~~異世界帰りの最強勇者~~  なぜか理不尽だらけのクソダンジョンで実力を発揮。助けた美少女配信者や元魔王様から好意を受けバズってしまう

静内燕

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第48話 参拝、そしてお土産

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「うん。このデートのためにお店に行って選んだのじゃ。店員さんとも相談したぞい」

「じゃあ行こうか。今日はよろしくね」

 そうなのか。やはり気合を入れているんだな。それなら、こっちも期待に応えられるよう頑張らないと。自然と気合が入る。

「初めて駅から降りた時、びっくりしてフリーズしてしまったのじゃ」

「まあ、こんな状況異世界でもないもんね。じゃあ行こうか」


 まあ、中世レベルの世界にいたやつがいきなり東京に着たら驚くよな。たとえ下調べをしたとしても。
 そして、俺たちは移動を始めた。まずは、ネフィリムが一番行きたいって言ってた場所。


「明治神宮──楽しみじゃ」

 ネフィリムは自分でこの世界のことを調べていたそうだ。そして、こう言ってきた。

「お参りがしたいのじゃ」

 最初は伊勢とか出雲とか明らかにと居場所をしてきた。待ってくれ、交通費とかすごいかかるし配信できない期間が空いてしまう。だから東京近郊でいくつか調べて相談した結果こことなった。
 ここならネフィリムが同じくらい行きたいって言っていた渋谷にも行けるし。

 そして、駅から入口へと歩く。東京の中の、人通りが多い緑に囲まれた林の中。
 鳥居にお辞儀をしてから、整備された砂利道を進む。

「こういった場所で、お参り、してみたいと思ったのじゃ」

「そうなんだ。こんど初詣行こうね」

「わかったのじゃ」

 とりあえず気に入ってもらえたのだろうか。ニコニコしていて、とても機嫌がよさそう。年末もこうして楽しく過ごせたらいいな。

 木々の間の砂利道をさらに歩くと、再び鳥居をくぐる。そして、手水舎に到着。

「ここで、ひしゃくを使って手を洗うところから始まるよ」

「そこからか? 面白いのう」

 ネフィリムは興味津々そうに手水舎、そしてひしゃくに水が出ている場所を見ている。
 手を洗ってハンカチで拭いた後、境内にある建物を目を輝かせながら見ていた。

「初めて見る建物がいっぱいで、どれも神秘的なのじゃ」

「確かに、ネフィリムにとってはそうだよな」


 とても楽しそう。

 ちなみにあっちの世界では、こんな雰囲気の建物は存在しなかった。どれも、中世や近世のヨーロッパの街並みのような感じ。

 そう考えると、ネフィリムが好奇心旺盛になっているのもうなづける。
 そして、本殿へと入っていく。本殿は人が多く列をなしている。比較的人が少ない端っこの方に並びながら参拝の仕方を説明。

「ほうほう、賽銭を投げてから2回お辞儀して、胸の前で手を合わせ2回拍手。御祈念してからもう一度お辞儀するのじゃな」

「ここではね」

 場所によって細かいやり方は異なるが、それはゆっくり教えよう。
 そして、列は進んで一番前に。

 俺は──家族から命令された通り15円。(多分いいご縁と掛けたのだと思う)と賽銭箱に投入。
 ネフィリムは……同じ様に15円だった。ちらっと視線を向けたので視線が合ってしまった。
 ネフィリムはこっちを見て、にっこりと笑う。

「こうすると縁起がいいと聞いたのじゃ」

「そうか」

 やっぱり色々と調べてる。それと、どこか嬉しそう。そして、さっき言ったとおりに2人同時で参拝。

 後の人もいるので、それが終わったら列を抜けて外へ。

 それから、雑木林の中を歩いてからお土産売り場へいった。様々なお土産を眺める。

「これが絵馬じゃな? 一個買ってみるのじゃ、あと──この東京バナナ。美味しいと評判みたいじゃな、買ってみるぞい」

 そう言って、絵馬を5つほど、東京バナナが9個入りのを7個ほど買った。ずいぶんたくさん買うな。

 俺は、家族用にシュガーバターの木を1つ。東京バナナのメープル味のを1つ。いずれも12個入り。

 たくさんのお土産をかごに入れ、レジの列に立つやっぱりネフィリムはご機嫌そうだ。にっこりと笑顔で話す。

「仲間だった奴らへの、お土産じゃ。みんな、珍しいものだから喜んでくれると思うのじゃ」

「だろうね」

 まあ、絵馬はあっちの世界とても珍しいものだし。お菓子も保存手段が限られているのでこっちのものと比べるとどうしても味が落ちてしまう。東京バナナの味なら、十分喜ばれるだろう。

 そして会計を終え、一度原宿駅に戻る。ちょうど時間はお昼時。ネフィリムのお腹がぐぅとなって、食事にすることとなった。

「キレイで美味しそうな店がいっぱいなのじゃ。すでにこの世界のことは調べているが、この世界の食事の店はどこもすごいのう」

 それから電車で1駅。渋谷駅を降りて、ハチ公の銅像前を通り過ぎてから細い道を進む。
 土曜の日中だけあって、人通りが激しい。

「すごい人なのじゃ」

「ああ、ここは日本でも有数の繁華街だからな」

 ネフィリムは歩きながらすれ違う人たちに視線を向けていた。やはり初めての東京になれないのかな? 次はもっと落ち着いた場所の方がいいか?

 狭い坂道を登って色々なカフェのような飲食店が連なるエリア。
 店は──ここに来る前に妹と相談して決めてある。

「取り合えず今お店を決めましょ。渋谷にあるそこまで高くなくていい雰囲気のお店。この辺りにあるわ」

「ありがとう」

「っていうか食事のお店くらいあらかじめ調べておきなさいよ。食事時に慌ただしくスマホをいじってる姿なんて見せたら間違いなくイメージダウンよ! そういう所が心配なのよ私」

 妹に説教食らう始末。という事ですでに目星はつけてある。

「パスタやピザなんかどう?」

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