~~異世界帰りの最強勇者~~  なぜか理不尽だらけのクソダンジョンで実力を発揮。助けた美少女配信者や元魔王様から好意を受けバズってしまう

静内燕

文字の大きさ
上 下
95 / 99

第95話 アルセルライド

しおりを挟む
 人影は一体だけど、その後ろに2匹。魔物のような姿をしたものがいた。

 まず姿を現したのは──前にいる一人の人物。

 赤いローブを着て、白いひげを蓄えた老人。木でできた、大きな杖を持っている。
 あれ? こいつ、魔王軍との戦いで会ったことあるぞ。

「貴様、アルセルライドじゃな?」

「おお、ネフィリムか。偶然じゃ」

 ああ、思い出した。魔王軍で、闇神殿を支配している人だっけ。こいつも、強大な魔力を持っていて。強力な魔法を使って来るんだっけ。


「よくぞここまで来た。その強さ、褒めて遣わすぞ」

「お礼はいいです。戦うんですよね? 何か言いたいことはありますか?」

「フン、話が早くて助かる。こいつらと私。果たして倒せるかな? ネフィリム様とて今は敵同士、手加減はぜぬぞ」


 当然なのじゃ。手加減など必要なかろう。正々堂々と、貴様を倒す」

「ネフィリム様なら、そう返してくれると信じておりました。今度は敵同士、全力で戦いましょう」

 そして、アルセルライドは思いっ切り杖を振り上げる。杖が強く光り出したと思うと、アルセルライドの後方の光の柱が弱くなり、魔物の姿が、見え始める。こいつらとも、戦わないといけないんだな。

「魔力からして、ラスボスにふさわしい強さのようですね」


「まあ、どんな敵が来ようと絶対に勝利するのじゃ」

 確かに、今まででもトップクラスに強そうな気配はしている。でも、俺たちは弱音は吐かない。

 目の前に現れた敵は、2体。

 1体目は──黒く光る、巨大なドラゴン。

「サーチ魔法で調べます。えーと、ブラックドラゴンっていうんですね」

「ドラゴン」か、向こうの世界では、最上級の魔物と恐れられていたんだっけ。しかも、
 普通のドラゴンよりも強化されているのがわかる。


 手を焼きそうな敵だ。
 けど、倒したこと自体はあるし問題はないだろう。ドラゴンとは何度も戦っているし、パワー方が強くなっているといっても戦い方は変わらないはず。弱点。攻略法は理解している。絶対に勝つ。


 もう1体。

 灰色の、機械で出来た四足歩行の肉体。

 赤く光る眼がこっちを向けて睨んでいる。そして、大きく口を上げ──こっちに向かって叫んだ。なんというか、見たことがない、どんな動物をモチーフにしているか

「えーと、これはデスヒプノスという魔物です」
 デスビスノス──あ、なんか聞いたことがあるな。魔王軍の幹部が開発した、強力な魔物だと。
 俺たちとの決戦の時は試作段階だと聞いて、不完全だったため参戦できなかったと聞いたが、完成していたのか……。そして、目が合うなりこっちを睨みつけてきて威嚇のためか、大声で叫んできた。

「ギィィィィィィィィィィエェェェェェェェェェェェィィィィ!!」


 まるで、黒板をかきむしった時のような耳をふさぎたくなるような音。不快な音という言葉がこれでもかというくらい似合う。

 こいつも、かなり強力なはず。秘めている魔力は「ブラックドラゴン」よりも強力だと思う。おまけにどんな戦い方をしてくるかわからない。牽制気味に戦いながら、こいつの癖を見抜いて、しっかりと対抗していこう。

 変な力を、持ってないといいが──。

 そして、アルセルライド、ブラックドラゴン、デスヒプノスがそろってこっちを向く。

 一番前にアルセルライド。後ろにブラックドラゴンとデスヒプノスが控えているかのように存在している。しっかりと敵意を持っていて、これから戦いが始まるのだと、すぐに理解した。

「さあ、最後の戦いの始まりだ」

「了解です。必ず勝って帰りましょう」

「絶対に、負けないのじゃ!」

 俺と璃緒が、一気に前線に向かっていく。何が待っているかわからないが、何もしなければ好き放題やられるだけ。俺たちの動きに応えるように、後ろの魔物2体が動き出す。

 デスヒプノスがとびかかって、ブラックドラゴンが空から飛んでこっちに襲い掛かかってきた。

 俺たちは三方向バラバラに飛んで攻撃をかわす。一緒に固まるより、そっちの方が狙いをつかられにくいからだ。

 後方に下がったネフィリムが、前に向かって杖を出す。強い魔力の気配、明らかに一撃をお見舞いしようとしている。

「吹き飛ばすのじゃ!」

 そしてデスヒプノスとブラックドラゴンそれぞれに1つずつ砲弾状の攻撃を放ち、ドォォォォォォォォォォォォォォォンという大きな音とともに大爆発が起こる。


 ブラックドラゴンは攻撃が直撃したようで、吹き飛ぶように落下。地面に激突するようにして直撃。

 デスヒプノスは攻撃が直撃する直前に、障壁を張る。透き通るような、薄い水色。しかしネフィリムの攻撃はそんな障壁をお構いなしに一瞬で破壊。


 ガッシャァァァァァァァァァァンという音がこの場一帯に通る。

「無課金でも、攻撃が通るんだな」

 見た感じ、倒しきれてはいないもののしっかりとダメージを与えているのがわかる。
 さっきみたいに、明らかに効きにくくなってるわけではなさそう。

「そんなことする必要はない。しなくても、貴様たちを倒すには十分だからな」

「随分な自信だな」

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。

名無し
ファンタジー
学園『ホライズン』でいじめられっ子の生徒、G級探索者の白石優也。いつものように不良たちに虐げられていたが、勇気を出してやり返すことに成功する。その勢いで、近隣に出没したモンスター討伐に立候補した優也。その選択が彼の運命を大きく変えていくことになるのであった。

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅
ファンタジー
 物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

強奪系触手おじさん

兎屋亀吉
ファンタジー
【肉棒術】という卑猥なスキルを授かってしまったゆえに皆の笑い者として40年間生きてきたおじさんは、ある日ダンジョンで気持ち悪い触手を拾う。後に【神の触腕】という寄生型の神器だと判明するそれは、その気持ち悪い見た目に反してとんでもない力を秘めていた。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

処理中です...