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パトラ編
第72話 元勇者、かつての仲間とご対面
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魔力が切れたカイテルの心臓部分に何のためらいもなく突き刺した。
「ぐはっ。エミール様。なぜ……」
そしてそれと同時に、出現した魔獣たちが俺たちに向かって攻撃をし始める。
「な、なんで俺たちを襲って来るんだよ。俺たちは魔王軍に協力してきたのに!」
戸惑う冒険者たち。まあ、無理はない。こいつらは魔王軍に内通していて仮に攻めてきても攻撃されることはないと思っていたんだろう。
「ちょっと、こいつらに喝を入れてくるわ」
ルシフェルがあきれたような顔つきで俺の肩に手を置く。まあ、気持ちはわかる。
「敵からしたって、こいつは信用できない奴だ。まず魔王軍側の情報を握っているし、それでいて政府の人間とつながっているのでそこに情報が流れるということ。まずはそれだな」
「それもあるけど、もっと根本的な理由があるわ」
そしてルシフェルは冒険者たちに向かって思いっきり叫ぶ。
「あなたたち、話があるから聞きなさい。どうして魔獣たちがあなたたちを襲っているのか。敵だと認識しているのか」
「っているか助けてくれよ」
「んなの知らねぇよ」
予想もしなかった事態に困惑しながら戦う冒険者たちに、きりっとした表情でルシフェルが答える。
「あなたが自分の利益のためなら国だって裏切る存在、平気で無実の人々を傷つける存在、それらに対して何の罪悪感も持たない存在だからよ!!」
まあそうだな。目先のアメ欲しさに何でもする奴は、いつ裏切るかわからない。だからどこかで口封じに始末する必要がある。
魔王軍だって彼のようなやつは困るのだ。
事切れているカイテルの亡骸を見て冒険者たちは顔を真っ青にして言葉を失う。
そしてその亡骸を大型魔獣の1匹がつかみ口の中へ。
グシャグシャグシャ──、バキッ!!
自分の利益のためなら悪魔にでも魂を売り飛ばす奴にふさわしい末路だ。
俺の元の世界でこんな言葉があったのを思い出した。
強国に追従することは、強国に逆らうのと同じぐらい危険である。という言葉。
何となく意味がわかってきた。
さすがにあの魔獣たちやエミールを俺やルシフェル達だけで相手にするのは酷だ。この冒険者たちの協力が必要となる。
しょうがない、俺も一声かけるか。
「お前たち、カイテルと一緒に魔王軍と手を組んだ時。こう考えていなかったか? これで俺たちは大丈夫。たとえ世界が魔王軍の物になっても、自分たちは守ってくれるだろうとそんなのまやかしだ! 自分たちの故郷、守りたかったら──、自分たちの力で、死ぬ気で守れ!!」
冒険者たちは互いにきょろきょろと目を合わせる。そして──。
「行くぞ、俺たちの街は俺たちが守る」
「かかってこい! 全部倒してやる!」
ちょっとは目が覚めたようだな。
そして再び視線をエミールに向ける。
「俺が冒険者たちに檄を飛ばしている間、反撃してこなかったな」
あの時間は俺にとって大きなスキだった。それなのに全く反撃をせず腕を組んでみているだけ。
「お前たち全員を始末するのも、お前を倒してから取り巻き達を倒すのも、そんなに変わんねぇしな」
自分が最強だと信じて疑わない。この自信過剰とも取れる態度。こいつ、全く変わっていないな。
「まあ、どうして魔王軍に寝返ったかはあえて聞かないでおく、言っても変わらないだろうしな」
「話が分かるねぇ。どっちが強いか、戦って決めようじゃないか」
こいつに何があったかは分からない。けど、共に戦った仲、互いに全力を出し切ればわかることだってある。
行くぞ!!
そして俺とエミールの戦いが始まる。
一方ルシフェル達。
俺とエミールの戦いが始まろうとしているころ。ルシフェルたちも魔獣たちと戦いを始めていた。
「全く、魔王軍と組むなんてどういう神経しているのかしら!」
ルシフェルがぶつくさと愚痴を漏らしながら魔獣たちを次々と倒していく。
「とりあえず、この辺りは片付きましたね」
すると、斧を持った一人の冒険者がルシフェルに話しかける。
「あんた強いねぇ」
「ありがとうね。それで要件は何?」
「あっちに強い魔獣がいて、みんな冒険者たちがやられちまってるんだ。悪いけど協力してくれないかな?」
「わかったわ。今すぐその場所を案内して!」
そして冒険者の後ろをルシフェル、ローザ、セフィラがついていく。
その先の場所は、この街の郊外。緑の草原に牧場と、それを管理する家がある場所だ。
冒険者は左の方向を、警戒した表情で指さす。
「あれだよ。みんなあの魔獣にやられちまっているんだ」
指さす方にいる魔獣にルシフェルは驚く。
「えっ? あれが強い魔獣なんですか?」
「あれ、牛さんですよね……」
ローザの言う通り、そこにいる魔獣らしき姿の動物。それはピンク色の牛だ。そしてルシフェルがその牛をにらみつけながら話し始めた。
「あれは牛型の魔獣『カローヴァ』よ。見たことはあるわ。確か種族値はこんな感じになっているわ……」
ランク C
HP 101
物理攻撃 92
物理防御 99
魔法攻撃 20
魔法防御 78
速度 100
「そこそこの耐久に攻撃。魔法攻撃は、あの数値からして使ってこないですね」
「そうよ。主に物理攻撃を使ってくるわ」
「え? あんな身体付きでS100? 早くないか──。しかもそれだけでなく他の能力値もそれなりに高い。特に耐久」
冒険者も、その種族値の高さに驚く。すると、ルシフェルがローザとセフィラの服のすそをつかみ、戦場へと引っ張って行った。
そして戦場へ。
「ぐはっ。エミール様。なぜ……」
そしてそれと同時に、出現した魔獣たちが俺たちに向かって攻撃をし始める。
「な、なんで俺たちを襲って来るんだよ。俺たちは魔王軍に協力してきたのに!」
戸惑う冒険者たち。まあ、無理はない。こいつらは魔王軍に内通していて仮に攻めてきても攻撃されることはないと思っていたんだろう。
「ちょっと、こいつらに喝を入れてくるわ」
ルシフェルがあきれたような顔つきで俺の肩に手を置く。まあ、気持ちはわかる。
「敵からしたって、こいつは信用できない奴だ。まず魔王軍側の情報を握っているし、それでいて政府の人間とつながっているのでそこに情報が流れるということ。まずはそれだな」
「それもあるけど、もっと根本的な理由があるわ」
そしてルシフェルは冒険者たちに向かって思いっきり叫ぶ。
「あなたたち、話があるから聞きなさい。どうして魔獣たちがあなたたちを襲っているのか。敵だと認識しているのか」
「っているか助けてくれよ」
「んなの知らねぇよ」
予想もしなかった事態に困惑しながら戦う冒険者たちに、きりっとした表情でルシフェルが答える。
「あなたが自分の利益のためなら国だって裏切る存在、平気で無実の人々を傷つける存在、それらに対して何の罪悪感も持たない存在だからよ!!」
まあそうだな。目先のアメ欲しさに何でもする奴は、いつ裏切るかわからない。だからどこかで口封じに始末する必要がある。
魔王軍だって彼のようなやつは困るのだ。
事切れているカイテルの亡骸を見て冒険者たちは顔を真っ青にして言葉を失う。
そしてその亡骸を大型魔獣の1匹がつかみ口の中へ。
グシャグシャグシャ──、バキッ!!
自分の利益のためなら悪魔にでも魂を売り飛ばす奴にふさわしい末路だ。
俺の元の世界でこんな言葉があったのを思い出した。
強国に追従することは、強国に逆らうのと同じぐらい危険である。という言葉。
何となく意味がわかってきた。
さすがにあの魔獣たちやエミールを俺やルシフェル達だけで相手にするのは酷だ。この冒険者たちの協力が必要となる。
しょうがない、俺も一声かけるか。
「お前たち、カイテルと一緒に魔王軍と手を組んだ時。こう考えていなかったか? これで俺たちは大丈夫。たとえ世界が魔王軍の物になっても、自分たちは守ってくれるだろうとそんなのまやかしだ! 自分たちの故郷、守りたかったら──、自分たちの力で、死ぬ気で守れ!!」
冒険者たちは互いにきょろきょろと目を合わせる。そして──。
「行くぞ、俺たちの街は俺たちが守る」
「かかってこい! 全部倒してやる!」
ちょっとは目が覚めたようだな。
そして再び視線をエミールに向ける。
「俺が冒険者たちに檄を飛ばしている間、反撃してこなかったな」
あの時間は俺にとって大きなスキだった。それなのに全く反撃をせず腕を組んでみているだけ。
「お前たち全員を始末するのも、お前を倒してから取り巻き達を倒すのも、そんなに変わんねぇしな」
自分が最強だと信じて疑わない。この自信過剰とも取れる態度。こいつ、全く変わっていないな。
「まあ、どうして魔王軍に寝返ったかはあえて聞かないでおく、言っても変わらないだろうしな」
「話が分かるねぇ。どっちが強いか、戦って決めようじゃないか」
こいつに何があったかは分からない。けど、共に戦った仲、互いに全力を出し切ればわかることだってある。
行くぞ!!
そして俺とエミールの戦いが始まる。
一方ルシフェル達。
俺とエミールの戦いが始まろうとしているころ。ルシフェルたちも魔獣たちと戦いを始めていた。
「全く、魔王軍と組むなんてどういう神経しているのかしら!」
ルシフェルがぶつくさと愚痴を漏らしながら魔獣たちを次々と倒していく。
「とりあえず、この辺りは片付きましたね」
すると、斧を持った一人の冒険者がルシフェルに話しかける。
「あんた強いねぇ」
「ありがとうね。それで要件は何?」
「あっちに強い魔獣がいて、みんな冒険者たちがやられちまってるんだ。悪いけど協力してくれないかな?」
「わかったわ。今すぐその場所を案内して!」
そして冒険者の後ろをルシフェル、ローザ、セフィラがついていく。
その先の場所は、この街の郊外。緑の草原に牧場と、それを管理する家がある場所だ。
冒険者は左の方向を、警戒した表情で指さす。
「あれだよ。みんなあの魔獣にやられちまっているんだ」
指さす方にいる魔獣にルシフェルは驚く。
「えっ? あれが強い魔獣なんですか?」
「あれ、牛さんですよね……」
ローザの言う通り、そこにいる魔獣らしき姿の動物。それはピンク色の牛だ。そしてルシフェルがその牛をにらみつけながら話し始めた。
「あれは牛型の魔獣『カローヴァ』よ。見たことはあるわ。確か種族値はこんな感じになっているわ……」
ランク C
HP 101
物理攻撃 92
物理防御 99
魔法攻撃 20
魔法防御 78
速度 100
「そこそこの耐久に攻撃。魔法攻撃は、あの数値からして使ってこないですね」
「そうよ。主に物理攻撃を使ってくるわ」
「え? あんな身体付きでS100? 早くないか──。しかもそれだけでなく他の能力値もそれなりに高い。特に耐久」
冒険者も、その種族値の高さに驚く。すると、ルシフェルがローザとセフィラの服のすそをつかみ、戦場へと引っ張って行った。
そして戦場へ。
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