【完結】~追放された「元勇者」がゆく2度目の異世界物語~ 素早さ102、600族、Sランクで再び無双するようです

静内燕

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第21話 元勇者 ジアーガに全力を叩きこむ

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 そしてその瞬間、俺は後ろに向かってアイコンタクトを取る。

(ローザ、今だ!!)

 俺は脚に魔力を込めジャンプ。そしてローザからジアーガの間に遮るものは無くなる。

 この時を待っていたぜ!! お前が逃げの選択を取った瞬間を──。

「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 ローザの右手が黄色に強く光り出す。かなり魔力を込めているのを強く感じる。
 お前の強さをあいつに見せてやれ、お前は弱くなんかない!!


 麗しき力を持つ雷よ──、戦場で闇をも照らし、光輝け

<雷属性 サンライズ・ライジング・シャイン>

 電気を伴った攻撃は一直線に槍のように直進し、ジアーガに向かって襲いかかる。着地前だったジアーガは空中にいて動く事が出来ない。

「イイコンビネーションダ──、ダガソノ程度デ……、私ガ倒せるモノカ!!」

 そう叫ぶとジアーガの体が再び黒に光り出す。そして右手の部分に魔力を込め自身の体を左方向へ移動させた。

「うそっ!!」

 驚くローザ。それを見たジアーガは確信した。

「ソンナノロい攻撃ガ当タルモノカ。マズハ貴様カラダ」

 一気にローザの方に距離を詰めようとする。



 その間に割って入る形で俺が入る。一気に加速している影響でもう止まることも向きを変えることもできない。この時を待っていたんだ!!


 もう貴様は小細工を使う事は出来ない!!!!

「上等ダ、貴様ナドニコノ私ガ負けルモノカ!!」

「行くぜ──。俺の全力、受けてみろ!!」


 人が希望を抱く時、語り継がれる光が現れる

<光属性・ホープ・ライト・スラッシュ>

「光属性?? 陽平さん、そんな術式がつかえるんですか?」

 俺が術式を叫ぶとセフィラが驚いた顔をして叫ぶ。無理はない、すると隣にいたルシフェルが話しかける。

「そんなに珍しい?」

「えっ? だって光属性って女神様達のような選ばれた人しか使えない力ですよね。元勇者なら使えておかしくはないですが、私初めて見ました」

 そしてセフィラが微笑を浮かべると、ルシフェルと一緒に俺とシアーガに視線を注目させる。


「さあ、俺の全力、受けとれぇぇぇぇぇぇ!!」


 俺の攻撃とジアーガの攻撃が激しくぶつかり合う。そこに今までの様な小細工は無い、ただ自らの想いをぶつけ合うだけ。

 そして──。

「ナニ……、コノ私ガ、敗れるダト──」

 ズバァァァァァァァァァァァァァァァァァ──!!

 俺の斬撃がシアーガの攻撃を打ち破り直撃。シアーガに盾となる物は無く、斬撃はシアーガの肉体を強い魔力を伴ったまま貫く。

 そして彼の肉体はそのまま後方に吹き飛び、遺跡の壁に叩きつけられた。シアーガの肉体から黒色の光が消え元の青色に戻る。

「魔力、切れましたね」

 セフィラの言う通り魔力が切れた。もう奴は戦えない。勝負は決まった。
 俺達はとりあえずシアーガの近くへ行ってみる。

「ナンダ? 敗れタコノ俺様ヲ笑イモノニ来タノカ?」

「いいえ、あなたには聞きたいことがあるから来たのよ」

 そしてシアーガは左にいるローザに身体をわずかに向け、話しかける。

「ローザ、貴様ノ演技モ見事ナモノダッタ。マサカあれガ演技だったトハ、私モ見破レナカッタ」

「演技、ですか? 私は別に……そんな──」

 戸惑い視線をキョロキョロさせながらローザが言葉を返す。まあ、そりゃそうだよな。今の言葉に嘘偽りはないんだから──。

「何ヲ驚イテイル? 褒メ言葉ハ素直ニ受け取っテオクモノダ」

「そりゃそうだ、驚くにきまっている。言っていないんだからな」

 俺はジアーガに事情を説明、ローザには作戦の本当の主旨を伝えていなかったと。

「何! 貴様正気カ? 作戦ノ内容モヨク分カラヅズ自分ノ全魔力ヲ使ッタダト」


「だって作戦を教えたら、あの一撃がおとりだってローザが理解してしまう。そうすればそれは表情に自然にでる。そうだろ?」

「それは、そうです──」

 ローザが両手をはっとして答える。ちょっと攻めちゃったかな? フォローしないと。

「別に攻めているわけじゃない。でも表情に出たらこいつは感ずいてしまう。だからあえて伝えなかったんだ。現にそれを見た貴様はおとりの攻撃だと気づかず全力で交わしたろ」

「アア……、貴様ノ策にマンマトハマッタナ」

 ジアーガがあきれるような口調で捨て台詞を吐く。


「貴様、大シタ奴ダ……。コノ私ガ対面デ負ケルトハ──」

「あんたこそすごい強かったよ」


 まあ、魔法攻撃118はだてじゃなかった。俺が戦ってきた中でも中の上位の強さだ。

 そしてジアーガの姿が少しずつ消滅していく。以前もそうだったが、魔王軍の魔獣たちは魔力が尽きると、中身を調べられないように肉体が消滅する手はずになっているのだ。
 秘密については魔王軍の中でも一部の人物しか知らずルシフェルでさえ知らないという。

「そういえば聞きたいことがあるんだけれどいいかな?」


「何ダ? 言ッテミロ」




「貴様たちって消滅したらどうなるんだ?」

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