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第7話 元勇者 ブラックギルドと化したギルドに呆れる
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「この報奨金、以前よりかなり下がっていないか?」
「元勇者さん、やっぱりお気付きですね──」
質問に答えたのは大人の女性の杖を持った人。
「何かすいません、元勇者。この3年間、あなたが作り上げた物がみんな壊されてしまったんです」
俺が作り上げた物、そのひとつが冒険者達が認められるような制度だ。
冒険者というのはかっこいい事ばかりではない。時にはボロボロになってまで強敵と戦わなければいけない時もありある時は命を張ってこの世界を守るために死闘を尽くす時だってある。しかし人によっては彼らの事を軽視しやすい報奨金しか出さない人もいる。
代わりはいくらでもいる、と言って──。
冒険者もどうしても仕事の依頼に波がある関係で時には生活に困ってしまうことだってある。
そんな冒険者たちが貧困に困ることが無いように、安い報奨金で働かされるのを防ぐために最低報奨金制度を作った。今までの流れからなんとなく俺の作った制度がどうなったか察しがついてしまうが。
「はい、その制度なんですが。元勇者様がいなくなった後。国王様の側近の人が来て自由な競争を阻害するからとすぐになくなってしまいました」
冒険者の言葉にもはやあきれ顔の俺。
もう予想通りだ。
たしかその制度を作る時も財界を牛耳る貴族やギルドを支配している人達から猛反発にあったんだっけ。
そんな声に対し冒険者を奴隷のように、消耗品のように扱う奴らには冒険者は戦わない。たとえどんな強い魔王軍の侵攻があってもだ。
そう叫んで何とか押し切って成立させたのは今も記憶に強く残っている。
「あの頃は、よかったですよ。今は、私も見るに堪えない光景をよく目の当たりにします」
冒険者は声のトーンを低くしながら俺に話しかける。何か他の人に聞こえたくない事でもあるのだろうか。
「そして今まで私たちの味方をしてくれたギルドの支配人が突然解任されてしまい新しい」
今は効率性を重視し、いかに安い報奨金で冒険者を奴隷のように扱うかが焦点となってしまい冒険者達の間でこう呼ばれるようになってしまっていた。
「ブラックギルド」
そして冒険者は後ろを向き始める。
「あの人が新しいギルドの支配人なのですが、あの人が支配人になってからが問題なんです」
俺は彼女の説明に耳を傾ける。
「申し訳ありません、このクエストでは私確実に足かせになってしまいます」
「なんだとォ。俺様の命令が聞けないと言うのか? いち冒険者の分際で──」
「あの、すいません。別のクエストがいいです」
そう言いながら頭を下げる。
びくびくしながら囁くのは魔法のステッキを持った冒険者のピンクの髪の女の子、華奢で細めの体形。
「また始まったよ。今のギルドマスター、よくあの子を怒鳴りつけるんだよね」
冒険者の一人が俺の隣で話しかけてくる。
彼女は遠距離攻撃を得意とする冒険者でダンジョンのような狭くて入りくんでいるような場所は苦手な分野であった。なので強引ではあるが別の仕事に振り替えるようマスターにお願いをしたのであったが──
「このやろォ……」
ギルドマスターの表情に視線を移す。眉間にシワをよせ目がひきつり始め、怒りに満ちた様相を呈し始める。
その少女にギルドマスターが眼前まで急接近、少女はびくびくと震えながら後ずさりする。
そしてギルドマスターは彼女を指差し──。
「このクソヤロウがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
マスターがギルド全体に聞こえるような大声で怒鳴り始めた。
すると背後からフィーナさんが現れる。呆れたような、やれやれというような表情。
「無理っていうのはなァ、嘘吐きのクソヤロウが使う言葉なんだよ。死にかけても這いつくばってもゲロ吐きながらでもやりとげりゃァ無理じゃあねえんだよ!」
「ひぃぃぃぃ~~、すいません」
少女はブルブルと身体を震えさせながらうずくまっている。明らかに怖がっている。しかしマスターはそんな事気にも留めず少女に向って怒鳴り散らす。
「仕方がないです、ちょっと止めに行きます」
「確かに、そうした方がいいですね」
フィーナさんの提案に俺は首を縦に振る。そして2人はマスターの元に駆け寄る。
「キーロフさん、やめてください」
まずフィーナさんが彼に接近。肩をつかみ叫ぶ。あのマスターキーロフっていうのか──。
そして俺もたまらず叫ぶ。
「私からもお願いします。やめてください!!」
「人間ってのはなァ、ありがとうの気持ちがあればなァ、徹夜しても休まなくても何も食べなくても生きていけるんだよ!」
キーロフは持っているムチを取り出し少女を何度もビシバシと叩く。少女はうずくまりサンドバッグのように彼の暴力を受ける。
「ですからキーロフ様、他の人も見ています。おやめ下さい」
周囲の冒険者や側近たちが慌てて駆け寄る。他の人も見ている手前必死にやめてくださいと懇願する。
「見てください。あれが現実です。ギルドの経営姿勢は今や冒険者の生活や安全よりも収益が第一になってしまっています」
ああ……、これはひどいな。周りの冒険者が俺に話しかけてくる。
「性善説なんて都市伝説。罪を憎んで人を憎まずなんてお花畑。肌で実感できるよ」
「ええ、それは同感よ。あんたたちが欲にまみれた人物だってすぐに理解したわ」
「元勇者さん、やっぱりお気付きですね──」
質問に答えたのは大人の女性の杖を持った人。
「何かすいません、元勇者。この3年間、あなたが作り上げた物がみんな壊されてしまったんです」
俺が作り上げた物、そのひとつが冒険者達が認められるような制度だ。
冒険者というのはかっこいい事ばかりではない。時にはボロボロになってまで強敵と戦わなければいけない時もありある時は命を張ってこの世界を守るために死闘を尽くす時だってある。しかし人によっては彼らの事を軽視しやすい報奨金しか出さない人もいる。
代わりはいくらでもいる、と言って──。
冒険者もどうしても仕事の依頼に波がある関係で時には生活に困ってしまうことだってある。
そんな冒険者たちが貧困に困ることが無いように、安い報奨金で働かされるのを防ぐために最低報奨金制度を作った。今までの流れからなんとなく俺の作った制度がどうなったか察しがついてしまうが。
「はい、その制度なんですが。元勇者様がいなくなった後。国王様の側近の人が来て自由な競争を阻害するからとすぐになくなってしまいました」
冒険者の言葉にもはやあきれ顔の俺。
もう予想通りだ。
たしかその制度を作る時も財界を牛耳る貴族やギルドを支配している人達から猛反発にあったんだっけ。
そんな声に対し冒険者を奴隷のように、消耗品のように扱う奴らには冒険者は戦わない。たとえどんな強い魔王軍の侵攻があってもだ。
そう叫んで何とか押し切って成立させたのは今も記憶に強く残っている。
「あの頃は、よかったですよ。今は、私も見るに堪えない光景をよく目の当たりにします」
冒険者は声のトーンを低くしながら俺に話しかける。何か他の人に聞こえたくない事でもあるのだろうか。
「そして今まで私たちの味方をしてくれたギルドの支配人が突然解任されてしまい新しい」
今は効率性を重視し、いかに安い報奨金で冒険者を奴隷のように扱うかが焦点となってしまい冒険者達の間でこう呼ばれるようになってしまっていた。
「ブラックギルド」
そして冒険者は後ろを向き始める。
「あの人が新しいギルドの支配人なのですが、あの人が支配人になってからが問題なんです」
俺は彼女の説明に耳を傾ける。
「申し訳ありません、このクエストでは私確実に足かせになってしまいます」
「なんだとォ。俺様の命令が聞けないと言うのか? いち冒険者の分際で──」
「あの、すいません。別のクエストがいいです」
そう言いながら頭を下げる。
びくびくしながら囁くのは魔法のステッキを持った冒険者のピンクの髪の女の子、華奢で細めの体形。
「また始まったよ。今のギルドマスター、よくあの子を怒鳴りつけるんだよね」
冒険者の一人が俺の隣で話しかけてくる。
彼女は遠距離攻撃を得意とする冒険者でダンジョンのような狭くて入りくんでいるような場所は苦手な分野であった。なので強引ではあるが別の仕事に振り替えるようマスターにお願いをしたのであったが──
「このやろォ……」
ギルドマスターの表情に視線を移す。眉間にシワをよせ目がひきつり始め、怒りに満ちた様相を呈し始める。
その少女にギルドマスターが眼前まで急接近、少女はびくびくと震えながら後ずさりする。
そしてギルドマスターは彼女を指差し──。
「このクソヤロウがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
マスターがギルド全体に聞こえるような大声で怒鳴り始めた。
すると背後からフィーナさんが現れる。呆れたような、やれやれというような表情。
「無理っていうのはなァ、嘘吐きのクソヤロウが使う言葉なんだよ。死にかけても這いつくばってもゲロ吐きながらでもやりとげりゃァ無理じゃあねえんだよ!」
「ひぃぃぃぃ~~、すいません」
少女はブルブルと身体を震えさせながらうずくまっている。明らかに怖がっている。しかしマスターはそんな事気にも留めず少女に向って怒鳴り散らす。
「仕方がないです、ちょっと止めに行きます」
「確かに、そうした方がいいですね」
フィーナさんの提案に俺は首を縦に振る。そして2人はマスターの元に駆け寄る。
「キーロフさん、やめてください」
まずフィーナさんが彼に接近。肩をつかみ叫ぶ。あのマスターキーロフっていうのか──。
そして俺もたまらず叫ぶ。
「私からもお願いします。やめてください!!」
「人間ってのはなァ、ありがとうの気持ちがあればなァ、徹夜しても休まなくても何も食べなくても生きていけるんだよ!」
キーロフは持っているムチを取り出し少女を何度もビシバシと叩く。少女はうずくまりサンドバッグのように彼の暴力を受ける。
「ですからキーロフ様、他の人も見ています。おやめ下さい」
周囲の冒険者や側近たちが慌てて駆け寄る。他の人も見ている手前必死にやめてくださいと懇願する。
「見てください。あれが現実です。ギルドの経営姿勢は今や冒険者の生活や安全よりも収益が第一になってしまっています」
ああ……、これはひどいな。周りの冒険者が俺に話しかけてくる。
「性善説なんて都市伝説。罪を憎んで人を憎まずなんてお花畑。肌で実感できるよ」
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