【完結】~追放された「元勇者」がゆく2度目の異世界物語~ 素早さ102、600族、Sランクで再び無双するようです

静内燕

文字の大きさ
上 下
32 / 103

第32話 元勇者 何とか無罪を勝ち取る

しおりを挟む
「だからごみを見るような目つきはやめてくれ」

「やめて? ゴミを見ているんだからゴミを見るような目つきになるのは当たり前でしょう?」

「セリカ、正直に言っていいのよ。この男に性欲にまみれたことをされたり少子化対策を強要されたりしたんでしょ?? 私が本当の姿になってハンバーグの原料にしてあげるわ」

 本当の姿? おいまてこんなところでやめてくれ。セリカ、誤解を解いて!!

「まて、何か勘違いしていないか? 私はこの男になにもされていないぞ」

 セリカは首を傾げ頭に?マークを浮かべながら話す。



「着替えようとしたらこの男が急に迫ってきて脱ぐのを妨害してきた。そのタイミングで貴様が割り込んできた。それだけだ」

「それだけ? っていうか彼の目の前で服を脱いだの?」

 真顔での反論にルシフェルはポカンとなる。

「そうだが何の問題がある。シャワーを浴びるのだから服は脱ぐものだろう。どこかおかしいことでもあるのか?」

 セリカ、確かに少年兵として育ち一般的な常識や倫理を理解していないのは分かった。でもこれはさすがにまずいぞ。
 ルシフェルも彼女の性に関する感覚を理解し右手で頭を抱え始めた。

「あんた、もうちょっと恥じらいってものを知りなさい。このままじゃ性欲にまみれた男たちにめちゃくちゃにされちゃうわよ」

「……そんなもんなのか?」

「まあ、確かに一緒に行動している男がやたら足や胸にしせんをおくったりしたり、私が着替えのために服を脱ぐと体を凝視したりしていたな」

 表情から察するに演技をしているわけではない。
 つまり彼女は一般的に女性が持っている恥じらいや性に関する知識も身に着けていないということだ。
 こりゃ苦労しそうだ。

「まあ、そういうことはこれから学んでいこう。学んでないんだから知らないのは仕方ない」

 俺が優しくそういうとセリカは服を着てタオルを持ちこの場所を後にする。

「わかった、ではシャワーを浴びてくるぞ」


 そしてセリカがいなくなったのを確認するとひそひそ越え


「良心があるってことよ。それがあるなら、まだ救いようがあるわ。」

「魔王軍に入るやつってね、大体どっかしら心に闇を抱えていたり、育ちに悲惨な過去を抱えていたりしているわ。彼女のように」

「そうか、じゃあ更生する見込みはあるんだな?」

 目を細めうつむきながら答える。

「ある、けれど絶対とは言えないわ。そのまま悪の道を進んでしまうケースだっていっぱいあるわ」

 まあ、それが現実だよな……、甘くはないってことか。

「まあ、最善は尽くそう。セリカが、いや彼らが悪い道から抜け出せるようにな──」

「ええそうね。でもそれはある意味世界を征服するより難しいわ──」

 ルシフェルの意味深な言葉、妙に説得力があるし俺も共感できる。俺も一理あると思う。でもやらなきゃ、絶望も喜びも知った俺たちなら、絶対気持ちは伝わると思う。

 俺だって国王など周囲から無理だと言われるような戦いをした事はあるけど必ず勝って来た。

 今回だって一緒だ。彼らに届かせるだけだ。


(とりあえず今日はもう寝よう──)

 俺は夢の中に入る。明日も頑張ろう、お休み。




 まだ日が開け始めたころ、俺は眠りから覚めそっと目を開ける。いつものホテルよりは寝心地が悪いのか、どこか疲れが残っている。

 そしてまだ眠っているルシフェルの肩をさすり優しく起こす。

「ちょっといい考えがあるんだけど、どうかな」

 俺はルシフェルの耳に顔を近づけ囁く。すると──。

「いいんじゃない。その方がみんな喜びそうだし」

「おい、何を話しているんだ?」

 俺の意見が通った。するとそのやりとりでセリカが起きたようで寝ぼけたような表情で俺達に話しかけてきた。

 とりあえず提案してみるか──。

「セリカ、おはよう。ちょっと聞きたい事があるんだけどいいかな?」

「……何だ?」

 寝ぼけているせいか抜けたような表情をしながらセリカが言葉を返す。

「朝食とかどうしているんだ?」

「朝食か、金がある時は市場で何か買っているがあいにく今は持ち合わせていない。我慢するしかないな」

 セリカが仕方ないと言いたげな表情をしながら言葉を返す。

「とりあえず俺達が泊まっているホテルに案内するよ。そこで朝食も一緒に取ろう──」

「ホテル、いいのか?」

 これがルシフェルと一緒に考えた案だ。
 ローザとセフィラも喜ぶと思う。流石にセリカの食事代は別料金だろうけど、この前クエストで手に入れた報奨金が結構あるし、そのくらいは出してあげてもいいか

「じゃあ、よろしく頼んでもいいか?」

「──決まりね。じゃあ行きましょ。今からホテルに向かうからしたくしてね」

「ああ、わかった」

 その言葉で俺達はすぐに支度をする。
 そしてしばらく街を歩き泊まっていたホテルにたどり着く。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉

まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。 貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。

処理中です...