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第45話 元勇者 いよいよハイドと対決する
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なぜこうなったかというとみんなが寝静まった後物音がしたから何かと思ったらルシフェルがいなかった。
もしかしたらと思いセリカの所にいったら、ルシフェルを見たという報告があった。その方向へ行って探しまわったらこういうことになっていたわけだ。
するとルシフェルが不満そうに俺に叫ぶ。
「何で来たのよあんた」
「決まってるだろ、一つお前を救うため。もう一つ、ハイドの悪行を止めるため。以上だ」
ああ、彼の事情はわかった。
でもそれを知ったうえで俺は立ち向かった。このままでは、誰一人幸せにすることはできない。
「ああ、元勇者さん。あんたそうだったわね」
「ああ、俺はハイド、貴様のやっていることが間違っていると思っている。悪だと思っている。だから止める。それだけだ」
「ふん。向かってくるなら容赦はしない。俺に立ち向かうということがどれだけ無謀な行為か思い知らせてやる」
全く引かないハイド。当然と言えば当然だ、こいつはよくある悪役のように私利私欲のために戦っているのではない。大切な家族のために戦っている。
そして俺が大切な使命を持っているようにこいつも背負うものがあって戦っている。
「あんたはどんな時も迷うことなんてなかったわ。この世界の人達のために戦い、私たちに勝った。今回もその事に変わりはないものね」
「ほう、戦うことに何の戸惑いもない。やはり勇者だ」
ハイドの威圧するような物言いと目つき。それだけで足がすくみだし逃げ出したくなるような衝動にかられる。
「褒め言葉、素直に受け取っておくよ」
ルシフェルは自分の限界を感じてか少し離れた家の壁にちょこんと座りこみこちらを見ている。
「私も参戦する」
「いいや、ここは引いていてくれ。俺からのお願いだ」
見る限りルシフェルはボロボロ、本人はむきになっているがこれ以上戦わせるのはまずい。 それに、やはりこういう勝負は1対1で戦いたい。
「──分かったわ」
顔を膨れさせ不満げなルシフェル。だが何とか首を縦に振ってくれた。
そしてにらみ合う俺とハイド。
え~と、確かあいつのステータスは……。
ランク S
HP 80
AT 115
DEF 120
魔法攻撃 105
魔法防御 115
速度 70
だったな。全体的にステータスが高い。
速度は低いもののDEFも魔法防御も高い。
俺のAT140のようにとがった物が無いけれどATも魔法攻撃もそれなりに高い両刀型。
つまりつけこめるような弱点が無い。これは苦しい展開になりそうだ。
互いに睨み合う2人、そして──。
「では、行かせてもらうぞ」
ハイドが俺に向かって突っ込んでくる。俺も負けずに間合いを詰める。
俺が攻めればハイドが守る。ハイドが攻めれば俺が守る。
接近戦、互角の戦いが繰り広げられる。
(こいつ、なんてパワーだ──)
パワーも強烈、だが遠距離ではハイドの方が力は上。逆に接近戦では俺の方が上、逃げていてはこちらが不利になる
だから苦しくても逃げるわけにはいかない。
しかし接近戦も強すぎる。テクニックや技術的な面もそうだがあのパワーは明らかにおかしい。
何か強化でもしているのか──。
そう考えているとルシフェルが何かに気付いたのかハイドの後方、民家の壁に向かって叫ぶ。
「隠れてないで出てきなさい。卑怯だと思わないの」
すると壁際に黒い物体が現れ始める。
漆黒に光っていて顔くらいのサイズで宙に浮いている。こんな物体、俺は見たことない。
「こいつは闇の力をつかさどっている闇の精霊「ヒュドラ」よ」
「恐らくこいつがハイドに魔力を供給しているのよ」
なるほどな、こいつがハイドに闇の力を供給していたのか。だから数値に対して魔力が強いと感じたのか。
しかし厄介な相手だ。これでは実質的な種族値はハイドの方が上ということだ。
「フン。ヒュドラを見破るとは、腐っても元魔王ということか」
だが自分より強い相手とだって俺は戦って来た、そして勝って来た。今回も同じことを繰り返せばいいだけの事。
俺はハイドを威嚇するように睨むと反撃の準備をする。すると──。
「やっぱり、見ていられない!!」
横で見ていたルシフェルが足をがくがくとさせながら立ちあがる。無理だ、あれだけ消耗したのに──。
「やめろルシフェル、後は俺が──」
「あなたと一緒よ、あなたが必死になって戦っているのに、私は見ているだけなんて嫌だもの!!」
ルシフェルが俺の言葉を遮り精一杯の声で叫ぶ。声のトーンからもとても感情的になっているのが分かる。
「……わかったよ。だが絶対に無茶はするなよ──」
ルシフェルは何も言わず黙って首を縦に振る。
あの状態じゃあ俺が何を言っても聞かないだろう、だからルシフェルの好きにさせた方がいい。
そして2人でハイドをにらみつける。
すると「ヒュドラ」が強く漆黒に光り始める。するとハイドから発している魔力が一気に強くなった。
ハイドは自身の剣を薙ぎ払う。そして剣から巨大な球状の魔力を伴った砲撃が襲いかかってくる。
ドォォォォォォォォォォォン!!
もしかしたらと思いセリカの所にいったら、ルシフェルを見たという報告があった。その方向へ行って探しまわったらこういうことになっていたわけだ。
するとルシフェルが不満そうに俺に叫ぶ。
「何で来たのよあんた」
「決まってるだろ、一つお前を救うため。もう一つ、ハイドの悪行を止めるため。以上だ」
ああ、彼の事情はわかった。
でもそれを知ったうえで俺は立ち向かった。このままでは、誰一人幸せにすることはできない。
「ああ、元勇者さん。あんたそうだったわね」
「ああ、俺はハイド、貴様のやっていることが間違っていると思っている。悪だと思っている。だから止める。それだけだ」
「ふん。向かってくるなら容赦はしない。俺に立ち向かうということがどれだけ無謀な行為か思い知らせてやる」
全く引かないハイド。当然と言えば当然だ、こいつはよくある悪役のように私利私欲のために戦っているのではない。大切な家族のために戦っている。
そして俺が大切な使命を持っているようにこいつも背負うものがあって戦っている。
「あんたはどんな時も迷うことなんてなかったわ。この世界の人達のために戦い、私たちに勝った。今回もその事に変わりはないものね」
「ほう、戦うことに何の戸惑いもない。やはり勇者だ」
ハイドの威圧するような物言いと目つき。それだけで足がすくみだし逃げ出したくなるような衝動にかられる。
「褒め言葉、素直に受け取っておくよ」
ルシフェルは自分の限界を感じてか少し離れた家の壁にちょこんと座りこみこちらを見ている。
「私も参戦する」
「いいや、ここは引いていてくれ。俺からのお願いだ」
見る限りルシフェルはボロボロ、本人はむきになっているがこれ以上戦わせるのはまずい。 それに、やはりこういう勝負は1対1で戦いたい。
「──分かったわ」
顔を膨れさせ不満げなルシフェル。だが何とか首を縦に振ってくれた。
そしてにらみ合う俺とハイド。
え~と、確かあいつのステータスは……。
ランク S
HP 80
AT 115
DEF 120
魔法攻撃 105
魔法防御 115
速度 70
だったな。全体的にステータスが高い。
速度は低いもののDEFも魔法防御も高い。
俺のAT140のようにとがった物が無いけれどATも魔法攻撃もそれなりに高い両刀型。
つまりつけこめるような弱点が無い。これは苦しい展開になりそうだ。
互いに睨み合う2人、そして──。
「では、行かせてもらうぞ」
ハイドが俺に向かって突っ込んでくる。俺も負けずに間合いを詰める。
俺が攻めればハイドが守る。ハイドが攻めれば俺が守る。
接近戦、互角の戦いが繰り広げられる。
(こいつ、なんてパワーだ──)
パワーも強烈、だが遠距離ではハイドの方が力は上。逆に接近戦では俺の方が上、逃げていてはこちらが不利になる
だから苦しくても逃げるわけにはいかない。
しかし接近戦も強すぎる。テクニックや技術的な面もそうだがあのパワーは明らかにおかしい。
何か強化でもしているのか──。
そう考えているとルシフェルが何かに気付いたのかハイドの後方、民家の壁に向かって叫ぶ。
「隠れてないで出てきなさい。卑怯だと思わないの」
すると壁際に黒い物体が現れ始める。
漆黒に光っていて顔くらいのサイズで宙に浮いている。こんな物体、俺は見たことない。
「こいつは闇の力をつかさどっている闇の精霊「ヒュドラ」よ」
「恐らくこいつがハイドに魔力を供給しているのよ」
なるほどな、こいつがハイドに闇の力を供給していたのか。だから数値に対して魔力が強いと感じたのか。
しかし厄介な相手だ。これでは実質的な種族値はハイドの方が上ということだ。
「フン。ヒュドラを見破るとは、腐っても元魔王ということか」
だが自分より強い相手とだって俺は戦って来た、そして勝って来た。今回も同じことを繰り返せばいいだけの事。
俺はハイドを威嚇するように睨むと反撃の準備をする。すると──。
「やっぱり、見ていられない!!」
横で見ていたルシフェルが足をがくがくとさせながら立ちあがる。無理だ、あれだけ消耗したのに──。
「やめろルシフェル、後は俺が──」
「あなたと一緒よ、あなたが必死になって戦っているのに、私は見ているだけなんて嫌だもの!!」
ルシフェルが俺の言葉を遮り精一杯の声で叫ぶ。声のトーンからもとても感情的になっているのが分かる。
「……わかったよ。だが絶対に無茶はするなよ──」
ルシフェルは何も言わず黙って首を縦に振る。
あの状態じゃあ俺が何を言っても聞かないだろう、だからルシフェルの好きにさせた方がいい。
そして2人でハイドをにらみつける。
すると「ヒュドラ」が強く漆黒に光り始める。するとハイドから発している魔力が一気に強くなった。
ハイドは自身の剣を薙ぎ払う。そして剣から巨大な球状の魔力を伴った砲撃が襲いかかってくる。
ドォォォォォォォォォォォン!!
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