わる。
俺はどこかほっとしながらこの建物を後にする。
隣を歩いているローザのお腹が鳴ると、ルシフェルが俺たちに話しかける。
「もうお昼ね。ご飯だけど、この先にある店のパスタがおいしいんだって。ちょっと行ってみない」
「そうですね。私は、そこで大丈夫です」
「私もセフィラちゃんと一緒。そこでいいよ」
そしてその店へと歩く最中。
「ああお美しいお嬢様、そなたをかならずやお守りしますぞ、チュッ──」
「やめろ、あいつの真似すんな」
「本当に笑える──」
ルシフェルめ、まだ俺の事をからかってやがる。あの勇者役だ。
あまりの歯の浮くセリフに見てるこっちが恥ずかしい気分になった。
俺を視界に入れるなりさっきの俺役が演じていたやつと同じ口調と言い回しで真似をし始める。真似だけでなく幼女に放ったキスまで──、思い出しただけで憂鬱な気分になる。
ローザとセフィラも、口にはしていないが、口を押え、笑いをこらえているのがわかる。
そして食事を済ませた後、俺たちは一回ホテルに帰る。理由は、セフィラが特別な服に着替えたいからだとルシフェルは言う。
「な、なに? デート用に服を買っていたの?」
「は、はい。実を言うと、このデート用に用意していた服があるんです」
「え? このために服買ったの?」
「そ、そうなんですよ……。私は結構ですといったんですが。ローザ様とルシフェルさんが──」
そう、話は一週間前、ルシフェルとローザがデート作戦を決めた時のこと。その後、服屋にセフィラを誘い込む。
「わ、私がこんな可愛い服など、おかしいですよ~~」
セフィラは顔を真っ赤にして否定するがローザはそんな事お構いもせずにセフィラに詰め寄る。
「そんなことないよ。セフィラちゃん、もっと可愛くした方がいいよ自分に自信を持って!!」
「それは私も思うわ。あなた素材はとてもいいの、あとは服装や髪を可愛く女の子っぽくすれば陽君はもうメロメロよ!!」
そう言って2人は強引にセフィラにかわいい服を着せたのだ。
「あのような服を、私になど──、もう……」
セフィラは、いやいやホテルに入っていく。
俺はその後、ホテルの前で、緊張しながらセフィラを待つこと10分ほど。
「陽平様。お待たせいたしました」
「セフィラ、じゃあ行こうか──ってえっ!」
その姿に俺は驚く。
純白を思わせるような白いワンピース姿、下はフリフリのミニスカート姿。
髪型もいつものセミロングではなく、薄いピンク色のリボンで髪を留め、綺麗な花飾りをつけている。
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