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第13話 元勇者 夜の戦いへ
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「元勇者さん、大変です。この屋敷を取り囲むように魔獣が──」
「な、何だって?? すぐ行く!」
マジかよ。夜に奇襲か、俺はベッドから飛び降りてルシフェルと一緒にその場に急行。
案内されたのは入口の上にある4人部屋。すでに警戒モードなようで、他の冒険者が10人ほどびくびくしながら窓の外を見ている。
「どれどれ、あの窓の外に魔獣がいるんだな?」
「そ、そ、そ、そうですぜ、元勇者の旦那!!」
震えあがっている冒険者を横目に、俺とルシフェルはゆっくりと窓へと向かう。
窓の視線に視線を送ると……。
「あれか──」
外には夜の暗闇の中、光るような眼光がこちらを向いている。その数20個ほど。ただの動物なのか、それとも魔獣なのかわからない。
「でも、本当に魔獣なのか? ただの夜行性の動物ってこともありえるぞ?」
周囲の冒険者は目をキョロキョロとしてざわめきだす。そして皆が窓の外に目を向けた。
その眼光を目の当たりにした冒険者が囁く。
「あれシカじゃないのか??」
「シカだよシカ、この辺りによく出るって聞いたぜ」
「シカだよな……」
「シカですよね──」
この辺りはシカがよく出ると言う事は知られている。冒険者達は怯えながらシカである事を祈っている。
ま、願望がかなり入っているだろうな。
とりあえず寝なければ──。そこで怖がっている冒険者達にルシフェルが一つの案を出す。
「まだ遺跡への移動は続くわ、それに遺跡には戦わなきゃいけない敵がいるかもしれない。わかる?」
「それは──、わかります」
「だから睡眠を取らないわけにはいかないわ。そこで提案があるの」
ひそひそ──。
「う~~ん、それがいいかもしれんな」
まあ、ルシフェルは魔王としていろいろな敵と戦って来た。そういった不意の敵の奇襲対策もバッチリしているのは戦って来た俺がよく知っている。
本当に手を焼かされた──。
「俺も協力する、だからもうみんな寝よう──」
俺も彼女の意見に賛同、反論する者はいなかった。そしてそのために使う道具を集めるため、俺は5分ほど外へ出る。
そして玄関に戻りとある仕掛けをしてルシフェルの作戦は終わり。俺は再びベットへ戻る。
夜も更けみんなが寝静まったころ──。
ザクッ──。
「来たみたいだ……。ちょっと退治しに行ってくる」
下の玄関から何かを足で踏んだような音が聞こえた。俺とルシフェルがすぐに起き上がる
「シカとかじゃないんですか?」
ローザがびくびくしながら聞いてくる、だがこの足音は違うはず。
「普通のシカだったら落ち葉を踏んでもそのまま歩き続ける。足音が止まったってことは、音が周囲に聞こえる事がまずいと思ったということだ──」
俺達が用意した策、それは玄関に落ち葉をありったけまいておくことだった。
外にある落ち葉を玄関に巻いておく、たったそれだけ。
暗いこの玄関では下にある落ち葉を見落とす可能性は高いし、敵の知能次第ではそれは罠だと認識すらしない。
俺もルシフェルも武器を構え戦う準備をする。他の冒険者も気づいたようで、隣の部屋からもガサゴソと物音が聞こえ出す。
ギィー、ギィー……。
足音の主は廊下を歩き始める。獲物があると気配で気付いたのだろう。作戦は単純、先手必勝。
こっちに被害が出る前に魔獣たちを倒せばいい!!
そして俺は一気に駆け足になり階段を下る。1階の廊下、暗闇に慣れた目、正面には魔獣の姿。
ズバァァァァァァァァァァァ!!
魔獣たちを一瞬で切り裂く。
「私も応援するわ、悪いけどこの建物。半壊くらいしちゃっていい?」
ルシフェル、着いてきたようで一緒に戦っている。
俺はその質問に苦笑いをしながら突っ込む。
「悪いがやめてくれ、この建物は冒険者が長旅をするため必要な物なんだ」
「わかったわ……」
そう言うとルシフェルの武器の光が弱まる。お前の実力ならこんな魔獣くらい接近戦で勝てるだろ、AT80なんだから──。
それにこの狭い廊下じゃ2人同時に戦うなんて出来ない。
とにかくこの冒険者にとって大事な建物を壊すわけにはいかない。ここは全部俺が片付ける!!
そうやりとりしている間に魔獣がもう一体襲い掛かってくる、殴りかかってくる。
俺は特によけたりするしぐさは見せず、そのままその敵を薙ぎ払う。
下級魔獣程度の攻撃、正直俺には止まって見える。
5~6体いた魔獣がものの数十秒で消え去っていく。
そりあえず敵は片付いたようだ。
「私の出番、無かったわね──」
ルシフェルがどこか残念そうにつぶやく。まあ、彼女の本業は遠距離攻撃だ、これから発揮してもらえばいい。
「さすが元勇者さんだ──」
「やっぱ俺達とはレベルが違うな」
魔獣たちはこの場から一掃され、周囲からは俺を賛美する声が溢れる。
だが俺達はこの状況を手放しに喜べなかった。
「褒めてくれてありがとう、ただ明日からも移動はあるし、あくまでも目的は魔獣のいる遺跡だ。今日はもう寝よう──」
その言葉に周囲の冒険者たちは互いに視線を合わせ、自身の部屋に帰っていく。
そして部屋に戻るとローザやセフィラ、ルシフェルの姿。
ルシフェルは腕を組みながらつぶやく。
「魔獣だったわね──」
「な、何だって?? すぐ行く!」
マジかよ。夜に奇襲か、俺はベッドから飛び降りてルシフェルと一緒にその場に急行。
案内されたのは入口の上にある4人部屋。すでに警戒モードなようで、他の冒険者が10人ほどびくびくしながら窓の外を見ている。
「どれどれ、あの窓の外に魔獣がいるんだな?」
「そ、そ、そ、そうですぜ、元勇者の旦那!!」
震えあがっている冒険者を横目に、俺とルシフェルはゆっくりと窓へと向かう。
窓の視線に視線を送ると……。
「あれか──」
外には夜の暗闇の中、光るような眼光がこちらを向いている。その数20個ほど。ただの動物なのか、それとも魔獣なのかわからない。
「でも、本当に魔獣なのか? ただの夜行性の動物ってこともありえるぞ?」
周囲の冒険者は目をキョロキョロとしてざわめきだす。そして皆が窓の外に目を向けた。
その眼光を目の当たりにした冒険者が囁く。
「あれシカじゃないのか??」
「シカだよシカ、この辺りによく出るって聞いたぜ」
「シカだよな……」
「シカですよね──」
この辺りはシカがよく出ると言う事は知られている。冒険者達は怯えながらシカである事を祈っている。
ま、願望がかなり入っているだろうな。
とりあえず寝なければ──。そこで怖がっている冒険者達にルシフェルが一つの案を出す。
「まだ遺跡への移動は続くわ、それに遺跡には戦わなきゃいけない敵がいるかもしれない。わかる?」
「それは──、わかります」
「だから睡眠を取らないわけにはいかないわ。そこで提案があるの」
ひそひそ──。
「う~~ん、それがいいかもしれんな」
まあ、ルシフェルは魔王としていろいろな敵と戦って来た。そういった不意の敵の奇襲対策もバッチリしているのは戦って来た俺がよく知っている。
本当に手を焼かされた──。
「俺も協力する、だからもうみんな寝よう──」
俺も彼女の意見に賛同、反論する者はいなかった。そしてそのために使う道具を集めるため、俺は5分ほど外へ出る。
そして玄関に戻りとある仕掛けをしてルシフェルの作戦は終わり。俺は再びベットへ戻る。
夜も更けみんなが寝静まったころ──。
ザクッ──。
「来たみたいだ……。ちょっと退治しに行ってくる」
下の玄関から何かを足で踏んだような音が聞こえた。俺とルシフェルがすぐに起き上がる
「シカとかじゃないんですか?」
ローザがびくびくしながら聞いてくる、だがこの足音は違うはず。
「普通のシカだったら落ち葉を踏んでもそのまま歩き続ける。足音が止まったってことは、音が周囲に聞こえる事がまずいと思ったということだ──」
俺達が用意した策、それは玄関に落ち葉をありったけまいておくことだった。
外にある落ち葉を玄関に巻いておく、たったそれだけ。
暗いこの玄関では下にある落ち葉を見落とす可能性は高いし、敵の知能次第ではそれは罠だと認識すらしない。
俺もルシフェルも武器を構え戦う準備をする。他の冒険者も気づいたようで、隣の部屋からもガサゴソと物音が聞こえ出す。
ギィー、ギィー……。
足音の主は廊下を歩き始める。獲物があると気配で気付いたのだろう。作戦は単純、先手必勝。
こっちに被害が出る前に魔獣たちを倒せばいい!!
そして俺は一気に駆け足になり階段を下る。1階の廊下、暗闇に慣れた目、正面には魔獣の姿。
ズバァァァァァァァァァァァ!!
魔獣たちを一瞬で切り裂く。
「私も応援するわ、悪いけどこの建物。半壊くらいしちゃっていい?」
ルシフェル、着いてきたようで一緒に戦っている。
俺はその質問に苦笑いをしながら突っ込む。
「悪いがやめてくれ、この建物は冒険者が長旅をするため必要な物なんだ」
「わかったわ……」
そう言うとルシフェルの武器の光が弱まる。お前の実力ならこんな魔獣くらい接近戦で勝てるだろ、AT80なんだから──。
それにこの狭い廊下じゃ2人同時に戦うなんて出来ない。
とにかくこの冒険者にとって大事な建物を壊すわけにはいかない。ここは全部俺が片付ける!!
そうやりとりしている間に魔獣がもう一体襲い掛かってくる、殴りかかってくる。
俺は特によけたりするしぐさは見せず、そのままその敵を薙ぎ払う。
下級魔獣程度の攻撃、正直俺には止まって見える。
5~6体いた魔獣がものの数十秒で消え去っていく。
そりあえず敵は片付いたようだ。
「私の出番、無かったわね──」
ルシフェルがどこか残念そうにつぶやく。まあ、彼女の本業は遠距離攻撃だ、これから発揮してもらえばいい。
「さすが元勇者さんだ──」
「やっぱ俺達とはレベルが違うな」
魔獣たちはこの場から一掃され、周囲からは俺を賛美する声が溢れる。
だが俺達はこの状況を手放しに喜べなかった。
「褒めてくれてありがとう、ただ明日からも移動はあるし、あくまでも目的は魔獣のいる遺跡だ。今日はもう寝よう──」
その言葉に周囲の冒険者たちは互いに視線を合わせ、自身の部屋に帰っていく。
そして部屋に戻るとローザやセフィラ、ルシフェルの姿。
ルシフェルは腕を組みながらつぶやく。
「魔獣だったわね──」
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