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パトラ編
第71話 元勇者 叫ぶ。エミール。どうしてここにいるんだ?
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「審判。まだ戦い、続けさせるつもりか?」
言葉を失っていた審判が慌てて勝敗を言い渡す。それほどまでにこいつはここでは負け知らずだったのだろう。
「勝者 後藤洋平!」
その瞬間、会場がどよめきだす。見ている人たちが互いに顔を合わせ、動揺しているのがわかる。
「やった──! 陽君が勝った!」
ローザが喜んでぴょんぴょんと飛び上がる。エマは信じられないといわんばかりに右手で口を押える。
まあ、俺からすればそこそこの相手という印象だったな。けどまだ俺のやることは終わっていない。
俺はカイテルの足元に近づき話しかける。
「さあ、お前が犯した罪、こっちは全部知っているんだ。とりあえず捕まってもらう」
当然だ、魔王軍とつながっていたなんだから。とりあえず王都に連行した後取り調べだな。
カイテルは倒れこんだまま不気味な笑みを浮かべている。
「フッフッフ……、フハハハハハ」
負けたにもかかわらず、この尊大な態度。呆れるしかない。
「なんだ、負け惜しみか? 貴様は敗れた。魔王軍と組んでいたっていう証拠も見つけた」
まあ、何か隠しているんろうな。
「さすがは「元」勇者だ。まさか俺が負けるとは思わなかった。さすがだ」
「今更おだてても何も出ないぞ。さあ、お前の罪を追求する時間だ。おとなしく捕まってもらうぜ」
「笑止千万。俺が潔く負けを認めるような人間だと思うか?」
カイテルが指をピッとはじく。
「な、なんですかこれ?」
その光景にローザが思わず叫んだ。
突然空が真黒に染まり始める。そして天から黒い柱が何十個も出現。
グォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ
黒い柱は、巨大で醜悪に満ちた禍々しい魔獣となる。
怪獣のようだったり、ゴブリンのようだったり様々な姿。周囲の冒険者たちは明らかに動揺している。そしてそいつらをバックにカイテルが叫び始める。
「どうだ、魔獣たちの姿を! 立ち向かおうとしても貴様はすでに手負い。ほかにいるのは目先の利益におぼれ団結することすらできない冒険者たち。どうすることもできまい」
カイテルは水を得た魚のように元気を取り戻し立ち上がる。その姿を見て俺は理解した。
こいつは救いようがない人間だと。だったら、貴様を始末するまで、遠慮はいらない。
心の底にある怒りを静かに爆発させながら、カイテルに向かって静かな声で怒りをぶつける。
決して感情を爆発させず、カイテルをにらみつけながら。
カイテル。貴様は一線を越えた。確かに人間というのは同じではないし、感情だってある。
対立することだってあるし、時には殴り合いになることだってある。
当然だ、生まれも、アイデンティティも、考え方も全く違うのだから──。
しかしどんな理由があっても決してやってはいけないことがある。
外の力をこの対立に持ち込むことだ。
おまけにその力は世界を破滅に追い込もうとした魔王軍。
これを許したらどうなるか。
ことあるごとに付け込まれ、この国の主権を強引に奪われ続けて属国になる。そして国民たちは奴隷となり苦しみを味わい続けるだろう。
外患誘致というやつだ。
最後に俺は精一杯の感情をこめて叫ぶ。
「もう俺は貴様を許さない。お前にはこの国の、いやこの世界の表舞台から完全に消えてもらう」
外観誘致罪、確かこの国では死刑が適用される。仮にも国のトップになっているこいつなら理解しているだろう。
もうこいつに情けは掛けない。全力で戦う。
そう決心すると
さっきまでの黒い柱より一層強い光。
そして1人の人物のシルエットが現れる。見覚えがある姿に俺は戦慄する。
「なんでお前が魔獣たちを召喚しているんだよ」
目の前に現れた人物に俺は驚愕する。
「私たちも、協力するわ」
ルシフェルたちが俺に加勢をしようと駆けつけてくれたのだ。
「こいつは、 種族値にかまけたこいつとも違う」
何かあった場合、俺はお前たちを守り切れない、と。
目の前にいる敵は、それほどの敵なのだと。
「わかったわ。ローザ、行きましょ」
ルシフェルがその意をくみ取ってくれたようで、首を縦に振る。
「陽君、絶対勝って」
ローザの心配そうな表情、彼女から出るオーラでその強さを察したのだろう。
俺と同じくらいの身長と細長い槍。右耳あたりにある大きな黄色のリボン。それに結ばれているスカーレット色のロングヘアと、髪と同じ色をした服とミニスカート。
その美しい瞳は、まっすぐ俺を見つめていた。
「エミール・キャロル。まさかこんな形で出会うとはな」
エミール・キャロル、かつて魔王たちと共に戦った俺の戦友だ。
俺に負け劣らずの強さ。特に接近戦も遠距戦ともに世界でもトップクラス。
一緒に行動することも多く、一見すると無謀としか言いようがない無茶な作戦をしては、2人で神がかりの成果を上げて帰ってくることもよくあった。
よく気が合うこともあり、夜街で遊んだりもしていたな。
味方だったときは盟友といってもいいくらい頼もしい存在だった。まさか敵になるなんて想像もしていなかったけどな。
「エミール様。どうしてここに?」
するとカイテルがにやりと希望がわいたような笑みをしながらエミールに駆け寄ってくる。
「俺がここに来た理由? そんなの1つに決まっているだろ」
エミールはそう言いながら自分の身長くらいある槍をペン回しのごとくクルクルと回している。
「はっはっはっ。ですよね。さあ、こいつはすでに魔力を消耗しております、どうぞやっちゃって下さい」
カイテルがゴマをする様にエミールの接近、槍をぎゅっと握り戦闘態勢に入り──。
魔力が切れたカイテルの心臓部分に何のためらいもなく突き刺した。
言葉を失っていた審判が慌てて勝敗を言い渡す。それほどまでにこいつはここでは負け知らずだったのだろう。
「勝者 後藤洋平!」
その瞬間、会場がどよめきだす。見ている人たちが互いに顔を合わせ、動揺しているのがわかる。
「やった──! 陽君が勝った!」
ローザが喜んでぴょんぴょんと飛び上がる。エマは信じられないといわんばかりに右手で口を押える。
まあ、俺からすればそこそこの相手という印象だったな。けどまだ俺のやることは終わっていない。
俺はカイテルの足元に近づき話しかける。
「さあ、お前が犯した罪、こっちは全部知っているんだ。とりあえず捕まってもらう」
当然だ、魔王軍とつながっていたなんだから。とりあえず王都に連行した後取り調べだな。
カイテルは倒れこんだまま不気味な笑みを浮かべている。
「フッフッフ……、フハハハハハ」
負けたにもかかわらず、この尊大な態度。呆れるしかない。
「なんだ、負け惜しみか? 貴様は敗れた。魔王軍と組んでいたっていう証拠も見つけた」
まあ、何か隠しているんろうな。
「さすがは「元」勇者だ。まさか俺が負けるとは思わなかった。さすがだ」
「今更おだてても何も出ないぞ。さあ、お前の罪を追求する時間だ。おとなしく捕まってもらうぜ」
「笑止千万。俺が潔く負けを認めるような人間だと思うか?」
カイテルが指をピッとはじく。
「な、なんですかこれ?」
その光景にローザが思わず叫んだ。
突然空が真黒に染まり始める。そして天から黒い柱が何十個も出現。
グォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ
黒い柱は、巨大で醜悪に満ちた禍々しい魔獣となる。
怪獣のようだったり、ゴブリンのようだったり様々な姿。周囲の冒険者たちは明らかに動揺している。そしてそいつらをバックにカイテルが叫び始める。
「どうだ、魔獣たちの姿を! 立ち向かおうとしても貴様はすでに手負い。ほかにいるのは目先の利益におぼれ団結することすらできない冒険者たち。どうすることもできまい」
カイテルは水を得た魚のように元気を取り戻し立ち上がる。その姿を見て俺は理解した。
こいつは救いようがない人間だと。だったら、貴様を始末するまで、遠慮はいらない。
心の底にある怒りを静かに爆発させながら、カイテルに向かって静かな声で怒りをぶつける。
決して感情を爆発させず、カイテルをにらみつけながら。
カイテル。貴様は一線を越えた。確かに人間というのは同じではないし、感情だってある。
対立することだってあるし、時には殴り合いになることだってある。
当然だ、生まれも、アイデンティティも、考え方も全く違うのだから──。
しかしどんな理由があっても決してやってはいけないことがある。
外の力をこの対立に持ち込むことだ。
おまけにその力は世界を破滅に追い込もうとした魔王軍。
これを許したらどうなるか。
ことあるごとに付け込まれ、この国の主権を強引に奪われ続けて属国になる。そして国民たちは奴隷となり苦しみを味わい続けるだろう。
外患誘致というやつだ。
最後に俺は精一杯の感情をこめて叫ぶ。
「もう俺は貴様を許さない。お前にはこの国の、いやこの世界の表舞台から完全に消えてもらう」
外観誘致罪、確かこの国では死刑が適用される。仮にも国のトップになっているこいつなら理解しているだろう。
もうこいつに情けは掛けない。全力で戦う。
そう決心すると
さっきまでの黒い柱より一層強い光。
そして1人の人物のシルエットが現れる。見覚えがある姿に俺は戦慄する。
「なんでお前が魔獣たちを召喚しているんだよ」
目の前に現れた人物に俺は驚愕する。
「私たちも、協力するわ」
ルシフェルたちが俺に加勢をしようと駆けつけてくれたのだ。
「こいつは、 種族値にかまけたこいつとも違う」
何かあった場合、俺はお前たちを守り切れない、と。
目の前にいる敵は、それほどの敵なのだと。
「わかったわ。ローザ、行きましょ」
ルシフェルがその意をくみ取ってくれたようで、首を縦に振る。
「陽君、絶対勝って」
ローザの心配そうな表情、彼女から出るオーラでその強さを察したのだろう。
俺と同じくらいの身長と細長い槍。右耳あたりにある大きな黄色のリボン。それに結ばれているスカーレット色のロングヘアと、髪と同じ色をした服とミニスカート。
その美しい瞳は、まっすぐ俺を見つめていた。
「エミール・キャロル。まさかこんな形で出会うとはな」
エミール・キャロル、かつて魔王たちと共に戦った俺の戦友だ。
俺に負け劣らずの強さ。特に接近戦も遠距戦ともに世界でもトップクラス。
一緒に行動することも多く、一見すると無謀としか言いようがない無茶な作戦をしては、2人で神がかりの成果を上げて帰ってくることもよくあった。
よく気が合うこともあり、夜街で遊んだりもしていたな。
味方だったときは盟友といってもいいくらい頼もしい存在だった。まさか敵になるなんて想像もしていなかったけどな。
「エミール様。どうしてここに?」
するとカイテルがにやりと希望がわいたような笑みをしながらエミールに駆け寄ってくる。
「俺がここに来た理由? そんなの1つに決まっているだろ」
エミールはそう言いながら自分の身長くらいある槍をペン回しのごとくクルクルと回している。
「はっはっはっ。ですよね。さあ、こいつはすでに魔力を消耗しております、どうぞやっちゃって下さい」
カイテルがゴマをする様にエミールの接近、槍をぎゅっと握り戦闘態勢に入り──。
魔力が切れたカイテルの心臓部分に何のためらいもなく突き刺した。
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