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第15話 元勇者 何とか目的の海岸に到着する
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俺は半ばキレ気味になりながら叫ぶ。俺のその叫びに周囲の冒険者は黙りこくり沈黙。
そしてあきらめたような表情で囁いた。
「わかったよ。まあ、他に手段が無いんだもんな」
他の冒険者達も渋々首を縦に振る。仕方ないという感じだが、他に案が無い以上どうする事も出来ない。
「そうと決まったら手伝おう。疲れているしちゃっちゃとテントを立てて寝よう」
様子見をしていたポルポさんもパンと手を叩いて周囲の冒険者にテントを立てるよう促した。流石はリーダーだ、頼りになる。
その後、俺やポルポさん、全員でテントを立てる。
1時間ほどするとテントが完成、皆疲れているようで、すぐにテントに入り横になる。
俺もつかれているし早く寝るか──。
もちろん俺のテントは、ルシフェル、ローザ、セフィラ4人で1部屋だ。
干し肉などの保存食を食べた後4人は横になる。疲労も考えすぐに就寝。
しようとするとーー。
「ねえ、陽君。ちょっといい?」
「何だ?」
ルシフェルがあきれ顔で布団の中から顔を出し、話しかけてきた。
「あんたったち冒険者の旅っていつもこんなにグダグダなの? よくこんな旅で魔獣たちと戦えたわね……」
「いや、そんなことは無かったぞ。お前たち魔王軍と戦っていた時は士気も高かったし、現地までの案内人も新人じゃなくてベテランのしっかりしている人がやっていた」
俺は右手を額に当て苦い笑いをしながら答える。少なくてもここまでグダグダではなかった。
俺が追放され、魔王という共通の敵を失いここまでダメになっているのか冒険者達は……。
この世界、俺がいた時とは大分変わっちゃったなぁ……。
「でも俺がいた時は出来てたんだ、みんなが1つになって戦うということは、今回だって出来るようになる……、って信じたい」
「そ、そうですよね。私たちが引っ張るくらいの気持ちで頑張らないと──」
「セフィラ……」
セフィラも起きていたようでフッと笑いながら会話に入る。ローザは疲れていたのか、すでにすぅすぅと寝息を立てながら寝ていた。
「確かに、考えてみたら以前も最初はこんな感じだったな」
「ど、どういう事ですか?」
その言葉にセフィラは少し驚いて反応する。
「俺が最初に勇者として戦っていたときだってそうだった。ルシフェル、魔王軍だって最初からまとまっていたわけじゃないだろ?」
魔王だったルシフェルならわかるはずだ。
そうだ、最初っから完璧な人がいないように完璧な組織なんて存在しない。
「御名答。魔王軍だって最初は人間達や支配層に弾圧されたり、虐げられていた人達の寄せ集め。初めはひどかったわ、何も考えず無実の人達を傷つけたりしていて一つのチームにまとめるのにえらい時間がかかったわ」
ルシフェルはため息をついた後、天井をじっと見つめながら話した。
確かに後半の魔王軍との戦いは厳しい物があった。この世界でも不当に差別されたり貧しい立場にいる人達や奴隷たちが次々に敵に取り込まれ大ピンチの連続。
おまけに時間が経つ程占領した地域で略奪などの行為を行わなくなど残虐性は無くなっていった。そのため魔王軍に対する敵対心がなくなってしまい戦いを放棄する地域まで現れたのだった。
だから俺は魔王軍になった人達の声を聞いた。そして貴族達に直談判し、そう言った立場の低い人達を配慮するように迫り何とか味方になってもらったのを思い出した。
テントの天井をじっと見つめながら、昔の事を思い出す。そしてルシフェルも同じように天井をじっと見つめている。
きっと同じ事を考えていたのだろう。魔王として戦っていた時の事を──。
「まあ、今回もそうなんだろう。乗り越えていくしかないな」
「そうね。私たちも、出来る事はすべてしましょう──」
俺達は眠りにつく。今度こそ、彼らの平和にために、1つにまとまるために、頑張ろう──。
岩場の海岸。これが今回の目的地だ。
「何とか到着しましたね」
「よかった。まあ、本番はここからだけどな──」
冒険者達の中にもほっとした雰囲気が流れる。しかしここからどうやって海底遺跡に行くんだ?
「おいポルポ、ただの殺風景な海岸じゃないかどうしろつうんだよ」
ギルドマスターのキーロフはイライラしながら彼に当たる。確かに、潜って海底なんか行けないし、これだけの人数の潜水を可能にする冒険者なんてそうそういない。
するとポルポはポケットから資料を取り出す。そして海岸線の方を見渡し始める。
「確か、海底遺跡には入口になる石があるらしいです。そこに魔力を込めると遺跡に転送させられるらしいです」
「そうなのか──、どんな石なんだ?」
俺は岩礁地帯を歩きそれらしいものが無いか探す。すると──。
(あれじゃないか?)
視線の先、海岸沿いの岩にクリスタルに光る石。岩場を飛び越えその場所にたどり着く。
(長方形で透き通っている。まるで宝石みたいだ。恐らくこれが──)
「みんなーー。あったぞ!!」
その言葉に冒険者達の視線が俺に向かってす寄せられる。
「とりあえずこれに魔力を込めればいいんだな。みんな、準備はいいか?」
俺は後ろを振り向いて叫ぶ。
「大丈夫だ!!」
ポルポさんの声を聞いて俺はその石に向かってそっと手をかざす。
そして手に自分の魔力を込める。すると──。
そしてあきらめたような表情で囁いた。
「わかったよ。まあ、他に手段が無いんだもんな」
他の冒険者達も渋々首を縦に振る。仕方ないという感じだが、他に案が無い以上どうする事も出来ない。
「そうと決まったら手伝おう。疲れているしちゃっちゃとテントを立てて寝よう」
様子見をしていたポルポさんもパンと手を叩いて周囲の冒険者にテントを立てるよう促した。流石はリーダーだ、頼りになる。
その後、俺やポルポさん、全員でテントを立てる。
1時間ほどするとテントが完成、皆疲れているようで、すぐにテントに入り横になる。
俺もつかれているし早く寝るか──。
もちろん俺のテントは、ルシフェル、ローザ、セフィラ4人で1部屋だ。
干し肉などの保存食を食べた後4人は横になる。疲労も考えすぐに就寝。
しようとするとーー。
「ねえ、陽君。ちょっといい?」
「何だ?」
ルシフェルがあきれ顔で布団の中から顔を出し、話しかけてきた。
「あんたったち冒険者の旅っていつもこんなにグダグダなの? よくこんな旅で魔獣たちと戦えたわね……」
「いや、そんなことは無かったぞ。お前たち魔王軍と戦っていた時は士気も高かったし、現地までの案内人も新人じゃなくてベテランのしっかりしている人がやっていた」
俺は右手を額に当て苦い笑いをしながら答える。少なくてもここまでグダグダではなかった。
俺が追放され、魔王という共通の敵を失いここまでダメになっているのか冒険者達は……。
この世界、俺がいた時とは大分変わっちゃったなぁ……。
「でも俺がいた時は出来てたんだ、みんなが1つになって戦うということは、今回だって出来るようになる……、って信じたい」
「そ、そうですよね。私たちが引っ張るくらいの気持ちで頑張らないと──」
「セフィラ……」
セフィラも起きていたようでフッと笑いながら会話に入る。ローザは疲れていたのか、すでにすぅすぅと寝息を立てながら寝ていた。
「確かに、考えてみたら以前も最初はこんな感じだったな」
「ど、どういう事ですか?」
その言葉にセフィラは少し驚いて反応する。
「俺が最初に勇者として戦っていたときだってそうだった。ルシフェル、魔王軍だって最初からまとまっていたわけじゃないだろ?」
魔王だったルシフェルならわかるはずだ。
そうだ、最初っから完璧な人がいないように完璧な組織なんて存在しない。
「御名答。魔王軍だって最初は人間達や支配層に弾圧されたり、虐げられていた人達の寄せ集め。初めはひどかったわ、何も考えず無実の人達を傷つけたりしていて一つのチームにまとめるのにえらい時間がかかったわ」
ルシフェルはため息をついた後、天井をじっと見つめながら話した。
確かに後半の魔王軍との戦いは厳しい物があった。この世界でも不当に差別されたり貧しい立場にいる人達や奴隷たちが次々に敵に取り込まれ大ピンチの連続。
おまけに時間が経つ程占領した地域で略奪などの行為を行わなくなど残虐性は無くなっていった。そのため魔王軍に対する敵対心がなくなってしまい戦いを放棄する地域まで現れたのだった。
だから俺は魔王軍になった人達の声を聞いた。そして貴族達に直談判し、そう言った立場の低い人達を配慮するように迫り何とか味方になってもらったのを思い出した。
テントの天井をじっと見つめながら、昔の事を思い出す。そしてルシフェルも同じように天井をじっと見つめている。
きっと同じ事を考えていたのだろう。魔王として戦っていた時の事を──。
「まあ、今回もそうなんだろう。乗り越えていくしかないな」
「そうね。私たちも、出来る事はすべてしましょう──」
俺達は眠りにつく。今度こそ、彼らの平和にために、1つにまとまるために、頑張ろう──。
岩場の海岸。これが今回の目的地だ。
「何とか到着しましたね」
「よかった。まあ、本番はここからだけどな──」
冒険者達の中にもほっとした雰囲気が流れる。しかしここからどうやって海底遺跡に行くんだ?
「おいポルポ、ただの殺風景な海岸じゃないかどうしろつうんだよ」
ギルドマスターのキーロフはイライラしながら彼に当たる。確かに、潜って海底なんか行けないし、これだけの人数の潜水を可能にする冒険者なんてそうそういない。
するとポルポはポケットから資料を取り出す。そして海岸線の方を見渡し始める。
「確か、海底遺跡には入口になる石があるらしいです。そこに魔力を込めると遺跡に転送させられるらしいです」
「そうなのか──、どんな石なんだ?」
俺は岩礁地帯を歩きそれらしいものが無いか探す。すると──。
(あれじゃないか?)
視線の先、海岸沿いの岩にクリスタルに光る石。岩場を飛び越えその場所にたどり着く。
(長方形で透き通っている。まるで宝石みたいだ。恐らくこれが──)
「みんなーー。あったぞ!!」
その言葉に冒険者達の視線が俺に向かってす寄せられる。
「とりあえずこれに魔力を込めればいいんだな。みんな、準備はいいか?」
俺は後ろを振り向いて叫ぶ。
「大丈夫だ!!」
ポルポさんの声を聞いて俺はその石に向かってそっと手をかざす。
そして手に自分の魔力を込める。すると──。
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