39 / 99
第39話 天空へ
しおりを挟む
“飛んだあああああああああああああああああああああああああああああ”
“飛んだあああああああああああああああああああああああ”
“テントが、飛んだああああああああああああああああ!!
コメントからも、驚きの声が多数。でも、そこまで驚くことかな? 不自然さを感じて考えていると、璃緒が隣にやってきた。
「これ、アニメのOPのネタですよ?」
俺のコメントに、冷静に璃緒が指差した。
「そうなの?」
「はい。日常系キャンプアニメのOPでそういうシーンとキャンプが夜空を飛ぶシーンでそういう叫び声をコメントするのが約束になってるんです。私のコメントも、こんな感じになってます」
そう言って、璃緒が自分のスマホを見せてきた。確かに、璃緒のコメントも似たような感じになっている。
「こういった他コンテンツのこともわからないと、いざネタが来た時に困るから、大変よね」
「でも、そこまで考えているなんてすごいですね」
「旬のネタは、よく勉強してます。大変ですが、視聴者への配慮になりますから」
そうなのか。しかし、いろいろな方面のネタも理解しないといけないのか。コメントの数だけ趣味があるからそれも大変そうだ。それでもいや顔一つしない璃緒も素晴らしいものがある。こういう所は、俺も見習わないと。
そして、キャンプは100メートルほど上空まで飛ぶ。ひんやりした空気、下を見ると広大な景色。
広いジャングルに、視線を前に向けるとそびえたつ山々。山の先端には雪がかかっていて、明らかに今飛んでいる場所よりも高い。きれいだ。そしてキャンプは、北の空へと進んでいった。方向まで指定してくれてるのか?
「多分、動くととある目的地に行くように設定されているのじゃろ。移動系の術式で見たことがある」
「つまり、このテントが向かっているのは──」
「セラフィールの場所の可能性は十二分にある」
「そうだな」
そう言えば、魔王軍との戦いの時もセラフィールの本拠地は空中にあった。白い竜にパーティーで乗っかってから、嵐の雲を抜けて──雲の上に大きな城があってそこに乗り込んだ。
今回も、そうなのだろうか。
結論から言うと、ほとんど同じだった。
しばらくしてテントは雲の中に入り、大きな風がテントにたたきつけてくる。ゴンゴン物音がして、心配に放ったがすぐに雲の上へと昇り切った。(その際テントが傾いて璃緒がこっちに飛び込んできた。璃緒の体、柔らかいし大きくてマシュマロみたいな胸が当たってしまった)
そして、ゆっくりと入り口を開いて外を見ると、宙に浮く、大きな城がそこにあった。
地面の土台の上にある、白亜の西洋風のお城。どう考えても、セラフィールの場所だよな。
だって、以前乗りこんだ城とほとんど同じ外見をしているのだから。
そして、城門のような場所の前でテントは止まる。
門の前には、門番の兵士らしき人がいたが──全く動いていない。よく見たら甲冑だけ。
門の前に立つと、自動で門がギィィィと音を立てて開く。
「さあ、いこう」
「そうですね。これからワクワクします」
ここか──ようやくたどり着いた。
互いに視線を合わせて、コクリとうなづく。
一緒に、城の中へと進んでいく。中に、人やモンスターの気配はしない。城までの石畳の道。庭園なのだろうか、芝生のような場所に噴水と池。黄色赤緑など、カラフルな花が咲いている花畑。
水はきれいだし、花壇はしっかり整えられている。明らかに誰かが手入れしているのがわかる。
「セラフィールの部下、いるのかな?」
「いると思うのじゃ。あいつは非道だが仲間と認定したものには義理が固いところがある」
「そうか」
セラフィールは、戦乱とかで孤児になったやつらを拾って勢力を増やしてきた。だから部下たちは忠誠心も高い。どうやって接すればいいのか。
城門をくぐると、広々とした場所へ。そこを進んでいくと、一つ入り口があり、そこも扉の前に近づいた瞬間、扉が勝手に動き始めだ。
「多分、奥に行けば何かわかると思う」
「了解です」
警戒しながらも、さらに奥の方へと進む。それ以外に道はなさそうだ。
赤じゅうたんが敷かれた、広い道を進んでいく。
壁には、女神様の絵画。2階建ての建物の建造物、森や山の風景画などが等間隔で飾られている。
「何でしょうかこれ」
「セラフィールの趣味だな。前の城もこんな感じだったし、占領した先で絵画を押収しては自分の物にしていた」
「あやつは、絵を見ることを好んでいた。よく他の幹部からも価値の高い絵を譲ってもらっていたな。自分で絵をかくこともあったな」
「面白い趣味をしているんですね」
様々な絵が並んでいる廊下。何か、神秘的なイメージを感じる。それから、螺旋状の階段を登って行って、一番上の階へ進んだ。
そこにまた両開きの大きな扉。扉の奥から物音がする。人がいるのか──コンコンとノックをして扉を開けた。
「すいませーん」
警戒しながら扉を開け、中に視線を向ける。
今までで一番、大きくて広い部屋。花瓶が置いてある長くて大きい机、豪華そうなシャンデリア。壁際には、時折どこからか持ってきた飾り物や騎士が来ている西洋風の甲冑。
そこには、白と黒を基調としたメイド服を着た女の人が多数。エルフ特有の長い耳や毛耳をつけている人もいた。
みんな、こっちに視線を向け怖がった表情でそわそわしている。部屋の一番奥でそれぞれ寄り添いあうように座り込んでいた。体を震わせ恐怖しているのがわかる。
「怖がってますね」
「とりあえず、話しかけてみましょう」
“飛んだあああああああああああああああああああああああ”
“テントが、飛んだああああああああああああああああ!!
コメントからも、驚きの声が多数。でも、そこまで驚くことかな? 不自然さを感じて考えていると、璃緒が隣にやってきた。
「これ、アニメのOPのネタですよ?」
俺のコメントに、冷静に璃緒が指差した。
「そうなの?」
「はい。日常系キャンプアニメのOPでそういうシーンとキャンプが夜空を飛ぶシーンでそういう叫び声をコメントするのが約束になってるんです。私のコメントも、こんな感じになってます」
そう言って、璃緒が自分のスマホを見せてきた。確かに、璃緒のコメントも似たような感じになっている。
「こういった他コンテンツのこともわからないと、いざネタが来た時に困るから、大変よね」
「でも、そこまで考えているなんてすごいですね」
「旬のネタは、よく勉強してます。大変ですが、視聴者への配慮になりますから」
そうなのか。しかし、いろいろな方面のネタも理解しないといけないのか。コメントの数だけ趣味があるからそれも大変そうだ。それでもいや顔一つしない璃緒も素晴らしいものがある。こういう所は、俺も見習わないと。
そして、キャンプは100メートルほど上空まで飛ぶ。ひんやりした空気、下を見ると広大な景色。
広いジャングルに、視線を前に向けるとそびえたつ山々。山の先端には雪がかかっていて、明らかに今飛んでいる場所よりも高い。きれいだ。そしてキャンプは、北の空へと進んでいった。方向まで指定してくれてるのか?
「多分、動くととある目的地に行くように設定されているのじゃろ。移動系の術式で見たことがある」
「つまり、このテントが向かっているのは──」
「セラフィールの場所の可能性は十二分にある」
「そうだな」
そう言えば、魔王軍との戦いの時もセラフィールの本拠地は空中にあった。白い竜にパーティーで乗っかってから、嵐の雲を抜けて──雲の上に大きな城があってそこに乗り込んだ。
今回も、そうなのだろうか。
結論から言うと、ほとんど同じだった。
しばらくしてテントは雲の中に入り、大きな風がテントにたたきつけてくる。ゴンゴン物音がして、心配に放ったがすぐに雲の上へと昇り切った。(その際テントが傾いて璃緒がこっちに飛び込んできた。璃緒の体、柔らかいし大きくてマシュマロみたいな胸が当たってしまった)
そして、ゆっくりと入り口を開いて外を見ると、宙に浮く、大きな城がそこにあった。
地面の土台の上にある、白亜の西洋風のお城。どう考えても、セラフィールの場所だよな。
だって、以前乗りこんだ城とほとんど同じ外見をしているのだから。
そして、城門のような場所の前でテントは止まる。
門の前には、門番の兵士らしき人がいたが──全く動いていない。よく見たら甲冑だけ。
門の前に立つと、自動で門がギィィィと音を立てて開く。
「さあ、いこう」
「そうですね。これからワクワクします」
ここか──ようやくたどり着いた。
互いに視線を合わせて、コクリとうなづく。
一緒に、城の中へと進んでいく。中に、人やモンスターの気配はしない。城までの石畳の道。庭園なのだろうか、芝生のような場所に噴水と池。黄色赤緑など、カラフルな花が咲いている花畑。
水はきれいだし、花壇はしっかり整えられている。明らかに誰かが手入れしているのがわかる。
「セラフィールの部下、いるのかな?」
「いると思うのじゃ。あいつは非道だが仲間と認定したものには義理が固いところがある」
「そうか」
セラフィールは、戦乱とかで孤児になったやつらを拾って勢力を増やしてきた。だから部下たちは忠誠心も高い。どうやって接すればいいのか。
城門をくぐると、広々とした場所へ。そこを進んでいくと、一つ入り口があり、そこも扉の前に近づいた瞬間、扉が勝手に動き始めだ。
「多分、奥に行けば何かわかると思う」
「了解です」
警戒しながらも、さらに奥の方へと進む。それ以外に道はなさそうだ。
赤じゅうたんが敷かれた、広い道を進んでいく。
壁には、女神様の絵画。2階建ての建物の建造物、森や山の風景画などが等間隔で飾られている。
「何でしょうかこれ」
「セラフィールの趣味だな。前の城もこんな感じだったし、占領した先で絵画を押収しては自分の物にしていた」
「あやつは、絵を見ることを好んでいた。よく他の幹部からも価値の高い絵を譲ってもらっていたな。自分で絵をかくこともあったな」
「面白い趣味をしているんですね」
様々な絵が並んでいる廊下。何か、神秘的なイメージを感じる。それから、螺旋状の階段を登って行って、一番上の階へ進んだ。
そこにまた両開きの大きな扉。扉の奥から物音がする。人がいるのか──コンコンとノックをして扉を開けた。
「すいませーん」
警戒しながら扉を開け、中に視線を向ける。
今までで一番、大きくて広い部屋。花瓶が置いてある長くて大きい机、豪華そうなシャンデリア。壁際には、時折どこからか持ってきた飾り物や騎士が来ている西洋風の甲冑。
そこには、白と黒を基調としたメイド服を着た女の人が多数。エルフ特有の長い耳や毛耳をつけている人もいた。
みんな、こっちに視線を向け怖がった表情でそわそわしている。部屋の一番奥でそれぞれ寄り添いあうように座り込んでいた。体を震わせ恐怖しているのがわかる。
「怖がってますね」
「とりあえず、話しかけてみましょう」
20
お気に入りに追加
95
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。
名無し
ファンタジー
学園『ホライズン』でいじめられっ子の生徒、G級探索者の白石優也。いつものように不良たちに虐げられていたが、勇気を出してやり返すことに成功する。その勢いで、近隣に出没したモンスター討伐に立候補した優也。その選択が彼の運命を大きく変えていくことになるのであった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~
伽羅
ファンタジー
物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
強奪系触手おじさん
兎屋亀吉
ファンタジー
【肉棒術】という卑猥なスキルを授かってしまったゆえに皆の笑い者として40年間生きてきたおじさんは、ある日ダンジョンで気持ち悪い触手を拾う。後に【神の触腕】という寄生型の神器だと判明するそれは、その気持ち悪い見た目に反してとんでもない力を秘めていた。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる