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第34話 強敵
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その瞬間、後ろからただならぬ気配を感じ、慌てて後方に身を投げた。
すぐに身をひるがえすと、俺がいた場所に向かって魔剣を薙ぎ払っているザインの姿。
そして、ネフィリムが剣から光を出して対応しているのが見える。
後一歩遅かったら、俺はあの剣に背中から真っ二つにされていたのか。ネフィリムのおかげで、無事だった。
「なんだぁ~~あとちょっとだったのに、惜しかったな」
「からすみさんを、犠牲になんかさせません!!」
残念そうに舌を出してせせら笑うザインを、ネフィリムと璃緒が攻撃していく。2対1本来は2人が優位なはずだが、一緒に行動して間もたってないせいでコンビネーションがあまりとれてない。
2人で攻め込もうとすると、璃緒が遠慮がちになってしまい威力が半減してしまう。
「ほらほらどうしたの? 2人がかりで来ればいいじゃん」
俺もネフィリムと戦ってきてはいるがいずれも格下のモンスターばかりだった。同格ともいえる相手だとこっちの余裕がなくなる。その状態で俺も突っ込んでいくのは同士討ちのリスクが高い。
ネフィリムは何度も光を伴った遠距離攻撃を織り交ぜて戦うが、ザインは涼しそうな表情で対応していく。なんというか、動きが早い。
「ホラホラホラホラ──どうしたの? 僕の上司だったのに、何で苦戦してるの?」
「うるさいのじゃ。強くなったな貴様──」
今度はネフィリムが一気に反撃に出る。かなり苦しそうな表情、予想外だったようだ。
一瞬で2人から距離をとると、魔剣を思いっきり構える。その瞬間、魔剣が紫色に光りだしした。
「さあ──これをしのぎ切れるかな?」
「来るのじゃ!!」
「虐爆波 ──ディザスターライジング」
魔剣から、紫色の雷がこっちに向かってきた。魔力が、今まで感じたことがないくらい大きい。
「させません」
璃緒が左手をかざして2人の前に障壁を作り出す。ピンク色の、ハートの形をした強固な擁壁。俺も配信で見たこともある。パーティー仲間を何度も救ってきた、強力な障壁。
しかし、ザインは余裕そうな表情を崩さない。
「その程度で、僕の攻撃を防げると思わないでよ!」
そして、紫の雷は璃緒の障壁に直撃。ドン!! と大きな音がして、障壁に少しずつひびが入っていく。やはり、璃緒の障壁では防げないのか。
あくまで璃緒が得意なのは接近戦。こういった術式は仲間にやってもらっていたことが多く、こういった援護の実力は中堅上位レベル。ザインの攻撃を防ぐには力不足みたいだ。
「強い──」
「わらわがやるのじゃ!」
ネフィリムが手をかざすと、ネフィリムから巨大な魔力が出現。灰色の魔力の塊がネフィリムの手を包む。
大きな音とともに璃緒の障壁が完全にガラスが割れたかのように崩壊。ザインの術式がこっちに襲ってくる。それと同時にネフィリムの魔力の塊がザインの攻撃と衝突していく。
ドォォォォォォォォォォォォォォォン!!
大きな爆発音がこの場を包む。衝突した攻撃の威力は互角といったといった所か──両者の術式が消え、再び相対。
「流石は魔王様、僕の術式を打ち消すとは」
「攻撃を防ぐというのは、わらわの価値観と合わぬ。互いに全力でぶつかり合ってこそ、そちのことがわかるというものじゃ」
「そうだね。互いの力のぶつかり合い。僕も大好きだよ」
ザインがどこか嬉しそうな表情をしている。戦うことを恐れていない、むしろ全力を出しても問題ない相手と考えているのだろうか。そして、今度はこっちに向かってきた。
「今度は俺が対応する」
俺が2人の前に立ちはだかり、攻撃を防ぐ。俺が攻撃を受けると、ザインは一歩引いた後に魔剣を横一線に薙ぎ払ってきた。
俺はそれを──前傾を深くしてかいくぐる。まるで地を這うようなダッシュ。
「やるね」
「当然だ」
カウンターを仕掛けようとした俺を、ゼインはさらに剣を振り下ろして対応。
「まずいのじゃ」
「上から、真っ二つにしてやるよ!!」
「大丈夫。お前ならそう来ると思ってたから」
こいつの攻撃パターンは、何度も戦ってきてるからなんとなくわかる。強さは変わっても、人の思考回路は変わらない。
俺は最低限のサイドステップで攻撃をかわす。あまりにぎりぎりだったせいでシャツの裾が切れたくらいだ。ただ防戦一方だったわけではない。こうして、反撃のチャンスをうかがっていたのだ。
「ウソ──」
奇襲を空振りさせたザインにスキができた。前がかりになって、十分に反撃ができる。
これで勝負は決まりだ、がら空きとなったザインの胸に剣を突き刺す。
──はずだった瞬間、標的であるザインの姿が消えた。
まただ──どうして通常では不可能な局面で姿が消える? そして、俺の脳裏に「キケン、キケン」の文字。
「危ない!!」
璃緒の叫びに慌てて横に身を投げた。その瞬間、俺がいた場所をザインの剣筋が横切った。璃緒のおかげた。一瞬でも回避が遅れていたら、俺の身体は真っ二つにされていた。
「後一歩だったんだけどなぁ。その女を真っ二つにしようかなぁ~~」
「やらせはせぬ。その瞬間、わらわの術式でこの場ごと灰にしてやるのじゃ」
俺は慌てて振り返ってザインに目を向ける。またしても余裕な表情、そして──人間ではありあえない動きをしてくる。あの隙を見せた状態から回避してカウンター。
以前戦った時は、あんなことはしてこなかった。
「それは困るな。まあ、君を怒らせるようなことはしたくないし真正面から戦うよ。それでも、負けるつもりはないからね」
「望むところなのじゃ」
すぐに身をひるがえすと、俺がいた場所に向かって魔剣を薙ぎ払っているザインの姿。
そして、ネフィリムが剣から光を出して対応しているのが見える。
後一歩遅かったら、俺はあの剣に背中から真っ二つにされていたのか。ネフィリムのおかげで、無事だった。
「なんだぁ~~あとちょっとだったのに、惜しかったな」
「からすみさんを、犠牲になんかさせません!!」
残念そうに舌を出してせせら笑うザインを、ネフィリムと璃緒が攻撃していく。2対1本来は2人が優位なはずだが、一緒に行動して間もたってないせいでコンビネーションがあまりとれてない。
2人で攻め込もうとすると、璃緒が遠慮がちになってしまい威力が半減してしまう。
「ほらほらどうしたの? 2人がかりで来ればいいじゃん」
俺もネフィリムと戦ってきてはいるがいずれも格下のモンスターばかりだった。同格ともいえる相手だとこっちの余裕がなくなる。その状態で俺も突っ込んでいくのは同士討ちのリスクが高い。
ネフィリムは何度も光を伴った遠距離攻撃を織り交ぜて戦うが、ザインは涼しそうな表情で対応していく。なんというか、動きが早い。
「ホラホラホラホラ──どうしたの? 僕の上司だったのに、何で苦戦してるの?」
「うるさいのじゃ。強くなったな貴様──」
今度はネフィリムが一気に反撃に出る。かなり苦しそうな表情、予想外だったようだ。
一瞬で2人から距離をとると、魔剣を思いっきり構える。その瞬間、魔剣が紫色に光りだしした。
「さあ──これをしのぎ切れるかな?」
「来るのじゃ!!」
「虐爆波 ──ディザスターライジング」
魔剣から、紫色の雷がこっちに向かってきた。魔力が、今まで感じたことがないくらい大きい。
「させません」
璃緒が左手をかざして2人の前に障壁を作り出す。ピンク色の、ハートの形をした強固な擁壁。俺も配信で見たこともある。パーティー仲間を何度も救ってきた、強力な障壁。
しかし、ザインは余裕そうな表情を崩さない。
「その程度で、僕の攻撃を防げると思わないでよ!」
そして、紫の雷は璃緒の障壁に直撃。ドン!! と大きな音がして、障壁に少しずつひびが入っていく。やはり、璃緒の障壁では防げないのか。
あくまで璃緒が得意なのは接近戦。こういった術式は仲間にやってもらっていたことが多く、こういった援護の実力は中堅上位レベル。ザインの攻撃を防ぐには力不足みたいだ。
「強い──」
「わらわがやるのじゃ!」
ネフィリムが手をかざすと、ネフィリムから巨大な魔力が出現。灰色の魔力の塊がネフィリムの手を包む。
大きな音とともに璃緒の障壁が完全にガラスが割れたかのように崩壊。ザインの術式がこっちに襲ってくる。それと同時にネフィリムの魔力の塊がザインの攻撃と衝突していく。
ドォォォォォォォォォォォォォォォン!!
大きな爆発音がこの場を包む。衝突した攻撃の威力は互角といったといった所か──両者の術式が消え、再び相対。
「流石は魔王様、僕の術式を打ち消すとは」
「攻撃を防ぐというのは、わらわの価値観と合わぬ。互いに全力でぶつかり合ってこそ、そちのことがわかるというものじゃ」
「そうだね。互いの力のぶつかり合い。僕も大好きだよ」
ザインがどこか嬉しそうな表情をしている。戦うことを恐れていない、むしろ全力を出しても問題ない相手と考えているのだろうか。そして、今度はこっちに向かってきた。
「今度は俺が対応する」
俺が2人の前に立ちはだかり、攻撃を防ぐ。俺が攻撃を受けると、ザインは一歩引いた後に魔剣を横一線に薙ぎ払ってきた。
俺はそれを──前傾を深くしてかいくぐる。まるで地を這うようなダッシュ。
「やるね」
「当然だ」
カウンターを仕掛けようとした俺を、ゼインはさらに剣を振り下ろして対応。
「まずいのじゃ」
「上から、真っ二つにしてやるよ!!」
「大丈夫。お前ならそう来ると思ってたから」
こいつの攻撃パターンは、何度も戦ってきてるからなんとなくわかる。強さは変わっても、人の思考回路は変わらない。
俺は最低限のサイドステップで攻撃をかわす。あまりにぎりぎりだったせいでシャツの裾が切れたくらいだ。ただ防戦一方だったわけではない。こうして、反撃のチャンスをうかがっていたのだ。
「ウソ──」
奇襲を空振りさせたザインにスキができた。前がかりになって、十分に反撃ができる。
これで勝負は決まりだ、がら空きとなったザインの胸に剣を突き刺す。
──はずだった瞬間、標的であるザインの姿が消えた。
まただ──どうして通常では不可能な局面で姿が消える? そして、俺の脳裏に「キケン、キケン」の文字。
「危ない!!」
璃緒の叫びに慌てて横に身を投げた。その瞬間、俺がいた場所をザインの剣筋が横切った。璃緒のおかげた。一瞬でも回避が遅れていたら、俺の身体は真っ二つにされていた。
「後一歩だったんだけどなぁ。その女を真っ二つにしようかなぁ~~」
「やらせはせぬ。その瞬間、わらわの術式でこの場ごと灰にしてやるのじゃ」
俺は慌てて振り返ってザインに目を向ける。またしても余裕な表情、そして──人間ではありあえない動きをしてくる。あの隙を見せた状態から回避してカウンター。
以前戦った時は、あんなことはしてこなかった。
「それは困るな。まあ、君を怒らせるようなことはしたくないし真正面から戦うよ。それでも、負けるつもりはないからね」
「望むところなのじゃ」
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