【完結】~追放された「元勇者」がゆく2度目の異世界物語~ 素早さ102、600族、Sランクで再び無双するようです

静内燕

文字の大きさ
上 下
73 / 103
パトラ編

第73話 元魔王、「カローヴァ」の強さに驚く

しおりを挟む
冒険者も、その種族値の高さに驚く。すると、ルシフェルがローザとセフィラの服のすそをつかみ、戦場へと引っ張って行った。


 そして戦場へ。そこでは強力なパワーで冒険者たちをなぎ倒していくカローヴァの姿があった。

「なんだこいつ、強すぎだろ!」

「だれか、早くこいつを倒してくれ!!」

 悲鳴を上げる冒険者たち。しかしそんなことはつゆ知らず、カローヴァはジャンプして、サッカーボールのように丸くなり始める。

「まずいわ、みんな、よける準備をして!」

 それを見たルシフェルが、目を丸くして叫ぶ。そしてカローヴァはゆっくりと草原を転がり始める。


 ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ──!

 最初はゆっくりだったが、見る見るうちに速度は速くなる。10秒ほどで目にも見えない速さにまで一気に加速していったのであった。

 ある者は吹き飛ばされ、ある者は逃げ惑う、そんな地獄絵図がルシフェルたちの眼前に広がる。


 そして──。


 ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ────────!!!!

 当然他人事では終わらない。カローヴァは高速で転がりながらこっちに向かって来たのだ。

 慌ててよけるローザたち。何とか彼女たちは攻撃の回避に成功。
 カローヴァは転がる先の民家に激突。民家を破壊しやっと立ち止まる。

「こいつ、転がり始めると本当に止まらないのよ……」

 呆れ気味にルシフェルがささやく。しかし、カローヴァの様子を見てローザが一つの事実に気付いた。

「けど、あれで牛さん自身もダメージを受けていません?」

「私もローザ様の言う通りに思えます」

 するとルシフェルは険しい表情で、2人の質問に答え始める。

「そこまで間違っていないわ。確かにあいつは転がり始めると壁に激突するまでスピードを上げて、どこ兄衝突するまで止まらない。そして衝突するとダメージを受ける。けど見てみなさい!」

 そして、ルシフェル達は視線をカローヴァに向ける。すると衝撃的な行動をとり始める。



「モ~~ッ、ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ」



 なんと自分のおっぱいを口に入れたのだ。そして自分の乳をごくごくと飲み始めたのである。唖然とする冒険者たち。

「えっ? あの牛自分のミルクを飲むんですか?」

「そうよ、それで、ダメージを受けてもあれで回復されちゃうのよ。だから、倒したかったら回復させる暇を与えずに大ダメージを与えて倒すしかないの」

 ルシフェルが額に手を当て言葉を返す。そしてカローヴァ……。


 モッ、モ~~~~~~ッ!!

 カローヴァ自身のミルクを飲み終え、元気を取り戻す。周囲はその姿に唖然とし始め、絶望感が広がっていく。

「こ、こいつ回復し始めたぞ──」

「マジかよ、どうすればいいんだよ」

 そしてカローヴァは周囲の冒険者に襲い掛かり、1人、また1人となぎ倒していく。
 その姿を見たルシフェルは腕を組みながら感じる。

(やみくもに戦っても、勝てる気がしないわ──)

 そしてローザとセフィラに話しかける。

「ローザ、セフィラ、ちょっといい? 頼みごとがあるんだけれど」

「な、なんでしょうか?」

「この魔獣は一人でどうにかできるものじゃないわ」

「そ、それは、私も見て思った」

 ローザも、セフィラも理解していた。単独で戦っても、苦戦は必至だと──。

「だからね、作戦があるの。まずは私とセフィラが──」

 数分ほどで作戦会議は終了。改めて今の戦場を視界に入れる。

「た、た、助けてくれ~~」

「こ、こいつ強すぎるだろ!!」

 真剣な表情のルシフェル。彼女に、あきらめの意志などさらさらなかった。
 あまりの強さにパニックになっている
 冒険者たち。彼らを見てルシフェルがただ一言。

「まるで地獄絵図ね」

「でも、3人で力を合わせれば何とかなるともうです!」

 ローザの言葉、カラ元気かもしれない言葉だが。前向きな言葉が彼女たちの身を引き締まらせる。

「そうです。ローザ様の言う通りです。行きましょう!!」

 そして3人はその作戦通りの陣形につく。


 数分後。



 カローヴァは相変わらず、冒険者と戦闘を続けている。まるで大人と子供のように、冒険者達を、一歩的にいたぶる戦い。するとそこに……。



「牛さん。牛さん。こっち、こっち、こっちです~~」

 ローザはカローヴァにむかって両手を振り、大声で叫ぶ。
 カローヴァはふっと、その方向へと視線を変える。

 すると、なんとローザは舌を出して挑発してきたのだ。カローヴァは自分がバカにされていることを理解し、飛び上がる。そして──。

 ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ──!!

 再び丸くなり、ローザに向かって突進し始めたのだ。

「おい、何やってるんだよあの女の子」

「無茶苦茶だ。死んじまうぞ?」

 周囲の冒険者が思わず叫ぶ。

(大丈夫です。牛さんは、罠にかかったです!)

 ローザは、こぶしを強く握り、勝利を確信する。


 ローザは両足に力を込め飛び上がる。

 そして両手に魔力を込め、前方の地面にむかっれビーム上の攻撃を繰り出す。

 攻撃は、地面に直撃し爆発。

 大きな爆発音を挙げたその場所は──。

「よし、狙い通りです」

 爆発した場所の地面が抉れ平坦だったこの地は凸凹に。
 カローヴァはそのままクレーターの中に突っ込み、その坂道を駆け上がって飛び上がる。
 宙を舞うカローヴァ。

「今よ、セフィラ!」

「はい!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉

まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。 貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。

処理中です...